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ギター用エフェクター ディレイ基礎編 〜アナログディレイの仕組みと激安モデル〜

さて、エフェクター基礎編シリーズは一つの山場を迎えます。ディレイエフェクトというのは、そのエフェクトの機能というか、役割は簡単なのですが、使い方によってさまざまな効果となり、またその種類も非常に豊富です。おそらく、ギターエフェクターの中で歪み系に次いで使われる機会が多いのはディレイではないかと思います。
では、そんなディレイについて見てみましょう。

  • ディレイの効果

ディレイとは「遅延」という意味で、一般的に「やまびこ効果」といわれるのがディレイです。
音は波です。そして、光も一種の波です。光は鏡などに反射しますが、音もなにかにぶつかれば反射します。しかし、反射した音を一つの「音」として聞き分けるには、充分な距離が必要です。光の場合は動きが速いので目の前にある鏡でもきれいに像を映してくれますが、音だとそういうわけにはいかず、反射音を取り出すには「向かいに見える山」のような充分な距離があり、部屋のように周りが囲まれているようなことがない場所が必要となります。いわば自然のやまびこは、壮大なリバーブということもできます。
参考として、目の前1mmにある鏡は、音で考えれば1km先の反射板のようなものです。花火の音が違った場所から聞こえたりするのは、こういった充分広い空間と大きな音があればこそです。そして、そのように1km先のものに当たって帰ってくる音は系2km分、約6秒程度「遅延」して聴こえるというのがやまびこの原理です。
このように、やまびこのような反射音をスタジオなどで自然に作ることはとても難しいことでしたので、「録音」とか「メモリ」というデータ処理の考えができるまでは不可能だったといえます。

  • アナログディレイ

ディレイには大きく分けて4つの種類に分けることができると思います。
まずは歴史的に最初のディレイである、「テープエコー」そして、それをよりコンパクトに、そして安価に入手できるようにした「アナログディレイ」、技術の進歩によって作り上げれた、専用のチップを使う「デジタルディレイ」、そしてデータの扱いに関しては家庭用、個人向け機器の中で随一の能力を持つPCを使った「ソフトウェアディレイ」です。
この中で、ソフトウェアのディレイは主にレコーディング向けとなりますので、ディレイの基礎編ではギター用の機材として売られている最初の3種類について見ていきたいと思います。
近年、アナログムーブメントというか、90年代のブルース復興、グランジやヘヴィネス系によるファズの見直しなど、「過去の機材」を見直そうという動きが強まり、その一つとして、「アナログディレイ」への人気が高まっているようです。ですので、まずは歴史的にも過渡期の産物とも言える、未完成で不安定な機器(その理由は後述)、「アナログディレイ」について見ていきましょう。

  • 歴史

ディレイは、テープレコーダに代表される高音質の磁気録音が発達することによって得ることができるようになった効果です。(2台の録音機器と再生機器があれば、一つの演奏を2つのメディアに記録し、それらを時間差で再生する、という大掛かりは方法で可能だったと思いますが、機材として「ディレイエフェクト」ができるのはテープが発達してからです)そして、その「磁気録音」を使った機材が、「テープエコー」です。
テープエコーについては、後々テープエコーについて書く回で述べるとします。
で、テープエコーというのは、アンプヘッドのように大きな機材で、また価格も高いものでした。
そこで開発されたのが、電子式のBBD素子(Bucket Brigade Device、Deviceに「素子」という意味があるので、この書き方は東大寺を「Todaiji Temple」と書くようなものですがw)、日本語にすると「バケツリレー素子」というものを使ったアナログディレイです。これは、入力された信号を一旦保留し、ある時間を置いて放出するということを行っています。パソコンのメモリのような役割ですね。
そして、今いったパソコンのメモリのようなデジタルの記憶装置が開発されることによってデータの保守が容易になった結果生まれたのがデジタルディレイです。数字の組み合わせによる劣化のないデジタル信号と、大容量の記憶領域によってクリアな音質でロングディレイが可能となりました。

  • アナログディレイの仕組み

では、今回のメインである「アナログディレイ」の仕組みについて書いてみましょう。
アナログディレイは、BBD素子(この書き方が分かりやすいので当サイトではこれでいきます)を使って遅延効果を生み出すものです。まず、入力された信号を2系統に分け、片方をバイパスさせます。そしてもう片方はBBDを通るようにします。
さて、パソコンを使っている方は、「クロック周波数」というのを聞いたことがあると思います。これはデータの受け渡しのタイミングのことで、発振回路の周期を意味します。パソコンの場合、この周期が速いほどデータの受け渡しが速いということで、PCの性能を表す基準のひとつとなっていますね。
PC回路のことはまぁ、おいといて、このように、データの受け渡しの時間を操作するのがクロック数です。さて、ディレイでデータの受け渡しの時間といえば、そのまま「ディレイタイム」ですよね。つまり、BBD素子を使った回路の場合、このクロック数を下げれば下げるほどロングディレイとなるわけです。BBD素子自体は、別にいくらクロック数を下げても問題ないのですが、このクロック周波数は発振信号なので、これが下がりすぎると、可聴周波数に入ってきてしまいます。もちろん、基本的には内部で入力信号とクロック数は分かれているのですが、そこがアナログ回路たるゆえんというか、どうしても信号が漏れてしまうことがあります。そこで、アナログディレイの回路では、BBD素子を通った後で、クロック周波数の部分を通さないローパスフィルターをかけているわけです。しかし、それでももとの信号を維持するためには、あまり長いディレイをかけるわけにはいかず、基本的にアナログディレイのディレイタイムはテープエコーやデジタルのものと比べて短いものとなっています。現状では、SMART PEOPLE FACTORY INTERSTATE 5が最大1秒で最も長いディレイタイムを持つアナログディレイということが言えると思います。このあたりが、未完成で不安定というわけですね。「ディレイ」という目的を考えると、現在最も理想に近いのはデジタルディレイということになります。

  • アナログディレイの特徴

アナログディレイのサウンドとして、「暖かみがある」「自然だ」といわれることがあります。この最大の要因は、先ほど書いた「ローパスフィルタ」によって原音の高域周波数が削られているからに他なりません。これを自然だと感じる理由としては、「やまびこは壮大なリバーブである」ということが考えられます。波が物に当たって跳ね返る場合、また長距離を移動する場合、最も減衰が早いのは高周波数域です。振動に使うエネルギーがそれだけ多いので、考えれば当然なのですが、その結果、やまびこは主に中低域がメインの、多少こもった音になるわけですね。それが、このアナログディレイのローパスフィルタによって、まるで自然なやまびこのような、多少こもった音色になるわけです。よく、「BBD素子を使うことで暖かみのある〜」などと書いてある売り文句がありますが、半分正解、厳密には間違いです。(BBD素子を通ることによる音質変化は確かに存在しますが、こういったの説明の場合、そのことよりもその後のフィルタを通る部分の解説となっていることが多いです。BBD素子を通る音質変化に正確に言及したものは、日本語のものでは一つしか見たことがありません。)
さて、デジタルディレイが出てきた今では意味がないかもしれませんが、アナログディレイの特徴の一つとして「ショートディレイ」が挙げられます。これは、アナログディレイ以前の磁気録音を使ったものでは作ることが難しかったものですね。フランジャーの場合、同時再生中のテープの片方に触れることで微妙なショートディレイを作り出していましたが、これらを正確に制御し、詳細な設定をおこなうためにはアナログディレイが必要でした。現在ではその多くがデジタルディレイを使うことで処理されていますが、一部「アナログコーラス」などのようにアナログディレイを使っておこなっているものもあります。この場合、非常に短いディレイですので、クロック周波数が高く、フィルタも最低限で済みますね。
そして3つ目の特徴は「発振」です。これは、フィードバックを多くし、何度も音をリピートさせることによって電気的な循環回路となって起こります。その状態でディレイタイムをいじくると、非常におもしろい効果が得られます。

  • デジタルとアナログ

さて、ここまで見てきた方はお気づきだと思いますが、いわゆる「アナログディレイ」の音を作りたければ、デジタルディレイにフィルタをかければいいということが分かると思います。実際、数あるデジタルディレイの多くは、ディレイ音にフィルタをかけてアナログディレイをシミュレートする機能がついていますし、多くの場合、それで事足りると思います。これは周波数特性から見た場合、正解です。
しかし、感覚的に「何かが違う」と考える方が多数おられる現状で、たった一つの事象(それが最も重要であることは間違いないですが)である周波数特性だけで説明がつくとは思いません。それで説明がつくならば、世の中からアナログディレイは絶滅しているはずです。もちろん、音をデジタルに変換する「AD/DAコンバータ」の性能が上がり、モデリングのデータ量による正確なフィルタリングが行われれば、より「アナログディレイ」のサウンドに近づくことができると思いますが、現状ではまだデータ量が少ないといわざるを得ません。それは何かというと、理論と現実の違いというか、いわゆる「物質的なもの」だと思います。
アナログ回路の場合、電気信号をそのまま処理するため、配線材やその他の物質を通ることで、信号が変化していきます。もちろんデジタルでも微量の変化は存在するのですが、その割合はアナログのものと比べると非常に少ないです。電子機器の動作が目的であれば、デジタル回路はアナログ回路に比べて、この点で圧倒的に有利です。これはデータの保存にしてもそうで、長期間のデータ保存にはやはりデジタルのものが優れていて、音楽業界でもデジタル処理されたCDを使っています。しかし、アナログ回路ならではの動作があり、例えばフィードバックを上げることで何度もBBD素子〜フィルタ部分を通るような場合、その「物質を通ることによる信号の変化」が大きく、どんどん音がぼやけてくるようになります。こういった、ランダム要素の強い効果は、デジタルで処理するのは困難だといえます。また、ディレイの発振時のように過入力状態で限界を超えた信号が流れ込むような場合の動作はデジタル回路は苦手です。こういった状態では、信号が様々な変化を起こしますので、画一的な処理が得意なデジタル回路には難しいものとなります。
つまり、発振をさせたり、何度もリピートさせたりするような場合には、アナログディレイならではの特徴が出やすいため、そういった音を求めている方にはアナログディレイが必要である、といえます。しかし、たとえば2〜3回のリピートさえあればいいという方や、正確なディレイタイムが欲しい方にはデジタルの方が割安でいいものが手に入ると思います。逆に、アナログならではの発振や、リピートを繰り返しての音の変化を求める方はアナログでなければ表現できないものがあると思います。「アナログがいい」だとか「デジタルの方がすごい」というような、片方を肯定し、片方を否定するようなことではなく、両方の特性を理解し、適材適所で機材を使うことが最も重要だと思います。

  • 激安モデル

では、アナログディレイの激安モデルを紹介していきましょう。しかし、今書いたように、初心者の方がディレイが欲しくて、アナログの方が流行っているからといって「安いアナログディレイ」を使うのはあまりオススメできません。特にディレイはボード内でつなぎっぱなしにすることも多いと思いますが、そういった場合には「激安アナログディレイ」は不向きだと思います。しかし、あえてアナログにこだわった上で、激安な物を使われる方には、アナログならではの不安定さや、音質の変化の激しい激安モデルは、ある意味「これぞアナログディレイだ!」というような音を出す上で一つの選択肢と言えるかもしれません。
では紹介していきましょう。

激安エフェクターの名門(?)として名高い、ARIONのステレオアナログディレイです。ステレオとモノラルの切り替えスイッチと、後はDELAY、DEPTH、REPEATというコントロールを持っています。
50ms〜200msまでのディレイタイムで、アナログらしい残響を作るにはよさそうです。

近年出てきた、激安エフェクターブランド「ARTEC」のアナログディレイです。
価格を考えれば仕方のないことですが、TIME、MIX、REPEATの3コントロールで、10~300msのディレイタイムです。
ARTECのエフェクトは価格を考えれば仕方ないのですが、「トゥルー・バイパス」といわれるスイッチ部があまり評判がよくなかったりして心配ですが、しかしアナログディレイとしてレコーディングなどに使うのならば、つないでいる間は常時ONでいいと思いますし、これは試してみる価値はあると思います。
 
というわけで、まずはアナログディレイの仕組みや歴史などを書いてみました。BBD素子はその特性上、使いにくいため現在ではほとんど生産していないと思われます。そのため、入手経路の確立が困難です。また、フィルタ部分もクロック数と同期して変化するようなものなどになれば、より部品も必要となってきますので、どうしても高価になりがちだと思います。それを理解した方にこそ、あえてアナログディレイを使う意味があると思います。次回はよりハイエンドなアナログディレイを紹介していきますね。



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