「モーションセンサー」という、指にはめ、ピッキングなどの動きに反応する新感覚の「エクスプレッションコントローラ」を開発し、それを使用するエフェクターを発売して話題となったSource Audio。最初に発売されたその「HOT HANDシリーズ」は斬新で多機能でしたが、その分大きく高価だったためか、店頭でみかけることはあってもあまり使っているという話を聞きませんでした。
そんな中、Source Audioから、より手頃で小型なシリーズ、「soundbloxシリーズ」が登場です。歪み、モジュレーション、ワウを含む4機種、全てがモーションセンサーコントロールに対応し、もちろんセンサーがなくても使うことが出来るペダルとなっています。
さっそく見てみましょう。
Source Audio SA120 Multiwave Distortion |
Source Audioならではの、現代的なデザインのペダルには、4つのコントロールが搭載されます。まず、この「マルチウェーヴ」の名前に象徴される、デジタルならではのコントロール・・・21種類の波形選択スイッチと、Sustain、Drive、Outputコントロールが搭載されています。Sustainコントロールはどうやらインプットゲインとなるようです。
21種類のサウンドモードですが、大きく分けるとマルチバンドとシングルバンドの2種類のモードがあります。マルチバンドモードでは、入力信号をバンドパスフィルタによって複数の帯域ごとに分割し、それぞれにエフェクトをかけたあとミキシングするというもので、入力信号にそのままエフェクトをかけるよりもクリアで、音の分離もいいサウンドになるというものです。シングルバンドモードは、通常の歪み系ペダル同様、入力信号にそのままエフェクトをかけます。
さて、マルチバンド、シングルバンド共に、細かく分けると3種類のモードがあり、それぞれNormal、Foldback、Octaveに分かれます。
各モードの説明です。(今回ご紹介する他のペダルについては、各ペダルのリンク先の販売店のページに説明がありますが、ディストーションだけないのでこちらで説明します。)
モード1〜3はマルチバンドのNormalモードで、マルチバンドならではの明瞭な、音の分離のいい和音を出力できる正統派なディストーションサウンドです。4〜9がFoldback。Foldbackは、通常のクリッピングによる波形とは全く違う独特の歪みで、オクターヴアップのサウンドが混ざったような音を作ることも出来ます。モード選択の番号が高いモノほどハイゲインになるようです。10〜14はオクターヴです。10と11は普通のオクターヴサウンド、12〜14はFoldbackを使ったオクターヴで、クラシックなオクターヴエフェクトと違い、コードにもきれいに反応させることができるようです。
15からはシングルバンドです。15,16はシングルバンドのNormalモードで、最も普通のディストーションサウンドとなります。17〜19はFoldbackで、20は普通のオクターヴ、21はFoldbackを使ったオクターヴとなります。モーションセンサーコントロールにも対応し、Driveコントロールを手元で可変することができます。デジタルならではの処理によって、新しい歪みを作ることが出来るというわけですね。
このSoundbloxシリーズ全てに共通することですが、エフェクトOFF時のバイパスサウンドは、デジタル処理をおこなわないアナログサウンドとなります。また、筐体の大きさは奥行き17.78センチ、横幅10.16センチ、高さ5.08センチと、MXRサイズから比べると大きいですがHot Handシリーズよりはだいぶ小さくなっています。
Source Audio SA123 Tri-Mod Flanger |
コントロールは4つ。11種類のフランジャー選択スイッチと、Delay、Depth、Speedです。Delayは、フランジングに使うディレイタイム(フランジャーは極小タイムのモジュレーションディレイです)、Speedはモジュレーションの周期です。特徴的なのがDepthコントロールで、センターの位置で0となり、左に回せばエンヴェロープフィルターによるモジュレーション、右に回せばLFOによるモジュレーションを得ることができます。
搭載される11種類のフランジャーは、クラシックなものから独特のホロウ効果をもつもの、ピッチシフトの要素をもつものまでさまざまです。モーションセンサーを使うことにより、DepthとSpeedを手元でコントロールできます。Speedコントロールはモーションセンサーのレスポンスコントロールとなります。
Source Audio SA122 Tri-Mod Phaser |
ロータリースピーカーシミュレートから、2段〜12段までのさまざまな段数(ノッチ)のフェイザーや、ディレイを使った複雑な波形も持つものまで、いろいろなフェイズシフト効果を体感できます。モーションセンサーを使うことにより、DepthとSpeedを手元でコントロールできます。このとき、Speedコントロールはモーションセンサーのレスポンスコントロールとなります。
Source Audio SA121 Tri-Mod Wah |
他のペダル同様、4つのコントロールをもち、それぞれ11種類のフィルタの形状を選択するロータリースイッチ、Frequency、Speed、Depthのコントロールとなります。オーチワウ、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ、そして6種類のマルチピークフィルタから波形を選択し、さまざまな効果を得ることができます。
モーションセンサーを使うと、Depthコントロールを手元で可変でき、Speedコントロールはモーションセンサーのレスポンスコントロールとなります。個人的に、Soundbloxシリーズの中で一番期待しているペダルです。
というわけで、Source Audioからの新製品、Soundbloxシリーズをご紹介してみました。以前のHot Handシリーズがだいたいペダル本体で4万円くらいしたのから考えると、そうとう安くなってますし、かなり良い感じのペダルではないでしょうか。デジタルペダルと聞くと敬遠される方も多いですが、こういった「デジタルならではのペダル」はおもしろいと思います。