昨年発売された、PCI E.W.SのFuzzy Driveです。その名の通り、ファズの雰囲気を持ったドライブペダルですね。リーズナブルで扱いやすく、音も良いとすでに評判のペダルで、海外のいろいろな楽器店でも見かけることができます。
さっそく、レビューしてみましょう!
E.W.S Fuzzy Drive
こちらがその、Fuzzy Driveです。シンプルな外観ですね。左上にある黒い水玉?風の模様は、よくみると「F」の文字となっていたりします。ケースの質感は、Z.VexのVexter Seriesと似てるというか、同じケースを使っている雰囲気です。コントロールはVol、Gain、Toneとなっています。一般的なコンとロールですね。
このペダルは、Gainを上げるとBLACKCAT OD-1風、Gainを下げればToneBender風の歪みとなる、という説明が付けられています。
内部はこんな感じです。この価格帯で、世界的に流通しているモデルではありますが、ハンドメイドの雰囲気を残した配線や基板となっていますね。ICを2つ使った回路となっています。型番は削られているんですが・・・
見えるかな・・・ちょっと削り方が甘かったのか、片方のOpampはBlack Cat OD-1と同じ「OP275」が使われていました。もう片方は、微妙に見えそうで見えなかったです。BC6?みたいな文字が見えた気がしましたが、BなのかRなのか8なのか・・・って感じでしたw
OP275はかなり独特なOpampということで、回路的にはBlack Cat OD-1の発展系なのではないかと思います。それでは、レビューしてみましょう!
- 操作性
どこにも迷うようなところはないと思います。非常にシンプルかつ正統派で、使いやすいペダルですね。Toneノブがセンターの位置にクリックがあるタイプ(Xoticがよく使っているタイプ)となっているのも、素晴らしい配慮だと思います。PCIはZ.VexとXoticを扱っていますので、これらのメーカーの影響、もしくは協力等があったとしても納得ですね。とても良いことだと思います。
- サウンドレポート
音の方いってみましょう。私はBlack Cat OD-1を持っていないので、比較することはできませんでした。なので単純にこのペダルの音について書いてみますね。あ、音出しの際のギターはFender USA '57 Stratocaster Thin Lacquer、アンプはKoch C-SE6Cです。
まず、基本的なサウンドはたしかにファズらしさがあります。ジャリっとして乾いた歪みが特徴で、いわゆるオーバードライブのような粘り気はあまりありません。しかし、弾いて最初に驚いたのは反応性の高さと和音がしっかり出るという点です。ブリティッシュ系のファズだと、反応性の高いものは多くありますが、Gainを上げても和音で音が全く潰れることなく、普通に使うことが出来るというのはあまり見かけないです。このペダルは、「ファズ」じゃなくて「ファジーなドライブペダル」なんだと改めて認識させられます。
といっても、歪んだ時の倍音の出方はやはりファズですね。単音でも和音っぽい歪み方をします。反応も良いので、強く緩急をつけると、原音感の残る音と歪んだ倍音の強い音が出せますね。
Toneノブの効き方も考えられていて、可変幅は普通というか、特筆するほどではないのですが全域でスムーズに、そしてしっかりとToneを可変させられるので、自然に、感覚的にToneを調整させることができます。若干高域よりなToneとなっているように思いましたが、ストラトで弾いていたからかもしれません。低域方向はシングルコイル、高域方向はハムバッカーを想定して調整されているような印象でした。といっても、ストラトのリアでGain、Toneともにフルアップにしてみても(アンプによって変わりますが)そこまで極端にハイが強調されることはないので、やはり非常に上手く調整されたToneコントロールだと思います。
Gainを上げていてもギター側のVolumeを絞ればクリーンになります。このクリーンはFuzz Face等でも作ることが出来る、所謂「鈴鳴り」系の、立体感があってキラキラとしたクリーンサウンドです。
Gainを下げていくと、少しハイが強くなっていきます。例えばToneBender MkIIはハイが強めの歪み方なので、「Gainを下げればToneBender風になる」というのはこのことを言っているのかも知れません。ストラトだとGainノブが9時くらいの位置と、フルゲインにしてギターのヴォリュームを6くらいにしたときで同程度の歪みとなりますが、音はGainが9時の時の方がハイが強めです。Toneを調整することでハイの強さは抑えられますが、フルゲインのヴォリューム6とは歪み方が少し変わりますので、上手く使い分けるとおもしろそうですね。
ローゲインセッティングでも強く弾けばけっこう歪ませることが出来ますし、逆にハイゲインセッティングでギターのヴォリュームを下げればクリーンにもできるので、プレイスタイルや使いたい音の特性によっていろいろなセッティングができます。非常に柔軟に音を調整できるので、とても扱いやすいです。
この「扱いやすい」エフェクターを作るのってとても大変だと思うのですが、このペダルの柔軟性や音はまさに見事、だと思います。
「強烈に歪むファズサウンド」を求めているならばこのペダルを選ぶのは違うと思いますが、クランチ〜オーバードライブくらいのゲインで、乾いたファズの風味が必要なら、このペダルはうってつけと言えると思います。本格的なファズは使わないけど曲中に少しファズっぽい音を使いたい、みたいな場合にも良いのではないかと思います。
使いやすく、音が良くてリーズナブル。全体的なバランスも良いですし、このペダルならではの個性もちゃんとあります。見た目は少し地味ですが・・・すでに評価も高いので持っている方や弾いたことのある方も多いかと思いますが、まだ触ったことがない方は是非一度音を出してみてください。これすごいです。
というわけで、E.W.S Fuzzy Driveのレビューでした。
全体的にジャリっとした音色なので、クリーンアンプやトランジスタアンプだと人によっては音が少し硬めに感じるかもしれませんが、チューブアンプを軽くドライブさせて使うと、少しスムーズな歪みが付加されてまた違った雰囲気を見せてくれます。すごいですよこれ!
E.W.S. Fuzzy Drive |
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