楽曲により複雑な音色の変化を求めようとすると、複数のエフェクターをまとめてON/OFFするような操作が必要になってきます。ですが、フットスイッチでそれらの操作を行うのは大変で、またやろうと思えば出来るかもしれませんが、間違いが起こりやすくなってしまいます。そして、より複雑なエフェクトシステムになってくると、そういったややこしい操作が頻繁に必要となってしなうことも増えてきます。
そういった難しい操作をフットスイッチ1つで簡単に行い、また曲ごとにさまざまな設定を保存して自分だけのシステムを構築する。そのために使われるのが、プログラマブルスイッチャーです。
以前、プログラマブルスイッチャーといえばどれも高価なモデルばかりでした。実際、多数のジャックやスイッチ、独自の形状の筐体、そしてプログラムを行う操作系を搭載した回路等が必要となるため、ある程度価格が上がってしまう、というのはもちろんあるんですが、そんな中でも最近は手頃なモデル等も増えてきています。
プログラマブルスイッチャーと一言で言っても、その操作はMIDIによる操作だったり、形状もラック型だったりといろいろあるんですが、今回はシンプルに、エフェクトボード内のエフェクトをまとめてON/OFFするためのプログラマブルスイッチャーをいろいろ見てみたいと思います。いくつかの価格帯別に分けて見ていきます。
では、いってみましょう!
※紹介はブランド名順に行います。価格帯については、多くの店舗での実売価格を基本としていますが、お店などによって価格は変動したり前後することもあります。だいたいこのあたり、という感じで見ていただければと思います。
実売3万円までのプログラマブルスイッチャー
まずは、実売価格が約3万円を切る、手頃なモデルから見ていきましょう。
CAJ Loop and Link
CAJ Loop and Link |
4つのシリーズループと1つの独立したループを合わせた、5つのエフェクトループ(さらに固定式のエフェクトループを1つ搭載)を持ったプログラマブルスイッチャーです。
1台で5つ+1つ(全スイッチOFF時)の6つのプログラムを保存することができ、独立したフットスイッチでプログラムモードとマニュアルモードを瞬時に切り替えられるのも特徴です。また、2つのLoop and Linkをリンクさせることで、10ループを11プリセットで操作するプログラマブルスイッチャーとしても使用可能。
CAJならではの高品質バッファや、クリックノイズを抑える回路を搭載したリレースイッチを採用し、サウンド面にも配慮されています。
JOYO Wave-x PLX4
Wave-x PXL4 Effects Pedal Switch... |
4つのエフェクトループを搭載したプログラマブルスイッチャーで、A、BスイッチとBank+、Bank-スイッチを搭載。これらのそうさで、8バンク×2プリセットの、計16プリセットを保存できるモデルとなっています。
シンプルながら低価格が特徴のモデルですね。
JOYO Wave-x PLX8
JOYO Wave-x PXL-8 |
8つのエフェクトループを搭載し、4×8バンクの32プリセットを保存できます。
こちらもシンプルに、低価格を求めたモデルですね。
Moen GEC438
Moen GEC438 Guitar Effects Commander |
4つのエフェクトループを搭載し、さらにエフェクトの接続順入れ替えもできるプログラマブルスイッチャー「Moen GEC438」です。
4つのエフェクトループから同時に3つまでのエフェクトをONにすることができるモデルで、4つのフットスイッチとBank切替スイッチを組み合わせ、合計8つのプリセットを保存することができるというものです。
選択する3つまでのエフェクトは、それぞれ接続順も含めて自由に選ぶことができるので、同じ楽曲中であってもペダルの入れ替えをしたりすることができるのが大きな特徴ですね。チューナーアウトとMuteスイッチも搭載しています。インプットジャックによって、バッファの有効/無効の選択もできます。
Soul Power Instruments The Three
Soul power Instruments The Three |
国産ハンドメイドブランド、Soul Power Instrumentsによるモデルで、「The Three」の名前の通り3つのエフェクトループを搭載。3つのフットスイッチにそれぞれプリセットを保存可能。スイッチでインプットバッファのON/OFFを切り替えることも可能となっています。コンパクトサイズという点も特徴的ですね。チューナーアウトも搭載しています。
実売3万円〜5万円程度のプログラマブルスイッチャー
続いては、より本格的な機能を持ったモデルとなる、3〜5万円程度のモデルを見てみましょう。
Carl Martin Octa Switch MkII
まずはこちら。デンマークのエフェクターブランド、Carl Martinによるアナログなプログラマブルスイッチャー「Octa Switch MkII」です。
8つのエフェクトループを搭載し、8つ目はステレオアウトのペダルに対応。スイッチャー自体も1In2Outのステレオ対応モデルとなっています。8種類のプリセットを保存することができ、独立したバイパススイッチも搭載。インプットバッファはON/OFFが可能となっています。また、2つのExt.Switchジャックを搭載しており、プログラムごとにそれぞれの設定も操作することができます。
操作もアナログで分かりやすく、それでいて多機能なモデルです。
Noah'sark PTBS
NOAHSARK PTBS |
2Loopと3Loopを分けた5Loopスイッチャーで、5バンク×5プログラムの25種類のプログラムを保存可能。独立したMuteスイッチとTunerアウトを搭載しており、好きな位置に挿入できる独立したバッファを内蔵しています。また、2台のPTBSをLANケーブルでリンクさせて使うことも出来、25種類の信号を送信するMIDIスイッチャーとしても機能します。
Noah'sark PTBS-1
長いこと製作されているロングセラーモデルです。
Noah'sark PTBS-1は、5つのエフェクトループを搭載し、5バンク×5プログラムの25プログラムの保存が可能なプログラマブルスイッチャーです。
チューナーアウトを搭載し、また5つ目のループはアンプのチャンネル切替等に使えるスイッチとしても動作します。インプットバッファはON/OFF切替が可能となっています。シンプルながら十分な機能性を持ったモデルです。
Moen GEC9
Moen GEC9 Guitar Effects Commander |
6つのシリーズループと3つのセパレートループ(6+1+1+1)の9ループを搭載したプログラマブルスイッチャーです。
5プリセット×10バンクの計50プリセットの保存が可能で、ミュートスイッチとチューナーアウト(Cleanアウト)、インプットジャックによってバッファの有効/無効の選択が可能となっています。非常に多機能なスイッチャーですが、プログラム自体はボタンを押すだけの簡単な操作で行えるというのも特徴です。
One Control Chamaeleo Tail Loop
One Controlによる、コンパクトな4ループスイッチャーです。
「Chamaeleo Tail Loop」は、3つのシリーズループと1つのセパレートループを搭載しており、4つのプログラムを保存可能なモデルです。
他、チューナーアウトや4つのDC出力端子を搭載。エフェクターへの電源供給もまとめて行えます。バッファのON/OFF切替や、プログラムとマニュアルモードの切替に対応しています。
Providence PEC04
続いてはこちら。スイッチャーを含むオーディオルーティング系に強いブランドとしてい知られるエフェクターブランド、Providenceのコンパクトなスイッチャーです。
「PEC04」は3つのシリーズループと1つのセパレートループを搭載し、4つのプログラムに対応したモデルです。
インプット端子を切り替えることでバッファを通すか通さないかを選択することが出来、また4つのDCアウトを搭載して電源供給も可能となっています(最大220mA)。プログラムとマニュアルモードの切替が可能となっています。
Rocktron Patchmate Loop 8 Floor
続いては、アメリカの大手エフェクターブランド、Rocktronのプログラマブルスイッチャー「Patchmate Loop 8 Floor」です。
完全に独立した8つのエフェクトループを搭載。それぞれのループはアンプ等の切替スイッチとして使うこともできるようになっています。全てのループが独立しているので、自由度の高い配線が可能となっています。
各ループに直接ON/OFF操作を行うLoopモード(マニュアルモード)とプリセットモードを搭載し、プリセットモードでは本体に128プリセットを保存可能。ただし、本体のみで操作できるのは8つのプリセットで、それ以上のプリセットを操作する場合、Rocktron MIDI Xchange等のMIDIスイッチャーが必要となります。
インプット端子の選択により、バッファの有効/無効を選ぶこともできます。
Soul Power Instruments The Four
Soul power Instruments The Four |
Soul Power Instruments The Five
Soul power Instruments The Five |
実売5万円以上のプログラマブルスイッチャー
最後に、実売で5万円を超えるハイエンドクラスのプログラマブルスイッチャーをご紹介します。プロフェッショナル向けのモデルや多機能モデル等がいろいろ出ています。
CAJ RS616
まずはこちら、CAJのフラッグシップモデルとなる「RS616」です。
3Loop+3Loopの計6つのエフェクトループを搭載し、アンプの切替やアンプのスイッチ切替の機能、およびMIDIスイッチャーとしての機能も備えたモデルとなっています。MIDIスイッチャー用のエクスプレッションペダル端子も装備しています。
片方の3Loopは、単純にエフェクトループとしてだけでなく、アンプの操作を組み合わせた複雑なセッティングも可能。本体には6×40バンクの240プリセットと1つのグローバルプリセット、合計241プリセットを保存可能。チューナーアウトとして使えるExt OutやCAJが誇るインプットバッファを搭載したモデルです。コンパクトながら非常に多機能なスイッチャーです。
CAJ RS442II
CUSTOM AUDIO JAPAN / RS442II |
4つのエフェクトループを搭載し、MIDIコントローラーとしても使用可能。MIDI用のエクスプレッションペダル端子も搭載しています。
他、チューナーアウトとして使えるExt.Outやミュートスイッチも搭載。外部スイッチを接続することで、マニュアルモードとプログラムモードの切替も行えます。本体には4つのプリセットを保存可能で、InputにはCAJならではのバッファを搭載しています。
G-Lab GSC-3
G-LAB / GSC-3 ( GSC3 ) ギターシステムコントローラー |
6つのエフェクトループを搭載し、2系統のアンプ等のスイッチ切替、およびMIDIスイッチャーとしての機能を搭載。10バンク×10プリセットの、計100プリセットを保存可能。G-LAB Wah Padを使うことで、ワウペダル用のプリセットを呼び出したり、500mAまで、3つまでの9V出力を2系統搭載したり、USBでPCからプログラムの管理を行う等、個性的な機能も搭載しています。さらに、様々なスイッチを接続して拡張するAUXコネクタも搭載しています。
Gigrig Pro-8
スイッチングシステム GigRig Pro-8 |
6ループ、8プログラムのプログラマブルスイッチャーで、各プログラムごとに音量の設定も可能。アナログな操作感のモデルです。
Musicom LAB EFX MK-III PLUS
Musicom LAB EFX MK-III PLUS |
プログラムは4×60バンクの240プリセットを保存可能。2段にわかれた8つのスイッチで、上段と下段での操作を組み合わせることで、多彩な操作をコンパクトにまとめたモデルとなります。他、チューナアウト、インプットバッファのON/OFFに対応。また、MIDI端子の搭載でMIDIスイッチャーとして、逆にMIDIスイッチャーによるコントロールにも対応したモデルとなっています。
One Control Crocodile Tail Loop
One Controlのフラッグシップモデルとなる「Crocodile Tail Loop」です。
7つの直列ループと3つのセパレートループ(7+1+1+1)10ループを搭載したスイッチャーで、7×10バンクの70プリセットに対応したモデルです。
インプットバッファにBJF Bufferを搭載し、インプットの選択でバッファをスルーすることも可能。3つのセパレートループはアンプのチャンネル切替等のスイッチとしても使うことが出来、またMIDIスイッチャーとしての動作も可能となっています。また、2台のCrocodile Tail Loopをリンクさせてより大規模なシステムの操作も可能となっています。チューナーアウト、Muteスイッチも装備しています。
Providence PEC-2
続いては、よくプロギタリストの足下に見かけるスイッチャー、「Providence PEC-2」です。
5つの直列ループと3つのセパレートループ(5+1+1+1)の8ループを搭載したプログラマブルスイッチャーで、12×7の84プリセットに対応したモデルです。チューナーアウト、Muteスイッチを搭載し、MIDIスイッチャーとしての動作も可能。セパレートループはアンプのチャンネル切替等に使うことも可能で、2台のPEC-2をリンクして大きなシステムのコントロールとして使うことも可能となっています。インプットの選択でProvidenceのバッファを通すか通さないかを選ぶこともできます。
Roger Mayer Mission Controller
Roger Mayer Mission Controller |
こちらは広いステージでのプレイを行うプレイヤーのために作られたモデルで、ワイアレス動作とローディによる操作なども考えて作られたモデルです。
2種類のトランスミッター、レシーバー、拡張ユニットで1つのまとまりとなっており、レシーバーには2つ、拡張ユニットには4つのエフェクトループを搭載。ここにエフェクターを接続します。
2種類のトランスミッターは、ギター側から操作するコンパクトな2スイッチと、4つのフットスイッチ型の2つで、それぞれステージ上の好きなところに、ワイアレスで置くことができます。ギター側から操作するタイプはプレイヤーがストラップ等に付けて使います。
トランスミッターは最大6つまで同時に使うことが出来、例えばプレイヤーとローディが別の場所から1つのエフェクトボードをコントロールしたり、2人のプレイヤーが1つのボードをコントロールする、といったことも可能。
拡張ユニットやトランスミッターは個別に注文して追加することも可能で、6ループだけでなく10ループのスイッチャーとして使用する等、システムに合わせた使い方が可能です。主に大規模なステージでプレイするプロフェッショナル向けの本格的なスイッチャーですね。
と、いうわけで、いろいろなプログラマブルスイッチャーを見てきました。
基本的に、エフェクターの操作からMIDIスイッチ、およびアンプのラッチスイッチ等といった機能が中心となっていますが、そういった機能だけに特化して、多機能かつリーズナブルとしたモデルから、より多彩なコントロールに対応して個性を出したモデルなど、こうして見るといろいろなモデルが出ていますね。
用途と予算に合わせて、自分に合ったスイッチャーが見つかれば、ギタープレイがより多彩に、そして快適になるんじゃないかと思います。
いろいろ、比べてみるのもおもしろいですね。もちろん、バッファ等の違いで音作りにも関わってきますので、試したりしながら選ぶと良いのではないかと思います。
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