今、非常に多くのエフェクターブランドが誕生している地、中国。中でも中国のシンセンという地域は、世界的なエフェクターブランドや楽器ブランドが多く集まる都市です。ここ最近の中国のエフェクターブランドといえば、
JOYO
や
Mooer
、
Hotone
といった、低価格で独自のアイディアを持ち、回路構成やサウンド面は過去の名ペダルに学んだモデルというのが多く出ています。ちなみにこれらの3ブランド、全てシンセンに本拠があります。
そして、今度はさらに新たなエフェクターブランドが、シンセンから登場です。
それが「
Rowin
」というブランドです。多くのクリップチューナーを中心としたラインナップを持つブランドですね。
ミニサイズの独自筐体でラインナップされる、「Rowin Mini Pedal」というシリーズは、中国のエフェクターブランドが「次の段階」へと移ったことを示唆するようなペダルをラインナップしています。
前述の通り、中国のエフェクターブランドといえば、回路やサウンドは過去の名機を参考にしながらオリジナルの筐体やデザインを用いたモデルが今は一般的です。そういう意味では、Rowinもその例に漏れません。このRowinのペダルが面白いのは・・・過去の名機ではなく、同じ中国の有名ブランドである
Mooer
を元にしたペダルをラインナップしているという点です。ただ、全モデルMooerのコピーというわけでもない感じですね。
そんなRowinのペダル、見てみましょう。
まずはオーバードライブペダルの「Rowin LEF-602B Overdrive」です。ミニサイズの中にLevel、Gain、Toneコントロールを搭載し、WarmとHotの切替スイッチを持つペダルです。説明を見る限り、おそらくTS系で、
TS9DX
あたりをベースにしている感じですね。
いや、もっと言えば、このペダルが元にしているのは明らかに
Mooer Green Mile
です。コントロール構成などは全く同じと言って良いですね。
JRC4558DD実装チップを使用しているということで、Opamp自体はMooerのものとは違うとのことです。
続いて、ディストーションペダル「Rowin LEF-601B Distortion」です。このペダルは、Level、Gain、Toneに加え、Natural、Tight、Classicの切替スイッチを搭載したモデルとなっています。モダンなサウンドを持つスタンダードなディストーションサウンドで、基本的には
Suhr Riot
をベースにしたモデルとのこと・・・ですが、こちらも元になっているのは
Mooer SOLO
というペダルです。なんと丁寧に基板には「SOLO」と書いてあるとのことですね。
サンプルムービー
続いて、ハイゲインディストーションの「Rowin LEF-605 Heavy Metal」です。Volume、Dist、Toneに加え、Hi Boost/Boost Off/Lo Boostの切替スイッチを搭載。コントロール構成から考えると、
Electro-Harmonix Micro Metal Muff
をベースに作られた回路が入っている、と考えられます。シュレッドなハイゲインで、高域や低域を切替スイッチでブーストできる仕様です。
このペダルは、
Mooer Blade
が元になっています。ディストーション同様、基板にBLADEと入っていて、構成も微妙な違いはあるものの似通っているということですね。相変わらずOpampは違っているようです。
そしてコーラスペダル「Rowin LEF-604 Chorus」です。こちらはミニサイズのアナログコーラスで、MN3007とMN3101を搭載。Level、Depth、Rateコントロールを搭載したモデルで、BOSS CE-2のサウンドがベースになっている感じです。さわやかなコーラスサウンドが特徴とのことですね。
もう分かりますよね。このペダルは
Mooer Ensemble King
を元に作られたペダルです。使用パーツは違うものの、基板構成はほぼ同じ。Mooerの基板が現在バージョン2なのに対し、Rowinの基板にはV1、つまりバージョン1の記載があるということです。
次はフランジャー「Rowin LEF-612 Flanger」。こちらもアナログのフランジャーで、MN3207を使用しているとのことですね。コントロールはRate、Range、Color、そしてFilter/Normalの切替スイッチとなっています。Filterモードにすれば音が裏返るような効果になるとのこと。
ベースになっているのはおそらく、
Stereo Electric Mistress
です。ということは、
Mooer ElecLady
が元になっているということになりますね。
続いて、ディレイペダル「Rowin LEF-614 Delay」です。PT2399を用いたアナログ回路にデジタルチップのディレイペダルですね。コントロールはEcho、Time、F.Backとシンプルです。20ms〜620msのディレイタイムに対応しているとのことですね。
コントロールやディレイタイムだけを見ると、おそらく
Mooer Echolizer
が元になっていると思います。Echolizerのベースが何かは分かりませんが、海外のフォーラムなどでは
Deep Blue Delay
ではないか、との話はあるようです。
そしてラストはチューナーペダル「Rowin LT-900 Pedal Tuner」です。
このペダルはRowinならではのペダルですね。
Polytune Mini
以来のミニサイズコンパクトチューナーという感じなんですが、おもしろいのがこのディスプレイです。
このペダル、ちょっと検索すれば分かりますが、
先日ご紹介した、Rowinのクリップチューナーとほぼ同じディスプレイを搭載しています。つまりこのペダル、クリップチューナーのシステムをフットスイッチ、ラインインプット、9V駆動に対応させ、ミニサイズの筐体の中に入れて作られたペダル、と考えて良いと思います。精度は±1セント、クロマチックのみとのこと。
この発想はシンプルで見事だと思います。思えばなぜ今まで無かったのか、というようなペダルですね。
エフェクターの回路に著作権はありません。基板レイアウトは分かりませんが、MooerとRowinは似ていても微妙に違っているとのことです。
それにしても、さすが中国と言うようなペダルではないでしょうか。オリジナルがあり、それを元にクローンしたペダルが、今度はクローンされる側になる。結局こういう方向も1つのエフェクターの低価格化の流れかもしれませんね。
全モデルトゥルーバイパス、電池駆動はできず、9Vアダプタでのみ駆動するということです。ペダルのデザインは独特でおもしろいですね。
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