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宅録+おうちミックスでギターの音圧を上げてみよう!


最近はDAWソフトの質も高まり、自宅でのレコーディングも簡単になってきました。かつて「宅録」といえば、みんなで集まって、MTRを用意してがんばって録り、そこからフェーダーと格闘して・・・というスタイルだったかもしれません。
しかし今では、世界的なプロギタリストでさえ、自宅で録ってファイルをメール等で送り、次のパートのプレイヤーが録って・・・というように、ネットの発達とソフトウェアの技術向上にともない、宅録ということ自体が珍しいものではなくなっています。
DAWソフトが出てきた頃はDTM(デスクトップミュージック)というのもまだまだマニアックなもので、そのほとんどはシンセだけを使ったダンスミュージックが主でしたが、今ではPCを使って音楽を作るのなんて特に珍しくありませんし、そこにギターなどの生楽器を加えていくことも当たり前になっています。
さて、ギター、エフェクター、アンプを使って、マイクもセットして・・・最高の音作りをしたサウンドを録ってみると、なんだか迫力が足りない。そんなことってけっこうあるんじゃないかと思います。もっと音圧が欲しい、と思うことも多くあるのではないでしょうか。

「音圧」。難しい単語ですね。音の圧力、Sound Pressure、という言葉をそのまま解釈すれば、音は空気を伝わる波ですから、その圧力が高いということになります。ということは、波形の勢いが強いわけですから、波形の振れ幅が大きければ音圧が高い、と言うことになるのでしょうか。
音の中で波形の振れ幅といえば、音量のこと。音量が上がれば音圧が上がる、というのは実際半分は正解です。エフェクターでも、音量を上げた方が音が良いように聞こえるというのは事実ですし、特にファズペダルなんかだと、音量を上げないと機材の音をきちんと聞くのはとても難しかったりします。
ただ、それだけではないですよね。マスタートラックのメーターはもう上げられない状態なのに、音圧が足らないということもよくあると思います。
音圧の高い楽曲・・・プロが作った市販の楽曲はほぼ全てがそうですが、そういう楽曲と、自分で録った楽曲の違いは何なのでしょうか。
答えは簡単。バランスが良いか悪いかということの違いです。ステレオの楽曲の中で、左から右まで、バランス良く音量が高い状態。それが、音圧の高い楽曲です。波形を見ても違いが無いのに迫力が全然違う、というのはそういう違いが原因なわけです。

ということで、最近ちょっとミックスなんかのお勉強もしたりしているので、ギタートラックの音圧を上げる方法を書いてみようかと思います。
では、いってみましょう!
音圧を上げる。ただ言葉で書いても伝わらないと思いますので、実際に音を出しながら、音圧を上げていってみようと思います。まずは基本となるバッキングトラックを作りました。

  • バッキングトラック


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こんな感じで、xln audioのAddictive Drums(初代)とSPECTRASONICS TRILIANを使い、バッキングトラックを作りました。このトラック自体も音圧かなり高めに編集してマスタリング済み。オーディオミックスダウンしたものをバッキングとして使用して、ここにギターを載せていきます。

パンクなトラックなので、迫力のあるディストーションサウンドを作って載せてみましょう。

  • サンプルトラック1 ギター+バッキング


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・・・・・・。
あれ?おかしいな。
ということで、全然迫力が足りませんね。ギターはレスポール、ディストーションはLandgraff Distortion Boxと最高の機材を使って作ったはずなのに・・・ちなみにアンプはKoch Classic SE C-SE6C、マイクはAKG C314、マイクプリアンプにFOCUSRITE ISA Oneを使用しています。マイキング位置には時間をかけていないのでそこに改善点はあると思いますが、機材面で不足はないはず。でも、このとおりです。
試しに、ギターだけの音を聞いてみましょう。

  • ギタートラックのみ


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う〜ん・・・生で聞くと良い感じなんですが、録音してみると少しローが強すぎる、というか倍音成分が足りないのかもしれませんね。では、エフェクターを追加して音圧を上げてみましょう。ギターの音圧を上げるエフェクターなんて知らない、と思うかもしれませんが、「音圧を上げる」ためにスタジオでも当たり前のように使われているエフェクトがあります。
そう、コンプレッサー。「ぱっこーん」となるような音の変化が大きいタイプではなく、ここはナチュラルなコンプレッサーをかけて、音圧を高めてみましょう。

  • サンプルトラック2 ギター(Dist+Comp)+バッキング


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さっきより良くなっているのが分かるでしょうか。ギターサウンドに迫力が出ています。音を変えるという目的は別として、ギターのコンプレッサーはいろいろ誤解されていると思います。音の粒を揃えて、プレイを上手く見せることができるとか。たしかに粒は多少そろうかもしれませんが、ベースと違って、ギターの場合アタックでダイナミクスの違いはそこまでないですし、それでプレイが上手く聞こえたら誰も苦労しないと思います。メタルのようなハイゲインのジャンルでは当たり前のように使われているコンプレッサーの本当の役目は、このように音圧を高めることにあると思います。
コンプをかけたことで、ギターの周波数帯全域が持ち上がるような形となり、音圧が上がりました。先ほどはステレオの中で定位(左右の位置)のバランスを良くすることで音圧が上がると書きましたが、1つのトラックの中で周波数のバランスを良くすることでも音圧が上がるということですね。
とはいえ、まだまだ迫力は足らないと思います。次はどうするか・・・レコーディングの常套手段、ギターを重ねてみましょう。重ねる際、基本的な音色を変える必要は無いですが、できれば特性の違うギターを重ねる方が良いと思います。なので次はストラトで同じフレーズを弾いて重ねてみましょう。

  • サンプルトラック3 ギター2本+バッキング


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うん、だいぶ音が分厚くなりましたね。ギターを重ねるという手法は、古くから当たり前のように行われてきました。たとえば、Sex Pistols唯一のスタジオオリジナルアルバム、Never Mind the Bollocks。このアルバムで聞くことの出来るギターは、同時期(1977年)のロックバンドの作品と比較しても迫力があり、マスターの音量こそ今より小さいものの、大音量で聴けば今のバンドと遜色がないほどです。あまりの音の良さから、「ゴーストプレイヤー」の存在も噂されますが、ギタリストのスティーヴ・ジョーンズはひたすら音を重ね録りした、と当時のレコーディングを振り返っています。エンジニアがヘヴィ・メタルの手法を使っていて、地獄のように何度も何度も弾かされたと。しかしその結果、当時のバンド、特にパンクバンドの中ではトップクラスの迫力のあるサウンドを実現しています。ピストルズを見習って、このまま重ね録りを続けても良いんですが、今回は重ね録りはここまでにして、次はミックスの方でなんとか音圧を高めてみましょう。
先ほど、音圧を上げるにはステレオの定位のバランスが大事だと書きました。実はここまで、ギタートラックは全てセンターにあります。なので、2つのトラックの定位を動かしてみましょう。

  • サンプルトラック4 定位調整


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かなり良くなりましたね。画像の通り、レスポールのトラックを右に、ストラトのトラックを左にずらしています。ここもいくらでもこだわれるんですが、今回はある程度音がくっきりするところに設定しました。サンプルトラック3に比べて、音像がはっきりしているのが分かると思います。不思議なもので、音量はほぼ変っていないのに、これだけで音圧がだいぶ高まったように感じますね。
さて、まだまだこだわろうと思えばいくらでもこだわれますが、ここからはプラグインエフェクトを使って音圧を高めていってみましょう。使用するのはCubaseに最初から入っているプラグインと、Waves Diamondに収録されたプラグインを使用します。ただ、似たようなプラグインはいろいろありますので、「このプラグインでしか出来ない」ということはほぼありません。上手い人ならフリープラグインだけでももっとよく仕上げることもできると思います。できるだけ似たフリープラグインも(リンクだけ)載せておきます。使い方は検索すれば出てくると思います。まぁ、とりあえずやっていきましょう。
で、プラグインなんですが、ギタートラックにはかけません。きりがなくなってしまうので、今回はここからマスタートラックへのプラグイン挿入だけで音圧を高めていきます。
ちなみに、ここまでのサンプルトラックでも、マスタートラックにはマキシマイザーとマスタリングプラグインをかけています。マキシマイザーはトラックのクリップを避けるためで、最初のハイハット部分は小さく、あとは最大音量になるようオートメーションをかけています。マスタリングプラグインはステレオミックスダウンで音声ファイル化する際にビットが変わることによる音の変化を抑えます。まぁ、要するに最低限の音量調整だけはこれまでのサンプルトラックでも行っているということです。これらのプラグインはほとんどのDAWに付属していると思います。
先ほど、ギターエフェクトで音圧を上げるためにコンプレッサーをかけました。今度は、トラック全体にもコンプレッサーをかけて音圧を高めてみましょう。

  • サンプルトラック5 マスターコンプレッサー


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これはやりすぎました。
音圧はたしかに上がりましたが、なんか変な音が混ざっています。低域が無駄に歪んじゃってますね。これは失敗。ですがOutputを下げればバランスは戻ります。使ったのはWAVES H-Comp。プラグインエフェクトの良いところは、こうして失敗しても「録り直し」ではなく「戻す」だけでOKという手軽さですね。
ちなみにコンプレッサープラグインはフリーでも優秀なものがたくさんあります。TDR Feedback Compressor IIや、Limiter No.6などは有名です。

  • サンプルトラック6 マスターコンプレッサーとアナログ風味


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ということで、コンプレッサーのOutputを戻しました。ついでにというか、当たり前ですがプラグインエフェクトはデジタルエフェクトです。ここからさらにいろいろかけていく中で、ちょっと音源全体にアナログ感を出すプラグインも追加してみました。ここではCubase付属の「Magneto II」というテープシミュレーターを入れています。フリーだとFerricTDSというプラグインもあります。先ほどのH-Compにも左上にAnalogというコントロールがあり、アナログコンプ感を設定できますが、さらにアナログっぽい響きを加えました。音圧はあんまり変わりません。
音圧は、ステレオの定位でも変ります。つまり、音の広がり感でも音圧の感覚が違ってきます。なので、こんどはトラック全体にもっと広がりを付けてみましょう。

  • サンプルトラック7 ステレオイメージャー


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分かりますか?ステレオで聴くと、音全体に広がりが出ています。ここでは音圧はほとんど変っていません。使ったのはWAVES S1 Imagerというプラグインですね。DAWにも似たようなプラグインが付属していたりします。フリーだとA1StereoControlなんかが有名です。
で、音を広げたので、次は全体を持ち上げることで音圧を高めてみましょう。

  • サンプルトラック8 MS処理


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ここでは、WAVES Centerという、MS処理で音のバランスを変えられるプラグインを使いました。MS処理とは、M(Mid:中央)とS(Side:外側)でそれぞれ別のエフェクト処理を行うことを言います。具体的には、ステレオのLとRを足し合わせたものをMid、片方の位相を反転して引き算したものをSideとしてそれぞれ処理し、またL/Rのステレオトラックに戻すという形です。WAVESは特にMS処理で有名です。このトラックでは、Mid(画像ではCenter)とSideともにゲインはほぼマックスで、低域は中央に、高域は外側に振り、パンチを加えて音量を上げています。簡単にMS処理ができるフリープラグインとしては、Blue Cat's Gain Suiteなんかがあります。
だいぶ音圧が高まってきたように感じますが、それでもまだ迫力が足りない感じがしますね。そこで最後に、WAVESが誇る音圧上昇プラグインをかけてみましょう。

  • サンプルトラック9 WAVES L3


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一気に音圧が高まりました。ついでにトラック全体の音も変りましたね。だいぶ市販の音源に近い音になった、ということも出来るかと思います。ここで使ったのはWAVES L3というプラグイン。WAVESの伝統的なプラグインで、簡単に音圧を高められることからサウンドエンジニアの間で大流行し、現在も広く使われているプラグインです。L3は最もモダンな音を作ると言うことですが、初代のL1もまだまだ現役。代わりのプラグインはあまりありませんが、フリープラグインのGeorge Yohng's W1 Limiterは、そのL1をクローンしたプラグインです。
個人的には、このトラックでOKとしたいところですが、もう1つ、テクニックを試してみましょう。
WAVESを取り扱うメディアインテグレーションのブログで、あのバンドの音みたいに「ギターをもっと太く、ラウドに」したいという記事があり、そこではLinkin Parkなどを手がける世界的エンジニア、ケネス・”プーチ”・ヴァン・ドルーテン氏の手法が紹介されています。これをやってみました。
手法の紹介動画

  • サンプルトラック10 ギターのダブリング


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Waves Doublerというプラグインを使用した方法です。ダブラーというプラグインはいわゆるダブリングディレイを付けるプラグインで、重ね録りを行ったような効果を作ります。単に使えばダブリングディレイとなりますが、ここでは別トラックにダブリング専用トラックを作り、その定位も変えることでギターサウンドに厚みをつけられる、ということを言っています。上の画像がダブリングプラグインの操作画面。その下にミキサーの一部を表示しました。下のミキサーで、色が変っているトラックが新たに追加したダブリング用トラックで、左がレスポール、右がストラトです。元のレスポールとストラトがそれぞれR40、L27に設定していたので、ダブリングの方はレスポール、ストラトの順にR20、L10に設定してみました。
実際聴いてみると分かると思いますが、ヘヴィロック系の楽曲で聴くような、ごく薄いフランジャーがかかったような空間的広がりを持つギターサウンドになっています。勢い重視のパンクロックなトラックだとちょっとギターが重くなりすぎてそれほど合っていないと思いますが、ヘヴィロックではたしかに有効な手段だと思いますね。ダブリングを作るプラグインはDAWにも付属していると思いますし、Doublingerというフリープラグインもあります。
 
最後に、できあがったトラックと最初のトラックを聞き比べてみましょう。

このとおり、音の好みはともかく、音圧は大きく上がったのが分かると思います。ちなみに波形で見ると・・・


分かりますか?上が最初のトラック、下がダブリングも入れたトラックの波形です。ぱっと見ほとんど変っていません。でも、音はこれだけ違います。これが「音圧」の難しさです。ハイハットのところは分かりやすいかもしれませんね。音量は変わっていませんが、波形が“太く”なっています。
今回やったのは、1つの例にすぎませんが、宅録でギターを録る時や、バンドのデモを作るときなどの参考にでもなればうれしいです。

最後に、ここでは省略した各トラックへのプラグイン挿入や定位に加えフェーダーレベルの調整まで行って音圧をさらに上げたものがこちら。

  • サンプルトラック11 ファイナル


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このように、細部まで調整すれば音圧はさらに上がります。
画像はラウドメーター。これで聴覚上の音量を測れるんですが、かなり「うるさい」楽曲になっていることを示しています。どういうミックスをしたか、それはまた書こうと思います。
Part.2へ続く
 
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