先日レポートした、One Controlのオーバードライブ、「One Control Sonic Blue Twanger」、改めて音など出しながらレビューしてみたいと思います。
では、行ってみましょう!
One Control Sonic Blue Twanger ソニックブルー トゥワンガー オーバードライブ【ギターパーツの店・ダブルトラブル】 |
One Control Sonic Blue Twanger
こちらが、Sonic Blue Twanger(以下SBT)です。シンプルなミニサイズペダルですね。アルミ削り出しのオリジナルケースを使用したペダルですね。ブラックフェイス期のフェンダーアンプサウンドを再現するというペダルです。フェンダーはギターメーカーというイメージが強いかもしれませんが、元々アンプメーカーです。ラップスティール用やギター用のアンプを1940年代から製造していました。50年代に入り、ギターやベースの製造を始めた頃にはツイードのギターアンプをラインナップしていました。1959年〜1960年ごろ、ツイードキャビネットをトーレックスに変更。ブロンドと呼ばれる茶色いキャビネットを使用した時期に変わります。その後1963年頃、黒いキャビネットに黒いコントロールパネルを持つアンプに変わります。この時期のアンプをブラックフェイスと呼びます。1965年にフェンダーがCBSに買収されてからも黒いコントロールパネルのチューブアンプは製造され続けますが、CBSは買収後ソリッドステートアンプの製造も行いました。今でもソリッドステートアンプといえばチューブアンプの廉価版のようなイメージがあると思いますが、最初期のソリッドステートアンプはどうしても当時のチューブアンプのようは音が出るはずもなく、フェンダーアンプのイメージが良くなくなってしまいました。その後1969年頃から、CBSフェンダーも新たな真空管アンプを製造開始。コントロールパネルは銀色に変わり、今ではシルバーフェイスと呼ばれるモデルになります。
ブラックフェイスアンプは63〜67,68年頃まで製造されていますが、特にプリCBS、すなわち63〜65年頃のモデルを指す場合もあります(ごく稀ですが、CBS後のチューブアンプはまとめてシルバーフェイスと呼ばれることもあるようです)。SBTが再現するブラックフェイスは、そんなフェンダーアンプの中でも特に評価の高い時期のアンプの1つであるということですね。そして同時に、現在のフェンダーアンプ・・・たとえばまさにブラックフェイス期を再現した'65 TWINREVERBはもちろん、練習用エントリーモデルのアンプ、FRONTMAN 10Gにもブラックフェイス期のデザインを踏襲していることからも、現代のフェンダーが最もお手本としている時期のアンプであると言えるかと思います。
さて、SBTに話を戻しましょう。3つのコントロールはVOLUME、TREBLE、MASTER。本物のチューブアンプのようにVOLUME(プリアンプ)、MASTER(パワーアンプ)の動作を再現。TREBLEはトーンコントロールのように高域の出方を調整しつつ、低域にも影響を及ぼします。
側面にはスライドスイッチがあり、Rhythmモード(以下Rモード)とLeadモード(以下Lモード)を切り替えることが出来ます。
内部はこんな感じ。ミニサイズながら9V電池が入るスタイルとなっています。
それでは、レビューしてみたいと思います。
- 操作性
操作性については、先日のレポートにも書いたとおりです。改めて載せますね。
このペダル、コントロールが2Volアンプの形を再現しているため、ちょっと癖があります。チューブアンプで音を作ったり、またその構造を知っていれば難しいことはありませんが、初めてのペダルとしては戸惑うことがあるかもしれません。Volumeを上げれば音量と共に歪みが強くなり、Masterを上げれば音量と共に歪みが強くなります。動きを文字で表せば同じなんですが、それぞれの歪みの質が違うので、それらを組み合わせてちょうど良いところを探すような形になりますね。また、Rhythmモードではそもそもほとんど歪まないので、分かりやすいオーバードライブペダルではないのも確かです。しかし、だからこそこのペダルは意味があると思います。あ、Trebleコントロールは普通のトーンコントロールみたいに使えます。
という感じです。もう1つ言えば、ゲインを上げようと思えばVOLUME、MASTER共に音量も上がるので、ゲインを高くしようと思えば機材によっては相当音量が高くなります。たとえばGranith Grey Boosterなどの音量を下げられるブースターなどを後段に設置して、音量調整をする、というのも良いかもしれません。あとRモード/Lモードを切り替えるスイッチは奥になっているので指だと操作が難しいです。ピックやマイナスドライバー、イヤフォンプラグ等を使って切り替える形となるかと思います。操作としてはちょっと面倒ですが、側面にスイッチが出ない分、移動中にぶつかってスイッチが壊れたりする可能性は低いとも言えます。
- サウンドレポート
では、音について。まずはRhythm、Rモードから見ていきましょう。こちらはアンプでいえばクリーン〜クランチチャンネルのように使うことができます。ではまず音を出してみましょう。
- サンプルサウンド1(Rhythmモード)
- 録音環境
ギター:Fender USA Limited 60th Anniversary Tele-Bration Series ’62 Telecaster リアPU
アンプ:Koch Classic SE C-SE6C クリーンセッティング
VOLUME=Max、MASTER=14:00、TREBLE=14:00、MODE=Rhythm
冒頭〜30秒のアルペジオはギターのVolumeが7、それ以降はギターのVolume最大です。
まずはこんな感じ。ギターはテレキャスター。Twangerっていうモデル名ならやはりテレキャスが良いかと。ちなみにこのテレキャス、60周年を記念した限定モデルですが、中身のスペックは以前のAmerican Vintage 62テレキャスターと全く同じです。
ペダルの方はSBTのRモードでは相当ゲインの高いセッティングです。オーバードライブとしてはゲインに近いVOLUMEコントロール最大、さらにMASTERも高めに設定し、TREBELも高めにしています。そして最初はギターのVolumeを7まで下げてクリーンアップしています。少しトレブリーなサウンドながら奥行きがあるというか良いコンプレッサーがかかったようなクリーントーンが出ています。そしてその後、ギターのVolumeを最大にしてのジャキジャキした歪みです。非常にフェンダーアンプっぽい音になっているのではないかと思います。かなり奥行き感のあるサウンドですが、見ての通り使用しているペダルは1つ。リバーブ等の空間系はもちろん使用していません。ここまで立体的なフェンダートーンが出るペダルはなかなか無い、というかこの音が出るペダルは私は初めてです。そして前半はギターのVolumeを絞っていますが、後半はVolume最大、ピッキング(というかこのサンプルは指弾きなのでアタックの強さ)でゲインが簡単に変わります。しかしその反応がなんか絶妙で、弾きづらいと感じるほどでもないんですよね。このへんはさすがだと思います。
続いてLeadモード。こちらはBOSS BD-2Wと比較してみたいと思います。
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BD-2とBD-2Wの比較(音出しは1分56秒あたりから)
サンプルムービー
サンプルムービー2
うちにあるBD-2って、このBD-2WとSoul Power Instrumentsのモディファイだけなので、オリジナルに近い音が出るBD-2WのSモードを比較対象としてみます。では、BD-2を使ったサウンドをイメージした楽曲のバッキングと共に。
- サンプルサウンド2(Leadモード/バッキング付)
- 録音環境
ギター:Fender USA Limited 60th Anniversary Tele-Bration Series ’62 Telecaster リアPU
アンプ:Koch Classic SE C-SE6C クリーンセッティング
VOLUME=10:00、MASTER=14:00、TREBLE=12:00、MODE=Lead
- サンプルサウンド3(BD-2W/バッキング付)
- 録音環境
ギター:Fender USA Limited 60th Anniversary Tele-Bration Series ’62 Telecaster リアPU
アンプ:Koch Classic SE C-SE6C クリーンセッティング
LEVEL=11:00、TONE=12:00、GAIN=14:00、MODE=S
BD-2はもともとフェンダーっぽいジャキっとした音が出るペダルとして、90年代末ごろ〜2000年代ごろ、多くのアーティストに使用されました。そういうサウンドを作って比べています。別のペダルですし音も全然違いますが、倍音の出方を似せるようなセッティングにしました。SBTはリードモードで私が一番好みな、VOLUME低め、MASTER高めなセッティングです。BD-2Wはその倍音に近い音が出るように設定しました。
では、ギターパートのみを取り出してみましょう。
- サンプルサウンド4(Leadモード/バッキングなし)
- 録音環境
ギター:Fender USA Limited 60th Anniversary Tele-Bration Series ’62 Telecaster リアPU
アンプ:Koch Classic SE C-SE6C クリーンセッティング
VOLUME=10:00、MASTER=14:00、TREBLE=12:00、MODE=Lead
- サンプルサウンド5(BD-2W/バッキングなし)
- 録音環境
ギター:Fender USA Limited 60th Anniversary Tele-Bration Series ’62 Telecaster リアPU
アンプ:Koch Classic SE C-SE6C クリーンセッティング
LEVEL=11:00、TONE=12:00、GAIN=14:00、MODE=S
バッキングが無いと、音の違いが歴然と分かります。しかしバッキングを合わせると似た風合いの音になるとも言えますね。特性としては上と下が広く出る感じ。倍音の出方がフェンダーっぽいことから上に気を取られがちですが、両モデルのポイントはローエンドです。そして上、下ともにSBTの方が広いです。BD-2Wはこうして比べるとかなり真ん中に音が集まっているようにも感じますね。音の好みは別として、アンプライクな音、という意味ではSBTの方がアンプらしい音になっていると思います。一方でBD-2Wのコンプレッション感は弾きやすい音ですね。
さて、このLモードですが、Rモードと同様、レスポンスが非常に高いです。ギターのVolumeを絞ればクリーンに戻すことができます。また、さらに歪みを強くしていくと、じりじりとしたエッジが立っていって、もっとブルース的な音に変わっていきます。それこそTS系と合わせればSRV、みたいな感じの音にもなりますし、セミアコとの相性も良いです。
本当にここまでフェンダーなサウンドが出せるペダルというのはすごいと思います。で、単にフェンダーの音を録音したサウンド、ではなくて、フェンダーアンプの音なんですよね。実際にスタジオ等で使うことがありますし、私もHot Rod Deluxeを持っていますが、あの音、雰囲気、奥行き、操作感まで全部が詰まってるんですよね。
One Controlのペダルはいつもレベルが高いですが、このSBTはこれまでのペダルと比べて圧倒的に突き抜けた感じがあると思います。これは是非一度弾いてみるべきペダルだと思います。
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