最近モニタリング用のスピーカーをいろいろ探したりしていて、再生環境を変えてみようといろいろ見たりしています。今のうちの再生環境では、とりあえず定位が全体的に右にずれる、高域がちゃんと出ていない、というところまでは分かっていて、その辺を自分である程度補正したり、リファレンスヘッドフォンを使ったりしながら調整したりしてるんですが、そもそもの環境から一新してアップデートした方が早いな、という結論になりました。
で、最近ずっといろんな卓上のモニタースピーカー、いわゆるニアフィールドスピーカーを見ていたりします。見ているといろんなタイプがあって、こだわりのポイントなんかも面白かったりしますね。いろいろなモデルが出ていて、見ているとかなり楽しいです。今回はPart.1ということで、まずはこだわりのポイントなんかを見てみようと思います。
- 小型モニタースピーカーの呼び方
他の言い方としては、「ニアフィールドモニター」という言い方もあります。ニアフィールドとは近距離ということ。近くに置いて使うモニターですね。単に「ニアフィールドスピーカー」というとリスニング向けスピーカーも含まれたりします。あとは「ブックシェルフスピーカー」。ブックシェルフは本棚っていう意味ですが、本棚に置けるようなスピーカーって感じでしょうか。こちらも小さめのスピーカーを表す言葉です。
また、「デスクトップモニター」という言い方もあったりします。要するに卓上モニターですね。単にモニターってだけでいうと画面のことなのかスピーカーのことなのか分からなくなったりして、検索結果に両方出てきたりしますね。それからモニターじゃなくてリファレンススピーカーって言うこともあります。スピーカーよりもヘッドフォンでよく使われる言葉ですね。モニタリングヘッドフォンじゃなくてリファレンスヘッドフォンみたいな。リファレンスは参考とか参照とかいう意味ですが、味付けなくそのままの音を出力する機材を「リファレンス」と呼ぶことがあります。ミキシング時に参考にするために使うリファレンストラックとか、その辺から来た言葉ですかね。
いろいろ探して見ていると分かるんですが、オーディオ用語って同じ意味でも全然違う言葉が使われていたりします。年代とか地方とかにもよるんですかね。日本独自の言葉もあれば、アメリカ系の言葉、ヨーロッパ系の言葉などいろんな言葉があるので難しいですね。
- アクティブとパッシブ
ピュアオーディオでは、スピーカーはパッシブが当たり前ですが、ことニアフィールドモニターに於いては、圧倒的にアクティブタイプが多いです。アクティブタイプの利点は、ユニットにアンプが内蔵されているため場所を節約できること、またアンプ/スピーカーを別で購入するよりも安くなることが多いこと(もちろんモデルによりますが)。リスニングのためにいろいろなアンプにこだわり、スピーカーにこだわっていくのはまた楽しいものですが、それとは違い、モニタリング向けの小型スピーカーでは、スピーカーの傾向に合わせて専用設計されたアンプを内蔵できるアクティブ型の方がよく使われる傾向にあると思います。今回の特集では、基本的に全てアクティブタイプのものを紹介していこうと思います。
なお、アクティブタイプでも大きく2種類のものがあります。低価格帯によくあるのが片側アクティブスピーカー。ステレオセットで売られているもので、片方にアンプ類をまとめてしまい、もう片方はパッシブスピーカーユニットとして作られているものです。電源が1つで済む、2本セットでくっついているRCAケーブルを使えるといった利点もありますが、左右でユニットの重さがかなり違ってしまう場合はそれで音の聞こえ方がずれることがあったりもします。上位モデルになってくると、左右それぞれが独立したアクティブスピーカーとなっています。これはペアでなく単体で売られていることも多く、ステレオで揃えるには2つ購入する必要があったりもします。また、それぞれ別の入出力端子となるため、電源ケーブルが2つ必要になります。左右のスピーカーの重さは揃うので、音の聞こえ方は均一になりやすいですね。
- ニアフィールドモニタースピーカーの構造
- スピーカーサイズ
スピーカーは、サイズが大きいと低音の再生に向いていて、小さいと高音の再生に向いています。つまり、スピーカーのサイズが制限されるということは低音を出し切るのが難しくなってくるということですね。もちろん、ラージモニターの出すスーパーローと呼ばれる帯域、20Hzとかの可聴限界域の超低音はまず出ません。そこはそもそも不可能なのであきらめましょう。その上で、設置することができるスピーカーサイズの中で、できるだけ大きめのウーファーを搭載したものを選ぶ、というのも1つの方法です。ただもちろん、いろいろなスピーカーの特性などから、小さいのに驚くほど低音が出るモデルなんかもあったりするので、そのあたりはまた面白いところですね。
- 低域の補完、密閉型とバスレフ型
スピーカーサイズを大きくするというのが1つの理想として、そこに一番近いのがサブウーファーユニットを追加することです。いわゆる2.1chにしてしまう。ある程度の価格以上のモデルではサブウーファー向けのアウトプットが付いていますので、それをつかうことで 低域を補完することができます。ただ、やはり設置場所に制限があるわけなので、自宅ではなかなか難しかったりします。音量的な制限もありますし。
なので、サブウーファーを使わなくても低域がしっかり出るように多くのスピーカーでは様々な工夫をしています。これはユニットの構造の話になりますが、まず最もシンプルな形を密閉型と言います。これは密閉した箱の中にスピーカーユニットを取り付けたもの。クローズドバックキャビネット、みたいな感じですね。密閉型は低域の補完をしていないので再生可能周波数では不利ですが、スピーカーからの音だけが出力される(もちろんキャビネット自体の特性の音も入りますが)わけで、タイトなローの出方をします。ここも1つのこだわりポイントですね。
低域を補完する方法としてラジエータースピーカーを配置する、というものもあります。これは電装系を外したスピーカーユニットを別途取り付けることで、スピーカーを共振させて低域を再生するというもの。サブウーファーなんかに使われることが多かったりしますが、そもそもサイズに制限のあるニアフィールドモニターで、スピーカー1つ分のサイズを消費するラジエータースピーカーは現実的では無く、採用しているモデルはほぼありません。
ほとんどのモデルで採用されているのがバスレフという構造。バスレフとはBass Reflexのことで、スピーカーユニットの中に筒状の穴を開けることで、低域を共振させて低音を補完する技術です。スピーカーユニットは音に合わせて動きます。動くとキャビネット内の空気も動きます。いわゆる逆相の音ですね。この空気の動きを利用して、筒状の穴を共振させます。空いた瓶の口を横から吹くと共振して音が鳴ったりしますね。フルートなんかはそういう奏法で音を出しています。それと同じ原理を使って低域を補完するものです。
- バスレフの位置
しかし、それはスピーカーが理想的な空間に設置された場合です。理想的な空間とは、前後左右に十分なスペースを確保できる状態。こういったモニタースピーカーは、壁際に設置されることも多くあります。バスレフが後ろにあると、そこから出る空気が壁に反射して音に影響することがあったり、また後ろにあるとスピーカーユニットからの距離が離れ、音が届くまでに差が出る=音像がぼやける、という意見もあったりします。ではどうするか。ということで、それぞれの設計者が考えた結果が、各モデルの形です。フロントバスレフ、リアバスレフ、中には上面バスレフのモデルもありますが、きちんと設計されたモデルならどれも意味があると思います。それぞれの設置状況なども考えながら、選ぶ際のこだわりポイントとして考えるのが良いと思います。
- 出力
- 周波数特性の読み方
基本的に、何も書かずに「○Hz〜○kHz」とだけ書かれているものは、よほどひどいものでなければ、この周波数帯の音は「-3dB」までの範囲で音が出ますよ、ということを指しています。全体域で完全にフラットなスピーカーは存在しないわけですが、その範囲の音であれば小さくても-3dBまでに収まりますよ、という事ですね。別途記載がある場合は、-6dBの範囲だったりもしますし、両方を記載しているメーカーもあります。とはいえこのスペックはあくまで指標。厳密に音の特性を知ることはできません。小さな差であれば設計の特性で印象が変わることもあります。ただ、大きな差がある場合(例えば最小が80Hzと40Hzのスピーカー)では、音の出方が明らかに違うんだな、ということが分かると思います。
- クロスオーバー周波数
- モダンスペック
- 同軸(コアキシャル)とセパレート
特に近距離で使うことが多いスピーカーではこのちょっとの違いが定位に影響したりします。そこで出てくるのが「同軸」という考え方です。同軸(コアキシャル)は、ツイーターとウーファーが同じ位置に設置されていて、低域も高域も同じ位置から音が出ます。「点音源」と呼ばれたりもします。同軸スピーカーは定位が分かりやすい一方、ツイーターの周りにウーファーのコーンがある形となるため、きちんと音を聴くことのできる範囲が狭まるという特性もあります。
例えば部屋の中でゆったりとくつろいで音楽を聴くなら、同軸よりも広い範囲で安定した音の出るセパレート型の方が良いのではないかと思います。一方、PCの前でほとんど動かずに作業をするなら同軸モニターの方が向いている(特に定位に気をつかって作業する必要がある)のではないか、と個人的に思います。実際、こういったニアフィールドモニターは上位モデルほど同軸が増えていきます。一方でしっかりと設計、開発されている必要があるため価格が高くなってしまうというのも同軸の欠点の1つです。当然、同軸でなければ絶対にダメ、ということは一切ありませんので、そこも1つのこだわりポイントとして、選ぶ際の参考にするのが良いかと思います。あとフルレンジスピーカーはスピーカーが1つしかないため、自動的に点音源となります。
- 重さ
ということで、今回はモニタースピーカー選びのこだわりポイントを中心に書いてみました。次回から、価格帯別に定番モデルや評判の良いモニタースピーカーを載せていこうと思います。
Part.2に続く
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