デジタルアンプの最高峰の1つとして知られるKemper。
真空管アンプのサウンドを基本とし、様々なアンプサウンドをプロファイルし、共有して使うことができるデジタルマルチエフェクター/シミュレーターですね。
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Kemperは、デスクトップタイプとラックタイプをラインナップしていて、フロアタイプのモデルは現時点でありません。そのためステージなどで使う際にはリモートコントローラーなどを用いて様々な機能ををコントロールする必要があります。
Kemperには、リモートコントロールするための端子ももちろん装備しています。多彩な入出力と、2つのSWITCH/PEDAL端子、MIDI IN、MIDI OUT、MIDI THRU端子、およびNETWORK端子があります。
まずは、このKemperの各端子を使って何ができるのか、まとめてみましょう。
- SWITCH/PEDAL端子
2つあるSWITCH/PEDAL端子には、TRSステレオケーブル接続のエクスプレッションペダル、またはBOSS FS-7などのツインスイッチ、またはモノラルスイッチを1端子に接続してリモートコントロールすることができます。スイッチはアンラッチタイプを使用します。
本体に最大4つのフットスイッチ、または2つのエクスプレッションペダルを接続することができます。
エクスプレッションペダルは、下記の4タイプのペダルとして使うことができます。
・Morph Pedal
複数のパラメータを割り当て、リグごとに設定した役割を設定可能
・Wah Pedal
内蔵のワウエフェクトのコントロール
リグごとに設定したワウエフェクトをコントロール。ワウを使わないリグでは無効
・Volume Pedal
ボリュームペダルとして機能
グローバルまたはリグごとの設定
・Pitch Pedal
Pitch Pedal、Pedal Vinyl Stopエフェクトでピッチシフトをコントロール
フットスイッチには、様々な機能を割り当てることができます。リグ(プリセット)のアップ/ダウン、または決まったエフェクトブロックのON/OFF(個別、または1スイッチで複数のエフェクトON/OFFも可能)、チューナーON/OFF、タップテンポ/ビートスキャナー(長押しで演奏からテンポ検知する)を行う事ができます。
- MIDI 端子
Kemperの3つのMIDI端子は、MIDI INに外部MIDIコントローラーを使っての様々な操作、MIDI OUTを使ってKemperから外部機材へのコントロールやクロックの共有、THRUからMIDI INのシグナルを送信(MIDI THRUを2つ目のMIDI OUTとしても使用可能)ということができます。
今回は「Kemperをコントロールする」ためなので、MIDI IN端子でできることをまとめたいと思います。
Kemperが受けることの出来るMIDIコントロールは、基本的にPC(プログラムチェンジ)、CC(コントロールチェンジ)、MIDIクロックです。
ちなみに、Kemperには全部で400以上のパラメータがありますが、これら全てを128のMIDIコントロールで制御することはできないため、一般的なMIDIでこれら全ての機能をコントロールすることはできません。
ただ、リモートする機能自体はあり、MIDI SYSEXプロトコル、 NRPN (Non Registered Parameter Numbers) プロトコルで400以上の全てのパラメータをコントロールすることも可能となっています。やろうと思えば自分だけのエディタソフトを開発したりするようなこともできますが、今回はそこまでは見ません。そこまでやる場合は、公式ページからMIDI Parameter Documentationをダウンロードして確認してください。ちなみに今年のNAMMで発表されたRIG MANAGER新バージョンではエディタが装備されるので、そこではこの機能を用いているのではないかと思います。(Kemper Ver.7以降で実装されそうなことが公式ページに記載されていました。)
では、PC/CC/クロックでできることをまとめてみましょう。
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- MIDI CC ペダル操作
#1 Wah Pedal (ワウ・ペダル)
#4 Pitch Pedal (ピッチ・ペダル)
#7 Volume Pedal (ボリューム・ペダル)
#11 Morph Pedal (モーフ・ペダル)
#68 Delay Mix (ディレイ・ミックス)
#69 Delay Feedback (ディレイ・フィードバック)
#70 Reverb Mix (リバーブ・ミックス)
#71 Reverb Time (リバーブ・タイム)
#72 Gain (ゲイン)
#73 Monitor Volume (モニター・ボリューム)
これらは、MIDIコンティニュアスコントロールを用いて、MIDIエクスプレッションペダルとして使える機能です。先ほどの本体に接続するエクスプレッションペダルの機能以上に、多彩なコントロールが可能です。
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- MIDI CC スイッチ操作(値は0でOFF、1~127でON)
#16 ストンプ A-D、エフェクツ X/ MOD の on/off を一斉に切り替える (on→off, off→on)
#17 ストンプ・スロット A の on/off
#18 ストンプ・スロット B の on/off
#19 ストンプ・スロット C の on/off
#20 ストンプ・スロット D の on/off
#22 エフェクト・スロット X の on/off
#24 エフェクト・スロット MOD の on/off
#26 ディレイ・モジュールの on/off (ディレイ音を残さない)
#27 ディレイ・モジュールの on/off (ディレイ音を残す)
#28 リバーブ・モジュールの on/off (リバーブ音を残さない)
#29 リバーブ・モジュールの on/off (リバーブ音を残す)
#30 タップ (バリュー= 1-127 でビート・スキャナー起動/ バリュー=0 で同オフ、全てのバリュー値でテンポ起動)
#31 チューナー起動 (チューナー画面の「Mute Signal」がオンの場合は信号がミュートされます)
#33 Rotary Speaker:ロータリー・スピーカーのスピード(バリューを受信するたびにスロー/ファーストをトグル)
#34 Delay Infinity:ディレイ・インフィニティの on/off(バリューを受信するたびにオン/オフをトグル)
#35 Delay Hold:ディレイ・ホールドの on/off(バリューを受信するたびにオン/オフをトグル)
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- MIDI(PC/CC)によるリグ(プリセット)選択
ブラウズモード:PC#0~#127にリグ1~128を割り当て
パフォーマンスモード:各5スロットの125パフォーマンスを設定(125バンク625プリセット的な使い方)
PC#0~#127にパフォーマンス1/スロット1からパフォーマンス26/スロット3までを割り当て
バンク・セレクトLSB#32(MIDI CC#32)を使用してLSB#32=0 PC#0からLSB#32=4 PC#112で全てのスロットを読み込む
・MIDI CCのみでできる操作
#47 バリュー=0 でパフォーマンス 1 にジャンプし、バリュー=1 で現在読み込まれているパフォーマンスに戻る
#48と#49
パフォーマンス・モード時:バリュー=1 でパフォーマンス・ナンバーが1つ進み/戻り、その後スクロール、バリュー=0 でスクロールを止める、またはパフォーマンス・ナンバーが1つ進む/戻る
ブラウズ・モード時:バリュー=0 でリグが1、バリュー=1 で5つ進む/戻る、バリュー=2で次のバンク(リグ5個毎の塊)の最初のリグにジャンプ
#50~#54
パフォーマンス・モード時:選択中のパフォーマンスのスロット1~5のリグを読む
ブラウズ・モード時:現在のバンクの1~5番目のリグを読むMIDI PC
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- MIDIクロック
受信すると自動同期
MIDIクロックの送信も可能
となっています。
- NETWORK端子
公式リモートコントローラー、Kemper Remoteを接続するための端子です。
Kemper Remoteには、1~5、TAP、↑、↓、I、II、III、IIII、Looper、Tunerの14のフットスイッチとディスプレイ(CONTRASTコントロール付)、およびPEDAL3、PREDAL4、PEDAL5、PEDAL6、NETWORK端子を搭載しています。
NETWORK端子はKemper本体と接続するたけのものですね。リモート本体に追加電源は必要なく、Kemper本体から電源が供給される形となっています。
まずは本体のフットスイッチの役割からまとめてみましょう。
・フットスイッチ↑/↓
パフォーマンスモード;パフォーマンスナンバー(バンク)の切り替え(オートロード時はスロット1が自動選択)、長押しスクロール
ブラウズモード:Viewで選んだリグをソート順に切り替え
・フットスイッチ1~5
選択したパフォーマンスモード内のスロット選択
・TAP
本体のTAPボタンと同様、タップテンポトリガー
長押しで演奏からテンポ検知するビートスキャナーも可能
・TUNER
チューナーモードを切り替え
本体の設定でチューニング中ミュートも可能
・I~IIII
任意のストンプ、エフェクトのON/OFFをリグごとに設定可能
1つのスイッチでまとめて複数のエフェクトON/OFFも可能
(うち2つまでのエフェクトはON/OFF状態をLEDで表示)
・LOOPER
ルーパーの起動
ルーパー時
フットスイッチ1~5を使って録音/再生/オーバーダブ、停止/消去、アンドゥ/リドゥ、トリガー/リトリガー、リバース、ハーフスピードの操作が可能
また、PEDAL3~PEDAL6端子には、本体の2つのSWITCH/PEDAL端子と同様、各端子に1または2フットスイッチ(アンラッチ)、あたはエクスプレッションペダルを接続することができます。
本体とREMOTEを合わせると、REMOTEでできるコントロールに加え、最大12の追加フットスイッチ、または最大6台のエクスプレッションペダルを接続することも可能となっています。まぁもちろん、さらにMIDIコントローラーも合わせればさらなるコントロールもできたりします。
ということで、今回はKemper本体とKemper Remoteを使って出来ることをまとめました。
もちろん、公式リモートスイッチであるKemper Remoteは、とても使いやすく作られています。
ですが、サードパーティのMIDIコントローラーを使っても同等のことができる(LOOPER機能はRemoteが必要です)、ということはここまで見れば分かってもらえるかなと思いますので、次回はどんなMIDIコントローラー/MIDIスイッチャーがあるのか、使えるのかということをまとめてみたいと思います。
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