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当サイトの内容を説明文等に使用している楽器店さんがあるようですが、一切関係がありません。

「位相」について考えてみよう

エフェクターや楽器で、「位相」という言葉を聞くことがあります。
位相を考えて音を作る事がとても重要である、という意見もあれば、気にする必要は全くない、という意見もあります。
実はそれはどのような立場で、またどのような意味で音を考えるかによって異なることなんですが、そもそも位相が音にとってどういうものなのか。そこから考えてみましょう。


音は波です。物質を伝わる波を鼓膜が検知して認識するのが「音」。
そして、最も一般的な音は、空気中を伝わる波のことです。自分の声とかは骨とかの振動が混ざるので、録音した(空気中だけを伝わった)音と違って聞こえたりしますが、基本的に音と言えば空気中を伝わった波のことです。
波が振動するスピード(周波数、つまり音程)と振動する幅(振幅、つまり音量)により、音はつくられます。

「位相」とは、ある部分における波の状態のことをいいます。例えば、揺れる振り子の写真を撮ったとします。振り子が一定の速度で揺れていたとして、右いっぱいまで揺れたとき、真ん中のとき、左のときでそれぞれ振り子の位置は変わりますよね。これが「位相」です。
振り子の揺れる幅が振幅、揺れる速度が周波数、そして、「今振り子がどこにあるのか」が位相、と考えると、位相というのは何なのかイメージしやすいのではないでしょうか。

では、ある「音」にとって、位相とはどのようなものでしょうか。
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例えば、こんな波があったとします。これはf(x)=sinxというシンプルなサイン波のグラフですが・・・そうですね、例えばこれを440HzのAの音としましょうか。「440Hz」が意味するのは、1秒間に440回揺れる、ということ。このグラフだと上3回、下2回動いているので、そのうちの2.5回分くらいの揺れを拡大したような感じです。

音は周波数と振幅で作られます。この音は「周波数440Hz、振幅1」という音です。

「位相が反転する」という言葉があります。反転とは波の上下が逆になることです。さきほどの「f(x)=sinx」というグラフに対し、反転したグラフは「f(x)=sin(-x)」となります。
それがこのグラフです。
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簡単ですよね。上下が逆になっています、。
音の波形で、上下が逆になるとどうなるでしょうか。まずは周波数ですが、上下が逆になっても440Hzであることに変わりはありません。振幅、つまり揺れ幅も同じ1。なので、最初のグラフが示す「音」と、2番目のグラフが示す「音」はまったく同じ音になります。

つまり、単純に「1つの音」として考えたとき、位相が変わっても音は全く変わりません。変わらないんです。グラフの見た目は違って見えますが、耳に届く音は同じものです。

さて、先ほどのグラフは位相を「反転」させたものです。式で見ると、f(x)=sinxとf(x)=sin(-x)。要はxのプラスとマイナスが逆になったものですね。電気回路では、入力された音を加工して出力する際に、このように反転する回路があります。しかし、先ほど述べたとおり、位相が反転することで音は変わりませんので、これは全く問題ありません。

また、プラスとマイナスが入れ替わる、ということは、位相が反転するエフェクターを2つつなげたら、位相が元にもどります。
位相という、人によってはそれほどなじみのない言葉が出てきて、そこに反転するとかしないとかいう話があると、「位相が反転するエフェクター=良くない」と思ってしまうこともあるかもしれませんが、それ自体は「全く問題がない」ということは基本、ということは覚えておくと良いと思います。


さて、先ほど式のxの正負を切り替えると、位相が反転しましたね。
でも、位相が反転するのはそれだけが原因ではありません。たとえば、ここに「f(x)=sin(x+π)」というグラフがあります。
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位相が反転したのと全くおなじグラフです。これは何を意味するかというと、最初のグラフ・・・つまり位相が反転していない音を出している点から、波形が半分進んだ位置で聞こえる音のグラフです。
当たり前ですが、音は波として空気中を伝わるので、音を聴く位置によって位相が異なります。
アンプからの距離により音が違ってしまったら意味はありませんよね。もちろん現実では抵抗により振幅、つまり音の大きさは離れるほど小さくなりますが、例えばアンプからの距離によって音程が変わる、ということはありません。これ自体が位相で音は変わらないことを証明していることになります。

ところが、音が「混ざる」と、その様子は変わってきます。

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この図。2つのスピーカーが自分の方を向いていると思ってください。2つのスピーカーの自分からの距離は左右で異なっていて、右側の方が離れていますね。
例えばです。今気温が15℃くらい、気圧が1気圧とします。そして、2つのスピーカーの距離が38.6cmくらいずれていたとします。これで、全く同じA=440Hzの音を、全く同じ位相で2つのスピーカーから鳴らすとこうなります。

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音が聞こえなくなりました。何が起こったのでしょうか。
音は、空気中を進む波です。スピードは音速です。音速は気温や気圧により異なりますが、15℃くらい、1気圧でだいたい秒速340mくらいです。
A=440Hzは、1秒間に440回空気が振動することを意味します。つまり、この条件下で1回の振動は340/440m・・・つまり77.2cmくらいです。そのさらに半分、38.6cmずれると、位相が反転します。
同じ周波数、同じ振幅で位相が反転した波が合わさると、波は靜止し、音が聞こえなくなります。これが、音作りにおいて「位相」がもたらす効果の1つです。

ここまでは位相の反転ばかりを見て来ましたが、もちろん位相は反転するだけではありません。
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例えばこれは、最初のf(x)=sinxというグラフに対して、位相を周波数の1/4分ずらしたものです。(ちなみに1周波数を360°として見るので、数学的には90°ずれた、といいます。)
これが数学の授業だったら、これはf(x)=cosxですねって方向に行きそうになりますが、ここではそれはどうでもいいです。
先ほど、距離が38.6cmくらいずれれば反転する、と描きましたが(A=440Hzの場合)、距離のずれがその半分、つまり19.3cmくらいずれた音がこれです。
このグラフを最初のグラフに合わせると・・・

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こうなります。
振動する速度、つまり周波数は変わっていませんね。
ですが、音の振動する幅が大きくなっています。つまり、音がより大きく聞こえるようになった、ということです。

ちなみに、言うまでもありませんが左右のスピーカーの距離が全く同じ場合、同じ位相の同じ音を出すと音は2倍の音量で聞こえます。それが一番大きい音、すなわち理想的な「最も良い音」ということになります。

だんだん言いたいことが分かって来たでしょうか。
つまり、単体で音を作る上で、位相のことを考える意味はありません。
一方、音が混ざるとき、位相が音に影響することがあるのです。

フェイザーというエフェクターがあります。このエフェクト、正確には「フェイズシフター」と言います。
位相のことを、英語でPhase、つまりフェイズと言います。フェイズ(位相)が、シフト(変化)するからフェイズシフターです。フェイザーは、内部でもとの音と、位相を変えた音をミックスします。ミックスした上で、位相のずれ具合を動かすと、あのシュワシュワとした音が生まれます。
位相を変えた音を混ぜると、音が小さくなったり大きくなったりします。これは周波数により異なります。高音だけが小さくなったり、低音だけが小さくなったり・・・・・・ということが繰り返し起こるため、あのような音になるのです。

全く同じ音を、位相を変えて混ぜるだけでエフェクターとなることもあるように、位相は音が混ざるときに影響するのです。

なぜ、位相を反転させることで音が良くなることがあるのか。それは音を「アンサンブル全体」で考えるからです。
バンドでは、ギターやベース、ドラム、ヴォーカルなどのパートが同時に音を出します。もちろん、それはパートごとに違った音です。違った音なら、位相が反転しても音が「消える」ことはありません。
パートごとに音が違うんだから、位相による音の変化なんて起こらない・・・かというと、実はそうでもなかったりします。

音は複数の周波数の集合体です。単一の周波数だけで構成されているわけではありません。仮に、その中の周波数から440Hzの音だけが消えることがあったとしたらどうでしょう。
音楽としては全く問題ありません。なぜなら楽器には倍音成分もあり、様々な周波数が鳴っているので、それだけで音楽が崩壊することはないからです。でも、「なんか抜けが悪い音」になる可能性は十分にありえます。
では、それを避けるにはどうしたら良いのでしょうか。

先ほど、回路により位相が反転することがある、と書きました。それでは、バンドの機材すべて、「位相が反転しない回路」だけで構成すれば良いのでしょうか。
これは大きな間違いです。最近、位相が少し話題になったこともあってか、機材ごとに位相が反転するかどうかを気にする人を見かけることがありますが、それは、少なくともバンドとして活動する上では一切気にする必要はありません。

なぜなら、先ほども書いたとおり、位相は距離によっても異なるからです。仮にバンドの機材を全て位相が反転しないようにしても、アンプのセッティング、会場の形や反響など、全ての要素が合わさることで位相が異なり、音が変わってしまうことがあるからです。

ではどうしたら良いのでしょうか。「気にしない」のも1つの手です。距離や場所によって異なるんですから、聴き手全てに同じ位相で音を届けるのはそもそも不可能なんです。
でも、どうしても「少しでも良くしたい」のであれば、必要なのは対症療法です。つまり、「いつでも位相を反転できる機材」を用意することです。

位相を反転させられるペダルはいろいろあります。位相は、前述のとおり「反転したものを反転させれば元に戻る」ので、シグナルラインのどこか1つに反転させるスイッチがあれば、全体が反転します。接続順を考える必要すらありません。反転させられるものをどこかにつないでおけば良いのです。

では、位相を反転させるのが良いのか、それとも何もしないのが良いのかはどのように判断するべきか。それはもう、会場で判断するしかありません。
プリプロの際、アンサンブルで音を出しながら位相を切り替えてみて、外音がどのように変わるかを判断します。
「全然違いが分からない」こともあれば、「これは反転した方がちょっと良い気がする」こともあるでしょう。違いが分からないならほっとけば良いし、ちょっと良い気がするなら、その形に設定する。ただそれだけのことです。

バンドアンサンブルで考えたとき、位相は音に影響します。影響しますが、100%完璧な解決法はありません。あくまでベターを探すものです。
また、位相はその場のセッティングを含め、会場自体のものが影響するため、「事前に対処しておく」こともできません。

そう、例えば、「このエフェクターは位相が反転する」とか、そういうことを知っておく必要すらないのです。エフェクターやアンプの設定については、位相のことを考えずに最も良い音になる設定を見つけることが重要です。
そして、自分にとっての最高のセッティングができたら、あとはプリプロで位相反転スイッチを切り替えてみてどっちが良いか、または全然変わらないかを判断すれば良いのです。

「位相」のことを知っておく。それはとても良いことだと思います。でも、ガチガチに考えてしまうと、余計な労力を使うことになってしまう可能性があります。例えば「これは音が良いのに位相が反転するから使わない」では意味がありませんよね。「同じ音で位相が反転しないエフェクターを探そう」、となったらさらにとんでもなく大変になりますし、見つけるのは不可能でしょう。位相が異なるのは回路が異なるからなので、全く同じ音になることはないからです。
「今、位相が反転しているのか」を考えることすら意味がありません。どうしても、システムに於いて位相にまで気を配りたいなら、位相自体を反転できる機材を1つ、なんでも良いので入れておく、それだけで良いことなのです。
 
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