デジタルオーディオワークステーション、DAW。作曲だったり録音、ミックスなどオーディオを扱う様々な場面で使用するソフトウェアです。動画に合わせたサウンド作りなどにも使われたりします。
そもそもDAWとは何か、DAWで何ができるのか、改めて確認してみたいと思います。
一言でDAWと言っても様々なソフトウェアが出ています。
プロを始めとするレコーディング現場でよく使われるProToolsや、Cubase、Studio One、Mac定番のLogic、ループに強い感覚派DAWのLiveやBitwig、愛好家の多いReaperやReason、EDM系で人気のFL Studio、国産DAWのAbility、かつてSONARとして権勢を誇り、現在は無料フル機能DAWのCakewalk……またおそらく最も多くの人が持っている(使っているとは言っていない)GaragebandもDAWです。
こうしていろいろな種類があるので、もちろんできることに違いはあります。「多少は」。
まずは簡単に、DAWの種類と選び方について。
●DAWの選び方
DAWには同じ名前でも細かなバリエーションがあります。これは、そもそものDAW自体が膨大な機能を持っているので、機能制限版として低価格に販売することでその中から必要な機能だけを使ったりするためです。
例えばオーディオインターフェイス、DAWの機能制限版が付属していたりします。これは録音を初めて行う人がオーディオインターフェイスだけを買えばそのまま楽器をつないで音が録れるように、というような意味があったりします。
Cubaseという代表的なDAWの1つを例にとると、最上位モデルのCubase Pro、中間のCubase Artist、そしてソフトとして売られているものでは最も手頃なCubase Elementsがあります。そして、Cubaseを発売しているSteinbergのオーディオインターフェイスを買うと、さらに機能を制限したCubase AIというソフトが付属していたり、Cubase LEというソフトが付いていたりします。別途モバイル機器用アプリとしてCubasisのシリーズがあったり、Cubase ProのさらにプロユースモデルとしてNuendoというシリーズがあったりします。
Cubase以外でも、GaragebandはLogicの機能制限版的な位置づけで見るとわかりやすいと思います(厳密にはGaragebandもMac版とiOS版で機能に違いはあったりします)。
・使うなら無料版かフル機能版?
これは個人的な意見ですが、DAWを使うなら、最初はオーディオインターフェイスとかに付属してる無料版で良いと思います。とりあえずの録音とか、とりあえずの曲作りはできます。
それで限界を感じたり、やりたいことができないことがあれば、フル機能版にアップデートするのが良いと思います。同じDAWの系列であれば、基本的な操作性を変えずに機能が加わります。中間的なモデルは、「100%確実に、これで十分」な場合にのみ選択すると良いかと思います。あとは、どうしても上位モデルにある機能が欲しいけど、フルバージョンにするには予算が足りない時とか。
特に学生の方とかだと5万円とか大金ですもん。いや学生じゃなくても安くはないですけど。それでも、可能なら「買うなら」フル機能版を。どうせ後から欲しくなるんですから。
例えばGaragebandのiOS版には曲中でテンポを変える機能はありません(Mac版にはある)。全然問題ない場合もあれば、それは困る、ということもありますよね。問題ないうちはGaragebandを使っていて、どうしても必要になったらPCを使い始めるとか、Cubasisを使うとかでも良いと思います。「限界を感じた」とはそういうことです。
・予算はかけたくないがフル機能がほしい
真理。誰でもそうだと思います。これについては何度もこちらで書いてますが、Windows機のPCなら、Cakewalk by bandlabがあります。無料でフル機能です。基本無料とかじゃないです。完全無料。他のDAWと比べて見劣りはありません。しかもリリースして放置ではなく、細かくアップデートが今も重ねられています。
無料ならではの弱点としては、他のDAWと比べて最新技術を使ったサードパーティソフトの対応が遅かったりされなかったりすること。例えば何か新しい技術を使ったエフェクトがあって、「動作確認済」のDAWに名前が載らないとかそういうのですね。現状普通に使う分には問題はないと思いますが、“プロの現場”で使うにはそういう意味で推奨はされないかもしれません。プロが使うDAWに悩むのか、というのはおいといてですがw
Macなら、Logic Proが最も手頃かつフル機能になるかと思います。
・DAWごとの機能の違い
・操作のクセ
・音質
DAWによって音質が異なる、という話を聞くことがあります。「一番音がいいDAWは」とか。これはもう多くの方が検証されていますが、音は変わりません。
初めてのDAWに迷っているなら、音質については「変わらない」でOKです。一応もうちょっと詳しく書くと…
内部処理ビットが低かったり浮動小数点ではない古いDAWでは明確に違いが合ったり、機能制限版では出力できる音質が制限される場合はあります。最新のフル機能どうしでは違いはありません。
一応、内部処理の違いか、プラグインエフェクトの効き方に多少の違いがあったりすることはあるようです。また、違いとしてはPan Law(ステレオトラックのパンニング時の処理)に違いがある場合があります。Pan Lawとは、ステレオで録られた音源を左右にパンする時、自然に聞こえるようにするための処理です。
Pan Lawを設定で変更できるDAWもあれば、できないものもあります。この結果、複数のステレオトラックを使って「完全に同じパラメータで」ミックスすると最終的に音が異なる、ということはあり得ます。
が、これらのプラグインの癖やPan Lawは音質ではなく内部処理の話で、分かってればというか、最終的に音として書き出されるのはDAW内でのプレビュー通りなので、DAW内でちゃんとミックスや作り込みができていれば気にする必要すらありません。そういえば「プレビューの音が他のDAWよりいい」なんて話を聞くことがありますが、プレビューの音が良くて書きだしが普通ならそれってちゃんとプレビューできてないって話ですからね。それはちょっと変な話です。(ただしプレビューの方が書きだしより音質がいいのは普通です。なぜならプレビューは32とか64ビット浮動小数点。書き出しは16ビットか、高くて24ビットですから。)
つまり、「音質」はDAWを選択する上での考慮にはほぼならない、ということですね。どうしてもPan Lawが気になるのなら、設定ができるDAWを使うというのはあるかもしれません。(別途プラグインで変更出来るものも含めれば、Cubase、Studio One、Live、Logic等があります。ProToolsはステレオトラックもデュアルモノのように扱います。でも初めてのDAW選びでそこまでこだわらないでいいですよ…普通。)
・プラグインエフェクトや音源の対応
これは…もしどうしても使いたいエフェクトや音源があるとして、「それが動くDAW」を使うことは重要です。かつてボカロがMacになかったので、ボカロはWindowsでしか作れませんでした。今は対応しています。そんな風に、使いたいものが使える環境であることは大事ですね。
エフェクトや音源はVSTやAU、AAXという規格があり、VSTだけでもVST2やVST3があったり、32bitと64bitがあったりします。
VSTは最も多くのプラグインに使われている規格です。AUは主にLogicで使われる規格。一応Ditigal PerformerやFL Studio、Live、Waveformなど対応しているものもあります。AAXはProTools用です。
一般的に販売されているたいていのプラグインはこの3つを押さえていますが、フリープラグインや個人だったり小さなメーカーの作ったプラグインは一部しか対応しない場合があります(たいていVST)。
ちなみにDirectX(DXi)プラグインというのもありますが、現在はほぼ使われていません。旧SONARがサポートしていた関係で、後継にあたるCakewalk by bandlabでは使えたりします(CakewalkはVSTも使えます)。
・結局どれを選べばいいの?
回答としては、それぞれの好みに合わせて好きなのをどうぞ。
でもそれだけだとちょっとあれなので、もう少し書くと、まずスタジオエンジニアを目指すならProTools。なぜならプロのスタジオではProToolsが当たり前に使われているからです。これが使えないでプロのスタジオエンジニアになるのはまぁほぼ無理です。最初から自分のスタジオを持ってその中だけで完結できるフリーのプロをやらない限りは。
そうではないなら、基本的にはオーディオインターフェイスとかに付いてくる無料版DAWや、その上位(できればフル機能)DAWなどの操作に慣れたものが基本かと。もちろんGaragebandから始めるのも全然良いと思います。
あと、友人やバンドメンバーが使っているものと同じもの、は大いにありです。使い方の質問もしやすいし、楽曲の共有もしやすくなります。
バンドだと、理想としては全員が同じDAWを使えた方が絶対に良いとおもいます。
Macを使っていて前述のVSTを使いたいなら、Logic Proは外れます。Logic ProはAUプラグインのみ。市場に売られているプラグインはだいたい対応してるので問題ありませんが、フリープラグインなどを使いたいならVSTの方が数が多いです。となると、Macを使っていてVSTを使いたいなら、それ以外のMac用になります。ただ、Macでの注意はOSアップデートからしばらくは対応版が出るまで使えなかったり、M1チップ非対応のソフト(DAWは動いてもVSTが対応しないこともある)があったりする可能性があることです。
そういう意味では、フリー“VST”はあきらめてApple社製のLogicの方が安定して使えるのかなとも思います。(もちろんAUのサードパーティプラグインはOSアップデートとかで使えなくなることはあり得ますが、それはどのDAWでも同じだし、どうしようもないかも)。
Windowsなら、ある程度選び放題ですね。最初は完全無料のCakewalk by bandlabが良いと思います。それでどうしても操作がだめなら、別のものに。CakewalkとCubase、Studio Oneは操作性は違いますが考え方(というか曲の組み方)が似ているので、Cakewalkがどうしてもだめだったなら、LiveやBitwig、FL Studioなどの方向が良いのかもしれません。ヒップホップやサンプリング系のEDMならこっちの方が感覚的に作りやすいそうです。ループを並べるのが特にやりやすいと聞きます。
ちなみに独自の方向を持ち、テクノ系から高い支持を集めるReason(以前はVST非対応だった)は、最新モデルはReason自体がVSTプラグインとして動いたりする機能もあったりします。なので、Cakewalk上で動作させてみるとかもありかも。
EDM系で人気のFL Studioは操作系が特に独特。FL Studio好きな人は離れられないし、慣れない人は全然慣れないと聞きます。使ったことないので聞いた話ですが…でも実際FL Studio好きな人は本当に好きなんだって感じはするので、合う人は抜群に合うんだと思います。他のDAWで操作性が合わないと思ったら試してみると良いかも。
アップデート永続無料、常に最新版が使える、というのはFL Studioならではです。
ボカロに強いのはCubaseかStudio One。特にCubaseは専用エディタがあったりします。Studio Oneは初音ミクはじめクリプトンのボカロに機能制限版が付いてたりしますね。
ボカロといえば、多くのボカロを販売するINTERNETはAbilityを発売しています。こちらは純国産で楽譜入力や独自の作曲・アレンジ支援機能にも力を入れていますね。また同じく多くのボカロを販売するAHSはMusicmakerというDAWを作っています。(若干古めのエンジンですが)VST使えてシンプルで低価格です。ただし32bitです。
独特なタイプではReaperもあります。低価格、軽量動作。DAW自体に付属する音源やエフェクトは少なく、その代わり対応するプラグイン形式が豊富。オーディオの波形編集はあまり得意ではないそうで、どちらかといえば打ち込みメイン、サードパーティ音源やプラグインをよく使って、DAW本体は軽い方が良いプレイヤー向けかも。海外で特に人気が高いので、海外のアーティストとコラボすることが多いなら選ぶ意味がありそうです。
楽器の演奏者的な視点ではDitigal Performerが使いやすいと聞いたこともあります。老舗DAWソフトですね。もともとMac用でしたが現在はWindowsでも使えます。今のDAWという形の原型を生み出したシリーズとも言えるDAWです。
他にも、WindowsやMac、さらにUbuntuやRaspberry Pi でも動作し、モダンなスタイルを持つWaveformや、Live的なスタイルながら低価格でフル機能を持つMixcraftなどのDAWもあります。
ただ、ここに述べたのはあくまで「傾向」の問題なので、別にFL Studioでメタルをやっても、Cubaseでループサンプリング系ヒップホップをやっても全然できます。
まとめると、基本的になにかの機材についてきた付属DAWがあるなら、まずはそれを触ってみる。その操作に慣れたなら、その上位モデルをメインに考えてみる。
友人やバンドメンバーが使っているものがあるなら、同じものを考えてみる。
Macならシステムの関係からLogicが安定していることが多いかもしれない。
WindowsならCakewalk by bandlabは無料なので試す価値あり。操作性が合えばラッキー。合わなければ別のものを考えてみる。バンド系やボカロならCubaseやStudio One、ループを多用するならLiveやBitwig、テクノならReasonとかEDMならFL Studio。海外志向、演奏メインならDitigal Performer、打ち込みメインならReaper…。
そして、プロスタジオエンジニアを目指すならProTools。
先程書いたとおりあくまで傾向(それもほとんど聞いた話)ですが、作りたい音楽の方向からスタートするDAWを決めるのは一つの考えかも。ただやっぱCakewalk by bandlabの存在はでかいですね…できないことがほぼないのに無料なんですから。あえていえば「DAWの機能としての」ピッチ補正くらいか。例えばCubaseは本体の機能としてオーディオ編集でピッチ補正ができたりします。いやでも本体が無料なんだからそこはプラグイン買えば(他DAWの本体買うより安くて)いいだけだし…そもそもDAW機能としてガチで波形をいじれるピッチ補正が入ってるのってCubase、Logic、Digital Performerくらい?他にもあるかもですが、そんなに無いです。(エフェクトとして強制的にピッチを合わせるものではなく、ニュアンスなどを調整できる波形編集型ピッチ補正の話です。CelemonyとかAuto TuneとかWaves Tuneみたいなやつ。)
ということで、「それぞれの好みに合わせて好きなのをどうぞ。」と言うしかないんですよね…。
一応、私の場合。私は最初に買ったオーディオインターフェイスに付属していたのがCubase LEでしたので、そのままCubase Proに行きました。
ちなみにその後買った機材でSONARのLEとか、Live Liteとかが付いているものもあったので試してみたんですが、結局使い慣れたCubaseが楽でした。その後Cakewalk by Bandlabが出たときに、これは使い方をちゃんと知りたいと思って使えるようになりました。(普通に使いやすかった。Cakewalkいじってる時は「これCubaseより使いやすいんじゃないか」と思ったんですけど、その後Cubaseに戻ると改めてさらに使いやすいと感じました。)
結局今、私は主にCubase Proを、たまにCakewalk by Bandlabを使う感じです、
正直、ここで何を買おうか悩むくらいなら、なんでも(ロゴのデザインが気に入ったとかパッケージが好きとかでもいいから)使ってみることをおすすめします。
どうしても選択肢を絞って欲しいというなら、特に初めてならメジャーなDAWの方がWeb上でのTipsなどを見つけやすいと思います。ProToolsはメジャーですがちょっと特殊なので別として、Cubase、Studio One、Logic、Live、FL Studio、そしてかつてCubaseと人気を二分したDAW、“SONAR”だったCakewalk by bandlabもTipsいろいろ出てきます。
いずれにしても、まず使ってみないと、自分がどういう操作をよくやって、だからどのDAWが使いやすいなんて選べないんですから。
●DAWの基本機能
では、DAWが持つ基本的な機能についてです。DAWには大きく分けて4つの機能があります。
1.マルチトラック録音・波形編集
PCに接続したマイクやオーディオインターフェイスからの入力を録音する機能です。オーディオデータをオーディオデータとして作ることができます。
さらに(これはDAWにより細かな機能は異なりますが)波形を編集することができます。タイムストレッチを使えば多少ずれたストロークをガチガチに直したりすることもできますし、大きくなりすぎた音を小さくしたり、小さい部分を大きくしたりといったことも可能。一部モデルではヴォーカルのピッチ補正も搭載していたりします。
2.シンセサイザー・MIDIシーケンサー
こちらは主に打ち込みとしての部分になります。DAW標準付属の音源やサードパーティ音源を使用し、様々な音を鳴らすシンセサイザーであり、またそれを打ち込んで楽曲を奏でるシーケンサーです。MIDIシーケンサーの機能としては、打ち込んだ音の一つ一つのパラメータ設定はもちろん、楽曲の展開に合わせて外部MIDI機器を制御することもできます。楽曲を作る上での打ち込みだけでなく、ステージングのマニピュレーションも可能ということですね。またMIDIシーケンサー機能としては、ミックス時のオートメーションもこの機能と考えることができます(各フェーダーの動作や、各エフェクトのON/OFFやパラメータ可変などを楽曲の展開に合わせて動かすのがオートメーションです。)
3.ミキサー・エフェクター
レコーディングしたオーディオトラックや、打ち込んだ楽曲をまとめて2mix(ステレオトラック)に出力するミキサーとしての機能もあります。各トラックには個別にエフェクトをインサートすることもできる他、複数のトラックをまとめてステム(バス)として1つのトラックとして扱い、そこにエフェクト等をかけたり、各トラックからパラで音を出力して複数のトラックの音にまとめて1つのエフェクトをかけるエフェクトトラックを作ったりすることができます。もちろんミックスができればマスタリングも行えます。かなり自由自在に操作ができる上、エフェクトもソフトウェアエフェクトだけでなく、ハードウェアのアウトボードを通したり、クリーンで弾いた音に後からエフェクトをかけたり別のアンプを通すリアンプなども自由に行えます。
4.遠隔スタジオ
いや何のこと?って感じですけど、一部DAWは、それ自体に外部のDAWと連携する機能を持っていて、離れたところで同時に作業をしたり、順に作業をしていくことができます。そこでできることは上記の3つの機能すべてだったり、一部の機能だったりすることはありますが、離れたところで同時に作業ができるというのはある意味DAWならではの機能だと思います。
もちろんその機能を持たないDAWも多いんですが、今ではSatellite Sessionsという無料プラグイン/サービスを使って異なるDAWでも同時にオーディオデータやMIDIを共有して楽曲を作ることができます。VST/AU/AAXに対応していて、公式の対応DAWはLive、Logic、FL Studio、Cubase、Studio One、ProTools。公式リストにはありませんが、Cakewalk by bandlabでも使えるそうです。
つまり、遠隔スタジオとしての機能もDAWとして使うことができますし、今後を考えればより標準的な機能になっていくことは想像できるかと思います。
●初めてのDAWでよくある「困った」ポイント
ここまでで、DAWにはいろいろな種類があって、音に関する様々な機能を持つことが分かりました。じゃあ、早速使ってみようと、DAWを使い始めようとすると、なんか上手くいかないとかがあります。
最後にそんな「困った」ポイントを書いてみましょう。あなただけじゃない、誰もが経験したところです。
・初期設定
・音が出ないよ?
DAWというソフトの敷居が高くなる原因の1つ、初期設定。
ASIOドライバーとか、初めてDAWに触る人が知るわけないじゃん、みたいなね。ASIOというのはWindowsでオーディオを扱う際に使うドライバ…つまり、よくあるものとしてはオーディオインターフェイスをDAWで扱うために必要なやつです。
だいたいオーディオインターフェイスをつなぐときに入っていたCDをつかったり、入っていた紙に書かれたURLからダウンロードしたりしてインストールしていると思います。MacだとASIOはいらないんですがオーディオインターフェイスのドライバは必要です(それも要らない場合もあるけど)。
それはともかく、そこからの初期設定が最初は「???」だと思います。
これは、使うDAWによっても異なるし、PC周りの環境によっても違うことがあるので一概に方法を書くことはできないんですが…DAWのヘルプやクイックスタート的なところには書かれていますし、「DAW名 初期設定」とかで検索したら出ると思います。
一応、例えばCakewalk by bandlabの場合はこちらの記事に書きましたので、もしかしたら参考になったりするかも?です。
toy-love.hatenablog.com
toy-love.hatenablog.com
初期設定をやった。でも(何かを再生や録音して)音が出ないよ?となったなら、それは設定が間違ってます。初期設定部分か、他の設定か、どこかに間違いがあります。
例えばDAWを閉じたらスピーカーから音が鳴るのに、DAWを起動したら音が鳴らない!という場合は、ほぼ99%設定が間違えていると思って良いと思います。残りのうち0.5%は最初からサポートされていない機材を使っていた場合で、最後の0.5%はオーディオインターフェイスとかの不具合…でもこの場合はたぶん、ほぼないので、設定を徹底的に見直し、どう考えても設定が合っているなら、機材が対応しているかを確認しましょう。あ、パーセントは適当です。統計とったわけじゃないし。
・設定が終わったら、そこには広大な荒野が広がっている…
DAWの敷居第2弾です。
なんか、DAWに関するアーティストのインタビューとかを見ていると、軽々とDAWに入ったトラックを使って曲を作っているように見えます。
四苦八苦して設定を終えて、ようやくDAWが使えるようになった、あれができる!と思ったら次に来るのがこれです。
「いったい何をしたら良いのかわからない」。
実際にSNSでも、「Cakewalk by bandlabを入れてみたけど多機能すぎてわけがわからなかった」というのを見ます。
Cakewalkはフル機能のDAWですけど、フル機能DAWとしては標準的な機能ですから、Cakewalk「だから」わからなかったのではなく、「DAWがわからなかった」ということだと思います。
もったいない!
せっかく音楽に、それも作り手として触れようとしてくれているのに!
と思いました。
でも、それも分かります。作曲ってだけでなんか難しそうなのに、まず設定の時点でよく分からない言葉が大量に出てきて、それをなんとか乗り越えた先にあるのが「無」の空間なんですから。そりゃ心折れる人が出ますよ。
「PCで作曲をはじめるなら」とか「ボカロPになるには」DAWが必要ですね~。
その通り。でもその次のステップが意外に書かれていないと思いました。まぁもちろん、DAWを入れて、最初にやることなんて決まってないので、「こうしましょう」と一概に言えないのは確かなんですけどね。
ということで、設定ができたら、DAWで新しい曲に取り組むときのルーティンを決めてみましょう。といっても最初から決めるのは無理だと思いますが…そのときはまずは曲を作ったり録音したりするために必要なことを考えてみましょう。
例えば
・新しいプロジェクトを作る
・プロジェクトを名前をつけて保存する
・テンポトラックを入れる
・オーディオトラックを入れる
・MODO Bassのトラックを入れる
・BFD3のトラックを入れる
・各インストゥルメントトラック、300小節くらいのオブジェクトを入れる(Cubaseの場合)
これは私がバンドサウンドの曲を作る場合に最初にやることです。
MODO BassとかBFD3はたとえとして、べつになにの音源でもいいんですけど、とにかくまずは曲を作り出すまでの下準備を明確に決めておくことです。
何よりも「トラックを追加」です。要らなかったら消せばいいんですし。
あとは曲をどう作るかによってもスタイルは異なります。DAW上で作曲から始めるなら、まず入れるのは「ピアノトラック」とかのリード楽器系かもしれません。それで鍵盤を押すなり、ピアノロールを開くなりして音を出せる状態にします。私の場合は曲はギターで作っちゃうのでDAW上での作曲はあまりしなかったり…DAWは編曲スタートです。
Cubaseの場合、オーディオトラックでないトラック(つまり打ち込みのトラック)は追加しただけでは打ち込みが開始できないので、オブジェクトを入れるところもルーティンに入ります。この辺はDAWごとの操作に合わせるのが良いと思います。300小節くらいってのは、まぁだいたいこれくらいあれば5分くらいの曲は余裕でカバー出来る範囲かな、という感じだからです。(4/4拍子とするとBPM=60なら75小節、BPM120なら150小節、BPM=240なら300小節で5分です。)
まぁルーティンの内容はそれぞれ好きな形でいいと思いますが、要は「さて、これから曲を作ろう」とか「録音しよう」という快適な環境を自然に作れるようになりましょうということですね。DAW立ち上げて「何をしよう」じゃなくて。そこからいつも通りの曲作りをするのはもちろん、違ったアプローチを試すにしても、まず「いつもの形」があって、それを崩してみよう、というのができるわけです。
・新しい音源やエフェクトを買った!あれ?出ない?
音源とかエフェクトを買ったりするなら、ある程度DAWにも慣れていることでしょう。そこでよくあるのが、せっかく音源やエフェクトを買ってインストールしたのに、DAW上でそれが見当たらないこと。
これはシンプルで、DAW側で「音源やエフェクトはここから読み込んでね」と指定する場所があるので、そこを指定していなかったり、指定した場所と違う場所にインストールしていることがほとんどです。(ごく稀に、うっかりDAW非対応のものを買っていた、もあるかもですけど)
落ち着いて対処すればちゃんと使えます。ちゃんと対応していて、設定も完璧なはずなのに見つからないときは、サポートを頼ってみましょう。
・教則本/解説本はいるの?
DAWはその豊かな機能ゆえ、「解説本」などが多くあります。人気のDAWほど多く出ています。全然無くても良いと思います。WebにTipsいっぱいあるし。ただ、個人的には「どれか1冊」はあっても良いと思います。できればハウツー的なものではなく、操作ガイドとか完全ガイド的な方が良いかも。そこに書かれている機能はたしかに目の前にあるモニタの中にあります。
で、それを熟読するんじゃなくて、お守りにする。どうしても困ったときに開いて見たりすると良いかも知れません。
1冊あれば、あとは不要。バージョンアップごとに新しい本を買ったりする必要もないと思います。
DAWって自由度が高く、また音楽だから「正解」ってなかなかないんです。だから、基本的に自分で考えて操作をして、困ったときだけ本に助けを借りると良いと思います。
「本に書いてあるから正しい」ではなく「本に書かれたことを参考に、自分なりの答えを見つける」のがDAWであり音楽製作だと思います。ただショートカットキー一覧とかが載ってたりするので、そういうのはホント便利。後継バージョンでも基本大きくは変わらないので、1冊あると良いです。
・DAWが固まった……
(↑恐怖のエラー。これが出る間はまだマシです。ヘタするとそのまま落ちたりPCごと固まります。)
DAWはそれ自体がけっこう負荷がかかるソフトです。さらにそこにオーディオデータを扱ったり、重たいプラグインを使ったりしていると、システムが耐えられなくなってフリーズ、ということもあります。
ギリギリ復帰することもありますが、DAWが固まったり落ちたりすることはもう「あるある」と思うしかないです。
まず、新しいプロジェクトを開いたら、最初に名前をつけて保存しましょう。曲のタイトルがあるならそれでもいいし、日付とかだけでもなんでもいいです。
そして、何かの作業を進めたら、「CTRL + S」(またはCommand + S)、つまり保存することを心がけましょう。
熱中すると2~3時間くらい作業してしまうこともあります。それが一瞬のフリーズで全部消える…まぁ曲作ってれば1回や2回は経験しますけど。その直後の喪失感はほんと厳しいので、とにかくこまめな保存を心がけるようにしましょう。1回や2回なら笑えるけど、5回やると嫌になると思いますし、打ち込みならまだしも、それがベストテイクの録音だったりしたら、もう……。
・なんかパンニングが変、なぜか音が右や左に偏る
ステレオで作ったトラックにモノラルの音源を入れていたり、逆をやっていませんか?
また、「大は小を兼ねる」理論で、モノラルトラックにステレオエフェクトをかけていませんか?
DAWの選び方、音質のところでも触れましたが、DAWはステレオトラックでPan Lawという処理があります。左右にパンした時のバランスをとるための処理です。
これが、ステレオトラックに対して行われるので、モノラル音源をステレオトラックに入れたりすると変になります。
トラックを作るとき、これがモノラルかステレオかを最初にちゃんと分けて作りましょう。
また、プラグインエフェクトも同様。モノラルトラックにはモノラルエフェクトを、ステレオトラックにはステレオエフェクトを入れましょう。
モノラル音源をステレオ出ししたいときは、ステレオトラックを使いますが、ちゃんとモノtoステレオアウトになるエフェクトを挿しましょう。
モノラルとステレオをごちゃまぜにする、とくに「大は小を兼ねる」理論はDAWでは通用しなかったりします。
これは「あるある」なのかどうか分かりませんが、自分が曲を作ったときに「なんでだろう、なんでだろう」と悩んで悩んで、ある日ステレオトラックにモノラルの音を入れているのに気づいて直したら一瞬で解決した事柄なので、ここにも書いておきました。
ということで、DAWの選び方からスタートアップくらいまでを書いてみました。
かなり全体的に俯瞰した内容なので、個別の事例とかはまた調べたり対処したりとかがあると思いますが、「演奏してみた」をちゃんと録ってみたいとか、「自分の曲を作ってみたい」という時、欠かせないのがDAWだと思います。
まずはDAWに触れて、いろいろ遊んでみる。そして気が向いたら曲作りとかやってみるのも良いかと思います。
Lineアカウントからブログ更新をお知らせ!
がっきや速報
人気blogランキングへ