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自宅でバンドサウンドを作ってみよう!Part.5 ドラム、ベースのミックス編

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こんな時期なら、逆に自宅でバンドサウンド完成させようぜ、という自宅でバンドサウンドを作ってみよう!シリーズ、今回はパート5、ドラムとベースのミックスです。

パート1はこちら
toy-love.hatenablog.com


前回は、ミックスを行う際にはじめに行うことをまとめました。
ミックスで最初に行うこともやり方はそれぞれいろいろあると思いますが、目的は同じ。作品を最も良い形に持っていくためのミックスを、できるだけ快適に行えるようにするための準備でした。
toy-love.hatenablog.com


今回は、実際に楽曲そのものをいじっていくミックスにいよいよ入っていきます。
その前に1つだけ。

  • スピーカーかヘッドフォンか

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ミックスをするときは、できればスピーカーが良いとよく言われます。ヘッドフォンでのミックスは「出来なくはないが難しい」と。
その理由には2つあります。それは「定位」と「レンジ」。
この図は、簡単にスピーカーの場合とヘッドフォンの場合の定位をイメージしたものです。DAWで音を左右どちらかに振り切る(L100/R100)とどうなるでしょうか。ヘッドフォンの場合は左か右の真横から音が聞こえますよね。対してスピーカーは、斜め前の左右どちらかから音が聞こえます。
つまり、リスナー視点で見ると、ヘッドフォンの方が左右の広がりが大きいことになります。これで、それぞれ満足のいくミックスを仕上げたとします。もちろんヘッドフォンでの経験が豊かなら問題なく仕上がるかもしれませんが、スピーカーで聴く感覚でヘッドフォンで良い感じにミックスしたものが、スピーカーで聴くと音が狭くなってしまった…ということが考えられます。つまり音がなぜか真ん中によってしまった。
これはこの左右の広さだけが原因ではなく、実はもう1つ原因があって、ヘッドフォンの方が左右に広く音が聞こえる分、真ん中が少し薄まります。逆にヘッドフォンで真ん中の密度を高めてしまうと、スピーカーで聴いたときに同様に真ん中に寄ってしまうことがあります。
もちろん、パート3で載せたアナライザーなどを見ながら調整していったり、愛用のヘッドフォンとスピーカーの違いを完全に把握しているなら、問題なく作れる人もいますけどね。
また、LR最大ではなく「右より」とか「左より」の音はLR両方から鳴ります。ヘッドフォンの場合、この音が左右の耳から分けて聞こえますが、スピーカーはLR混ざった音で聞こえます。この「混ざったとき」、音かぶりと言いますが、それが設定等により「悪影響」となることがあり、それをヘッドフォンでは確認できない、という点はどうしてもあります。

もう1つがレンジです。ラップトップ(ノートPC)内蔵スピーカーとかでなく、ちゃんとしたモニタースピーカー(1万円前後くらい~)のものは、基本的にヘッドフォンよりレンジが広いです。レンジが広いとは、高音から低音まで出力されているということ。まぁ中にはヘッドフォンはHD800Sみたいなハイエンドだけどスピーカーは付属のしかない、という人もいるかもしれませんが…基本的にスピーカーの方が広いレンジとなります。聞こえる範囲が狭いということは、狭い範囲でしか音を確認できないので、イマイチ抜けが悪いミックスになってしまうことがあります。

ヘッドフォンでのミックスを否定したいわけではありません。ですが、どうしてもスピーカーと比べて上記のような理由があるので、できればスピーカーを使ったミックスをすると良いと思います。
ヘッドフォンでやる場合でも、適宜スピーカーで音の確認をはさむ。大音量でなくて良いので、スピーカーだとどう聞こえるかを確認しながら進めていくのが良いと思います。(そのためにもできれば、高いものじゃなくていいのでモニタースピーカーを持っておくと良いです。)

では、実際のミックスの話にいきましょう。

まずおさらいとして、現在作っているバス(ステム)のリストはこんな感じです。楽曲に合わせてそれぞれまとめていると思いますが、今回はこのリストのバスがあると思ってもらえれば。

  1. メインヴォーカル
  2. コーラス
  3. ベース
  4. キック
  5. スネア
  6. タムまとめ
  7. 太鼓系まとめ
  8. ハイハット
  9. その他シンバル・金物
  10. シンバルまとめ
  11. リズムギター
  12. リードギター
  13. ヴォーカルまとめ
  14. ベースまとめ
  15. ドラムまとめ
  16. ギターまとめ
  17. その他楽器
  • ドラムパートのミックス

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バンドサウンドをミックスする、となったとき、その順序ももちろん自由です。例えばギターからやる方がやりやすい、という人もいると思います。

ですが、ここでは基本的に私のやり方として、またいろいろな情報を見る限り最も一般的な方法の1つとして、ドラムからスタートするやり方で書いていきたいと思います。
楽曲をミックスして完成させるのは、個人的なイメージとして建築みたいな感じだと思います。バンドサウンドでいえば、ドラムとベースが土台となり、そこにヴォーカル(インストならリード楽器)が柱となって、ギターやその他楽器が外観となる、みたいな感じ。まぁもちろん本当の建築だとまた違ってきますけど、イメージの話です。
そんな感じで、土台→柱→肉付けというように作っていくと作りやすいことが多いと思います。

ということで、まずはドラムから。

○キック(バスドラム)
ドラムの中でも、最も重たくリズムの中心となるキック(バスドラム)から行きたいと思います。
以前私はスネアからやってたんですけど、キックからやってみたらその方がやりやすかったのと、やはり最も一般的なやり方がキックからスタートするということもあり、ここではキックからやりますね。
そうそう、これもパート3で書きましたけど、使うエフェクトは接続順によっても音が変わります。ここでは基本的に私がよくやる流れで書いていますけど、各エフェクトの設定や使い方、接続順は自由なので、自分でいろいろ試してみるのが良いと思います。あくまで1つの例として見てもらえれば。

前回の時点で、バス(ステム)トラックにキックだけのトラックが作られているので、まずはそのキックバス(ステム)のフェーダーをがつんと下げ、SOLOにして単体で鳴らします。
ここで大事なことなんですけど、「ほんとにこれでいいの?」レベルまで音量を落とし、同時にスピーカー等再生機側の音量を上げ、ちゃんと聞こえるようにします。ちゃんと聞こえるとは、満足がいくくらいに聞こえる、という意味ですね。音が気持ち良く聞こえないと、ついついミックス中での音量が高くなってしまいがちですので。

ここでキックの音量を下げましたけど、ミックスは音量を大きくするためにやるのではないのか、と思うかも知れませんが、実は全く違います。音量を上げる(音圧を高める)のは最後、工程としてはマスタリングになります。
ミックスは全てのトラックのバランスを取ること。音量を気にする必要はありません。でも、このバランスがちゃんと取れていないと、あとでちゃんと音量が上がらないのです。だからミックスが音量、音圧アップに必要なのです。

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フェーダーをよく見てみましょう。0から上はあまり幅がなく、0から下はたくさん幅があります。
つまり、各トラックでブーストできる幅はあまりないのです。最初から大きな音でやってしまうと、もっと大きな音が必要なとき、上が全く足りないということが起こってしまいます。
ミックスで大事なのは「無限にブーストはできないけれど、無音まで小さくすることはできる」感覚。より目立つ大きな音が欲しいなら、他を下げてやればいい、ということです。
ミックスのバランスがちゃんとしてれば、音圧はあとで簡単に上がります。だからミックス中は、DAW内のデータ上は小さな音で良いのです。ただ感覚的に、ある程度の音量で「聞く」ことの気持ちよさは大事なので、再生側で音量を上げて、データ上は小さな音でやるのが良いと思います。

そしたら、まずはキックの音を整えていきます。
音を整えるとは。使ったドラム音源などにもよりますが、ドラムの基本的な音の方向性は打ち込み時などにある程度決めていると思います。それをさらに細かく調整します。ドラム音源でキックの音を調整できない場合も、ここで調整します。
バスドラムの音は、大きく2つの音が混ざっています。1つはドラムをペダルで打った時のパンという音と、その後ドラムが響くドーンという感じの音。それぞれ周波数帯が異なるので、どんな音にしたいかに合わせ、まずEQでそのバランスを調整します。
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ペダルがバスドラを打ったパンという音は2KHz付近を中心に1~2.5kHzにあります。メタルとかでバスドラがパタパタパタパタ…というのはこの辺りを強くしています。バスドラのアタック音になりますので、それをどれだけ強く出したいか、出したくないかによって異なります。メタルだから上げなきゃいけない、バラードだから下げなきゃいけない、みたいなのはありません。そこはバランスです。
そしてその後の響き。30~40Hzはバンドサウンドでは不要なことが多いです。前回の準備でカット済かもですけど。バスドラが下からボンと響いてくる感じなら、40~100Hzあたりかな。そこが欲しければ強くしてやったりします。
音圧高めの曲だと、逆にバスドラのローエンドが邪魔になるので、この100Hzあたりまでを一気にカットして100~200Hz付近だけちょっと出したりとか、いろいろやり方があるので、とにかく欲しい音に近づけることが大事です。そこから上の2~800Hzあたりは、他のドラムやベースと被ってしまうことが多いため、必要ならカットしても良いかと思います。

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キックの基本的な音の方向をEQで決めたら、響きの長さを聞いてみましょう。ドーンという響きがある程度欲しいのか、タイトにドッドッドと鳴って欲しいのかなどあると思います。長い響きを短くしたいならゲートをかけてみたりします。音を出しながら調整していい感じにします。

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ラウド系なら、軽くマキシマイザーをあてるのも面白いです。それもL1とかL2あたりの古めのやつ。L1ならGoldにも入ってます。この画像のL2の設定はやりすぎ設定ですけど、こんな強くしないで、例えばスレッショルド-1.0dBまで、みたいな軽い感じで。音を大きくするためではなく音に張りを出すため、みたいな使い方です。

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そしてリバーブ。これは前回作ったエフェクトトラックとしてのリバーブではなく、パートごとの音調整用リバーブなので、私はエフェクトトラックにせず、トラック内でかけてしまうことが多いです。個人的に音作りとしてのプレートリバーブ大好きなので、ここではプレートリバーブのプラグインを使うことが多いです。

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CLAシリーズのような、「ドラム用マルチエフェクト」みたいなのを使うのも良いと思います。プリセットから基本的な方向性を選んで、そこから調整していく感じ。特にこのCLA Drumsは使っている人も多い感じ。たしかに楽です。リバーブもゲートも付いてるし。私はリバーブは使わずに別途プレートリバーブをかけたりとかします。CLA Drumsの使い方として、設定によって「硬いものを叩いた感じ」になることがあって、そこはちょっとだけ注意かも。そういう音が欲しいなら全然いいんですけど、ドラムの「張られた革を叩いた感じ」の跳ね返るような音を出せる設定のスイートスポットは存外狭かったりするので、よく言われる「CLA Drums通してプリセット選べばOK」というほどではなく、楽曲や元の音に合わせて微調整が重要です。CLA Drumsは他のドラムパーツでもいろいろと使えるんですけど、この「設定の追い込み」はどのパーツでも同様に必要になると思います。CLAはプリセットだけでも「それっぽい音」になるんですけど、そのまま使うと「打ち込みでございます」な音になってしまったりするので、「あとちょっとここが欲しいな」とかいう感じのところを足してやったりするような使い方が良いと思います。
CLAとかってあんまりこういう使い方載ってないんですよね。「超簡単、これがあれば誰でもリアルなドラムサウンドに!」っていう感じだったり、逆に「あんなもん全然リアルじゃないからやめとけ」って感じだったり。そうじゃないよなーと思ったりしてました。

そして、これらのエフェクトを通してから、もう一度フェーダーを調整します。よく目安とされるのが、「キックで-10dB」。キックだけをSOLOで再生していると思いますが、プラグインを入れたりしているとだんだん音量が上がっていたりします。一度再生を止め、Kickバス(ステム)のフェーダーをさらに下げ、マスタートラックのメーターをリセットしてから再生をやり直します。それでピークの音量を徐々に動かして、だいたい-10~-12くらいに持ってくるようにしてみましょう。それで音が小さくて物足りないなら、再生側のスピーカーとかオーディオインターフェイスの音量を上げればOKです。
で、このキックの音、この後の全てのトラックの音量を調整する「基準値」となります。なのでここを適当にやると後で大変になったりするので、ここはちゃんと調整しておきましょう。

○スネア
続いてスネアドラムいきます。この順序も自由にやるといいと思いますが、個人的にはキックとスネアのバランス、一体感は欲しいので、キックからスネアの流れをよくやります。
バンドサウンドで、スネアの「音」は非常に重要です。これも打ち込みの段階である程度「音の方向」はでていると思いますが、たいていのスネア、特に打ち込みのスネアはそれだけでは足りなかったりします。特にアンサンブル、全体の楽曲の中でちゃんと抜けるスネアになりにくかったりしますね。
まず、スネアをSOLOにしておきます。スネア用のバス(ステム)側で、キック同様まずはフェーダーで音量をガツンと下げましょう。だいたい今のキックバストラックのと同じくらいの位置で良いです。(キックの調整で再生側の音量が爆音になってるので、そのまま再生すると耳がやられます。難聴になる、とかじゃなく曲のバランスを聞く耳が変になってしまいます。)

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私がよくやるのは、スネアトラック複製。EQで音に厚みを持たせようとしても音自体が大きく変わってしまうので、まず全く同じ音を複製してスネアの音自体を強調しちゃいましょうという方法。これ実は随所に使えたりして、どうしてもクリーンボイスより前にでてきにくいグロウル部だったりとか、「音が良くて変えたくないけどそのままだと前に出てこないリードギター」とかにも使えたりします。
私が普段使っているFXPANSION BFD3の場合だと、スネア(に限らずだけど)を複数同時に鳴らして音を混ぜたりしています。そこで、そのうち片方のスネアだけを複製して使い、もう片方はそのままで、みたいな感じにもします。

で、そのまま複製しただけだといらないところまで複製してしまいます。まず複製しない元トラックにはゲートをかけます。スネアで前に出てくる部分ですね。このゲートは元トラックに入れます。で複製した方はゲートをかけないでフェーダー下げ目で。複製なので逆でも良いですけど。スネアってけっこうリバーブをかけるんですけど、その前にスネアそのものの響きを残しておきつつ、スネアの必要な部分、アタックから少し後までを太くする形です。前回書いていた、ミックスでいじるのは基本的にバス(ステム)、例外は「同パート間の調整時」のみ、というのはこういうことです。
複数のトラックでスネアが分かれている場合は、ここで元トラックの音量調整もやってしまいます。スネアが「1つの音」として欲しい音により近づくよう、基本的にフェーダーを下げる方向で調整します。特に意図がなければ、分かれたスネアトラックの定位(パン)は全部センターで良いと思います。

基本となるスネアの音ができたら、バス(ステム)側に行ってそちらでスネア全体のサウンドを調整していきます。ここでまず、欲しいスネアの音をイメージします。打ち込みの時とか、今やったスネアの元トラック調整で、だいたいの方向性はもう決まっていると思います。ミックスって音をかなり変えたり調整できるんですけど、基本的な音の方向性は元トラックに依存しますので、元トラックの音作りもやっぱり大事なんですよね。

バンドサウンドのスネアにもいろいろあります。

✔️✔️✔️ Red Hot Chili Peppers - Californication [OFFICIAL MUSIC VIDEO] 🔥🔥🔥

BABYMETAL - イジメ、ダメ、ゼッタイ - Ijime,Dame,Zettai (OFFICIAL)

ストラトキャスター・シーサイド / Suspended 4th

あいみょん - マリーゴールド【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
適当に有名曲を載せてみましたが、それぞれのスネアの音、全く違っているのが分かるでしょうか。
例えばここで挙げたものだとレッチリはアタック強調型で高めの音、ベビメタは重くて響きが多め、Sus4はスナッピーが強烈、あいみょんはスタンダードだけど意外と重め、みたいな感じ。
バスドラ、タム等、シンバル類のバランスも含めて聞いてみるとドラム全体の音の作り方が聞こえて面白いと思います。別にここに挙げた曲である必要はないので、いろんなジャンル、アーティスト、年代などを。それらはそれぞれ音の作り方が違っています。それらを、好きな曲だけでいいので、違いを聞いてみると良いと思います。

で、自分の目指す方向に近い音でスネアの音を作っていくと良い感じです。元の音次第ですが、けっこうレッチリ、SUS4系の音を後から作るのは大変だったりします。重たくする方向の方が楽なので、元音の調整時に高めのアタックとかスナッピーとかが欲しいならちゃんとやっておくと良いかも。まぁある程度はミックスでも動かせますけど。
まずEQ。
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だいたい100Hz前後から下は要らないことが多いのでカットしてしまいます。響きとなるのが200Hz付近から500Hz付近で、ここは音の出方や後から他の楽器のバランスで調整。スネアの場合アタックは3kHzとかそのあたりです。少し上げると硬めの音に、下げると響きが残る音になります。8~10kHzあたりは倍音成分だったりしますが、あんまり強くしすぎない方が良いかも、という感じですね。音源によってオーバーヘッドやアンビエントマイクがあるなら、そちらにもドラム全体、特に上の方にあるものが入っていたりするので、後でドラム全体やってからまた調整とかもあったりします。

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それとリバーブ。スネアに単体のリバーブはだいたいで必須。強くすると80年代~90年代初期くらいの感じになります。今の楽曲だともうちょっとタイト。でもやっぱりリバーブは重要ですね。ある程度深めに、でもあまり長くない(ディケイ短め)が良いのかな。実際に音を聴きながら、自然かつ欲しい音に近づけるようにします。リバーブの深さは、Reverbとかのパラメータでもいいですけど、大事なのはDry/Wetのバランスなので、そこは重点的に。深くしすぎるとお風呂の中みたいな感じになります。リバーブのかけ方で全然違った風に聞こえるので面白いです。


X JAPAN 『Silent Jealousy』(HD)

DAHLIA

例えばこのように、同じX JAPANというバンド、YOSHIKIという同じプレイヤーでもドラムの音は全く異なります。サイジェラはけっこうリバーブ強め、ダリアは渇いているというほどタイト(でもスネアはタムよりはリバーブ入ってる)ですね。メインのスネアの、ハイハットと同時にスナップよりも腕の力でめいっぱい叩くYOSHIKIの叩き方の癖は同じだと思うのでこれは音作り(もちろんドラム自体の違いも)の違いででている音の違いです。
しかしこのDAHLIAって曲はレコーディングからミックスまで恐ろしくいろんな実験をやってる曲ですね…ギターのエフェクトとかパン振りとかも。元々エフェクティブで渇いた印象だったので載せてみようと思ったんですが、改めて聴いて思いました。
Silent Jealousyはデビューからの「X」の流れを集大成したような曲で、音作り的な側面では王道のジャパメタ的なサウンドです。一方DAHLIAは94年頃からプロジェクトが始まった「X JAPAN」ワールドデビューアルバムの筆頭曲。でも94年ごろのアメリカのシーンを考えると分かるんですが、メタル冬の時代です(実際それで世界デビューを遅らせた)。グランジ全盛からの流れで、KOЯNの1stが出たりした年。メタル的にはまさに試行錯誤の時代でした。Xってある意味保守的な音のイメージがあると思うんですが(メタル+クラシックだし)、Hideは当時の日本のギタリストの中でもトップクラスに世界的な音楽の最先端に非常に敏感だったりしたのと、特にDAHLIAのレコーディングはX的には火の車状態で、ちゃんと売れる物をつくらなきゃいけなく、シーンの潮流をかなり意識して作られていたと思われます。実際DAHLIAのHideパート(右から聞こえるギター)にはRATMのトム・モレロのような効果音フレーズやワーミーを使ったプレイが入っていたりしますし、超タイトで細かなキックの刻みや突き刺さるシンバル、フィルインを織り交ぜたフレーズはPanteraのサウンドとSlayerのフレーズをYOSHIKI流に解釈したような雰囲気があります。特にPanteraはあの時代のメタルシーンは重要な存在で、後のNU-Metalとそれまでのスラッシュメタルの間をつなぐような「最先端のメタル」の存在だったんですね。そしてPataとToshiはいつもどおり、新加入のHeathは職人。(いつもどおりだからこそXらしさがあるとも言えるので、それも必要です。)そういう各パートを聞いてみると、楽曲作りの面でYOSHIKIがHideの意見を積極的に取り入れていたであろうことが想像できたり、だからこそX内でHideの(特にYOSHIKIにとっての)存在の大きさも感じられると思ったりします。
…と、まぁこれが正しいかどうかは分からないんですが、ドラムの音作りやギターのフレーズなどから時代性も含めて考えると面白いですし、それなら今自分が作ろうとしているのはどんな方向にミックスしたら良いのか、などもイメージしやすいと思います。そう、正しくなくてもいいんです。自分なりのいろいろな解釈に従って、自分の作品を作っていくんです。

ミックスの話に戻りましょう。
スネアでもCLA Drumsのようなドラム用エフェクトを使ったりとかもよくあります。この辺は、欲しい音に近づけるならなんでも使っていくのが大事ですね。コンプを軽くかけたり、バスドラ同様L1やL2系のリミッターを入れるのも手ですね。

さて、スネアの音がだいたい出来上がったら、今はスネアがSOLOになっていると思うので、そこに先ほどのキックを追加します。キックとスネアでバランスを見つつ、スネアバス(ステム)のフェーダーを調整します。

○ハイハット
これでバスドラ、スネアがだいたいできました。
バスドラ、スネアときたら、ドラムの中でいっぱい鳴っているものはハイハットですね。もちろんタムとかライドの方が鳴ってる場合もありますけど。その辺は楽曲ごとに。
多くのバンドサウンドではキック、スネア、ハイハットの3点が基本になるので、ここでもその順にやっていきましょう。
ハイハットも前回、個別のバス(ステム)を作っていましたね。同様にここのフェーダーを下げて、まずはハイハットだけで音を作っていきましょう。
ハイハット自体のパン振りは、制作の段階でもだいたいされていると思います。やってない場合は、ここでパンニングをします。これはパート2でも書きましたが、ドラムのパン振りはだいたいの法則があります。もちろん自由な位置にやっていいんですが、聞きやすいドラムのパン振りはおおまかに2つ。プレイヤー視点かオーディエンス視点かです。
この記事中にここまでで載せた動画の例だと、DAHLIA以外は全てオーディエンス視点で、右側からハイハットが聞こえます。DAHLIAはかなり実験的で、オーディエンス視点なんですけどクラッシュ類を左右に振って、他のタムやハイハットは少しセンター付近に置かれています。ある意味センターハイハット配置に近い配置です。LRのギターをめっちゃ広く配置したかった意図が見えます。
ハイハットを右よりにして、右から左へとハイ、ミッド、ロー、フロアタムと並ぶのがオーディエンス視点です。逆に左にハイハットを置き、左から右へとタムが下がっていくのがプレイヤー視点。これはどちらが正しいとかはありませんが、今見てる限り、おそらく楽曲としてはオーディエンス視点の方がメジャーかもしれませんね。個人的にはプレイヤー視点好きなんですけどね、なんかドラムに囲まれてる感がイメージしやすくて…まぁそれはどっちでも良いです。好みに合わせて。もっとクレイジーにしても別にいいですよ。ハイハット真ん中、ハイタム左振り切り、ライド右振り切り、ミッドタム右より、フロアタム左よりとかね。それでフィルイン入れまくればいろんな音がいろんなところから鳴って楽しいかも知れない。けどまぁ、基本的なスタイルというのは一応あるので知っておくのは良いと思います。
あとパン振りの幅の広さ(どれだけ左右に振るか)もいろいろ変わります。同じく載せた動画を例にすると、BabymetalとSilent Jealousyはかなり広めです。メタルはなんか広いイメージありますね。この広がりは、ドラムからの距離感もあります。ドラムが目の前で鳴っている感じにするなら広くしたり、前にフロントマンや歌手がいてその後ろなら狭め、とか。左右の広がりが大きいとダイナミック、映画音楽的な感じになって、ドラムを真ん中よりにまとめるとバンドのライブ感がある、というのも狙いとしてあると思います。

まぁそんな感じで、ドラムのパン振りも好みに合わせてやるのが良いです。事前にパンを振っていなかったなら、ここでハイハットのパンを設定しましょう。これは元トラックでやっても良いかなと思います。バス(ステム)は、元トラックの設定があった上で、さらに他の楽器と後から調整したいときに動かす感じで。
パンが振れたらまたEQからスタートします。
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200Hzより下はだいたいいらないことが多いのでカットしてしまっても良いと思います(曲によります)。3~5kHzはハット自体の「シャ」って言う音の帯域…で伝わるかな、けっこう美味しいところです。上げればハイハットが前に、下げれば後ろに下がります。ここはヴォーカルとぶつかるところなので、ヴォーカルを合わせた後、ハットがうるさいなら下げたりとか、後からの微調整もしたりしますね。10kHz付近は響きの強さとか。ガレージロックみたいな上の方でずっとシーシー鳴ってる感じとかはこの辺使うとそれっぽくなったり。

Guitar Wolf 『環七フィーバー "Can Nana Fever" (Official Music Video)』
まぁガレージロック系の場合、ミックスでそれっぽくするというよりそもそもスタジオでマイク減らして一発録りなんでしょうけど...ミックスでやるならそんな感じ。

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前述のCLAでもOHにすることでシンバル系の調整できるんですけど、個人的にシンバルの音調整がやりやすい便利プラグインはこれ。JJP Cymbals and Percussions。CLAほどメジャーじゃなくて、バンドルだとCLA同様Signature Series Bass and DrumsMercuryみたいになってしまうのであんまり「これ使ってます」的なTips系ページってないんですけど、こっそり大声で言います。これめっちゃ便利です。どう便利かって、シンバル系に全部これ挿したくなるくらい、シンバルの音の調整が楽になります。ただしこれもCLA同様、プリセットまんまだと打ち込みっぽさが出ることもあるので、上手いこと調整したりすると良いです。音自体をこれで作るのではなく、例えば「シンバルを叩いた瞬間の“カン”という音がもうちょっと欲しい」とか、そういう使い方ができるのがめっちゃ便利です。

音ができたら、あとはバスドラ、スネアと同時に鳴らして音量のバランスを調整します。

○オーバーヘッド・アンビエントマイク
シンバル系とか、あとスネア、タムなどの音が録られているオーバーヘッドやトップ系のマイク。ここも含めて音色になったります。個人的にはあんまり大きく変えず、ゲートとローカットだけ、みたいなことが多いです。個人的にはそんなにいじらないですけど、シンバルトラックと考えてシンバル同様のEQで処理するのも1つのやり方かと思います。
私の場合はオーバーヘッドとアンビエントマイクを一緒にAmbバス(ステム)に送ってしまったりします。
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で、まとめてLA-2A系オプティカルコンプを軽くかける感じ。
そしてここもAmbバス(ステム)の音量を下げ、バス、スネア、ハイハットと同時に鳴らして音量バランスを調整します。先ほど書いたとおり軽くゲートを入れたりします。
で、この状態でバスドラ、スネア、ハイハットの音を改めて聴きます。OHとAmbが混ざったことで、若干音に違いがでています。これまで作った音からイメージが変わってしまっていたりした場合は、それぞれのバス(ステム)トラックに戻り、主にEQかな、を調整します。OHとアンビエントはセンターのままで良いと思います。
ハイハットのパン振りのことを書きましたが、OHもステレオトラックでドラムの各パーツのパンが振られた状態で録られていると思います。これが混ざることでもまた全体のパン振りが変わることがあるので、こちらももし思ったのと違うようになっていたら、ハイハットのパンを調整したりもすると良いと思います。

○タム
続いてタムです。タムはだいたい3つあります。パンク系とかクラシックロックとかだとタムはフロアだけということもあったり、ハイとミッドだけということもあったりしますが、だいたいハイ、ミッド、フロアとあるかと思います。もっと多いこともありますね。
タムはタムをまとめたバス(ステム)を作っていますので、それをSOLOにしてフェーダーを下げます。

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ここまでやってきたなら、流れはだいたい把握できていると思います。まずはスネアの時とおなじで、タムの音量バランスを、そしてハイハット同様、各タムのパン振りをします。
音量は、基本的に同程度となるように調整します。曲中のフィルインのところなどを重点的に聞きながら音量調整をします。タムはこの後バス(ステム)でまとめて音量が変えられるので、このときは例えばハイタムなど、どれか1つの音量に合わせて他のタムを調整すると良いと思います。
あとタムで大事なのがゲートです。
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思った以上にタムは長いこと響いていたりします。楽曲で聞こえるタムの音って、ハイタムならポコポコ、フロアならドンドンって感じなんですけど、これが処理前の音ではハイタムはポコーーーーーン、フロアはドゥーーーーーーーンとかなり長く鳴っていたりします(ドラム音源によっては先に処理されていることもあります)。それが混ざって音が濁るので、タムの音もしっかりとゲートをかけて必要なところだけを使うようにします。言うまでも無く、意図があってゲートをかけないやり方もありですよ。ライブステージっぽい感じにしたいとか、上に出てきたガレージロックのような感じにしたいとか。
ですが普通にバンドサウンドのCD音源みたいにするなら、タムはゲートをかける方が綺麗になります。ゲートはバス(ステム)でまとめてかけてもいいですし、響き方がそれぞれ大きく異なったり、バス(ステム)のゲートでうまくかからないなら、個別の元トラックに1つ1つかけるのも良いと思います。

タムの音については、タム1つ1つ調整してもいいんですけど、バス(ステム)でまとめてやって良いと思います。一体感も出るし。
タムの場合はこのとき、すでに調整しているキック、スネア、ハイハット、オーバーヘッド/アンビエントマイクも同時に鳴らすと良いと思います。音量も適宜合わせながら。なぜかというと、ドラムは「3点」という言葉があるように、キック、スネア、ハイハットが軸になっています。基本的には。で、タムはこの中でも特に太鼓系、スネアとキックの間を橋渡しするものです。また位置的にOHとかにもけっこう入っていますので、合わせた状態の音を確認しながら音を作る方が早いです。
音作りはもちろん自由ですが、自然なバンドサウンドのドラム感を出すなら、タムはバスドラの音の延長で、スネアよりもバスドラムよりの音色にします。音程じゃなく響きとかの話ね。で、フィルインが綺麗に繋がって聞こえるように調整します。
これまで載せた動画のように、実際に出ている曲のドラムの音を聴いてみて、こういう流れになってるんだなというのを参考にすると分かりやすいですね。もちろんここにもCLA等使うのはありです。

まずはEQ。
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タムはローとあとミッド付近をちょっとカットします。で、必要なら高域をちょっと上げたりすると良くなったりしますね。100-800Hz位の範囲で中域があったりするのでそのへんはタムの欲しい音や方向性に合わせて音を聞きながら調整します。なんかここいらない音が鳴ってる、と感じるあたりはカットで。
メタルの場合、タムにもL1やL2をかけて重たくしたりします。メタルのドラムって、スネアは抜けるんですけどタム~キックまで全部ドカドカなって音程感があまりないくらいにしても良い感じになりますね。

○その他シンバル
ライド、クラッシュ等のその他シンバルは基本まとめて良いと思います。ここもタムと同じ考え方でやります。
その他シンバルをまとめたバス(ステム)をSOLOにしてフェーダーを下げ、各シンバルのバランス、定位を調整します。
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タムと同様ですが、シンバルの場合は多少音量差があってもそのままでも意外と大丈夫。あんまり1つだけが突出しているとそればっかり目立ってしまうとかはあるんですが、タムほど音量はしっかりそろえなくても良いです。むしろ多少音量差がある方がドラム全体が平坦になりにくいかもしれません。これもすでに調整した他のパーツをONにして、ドラム全体でバランスを見ると良いと思います。
で、EQ。
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3~5kHz付近の高域が強いと刺さるようなサウンドになります。ヴォーカルと被る部分は抑えましょう。これは後から調整で良いと思います。低域はけっこう、200~400Hzくらいまでばっさりカットでもいいですし、それで寂しくなれば少し残しても良いかと。さらに上、8~10kHzあたりを強くすると、ヴォーカルの上にシンバルの音がずっと鳴ってるような「密度の高い」ロックンロールなトーンになったりもしますね。
もちろんここにもJJP等入れて良いです。JJP便利すぎて、個人的にはだいぶ使ってます。
あとメタル系の場合は、シンバルはちょっと地味目に調整すると良くなったりします。アタックは抑えて。なぜなら全体の音圧が高めになるので、シンバル強くしすぎると他が圧迫されるんですよね。この辺も実際の楽曲を聴きながらバランスや音色を研究すると面白いです。

これで、各ドラムパーツのバランスがだいたい揃いました。この時点でドラムサウンドに満足がいけばそれでOK。もうちょっと足りない、という場合は少しいじってみましょう。

前回作ったバス(ステム)では、キック、スネア、タムをまとめた太鼓系のバス(ステム)があります。
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例えばここに、1176系コンプをかけてやって音に迫力を出したりも出来ます。CLAなどのドラム用プラグインを使っている場合は、ここでさらにコンプをかけるとやりすぎる場合もあるので、その辺は実際の結果次第で。あと軽く歪みを足してやる場合もあります。歪みを足す場合なんですが、トラック自体に歪みを入れると音が濁りすぎることがあるので、「クリーンミックス」で歪みを足します。
どうするかというと、まずFXトラックを作ります。
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そこにテープ系とか歪みのエフェクトを入れます。歪みといっても、ギター用ディストーションとかギターアンプとかではありません。ギターの歪みって、クリーントーンが完全に違う音になりますよね。あんな歪み方はミックスではさせません。この場合の「歪み」は、ギターでいえばクリーン~クランチまでいかないくらい。真空管アンプが歪み始めるのが分かるか分からないかくらいです。レンジマスターの高域成分とか、あとはファズをかけてヴォリュームを絞った時のクリーンとか、そういうレベルを「歪み」と言います。それくらいに設定して、太鼓のバス(ステム)からSENDします。
そして、今作った太鼓用FXトラックをドラム全体のバス(ステム)に戻してやります。すると、「クリーンミックスした歪み」ができます。これを少し混ぜてやって、より迫力を出したりもします。

また、ハイハットとその他シンバルをまとめた金物系バス(ステム)も作っています。
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こっちも必要ならエキサイターとかで高域を強めに出したりとか、倍音を強調するような感じもあり。密度の高いロックサウンドとかだとけっこう良い感じになったりします。
また、太鼓のところと同様、FXトラックを作って、そこにコンプレッサーとかを強めにかけたりしてドラム全体のバス(ステム)に戻したりとか。これも厚みが欲しいならそういうのもありですね。

○ドラムバス(ステム)
最後に、ドラム全体。一般的なスタイルに合わせるなら、ここに「バスコンプ」を入れるのは正攻法です。
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SSLとかDBXとかがよくあるドラムバスコンプと言われるもの。言われるだけあって、ドラムに合った音になりやすいです。
あと面白いのがこれ。
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Waves Torqueというプラグインで、バンドルでいえばMercuryにしか入っていないんですけど(単体で買うこともできます)、ドラム全体に「キーを持たせる」という感覚のプラグイン。ドラムのピッチを曲のキーに合わせてくれるというもので、楽曲とドラムの一体感が出しやすくなります。まぁドラムのここまでの調整がちゃんと出来ていればそこまで大きくは変わらないですし、必須というわけではないんですけど、あんまり他に無くておもしろいので紹介してみます。
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そして、必要ならドラムサウンドをアナログっぽくするテープエミュレーターを入れたりします。
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そして、忘れてはいけないのが全体のリバーブFXへのセンド。ドラムを置きたい位置…バンドだと一番後ろになると思いますが、そこに設定したリバーブFXにSENDします。送る量は実際に音を聴きながら、ドラムの音が霞まない程度にします。

最後に、ドラム全体の音量を調整します。基本的にキックの音に合わせて調整されているので、だいたいは大丈夫だと思いますが、プラグインをいろいろ入れていく間に音量が大きくなってしまっていることがあるので…ドラム全体で-6~-8dB程度に収まるよう、ドラムバス(ステム)のフェーダーで音量を調整して、ドラムの基本的な設定は終了です。

後から他のパートを入れた時、被っているところを調整しにEQ設定を追加したりはすると思います。
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他に後からやるものとしてはトランジェント系。パート3で載せた、アタックとサステインを個別に調整できるやつ。これはドラムバスに入れるよりも各パーツに必要なら後から追加する感じがいいかと思います。例えば、全パート調整してみて、後からスネアのアタックがもうちょい欲しいとか。そういう時に、スネアのバス(ステム)にこれを入れてみたりとかすると、楽曲全体で調整できます。が、ドラムだけのミックスの段階ではまだ使わなくて良い、というか使わない方がいいですね。「後から使える」余地を残しておきましょう。
それと、オートメーション。やり方はそれぞれありますけど、私はオートメーションは最後にやりますので、ここではまだ特にいじりません。
基本的にこれドラムトラックは大丈夫と思います。

○トリガー音源
私はあんま使わないので、今回の流れには入ってませんが、トリガーを使ったプレイを自宅で作る場合。本来はリアルドラムとかエレドラに使うやつで、なんか「リズムマシン」みたいな音をドラムから出したりします。

AA=×Masato(coldrain)+Koie(Crossfaith) - FREE THE MONSTER (Official Music Video)
こういう感じの音(この動画めっちゃうるさいから音量注意)。打ち込みじゃなく、生ドラムと、それをトリガーにした音源が両方混ざってる音ですね。そう、生ドラムと「混ざってる」のがポイント。これを打ち込みでやるとしたら、トリガー=サンプル音源なので、それだけで打ち込めばいいじゃん、って思うじゃないですか。でもそれだと、ほんとただのドラムマシンみたいになってしまったりします。
よりリアルにするなら、ここまで作ってきたドラムの各パートの音に対して、SLATE DIGITAL TRIGGER2を使ってトリガーを発動し、トリガー音を鳴らします。なので、先ほど太鼓とか金物用に使ったFXトラックと同じ感じで、各パーツ分FXトラックを作ってそれぞれ、キックとかスネアとかタムとか…からSENDしてやり、そこにそれぞれTRIGGERを入れます。
そして、各パーツ分のTRIGGERを入れたFXトラックをまとめたバス(ステム)を作り、TRIGGERの音全体のバランスを取り、ドラムバス(ステム)との音量を調整するとよりリアルになります。その場合、さらにDrum+Triggerという合わせた後の全体リズムバス(ステム)も作っておくと、リズム部分のみをまとめてフェーダーで音量調整ができるので良いと思います。

  • ベースパートのミックス

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続いて、ベースパートのミックスに行きます。
まずはベース単体の音色を調整。ドラムの時同様、ベースをSOLOにして、ベース用バス(ステム)のフェーダーを下げておきます。
で、基本的なベースの音を作ります。打ち込みや録音の段階で、ベーストラックにアンプシミュレーターはかけられているものとします。もしかかっていなかったら、アンプシミュレーターもかけてやると良いですね。
クリーン~軽めの歪み程度なら大丈夫ですけど、もし深めに歪んだベースの音を作りたいなら、クリーントーンのベースからFXトラックを作ってそこにアンプシミュレーターを入れておくと良いです。ミックスでアンプシミュレーターを使いたくないなら、その時点でアンプシミュレーターFXトラックもWav化して、ベーストラックをクリーンベースと歪んだベースに分け、両方をベースバス(ステム)に送っておくと良いです。ベースバスって言いにくいな…でもBassバスだと余計分かりにくいし…w

ベースの元トラックは基本的に触らなくて大丈夫ですが、今書いたようにクリーンベースと歪みベースのトラックを分けるなら、それぞれの音量調整を先に行います。これはスネアとかの時と同じですね。
ベースの音は、けっこうその元トラックの段階でだいぶ作り込むことが多いので、私の場合はあまりミックスでやることがありません。
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とりあえず入れるのがWaves BassRider。バンドルだとHorizon以上に入ってるやつですね。これはベースの音量差をプラグイン内のフェーダーで調整してくれるやつ。ベースは低音でけっこうパワーがあるので、音量差があると全体のミックスに影響することがあります。ベースが小さいところだけ他の音が大きくなったりとか。まぁ打ち込みのベースだとほとんどないんですけど、一応保険として毎回かけていますが、別に使わなくても問題ないです。あんまり音量差があるようなら、元トラックにオートメーションを書いて音量調整するのもありです。オートメーションを書くっていうと大変そうですが、全体を通して聞きながら、ここ音量でかいな、とか小さいなってところを補正してやるだけです。特に打ち込みベースだと音量差はほぼないですし。
あとリミッターを使うという手もあります。あんまりベースが大きくなるところだけ音量をカットするため。アウトプットレベルは上げないようにしましょう。

で、ベースの音量の動きを整えたら、音の調整です。
EQを使う場合は、100~300Hz付近をメインに調整し、ローエンドはけっこうばっさりカットして良いです。バンドサウンドのエレキベースなら100Hz以下はほぼカットでも問題ないくらいの音になると思います。あとは他のパートを入れた時にかぶるところ…例えば120~150Hzあたりにあるギターの低音ミュートの音とかをどの程度優先するかでEQを調整してやれば良いと思います。スラップだと倍音成分を強調してやったりしても良いですね。


Unprocessed - Haven (Official Video)
こういうDjentとかだと、キックとベース、そしてギターのミュートが一体化して音の厚みを出しています。ギターはかなり上の方だけがあって、ベースはそんなに歪ませず、でもたぶんコンプかL1/L2系リミッターとかをかけて分厚く平坦にしています。ギターのミックスは少し先の話になりますが、ギターとベースで帯域をバツンと分割してやって、ギターを大胆にローカット、ベースの上の弦、みたいな感覚で作るとそれっぽくなりやすいです。キックはベースの下の弦みたいな感覚で。このとき、100~300Hzあたりを強めに出すだけではなく、3kHz前後にある倍音成分もしっかり出してやると、ベースが際立ちます。で100Hz以下はキックに任せて全カットでもいいくらいです。Djentみたいなリズミックな音の壁はほとんどベースと考えても良いです。このときギターの音作りとベースの音作り自体もほとんど同じ傾向の音でやると、さらに一体感が増しますね。

あとWaves Eddie Kramer Bass Channelみたいなベース用マルチプラグインエフェクトなんかも、ドラムの時のCLAやJJP同様「あとちょっとこうしたい」みたいな時に便利ですね。

そしたら、ドラムのバス(ステム)とベースを合わせてみましょう。まずはドラムに合わせてベースの音量を調整します。だいたいの目安で、ドラム+ベースで-4~-6dBくらいが良いかなと思います。変に音が被っていたりするところがないかとかを確認、あればベース側かドラム側、どちらかのEQでかぶりを軽減します。
ベースにも、後から必要ならトランジェントシェイパーを入れるのも良いと思います。
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最後に、リバーブにSEND。これはドラムがSENDしたリバーブより前、ヴォーカルより後ろの、真ん中らへんのリバーブにSENDしましょう。ドラム同様、お風呂の中みたいにならないよう、原音からほとんど変わらない程度にSENDします。
 
ということで、今回はドラムとベース編でした。ちなみにこの、ドラムとベースだけを聞いて、ちゃんと「音楽になっている」状態であることはとても重要。もちろん上物は無いから少し寂しくはなるものの、これだけでもちゃんと楽しめる状態になっているか確認しましょう。特に聞いていて飽きてくるとか、展開が全然分からないとかだと厳しいです。「あ、ここAメロが入りそう、Bメロに変わった、ここはサビかな」というのがだいたい分かるように出来ていれば、曲全体の盛り上がり感(グルーヴ的な)をリズムでコントロールできているということになります。メロディラインだけでやろうとしてもなんか物足りない感じになるので、もしそういう状態なら、いったんアレンジまで戻ってやり直し、打ち込み直したものをWav化して変更したトラックの音を差し替えれば、それで大分変わります。Wav差し替えなら、ミックスの再調整も基本いらないと思います。

では、次回はヴォーカル編にいきましょう。
toy-love.hatenablog.com


パート1はこちらから
toy-love.hatenablog.com


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