Ibanezから新しく発売された、多機能なアナログディレイペダル「Ibanez ES2 Echo Shifter」。このペダルを、早速レビューしてみようと思います。
では、いってみましょう!
Ibanez ES2 Echo Shifter
こちらが、そのES2です。見ての通りのレトロなデザインで、機能性も高いアナログディレイですね。
サイズ比較。BOSSペダルやStrymonと比べると縦が長めです。そこそこ大きいですが、大きすぎるってほどではありません。良い雰囲気のペダルです。
まずはノブ。このペダルにはFeedback、Mix、Depthノブが搭載されています。Depthはモジュレーションのコントロール用です。
ディレイタイムは、中央の大きなフェーダーを使って調整します。最大で1000ms、つまり1秒間のロングディレイに対応するアナログディレイとなっています。
また、フェーダーの左右にはトグルスイッチを搭載。左側はOscillationスイッチで、ONにすることで即座に発振させることができます。右側はModulation。モジュレーションディレイのON/OFFに使います。
そしてフットスイッチが2つ。左側でエフェクトのON/OFFを、右側でディレイタイムを決めるタップテンポの入力を行います。つまり、タップテンポ対応で最大1000ms、さらに発振とモジュレーションのスイッチを搭載したアナログディレイペダルということですね。非常に機能性が高く、ほぼ必要なものは揃っていると言っても過言ではありません。
入出力はシンプルに、インプットとアウトプット、あとアダプタ端子のみ。ステレオやドライアウト、エクスプレッションペダルなどには対応していません。そのあたりが必要なら、JHS Pedals The Pantherのようなさらに多機能なモデルを探すと良いと思います。あくまでペダル単体で、モノラルのまま使うなら、このES2の機能性は非常に高いです。
ペダル裏側はこんな感じ。ゴム足が付いていますが、ここのネジはゴム足だけを止めているので外してマジックテープを付けても問題ありません。ただ、その場合は電池ボックスのネジがあるのでそれも外す必要があります。アダプタ駆動でボードに固定するなら、電池の蓋ごと外してマジックテープを付けても良いかもしれませんね。
電池ボックスを開けるとこんな感じです。電池への接続はスナップです。
筐体を開けるとこんな感じです。筐体は、上面のネジ4つと奥のネジ1つを外せば開きます。真ん中のゴム板は電池のクッションです。
ゴム板の裏にはCMOSチップが2つ並んでいました。
そして5つのトリムポット。ユーザーで調整する部分ではありません。
インプットには何か銅板が貼り付けてありました。GND的な何かでしょうか。
フットスイッチは、基板上のスイッチを押すスタイル。機械式っぽい見た目ですが、電子式のスイッチです。
そして、基板の上面がこちら。表面実装チップを使って作られていて、いくつか大きなチップが載っています。
まず一番大きなチップ。これはCoolaudioのV3205DというBBDチップですね。今、世界で最も多く使われているBBDはこのCoolaudioのチップだと思います。
そしてもう1つ。小さめのチップはV3102DというBBD。2種類のBBDを2つずつ搭載し、1000msのロングディレイを実現しています。
中央のフェーダーを挟んで逆側にはDSPチップ、ADAU1701とメモリーチップ24AA128を使ったデジタルセクション。このペダルでデジタル部というとタップテンポの処理部だと思われます。
ノブ周りにはすごい細かなパーツがたくさん並んでいます。
というわけで、写真はこのくらいです。間違いなくBBDを使ったアナログディレイだということが確認できました。作りはスタンダードなエフェクターという感じで、筐体も非常に堅牢そうですね。
では、レビューの方行ってみましょう!
- 操作性
いわゆるスタンダードなアナログディレイ・・・古くはDM-2やDeluxe Memory Man、最近だとCarbon Copy Analog DelayやEkko616、Aqua-Pussといったモデルと比べると、少しだけ違いがあります。
それは言うまでも無くフェーダーの存在。このフェーダーによりディレイタイムを感覚的にコントロールできるため、ノブでディレイタイムを決めるモデルよりも使いやすいです。特に最大1000msと長いディレイタイムに対応しているので、ここをフェーダーにしたのは素晴らしい決断だと思います。また、このフェーダー部は足で動かして使うこともできますね。
各機能については特に迷うことも無いと思います。初めてのディレイペダルとしても、マニュアルを読めばきちんと動作が分かりますし、慣れている人ならマニュアル不要で、一目で機能を理解できる形となっています。
サイズは少し大きめなので、人によってはボードに入れるのに苦労するかも知れません。ただ入出力端子が全て奥にまとめられているので、左右に入出力のあるコンパクトペダル比べても、横幅は同じくらいで入ると思います。重さは600gということで、軽くはありませんが特に重すぎるような感じもなく、サイズと合わせてみると丁度良いところだと思います。
- サウンドレポート
では、音の方いってみます。まずはいつも通り、サンプルサウンドをいくつか録ってみました。
サンプルサウンド
- ディレイサウンド(モジュレーションなし)
(聴けない場合はこちら)
- ディレイサウンド(ディレイタイム最小〜最大)
(聴けない場合はこちら)
- ディレイ発振サウンド(Feedbackコントロール最大、OscillationスイッチOFF)
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- モジュレーションディレイサウンド(Depthコントロール11時)
(聴けない場合はこちら)
- モジュレーションディレイサウンド(Depthコントロール11時、ディレイタイム最大)
(聴けない場合はこちら)
- モジュレーションディレイ/発振サウンド(クリーン→モジュレーションディレイ→OscillationスイッチON)
(聴けない場合はこちら)- 録音環境
ギター:Ibanez j.custom RG8420ZD フロントPU(Seymour Duncan SH-2)
アンプ:Koch Classic SE C-SE6C クリーンセッティング
音はこんな感じです。IbanezペダルということでギターもIbanezで。このギターでクリーンが一番きれいな、フロントPUの音で録ってみました。
まず普通のディレイサウンドですが、アナログらしい自然な減衰が特徴。しかしディレイタイムを長くできるように作られているためか、短めのディレイタイムだと、例えば古いDM-2(レビュー記事)と比べてクリアめの音に調整されていることが分かります。
その分、1秒のディレイタイムに設定すると大きく音が減衰するのも分かるかと思います。
また、モジュレーションですがDepthノブの可変幅がかなり広く、最小にすればModulationスイッチをONにしてもモジュレーションはかからず、最大にすればピッチが揺れ動く強いモジュレーションをかけることができます。また、ディレイタイムによっても揺れ方が変わり、長いディレイタイムだとより強いモジュレーションとなります。この2つは相関しているので音作りの際には合わせて調整すると良いかと思います。
そして発振。アナログディレイらしくしっかり発振します。OscillationスイッチがOFFでも、Feedbackノブを最大にすれば発振させることができ、またディレイタイムの可変幅が長いため、発振中に最短〜最長のディレイタイムにいっきに動かすとすごい音が出ます。一方でOscillationスイッチですが、これはFeedbackがどんな設定になっていても、ONにした瞬間Feedbackが最大に設定され、またすぐに発振を始めます。
このペダルの発振は少し抑えめに作られているため、発振させるとすぐに音量が上がりすぎてしまうようなこともなく、ディレイタイムを動かさなければ発振状態でも一定の音が鳴り続けます。その状態でディレイタイムを動かすと様々な効果が得られます。最後のサンプルはそんな感じで、弾きながら足でOscillationスイッチをONにし、同じく足でフェーダーを動かしてギターサウンドの後ろに発振音をミックスしてみました。
タップテンポは、入力したテンポがそのままディレイタイムとして設定されます。4分音符で入力すれば4分音符のまま出力される形となります。最近の多機能ディレイだと入力に対して出力されるディレイタイムの割合を変えることもできますが、このペダルではそれはできません。とはいえ、完全なアナログディレイでタップテンポがついているだけでも非常に素晴らしいことだと思います。
スタンダードなディレイサウンドはもちろんのこと、さらに変わった音も簡単に作れて、機能性も豊かで手頃なディレイペダル。さらにデザインも素晴らしいペダルです。これは今後、また新しいアナログディレイの定番ペダルの1つになっていくのではないかと思います。とても良いペダルです。
サンプルムービー
サンプルムービー2
サンプルムービー3
サンプルムービー4(ベース)
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