数あるエフェクターの中から、定番ペダルを振り返ってみる特集。前回は多機能モジュレーションペダルをいろいろ見てみましたが、今回はアナログディレイを見てみようと思います。
ディレイペダルは、歪み系と肩を並べるほど人気が高く、非常に数も多いので、いくつかに分けて特集していきます。その最初となるのが今回のアナログディレイですね。アナログディレイは、その名の通りアナログ回路のディレイペダルです。ディレイの歴史は古く、1950年代頃にまでさかのぼります。
ディレイとは、遅延を意味する言葉です。音が遅れて聞こえてくることからディレイと言われています。原音に対し、時間をずらして音を再生することで、やまびこのような残響効果を得られるのがこのペダルの役割ですね。つまり、腹話術ができなくても、ディレイがあれば「あれ、声が、遅れて、聞こえてくるよ」なんてのもできます。
最初にディレイを楽曲に取り入れた人が誰かは定かではありませんが、Gibson Les Paul Modelで有名なレス・ポール氏がその最初の人物ではないかと言われています。まだテープが高価だった時代、彼はレコードを何枚も使って、ディレイ効果を出していました。レコードに溝を刻んだ先に再生ヘッドを載せ、遅延効果を得ていたといいます。後にテープレコーダー(といってもオープンリールです)に再生ヘッドを追加することで、テープエコーの原形のようなものも製作し、実際に使用しています。
実際に製品として作られたディレイエフェクトでは、初期には磁気ディスクを使ったディスクディレイや、レス・ポール氏のようにテープを使ったテープエコーなどがあり、その後BBDという遅延素子を用いたアナログディレイが登場します。そして、「記録」に関しては非常に強いデジタルを使ったデジタルディレイが登場。デジタルディレイは専用のディレイチップの時代からDSPによるコンピュータ化などを経て、アナログ時代には考えられなかったロングディレイを生み、アナログディレイは過去の遺物となりかけるほどになりました。
そして使われなくなったBBDは作られなくなり、BBD枯渇によりアナログディレイの製作ができなくなる、と騒がれたのが2007年ごろの話です。あのころは生産が終わった松下製BBDをストックしているブランドか、または自社でBBDを製作しているMaxonくらいしかアナログディレイの生産ができなくなるのではないか、と言われていました。
そんな折りに注目されたのがPT2399というディレイチップで、チップ単体デジタルディレイの処理を完結し、他は全てアナログ回路で組むことが出来るという、デジタルとアナログのハイブリッドなディレイも台頭します。同時期に、中国のCoolaudioというブランド(Behringerが立ち上げた?)によるBBDの生産がはじまり、今ではCoolaudioによるBBDチップが安定供給されるようになりました。それにより、現在は各メーカーから様々なアナログディレイが発売されています。
ものすごくおおざっぱにディレイの歴史を見てみましたが、単純に「弾いた音を繰り返す」というエフェクトでも、その構造や機能、味付けにより違った音色を作ります。では、今定番のアナログディレイを見てみましょう!
※「定番」に定義はありません。あくまで個人的な印象も含んでいますので、これが入っていない、これは定番じゃない、といったご意見もあるかもしれませんがご了承ください。メーカーのアルファベット順にご紹介します。また、一部定番ではない注目モデルもご紹介します。
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Feedback、Mix、Depthの3ノブに、フェーダー式のディレイタイムコントロールを搭載。OscillationとModulationスイッチにより、いつでも発振やモジュレーションをかけることが出来ます。さらに、タップテンポにも対応し、ディレイタイムは最大1000msと長く設定されています。いろいろな機能をぎゅっと詰め込んだモデルですね。
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コントロールはFeedback、Mix、Time、Speed、Depth、Subdivision、フットスイッチはON/OFF、エフェクトループのON/OFF、そしてタップテンポ。タップテンポは4分音符、付点8分音符、8分音符、3連符の4種類から設定可能です。入出力端子はインプットとアウトプット、ドライアウトを搭載し、タップテンポ、エクスプレッションペダル、エフェクトループのSEND/RETURNを搭載しています。タップテンポは、外部フットスイッチによるテンポ設定だけでなく、このペダルで設定したタップテンポを出力し、他のペダルと同期させることもできます。その際、内部スイッチでタップテンポ出力時の極性も設定出来るので、使っているペダルに合わせることができます。また、エクスプレッションペダルは全ノブを好きな組み合わせでアサイン可能。さらにミニスイッチでヴィンテージBOSS DM-2とEHX Deluxe Memory Man風の音色を切り替えることも可能。非常に多機能なアナログディレイです。
ビデオマニュアル(英語)
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基本的にBOSS DM-2をベースにしたモデルで、コントロールはDelay、Feedback、Blendとシンプル。20〜300msのディレイタイムに対応し、独特のディレイサウンドを作ります。
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タップテンポは4分、付点8分、3連符、16分で設定でき、Feedbackノブを長押しすればChase Modeというモードで、ディレイが5種類のリズムを刻みます。タップテンポスイッチも、長押しでシームレスディレイとトゥルーバイパスの切り替えが可能。とくにリズミックディレイはこのモデルならではの特徴といえそうです。
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と、いうわけで、各メーカーの様々なアナログディレイを見てきました。
シンプルにヴィンテージを再現したものから、使いやすさを重視した現代的なモデル、そして超多機能なモデルまでいろいろなモデルが出ています。個人的にはヴィンテージスタイルのモデルが好きで、冒頭の写真を見ても分かるとおりそういったモデルばかり(しかもあまり定番でないもの)をそろえてしまっていますが・・・特に人気が高いのはスタンダードなモデルだと思います。だいたい600ms前後のディレイタイムで、コンパクト、手頃でモジュレーションも搭載、といったモデルが特に定番と言えるのではないかと思います。
ONにしていつまでも弾いていたい甘くて暖かい音・・・それこそがアナログディレイの醍醐味だと思います。いろいろなモデルを試して、合ったモデルを見つけてみてください!
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