「標準的」「スタンダード」といわれる商品、そういったものはギターエフェクターにも当然あり、また、そのサウンドを好むプレイヤーは多いものです。しかし、そういったペダルには標準であるが故の問題点を抱えている場合もあり、また、そのサウンドにさらなる幅を求めるプレイヤーもたくさんいます。今回はそういった需要にこたえるべく存在する「モディファイド」「mod」といわれるエフェクターをいくつか見ていきたいと思います。
さて、エフェクターの世界において、「モディファイ」といえば必ず登場する2大ブランドがあります。「Keeley」と「analog.man」です。今回は、この2大ブランドの商品を中心に見ていきたいと思います。どちらもオリジナルのエフェクターを作ったりもしていますね。
- Keeley Electronics
主に歪み系エフェクターのモディファイを得意としています。特に、その「独自の観点」からモディファイされたエフェクターは、これまでにないレンジの広さやサウンドを持っており、ファンの方も非常に多いのではないでしょうか。
「素(Effects)を殺してしまう改造はしないし、集めるだけのエフェクターは要らない」というコンセプトの元、高品質なモディファイドエフェクターを多数発表しています。
【エフェクター】Keeley Electronics DS-1 Mod “Ultra” |
スティーブ・ヴァイとの共同開発で作られたというこちら。ULTRAと名づけられたスイッチによって、2種類のクリッピングが選べます。また、全体的にパーツをグレードアップして、DS-1らしい鋭く、歯切れのいいサウンド、そしてコントローラブルな部分を残しつつ、DS-1の弱点ともいえる低域の細さや音の潰れ方を直しています。
特にコードの分離感や音の太さ、そしてゲインの高さには目を見張るものがありますね。自然なコンプレッションで、チューブアンプに近いサウンドに仕上がっています。もちろんBOSS独特の音抜けの悪さも解消されています。元々のDS-1もいいエフェクターですが、やはり値段相応な部分がありますので、DS-1が好きだけど、もうちょっとなにか欲しい!という方には最高でしょう。
「ハイゲイン」というわけではないですが、ロックに欠かせないディストーションサウンドで、特に高品質でありながらスタンダードな歪みを求めている方には、非常にオススメできるかと思います。
【エフェクター】Keeley Electronics SD-1 Mod “5Ge Diode SW” |
【エフェクター】Keeley Electronics BD-2 Mod “Phat Tube” |
さて、こちらはそれらを解消したモデル、というわけです。ジャキジャキというか、ザラザラという感じの本来のBD-2の持つサウンドを残しつつ、素直なオーバードライブに仕上げた、という感じですかね。フルドライブっぽい音も出るそうです。
phat(ファット)スイッチがついていて、ONにすると絶妙に中低域を持ち上げる仕様のようですね。「図太い音」を求めるならばオススメはしないです。持ち上げるといってもほんの少しで、しかしそれが「真空管っぽさ」を演出する、というさりげないもののようですね。
どちらかというと上品な大人のオーバードライブ、といった雰囲気ですので、そういったものを求めている方には、5万も6万もするハイエンドペダルより、こちらをオススメしますよ。特にクランチサウンドには最高です。
【エフェクター】Keeley Electronics BD-2 Mod “Freak Fuzz” |
『Keeleyモディフィケイションの集大成といえるこのBD-2は、強烈に目を引く突き出た2本のゲルマニウム・トランジスターをDistortion回路の一部に組み込み、Over DriveでもFuzzでも無い新たな第3の歪みを提案します。』
というわけですが、うーむ・・・これは気になりますね。ミニスイッチの組み合わせを考えると、4種類のサウンドバリエーションがあるというわけですよね。どうやら上で挙げた、"phat tube"の進化版ということのようですが・・・。
どうやら右側のスイッチがPhat Tubeと同じPhatスイッチで、絶妙な中低域を出してくれるものですね。そして左側がSQUARE WAVEスイッチというようです。そのまま読むと、「四角波形」です。どちらかというとファズ寄りな、しかしファズにはない抜けの良さと、BD-2らしい鋭さを持ったサウンドということですね。これが「第3の歪み」なんでしょうね。ほんとに気になる・・・是非試してみたいですね。
奇才Keeley氏、渾身のTSモディファイ!keeley TS-9DX Mod “Franken Screamer” Flexi 4x2 |
まず目を引くのがトゥルー・バイパスにするために変更されたフットスイッチですね。従来の電子スイッチの部分から、9PINのDIPスイッチが飛び出しているのは、まさに「モディファイ」を感じますね。
中央のミニスイッチと、つまみの組み合わせで8種類の歪みが作り出せて、その全てが「使える」サウンドというのはさすがです。TS系ペダルは数あれど、「オリジナルTS808に近い」とか「ブースターとして」というのはよく見かけますが、「8種類の音が出ます」ってのはこれだけですね。すばらしいと思います。
【エフェクター】Keeley Electronics MT-2 Mod “Twilight Zone” |
ミニスイッチで3モードの歪みを選べます。もともとレンジの広い3バンドEQを備え、メタル以外にも使えるMT-2ですが、それはこんなポテンシャルを秘めていたんですね。
オーバードライブは、多種多様なハンドメイドものにあふれていますが、ディストーション、ことにハイゲインに対応したものは、「結局どれも同じ、歪んじゃえばわからん」となりがちなためか、ハイファイなものって少ないように思います。しかしこれは・・・ハイゲインのみならず、ほぼ全てのディストーションをカバーするもので、それでいてメタルやヘヴィネスにも対応する、しかも音抜け、素直さを併せ持つという究極のディストーションではないかと思います。
上に載せました写真のリンク先で、右のものにはそのお店の店長さんによるインプレが書かれています。現状、在庫はありませんが(左の写真からのリンク先にはあるようです)是非、読んでみてはいかがでしょうか?
これは、一つ持っておきたいペダルだと思いますよ。
- analog.man
歪み系から空間系まで、多種多様なモディファイペダルをリリースするアナログマンです。
モディファイの内容は、「天才肌」のkeeleyに比べて、こちらはより一般的ですが、そのサウンドはすばらしく、また使いやすいものですので、よりスタンダードなものを考えている方はこちらの方が合うかもしれませんね。
PCI/Analog Man BOSS SD-1/808 Mod with Push/Pull Clipping Pot【smtb-ms】 |
そして・・・写真下の「with Push/Pull Clipping Pot」の方ですが、SD-1といえば「非対称クリッピング」ですが、こちらはLEVELノブをPush/Pull式にすることで、Ibanez TS系の対称クリッピングサウンドをも作れるようにした、というモデルですね。LEVELノブを引っ張るとTS系、押すとOD-1系ってことですね。OD-1やSD-1の持つ豊かな倍音、TS808の持つマイルドでクリーミーなドライブサウンド、その二つを一つのペダルで作ることができるなら・・・これは本当に最強のオーバードライブだと思います。どちらもすばらしいですが、とくにクリッピングが選択できるPush/Pullポット付の方は最高のクランチドライブではないかと思います。
【送料無料】ANALOG.MAN BOSS DS-1/Pro Mod【smtb-TD】【yokohama】 |
前述のKeeley ULTRA modに比べて、よりオリジナルに近いサウンドとなっていますので、「DS-1の音」を太くしたい、と考えている方にはこちらの方がオススメです。
【トレモロ】ANALOG.MAN BOSS TR-2 Tremolo Mod |
【送料無料】ANALOG.MAN BOSS MT-2 Metal Zone Mod【smtb-TD】【yokohama】 |
- 他モディファイものいろいろ
【エフェクター】Freedom BOSS SD-1 F.G.R MOD. 【受注生産品】 |
このF.G.R MODはザック・ワイルドも使用していることで知られていますね。ジャックと配線材の交換、本来の歪みにかかわる部分には触らず、抵抗を一部交換することで、音質全体の底上げに成功しています。倍音豊かでマイルドなサウンドが必要で、「最高品質のSD-1」をお探しの方には、これはピッタリですね。
【エフェクター】Freedom BOSS BD-2 F.G.R Mod. |
【即納】【送料無料】 Shin's Music PERFECT VOLUME STD |
こちらはshin's musicというけっこう有名なエフェクターメーカーさんによるヴォリュームペダルなんですが、もうほとんどオリジナルものと思っていいと思います。ケースはアーニーボールのヴォリュームペダルを流用していますけどね。
ポイントtoポイント配線を行い、パーツもよりハイファイなものを使うことで音痩せを最小限にとどめることができます。「音を変える」エフェクターならばハイファイなものを使えばいいってもんでもないんですが、こちらは音を変えずに出力をしぼるためのペダルですから、できるだけハイファイなものを使った方がいい、という考えなんでしょうね。
使いたいけど音痩せが気になって・・・という方、是非お試しを。
こんなもんでしょうか。世の中にはまだまだモディファイの工房はたくさんありますし、また、それぞれが持っているエフェクターをより使いやすくする、という点でも、モディファイは非常にオススメです。なぜかオリジナルにこだわりがちな日本人ですが、たとえばTS系で自分に合ったのドライブを探すならばTS9をモディファイしてみる、というのは一つの方法だと思います。
なんか壁があるように思いがちなモディファイですが、一度その世界を覗いてみると価値観が変わるんではないかと思います。