PCを使って音楽を製作するDTMというスタイルが一般的となり、そのための様々なソフトウェアやハードウェアが各メーカーから出てきています。
以前はDTMというとPC上でのみ音楽を作るようなイメージもあったりして、ジャンルとしての「DTMミュージック」のような音楽はそのほとんどがエレクトロニカをはじめとするシンセサイザーを基調としたものでした。
しかし今では、旧来の「DTM」という括りは狭義としてあるものの、PCを使ってバンドサウンドや楽器を録音したりするのが個人製作はもとよりプロフェッショナルにおいても当たり前となっていて、もはや「PCを使って音楽を作る」ということ自体に特別なことはなくなっています。ソフトやハードの機材にしても、旧来のDTMとその他のジャンルにおいて違いは全くありません。ソフトシンセも使うし、DAWソフトも使います。その中でどういったソフトを使うかの選択はジャンルの違いではなく、スタイルの違いという形になっています。例えば最近だとVocaloidがソフトシンセとして人気ですが、ジャンルとして見るとVocaloidのヴォーカルを中心としたものがボカロと呼ばれるジャンルだとして、他のジャンルでVocaloidを音の一部として使うことも特別なことではなくなってきている、といった感じです。
DTMの大きな特徴として挙げられるのが、その自由度の高さです。ハードウェアな機材もいろいろありますが、ほとんどがソフトウェア上で解決してしまうDTMですので、PC1台分のスペース内にドラムやベース、ギター等の楽器から各種エフェクトやシンセサイザーといった、それぞれを個別に集めると大きなスタジオが必要になるようなものをバーチャルで使うことができるのが最大の特徴と言えます。
そして、そういった音源(楽器のシミュレーター)やエフェクト(エフェクトのシミュレーター)はプラグインソフトと呼ばれ、メーカー品から個人製作までさまざまなプラグインソフトが溢れています。
さて、そういったプラグインソフトですが、PC上で動作する以上、基本的にCPUのパワーを使ってエフェクトをかけたり音を出したりします。
しかし、スタジオクラスのエフェクトを多数使ったりするとどうしても動作が重たくなったりソフトが落ちたりしてしまいます。そこで考え出されたのが、プラグインソフト専用のプロセッサ(DSP)をPCに搭載して使うという方法。これ自体は、例えばPro Tools HDという業務用のシステムでは当たり前ですが、個人向けではなかなか無かった方式です。
「Universal Audio UAD-1」は、まだDTMが個別のジャンルとして確立していた時代にプラグインソフト専用のDSPを搭載したPCIカードとしてリリースされました。1つのスロットに1つのDSPというスタイルで、使う環境に合わせて複数枚のカードを使うという形のモデルです。
その後2009年には、DSPをアップグレードし、さらに1枚のPCIカードに複数のDSPを搭載するモデルをラインナップする「UAD-2」が登場。そして今回、そのUAD-2のラインナップが一新されることになりました。これまでご紹介してませんでしたが、今後増えてくるスタイルのモデルだと思いますし、この機会にご紹介してみようと思います。
では、いってみましょう。
- Universal Audio UAD-2シリーズ
【DSPプラグインハードウェア】●Universal Audio UAD-2 OCTO CORE 【10月31日発売予定】 |
最初に、簡単なラインナップの説明をしておきます。Universal Audio UAD-2シリーズは大きく2つのスタイルに分かれます。PCI-eカードを使い、WindowsとMacの両方に対応したモデルと、外付けのハードウェアを使ったMac向けのモデルです。それぞれにDSP搭載数の違いでラインナップがあります。また、カードや外付け機器といったハードな部分だけでなく、付属するプラグインソフトの違いという形でのラインナップが「Core」「Custom」「Ultimate」という違いであります。今回のラインナップリニューアルで変わったのはこのソフトの部分のラインナップの違いとなりますが、今までこのシリーズについては書いていなかったので全モデルご紹介していきます。
また、全てのモデルには基本として、「Teletronix LA-2A オーディオレベラー」「UA 1176LN/SE クラシックリミッター」「Pultec EQP-1A プログラム イコライザー」「RealVerb Pro ルームモデラー」「CS-1 チャンネルストリップ」のAnalog Classicsプラグインエフェクトが付属しています。
- SOLO
Universal Audio UAD-2 SOLO CORE
【DSPプラグインハードウェア】●Universal Audio UAD-2 SOLO CORE 【10月19日発売予定】 |
- DUO
Universal Audio UAD-2 DUO CORE
【DSPプラグインハードウェア】●Universal Audio UAD-2 DUO CORE 【10月19日発売予定】 |
Universal Audio UAD-2 DUO CUSTOM
【DSPプラグインハードウェア】●Universal Audio UAD-2 DUO CUSTOM 【10月19日発売予定】 |
Universal Audio UAD-2 SATELLITE DUO CORE
【DSPプラグインハードウェア】●Universal Audio UAD-2 SATELLITE DUO CORE 【10月19日発売予... |
Universal Audio UAD-2 SATELLITE DUO CUSTOM
【DSPプラグインハードウェア】●Universal Audio UAD-2 SATELLITE DUO CUSTOM 【10月19日発売... |
- QUAD
Universal Audio UAD-2 QUAD CORE
【DSPプラグインハードウェア】●Universal Audio UAD-2 QUAD CORE 【10月19日発売予定】 |
Universal Audio UAD-2 QUAD CUSTOM
【DSPプラグインハードウェア】●Universal Audio UAD-2 QUAD CUSTOM 【10月19日発売予定】 |
Universal Audio UAD-2 SATELLITE QUAD CORE
【DSPプラグインハードウェア】●Universal Audio UAD-2 SATELLITE QUAD CORE 【10月19日発売... |
Universal Audio UAD-2 SATELLITE QUAD CUSTOM
【DSPプラグインハードウェア】●Universal Audio UAD-2 SATELLITE QUAD CUSTOM 【10月19日発... |
Universal Audio UAD-2 SATELLITE QUAD ULTIMATE
【DSPプラグインハードウェア】●Universal Audio UAD-2 SATELLITE QUAD ULTIMATE 【10月31日... |
- OCTO
Universal Audio UAD-2 OCTO CORE
【DSPプラグインハードウェア】●Universal Audio UAD-2 OCTO CORE 【10月31日発売予定】 |
このOCTO COREはAnalog Classicsプラグインのみが付属する基本モデルです。
Universal Audio UAD-2 OCTO CUSTOM
【DSPプラグインハードウェア】●Universal Audio UAD-2 DUO CUSTOM 【10月19日発売予定】 |
Universal Audio UAD-2 OCTO ULTIMATE
OCTO COREに、v6.3までのUADプラグインのうち、サードパーティによるBrainworx bx_digital V2 EQ、SPL Vitalizer MK2-T、Sonnox Oxford EQを除いた55種類のプラグインのライセンスが付属したモデルです。
というわけで、Universal Audio UAD-2シリーズのご紹介でした。
もちろん、これらのモデルを複数使ってさらにハイパワーな使い方も可能です。例えば最初にDUO CUSTOMを導入して、ちょっと足りないからSOLO COREを追加するような使い方もできますし、OCTO ULTIMATEとOCTO COREを使って16DSPで多彩なプラグインを同時に動かす、といった業務用的な使い方も可能。いろいろスタイルに合わせて選べる自由度の高さも、このUADシリーズ伝統となっています。
こういったプラグインソフトや拡張DSPといった形も、これから増えてくるんじゃないかと思います。
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