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最新プログラマブルスイッチャー事情2014 Part.1 〜4Loopまで

MOEN マオン Guitar Effects Commander GEC438 エフェクタースイッチングシステム Providence PEC-04
複数のエフェクトループを持ち、それらのON/OFFをプログラムして登録できるプログラマブルスイッチャー。以前プログラマブルスイッチャー特集をやりましたが、そこからまた新たなモデルが多く登場しています。
それほど派手なエフェクターではありませんが、ペダルボードの使い勝手を大きく変え、またボード自体の見た目にも違いの出るプログラマブルスイッチャーというペダル、特にペダルボードに載るコンパクトエフェクターの数が増えつつある今、非常に熱いエフェクトの1つだと言えるのではないかと思います。
今回は改めて、現在のプログラマブルスイッチャー事情を見てみたいと思います。けっこうな数があるので、3回に分けていきます。実際にまとめてみると、4Loopと5Loopを境に、なんとなくスイッチャー自体の趣や価格帯も大きく変わるような印象をうけましたので、今回はまず、4Loopまでのコンパクトなプログラマブルスイッチャーを見ていきましょう。
・・・とその前に、非常に簡単なスイッチャーの用語解説を載せておきます。
といっても、ループ(エフェクトループ)やプログラムやプリセット、バンクなどはだいたい分かると思います。それぞれエフェクターを接続するためのSEND/RETURN、ループのON/OFFの組み合わせなどを保存したデータ、そしてバンクとプリセットは、マルチエフェクターなどにも出てきますが、限りあるフットスイッチの数に、それ以上のプログラムを保存して呼び出すために使う、組(バンク)のことですね。
そして、ちょっと分かりにくいのがセパレートループまたは独立ループという概念。例えば5ループのスイッチャーがあるとすると、一般的に最もスタンダードなのはシリーズ(直列)5ループだと思います。インプットをI、アウトプットをO、SENDをS、RETURNをRとすると、[I SR SR SR SR SR O]という形で繋がっているループのことです。これが例えば、1つのセパレートループを持つ4+1の5ループの場合、[I SR SR SR SR O]という4シリーズループと、[I SR O]という1ループを組み合わせた物、ということです。そしてスイッチャーではそれらのON/OFFを一括管理します。こうすることで、例えば4ループの方をアンプの前、1ループをアンプのエフェクトループに入れて、それらをまとめてON/OFFしたり、4ループのインプットにバッファが入る場合、先に1ループの方にバッファをかけたくないエフェクトを入れ、その後4ループへと信号を流す、といった自由度が生まれます。デメリットとしては、直列5ループとして使いたい場合に、4ループのアウトプットと1ループのインプットを繋ぐパッチケーブルが必要となるということですね。
もう分かると思いますが、単純に5ループと言っても、[I SR SR SR SR SR O]や[I SR SR SR SR O][I SR O]という4+1、[I SR SR SR O][I SR O][I SR O]という3+1+1、[I SR SR SR O][I SR SR O]といった、3+2など、いろいろな分け方ができます。このセパレートループ、以前はフラッグシップ級モデルにしか付いていなかったんですが、最近は低価格なモデルでも見ることができるようになっていますので、覚えておくとシステムを作る際に非常に役に立つと思います。
また、セパレートループや専用の端子を使ってラッチ式スイッチ操作ができるモデルも多くあります。アンプのチャンネル切替などができる、と書かれているものの多くはこの機能ですね。MIDI機能を搭載している場合もあります。ラッチ式スイッチやMIDIで切り替えられる機能については、アンプやエフェクターなど、受け側の機器の仕様によって異なるところは注意が必要です。単純にラッチ式スイッチでアンプのチャンネル切替ができる、と書かれていても、アンプ側が対応していなければできません。
あとはダイレクトモードでしょうか。これは、プログラマブルスイッチャーをノンプログラマブルのスイッチャーとして使う機能で、各ループのチェックなどに使える機能です。他には、チューナーアウトを用いた一発ミュートチューニング機能などもあります。DCアウトプットを搭載し、スイッチャーに供給される電源を分けてエフェクターに出力する機能があるものもあったりしますね。
それから、リンク機能というものがある場合もあります。リンク機能とは、同じスイッチャー、または対応するスイッチャーを専用のケーブルで接続することで機能を増強するものです。大きく分けて2種類あり、単純に機能(ループ数やプリセット数)を加算するタイプと、シンクロといって機能は増えませんが、もう1つのスイッチャーからリモート操作が行えるものがあります。前者は複数のペダルボードを使ったり、単純に機能を増やしたいときに、後者はローディやテックなどによるリモート操作が必要な場合に使うことができます。
それでは、実際にスイッチャーを見てみましょう。

※ループ数順に、同じループ数ではメーカー名順にご紹介します。

  • 3Loop

Soul Power Instruments The Three

3ループでプログラマブル、そして手頃な価格というスイッチャーを切り開いたと言っても良い存在のペダルです。日本のハンドメイドエフェクターブランド、Soul Power Instrumentsのスイッチャーですが、ハンドメイド系ブランドのプログラマブルスイッチャーというだけでもかなり珍しいモデルだと言えます。
今ではそれほど珍しいスペックではありませんが、直列3ループで3つのプログラムを保存可能。さらにインプットバッファのON/OFFやミュート機能付チューナーアウト、ダイレクトモード、1発切替モードを搭載しています。デザインもハンドメイドエフェクターブランドらしい作りです。
サンプルムービー
イントロダクションムービー
 

  • 4Loop

AMT GR-4

ロシアのエフェクターブランド、AMTのシンプルなプログラマブルスイッチャーです。4つの直列ループと、2ループ+2ループでの独立をさせることもできるモデルで、チューナーアウトおよびインプットバッファの選択ができます。プリセットは4つで、2つのDC Outも搭載しています。
サンプルムービー
 

CAJ RS442II

Custom Audio Japan スイッチャ― RS442 II

Custom Audio Japan スイッチャ― RS442 II
価格:70,500円(税込、送料込)

このあたりのループ数の中では最高級モデルとなるのがこのRS442IIです。CAJのフラッグシップ級モデル、RS616をコンパクト化して作られたスイッチャーで、4ループ、4プリセットに加え、MIDIコントローラーとしても使用可能。MIDI用のエクスプレッションペダル端子も搭載します。外部スイッチやExt.Out、ミュート機能なども備えています。
 

Decibel Eleven Pedal Palette

アメリカの新ブランド、Decibel Elevenによる非常に多機能なスイッチャーです。4つのループの順序を自在に入れ替え、さらに2つの信号経路に分けてパラレルで使用することが可能。それらを128種類までプリセットできるというモデルです。さらにMIDIプログラムチェンジを送受信することもでき、多彩なバッファ機能も付いているというとんでもないスイッチャーですね。非常に自由度の高いモデルです。リンク機能もあります。詳しくは新製品紹介記事をみてください。
イントロダクションムービー(英語)
 

Decibel Eleven Switch Dr.

同じくDecibel Elevenのスイッチャーですが、こちらはループの順序入れ替え機能を無くした代わりに、MIDIを大幅に強化したモデルです。4つのシリーズループを128種類までプリセット可能で、さらに3つのMIDIチャンネルまでのプログラムチェンジ信号、最大2つのMIDIチャンネルのコンティニュアスコントローラー(CC)を同時に8種類まで、最大4種類のノートオンメッセージの送信も可能です。外部MIDIスイッチとしても使えるエクスプレッションペダル端子を搭載。本体を2つ、または3つ(この場合は3ループ)のラッチ式のスイッチとして使うことでアンプのチャンネル切替などにも対応できます。ダイレクトモードも搭載します。もちろんリンクもできます。
2013NAMM SHOWでの様子
 

Flex Reaction Compound 44

タイのハンドメイドエフェクターブランド、Flex Reactionによるコンパクトな4ループプログラマブルスイッチャーです。4つのシリーズループに、4つのプリセットを割り当てることのできるシンプルなモデルで、コンパクトエフェクターと変わらないサイズで作られているのが特徴です。
サンプルムービー
 

G-Lab GSC

ポーランドのオーディオルーティング系ブランド、G-Labのプログラマブルスイッチャーです。
4エフェクトループ、30プリセットのプログラマブルスイッチャーで、リレー式のトゥルーバイパスを採用。ミュートチューニング機能や2系統のラッチスイッチ、3台までのMIDI機器をコントロールできる機能を備えています。リンク機能も搭載。
 

Moen GEC438

Moen GEC438 Guitar Effects Commander

Moen GEC438 Guitar Effects Commander
価格:20,820円(税込、送料込)

中国のエフェクターブランド、Moenによる多機能なスイッチャーです。
このペダルは、4つのループを備えていて、そのうちの3つを好きな接続順で並び替えてプリセットでき、8つまでのプリセットを保存できるというモデルです。エフェクトループを自在に並べ替えられる手頃なプログラマブルスイッチャーとして、革新的なモデルとなったペダルですね。バッファのON/OFFも可能です。
サンプルムービー
 

Providence PEC-04

日本の有名なオーディオルーティング系ブランド、Providenceの4ループプログラマブルスイッチャーです。
3つのシリーズループと1つのセパレートループによる4ループスイッチャーで、4つのプリセットを保存可能。プログラムモードとマニュアル(ダイレクト)モード切替や4つのDCアウトを搭載しています。チューナーアウトもあります。
 

Soul Power Instruments The Four

ラストはこちら。最初に出てきた「The Three」の4ループモデルですね。
4ループのプログラマブルスイッチャーで、3つのバンクにより12種類のプリセットを保存可能。チューナーアウトやバッファのON/OFF、およびダイレクトモードを搭載しています。
イントロダクションムービー
 
というわけで、今回はまず4ループまでのプログラマブルスイッチャーを見てみました。以前の特集とかぶる部分もあったりしますが、新しいモデルも出てきていたりしていますね。今、非常に多数のモデルが出てきて、価格帯やサイズなどもいろいろと以前とは変わってきているスイッチャー界。導入には少し敷居が高いこともありましたが、最近はそうでもなくなってきているのではないかと思います。
いろいろ見ていると、それぞれ工夫を凝らして様々なモデルを製作していて、面白いですね。
Part2へ続く
 
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