BOSSが発表し、4月頃に発売を予定している次世代フラッグシップマルチ、「BOSS GT-1000 Guitar Effects Processor」。
より詳しい情報がいろいろ出ていますので、まずはその内容を見てみたいと思います。ここから、まずはずらっとリストを載せます。考察は最後に。
- 入出力端子
まずは入出力端子。これまでも何度か載せていますが、改めてまとめます。
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- モノラルインプット
- L/Rアウトプット
- エフェクトループ×2(モノ×2orステレオ×1)
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- L/R XLRアウトプット
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- CTL4,5/EXP2
- CTL6,7/EXP3:それぞれステレオ端子で2つのラッチ/アンラッチorエクスプレッション
- CTL1〜3とEXP1は本体
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- AMP CTL 1,2:GT-1000から送信するラッチシグナル
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- USB:ファームウェアアップデート、エディターによる管理、オーディオインターフェース
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- MIDI IN/OUT
- DC IN :PSB-1Uアダプター使用
- プリセット
250(ユーザー)+250(プリセット)
それぞれ50バンク×5プリセット
- エフェクトブロック
エフェクトや、出力、センド/リターンなどのブロックの配置を移動させることにより、エフェクト順番を入れ替えたり、並列に配列したり、自由自在に配列
GT-1000 に搭載されているすべてのエフェクトや、出力、センド/リターンなどのブロック配列(エフェクト・チェイン)が表示されます。エフェクト・チェインから、エディットしたいブロックを選んでエディット
- 新方式の高速パッチ切り替えシステム
パッチごとに自動で最速の切り替えをする機能。
さらに音切れを防ぐためには
・チェインで、ブロック位置の変化が起きないようにする。
・複数ブロックを使用して、エフェクトを配置する(同じブロックで TYPE を変更しない)。
・並列処理を使用してチャンネルを切り替える。
例えば、事前にパラレルで2つのシグナルチェインを作っておき、エフェクトブロックではなくシグナルチェインのどちらを有効にするかを切り替える。
- STOMP BOX
各エフェクトのお気に入りのセッティングを「ストンプ・ボックス」として保存
ストンプ・ボックスのデータは、全パッチで共通になっており、同じストンプ・ボックスを使用している全パッチを一括にエディット
- チューナー
モノフォニック/ポリフォニック表示対応
- メトロノーム内蔵
- MIDI
GT-1000からPC/CCの送信が可能
外部MIDIコントロールからPC、コントロールチェンジの受信、SysEXデータの受信が可能
- Bluetooth
BOSS TONE STUDIO アプリでエディット可能
- コントロールアサイン
物理ノブ、フットスイッチ、エクスプレッションペダルに各コントロール設定可能
- ルーパー
最大 38 秒まで(モノ)
- オートオフ
演奏や操作をやめてから 10 時間経過すると、自動的に電源が切れます。電源が切れる約 15 分前に、ディスプレイにメッセージが表示されます。この機能をOFFにすることも可能
- 収録エフェクト(太字はエフェクトブロック名、その下の一覧は「TYPE」として選択できるもの)
・COMPRESSOR
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- BOSS COMP / BOSS CS-3
- X-COMP / MDPコンプ
- D-COMP / MXR Dynacomp
- ORANGE / Dan Armstrong Orange Squeezer
- STEREO COMP / ステレオコンプ
・DISTORTION 1、2
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- FAT DS / 太い歪み
- LEAD DS / オーバードライブとディストーションの中間
- METAL DS / ヘヴィなリフ向け
- OCT FUZZ / 倍音豊かなファズ
- A-DSIT / MDPによりギターのどの音域でも理想的な歪み
- X-OD / MDPオーバードライブ
- X-DIST / MDPディストーション
- BLUES OD / BD-2風クランチ
- OD-1 / BOSS OD-1
- T-SCREAM / TS808
- TURBO OD / OD-2風ハイゲイン
- DIST / オーソドックスなディストーション
- RAT / ProCo Rat
- GUV DS / Marshall Guv'nor
- DIST+ / MXR Distortion+
- METAL ZONE / BOSS MT-2
- '60S FUZZ / Fuzz Face
- MUFF FUZZ / Electro-Harmonix Big Muff Pi
・AIRD PREAMP 1、2
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- TRANSPARENT / フラットでアコギに最適なアンプ
- NATURAL / アンプの癖を押さえた素直なクリーン
- BOUTIQUE / 忠実なピッキングニュアンスを再現するクランチ
- SUPREME / 4×12インチキャビの質感を活かし、ピッキングレスポンスの高いクランチ
- MAXIMUM / ヴィンテージMarshallサウンドをそのままハイゲイン化
- JUGGERNAUT / 究極のメタルサウンドを追求
- X-CRUNCH / MDPクランチサウンド
- X-HI GAIN / MDPハイゲイン
- X-MODDED / MDPによりり過激なゲインでも音の輪郭を失わないコアサウンド
- JC-120 / Roland JC-120
- TWIN COMBO / Fender Twin Reverb
- DELUXE COMBO / Fender Deluxe Reverb
- TWEED COMBO / Fender Bassman 4×10
- DIAMOND AMP / VOX AC30
- BRIT STACK / Marshall 1959
- RECTI STACK / Mesa/Boogie Dual Rectifiler Ch.2 Modern MODE
・NOISE SUPPRESSOR 1、2
・EQUALIZER 1 〜 4
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- PARAMETRIC / 4バンドパライコ
- GRAPHIC / 10バンドグライコ
・DELAY 1 〜 4
2000msまでのディレイ
・MASTER DELAY
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- MONO / モノラルディレイ
- PAN / パンニングディレイ
- STEREO1 / Lからダイレクト、Rからディレイ
- STEREO2 / ステレオ入出力ディレイ
- ANALOG / 12〜1200msまで、アナログディレイサウンド
- ANALOG ST / ステレオアナログ Lからダイレクト、Rからディレイ
- TAPE / テープエコー
- REVERSE / リバースディレイ
- SHIMMER / シマー
- DUAL / 2つのディレイを直列/並列接続
- WARP / 幻想的な音
- TWIST / アグレッシブな回転感のある音
・CHORUS
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- MONO / モノラルコーラス
- STEREO1 / Lからダイレクト、Rからウェット
- STEREO2 / L/R チャンネルに別々のコーラス音を加えるステレオ 2 相コーラス
- DUAL / L、R それぞれのチャンネルに独立したコーラス
- PRIME / BOSSオリジナル 広がりと奥行きのあるコーラス
・REVERB
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- HALL1 / クリアなホールリバーブ
- HALL2 / 暖かなホールリバーブ
- PLATE / プレートリバーブ
- ROOM1 / ルームリバーブ
- ROOM2 / ROOM1より大きめな空間のルームリバーブ
- AMBIENCE / アンビエンスマイクをシミュレート
- SPRING / スプリングリバーブ
- SHIMMER / きらびやかな残響
- DUAL / 2つのリバーブを同時に使用
- TERA ECHO / MDPによるピッキングに応答する残響
・FX1 〜 FX3
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- AC GUITAR SIM / アコースティックギターシミュレーター
- AC RESONANCE / アコースティックギターレゾナンス
- AUTO WAH / オートワウ
- CHORUS / コーラス
- CLASSIC-VIBE / ヴァイブ
- COMPRESSOR / コンプレッサー
- DEFRETTER / フレットレスギターのシミュレーター
- FEEDBACKER / フィードバック奏法を演出
- FLANGER / フランジャー
- HARMONIST / ハーモニー・インテリジェントピッチシフター
- HUMANIZER / 人の声フィルター
- OCTAVE / 1OCT下、2OCT下を加えるオクターバー
- OVERTONE / MDPによる倍音付加
- PAN / パンニング
- PHASER / フェイザー
- PICH SHIFTER / ピッチシフター
- RING MOD / リングモジュレーター
- ROTARY / ロータリー
- SITAR SIM / シタールシミュレーター
- SLICER / スライサー
- SLOW GEAR / スローギア
- SOUND HOLD / フリーズ
- S-BEND / 激しいベンド
- TOUCH WAH / タッチワウ
- TREMOLO / トレモロ
- VIBRATO / ヴィブラート
(ここからFX1〜FX3に割り当てられたエフェクトのエフェクトタイプ)
CHORUS
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- MONO / モノラルコーラス
- STEREO1 / Lからダイレクト、Rからウェット
- STEREO2 / L/R チャンネルに別々のコーラス音を加えるステレオ 2 相コーラス
- DUAL / L、R それぞれのチャンネルに独立したコーラス
- PRIME / BOSSオリジナル 広がりと奥行きのあるコーラス
- CE-1 CHORUS / CE-1コーラス
- CE-1 VIBRATO / CE-1ヴィブラート
COMPRESSOR
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- BOSS COMP / BOSS CS-3
- X-COMP / MDPコンプ
- D-COMP / MXR Dynacomp
- ORANGE / Dan Armstrong Orange Squeezer
- STEREO COMP / ステレオコンプ
OCTAVE
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- MONO / モノフォニック
- POLY / ポリフォニック
PHASER
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- PRIME / BOSSオリジナル 従来にないうねり
- SCRIPT / 70s MXR Phase90
・PEDAL FX
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- PEDAL BEND / ピッチベンド
- WAH / ワウ
(PEDAL FXに割り当てられたエフェクトのエフェクトタイプ)
WAH
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- CRY WAH / 70sクライベイビー
- VO WAH / VOX V846
- FAT WAH / 太いワウ
- LIGHT WAH / 上品なワウ
- 7STRING WAH / 7弦やバリトンギター対応ワウ
- RESO WAH / アナログシンセのフィルター的ワウ
・FOOT VOLUME
・DIVIDER 1 〜 3
シグナル分岐点。シグナルチャンネル切り替えやピッキング強弱で振り分け、パラアウト
・MIXER 1 〜 3
シグナル合流点
・SEND/RETURN 1、2
直列、並列、およびSENDからのみ出す(ダイレクトはそのまま、RETURN無視)を設定可能
・MAIN OUT L、MAIN OUT R、SUB OUT L、SUB OUT R
アウトプット設定
・MASTER
パッチごとの音量、BPM、キー、アンプチャンネルスイッチの設定
ここから考察に入ります。まずずらっと並べたエフェクトタイプですが、COMPRESSOR、DISTORTION 1、2、AIRD PREAMP 1、2、NOISE SUPPRESSOR 1、2、EQUALIZER 1 〜 4、DELAY 1 〜 4、MASTER DELAY、CHORUS、REVERB、FX1 〜 FX3、FOOT VOLUME、DIVIDER 1 〜 3、MIXER 1 〜 3、SEND/RETURN 1、2、MAIN OUT L、MAIN OUT R、SUB OUT L、SUB OUT R、MASTERの大きなブロックがあり、その中にエフェクトタイプがあるって形ですね。
ペダル内部のエフェクトチェインはこれらのエフェクトブロックをまとめて使う形になります。つまり、1つのプリセットの中に3つの分岐/合流を作ることができ、2つのアンプモデル、2つのノイズサプレッサー、2つの歪み・・・みたいな形でプリセットを設定します。
そして、AIRD PREAMPに収録されたタイプを改めて見ると・・・
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- TRANSPARENT / フラットでアコギに最適なアンプ
- NATURAL / アンプの癖を押さえた素直なクリーン
- BOUTIQUE / 忠実なピッキングニュアンスを再現するクランチ
- SUPREME / 4×12インチキャビの質感を活かし、ピッキングレスポンスの高いクランチ
- MAXIMUM / ヴィンテージMarshallサウンドをそのままハイゲイン化
- JUGGERNAUT / 究極のメタルサウンドを追求
- X-CRUNCH / MDPクランチサウンド
- X-HI GAIN / MDPハイゲイン
- X-MODDED / MDPによりり過激なゲインでも音の輪郭を失わないコアサウンド
ここまでがアドバンストモデル
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- JC-120 / Roland JC-120
- TWIN COMBO / Fender Twin Reverb
- DELUXE COMBO / Fender Deluxe Reverb
- TWEED COMBO / Fender Bassman 4×10
- DIAMOND AMP / VOX AC30
- BRIT STACK / Marshall 1959
- RECTI STACK / Mesa/Boogie Dual Rectifiler Ch.2 Modern MODE
これらがクラシックモデルとなります。
クラシックモデルがいわゆるモデリング、そしてアドバンストモデルがGT-1000オリジナルアンプモデルということですね。
モデリングはJC-120とあとフェンダー、マーシャル、AC30、レクチ。今のギタリストなら分かりますよね。たしかに定番で良いアンプばかりですが、これだけでは一世代古いということが。
BOSSが、今のLine6 HelixやAxe-Fx、Kemperを知らないわけがありません。すなわち、今新製品で出すマルチに入っているアンプモデルがこれだけでは少なく感じるかもしれない、ということは分かっているはず。分かった上で、これだけしかモデリングを収録していないということになります。
それはつまり、GT-1000にとって重要なのはこれらのクラシックモデルではなく、アドバンストモデルということになります。
デジタルにはあるジレンマがあります。今あるアンプモデルは驚くほどハイクオリティになっており、本物と区別が付かないほどです。しかし、モデリングやプロファイリングは「絶対に」オリジナルを越えることはありません。
それは音質がとか、機能がとかいう話ではありません。「本物」に「似せて」いる以上、「本物」になることはできないのです。どれだけ技術を発展させても、そこは「絶対に」越えられません。
今回BOSSはGT-1000で、そこに挑んだのではないかと思います。
アドバンストモデルとして収録されたAIRDアンプモデルは、1つだけマーシャル系がありますが、基本的にオリジナルアンプモデルです。これ、おそらくですがオリジナルだからといって独創性のある音が出るモデルではなく、「ギターアンプらしい」「良い音」のでるアンプモデルです。設定次第で、様々なアンプサウンドに似せることもできるでしょう。
しかし、これはデジタルならではのオリジナルアンプモデルとなります。つまり、GT-1000は「本物の音」として選ばれることを求めて作られたものではないか、ということです。これはこれまでのモデリングマルチ、そして唯一無二とはいえプロファイリングという形でオリジナルに似せたものとはステージが違っていることになります。
だからなんだと、結局使える音が全てだろうと。それはそうです。むしろ「あのハイクオリティアンプの音を再現」した方が分かりやすくて良いじゃないか、というのもたしかに分かります。それに、これはあくまでただの考察であり、実際にBOSSがどう考えたかなんて分かりません。
そして・・・もしこれが正しかったとして・・・その進む道は、もしかしたら時代が追いついていないものなのかもしれません。ただ、個人的にこの方向性には期待したいと思います。GT-1000が示すデジタルの可能性がどんなものなのか、発売されて触ってみなければなんともいえないところなんですが・・・これ、もしかしたら面白いものになるかもしれないと、ちょっと思いました。
あとチューナーがポリフォニック対応なのがちょっと面白かったですw
ちなみに、各エフェクトブロック、パラメータがめっちゃあります。この辺はAxe-Fxよりの考え方をしていると思います。MIDI機能もすごいです。ES-8と似たスタイルではありますが、相当細かく設定できます。ここはさすがMIDI規格そのものにかかわったRolandの意地かなと思います。
Roland / BOSS 2018.2 新製品発表会〜GT-1000デモ演奏 by 本田毅氏
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