昨日まで(現地時間的には本日まで)開催されていた、NAMM SHOW 2019にて、MIDIの新たな規格「MIDI 2.0」の概要が発表されました。
簡単に内容を載せてみます。
これまで、MIDIとして親しまれてきた「MIDI 1.0」の規格は1981年、Roland、KORG、日本楽器(現YAMAHA)、KAWAIIなど国内6社を中心として作られはじめ、83年に国内での規格を発表、84年に MIDI Manufacturers Association(MMA)が発足して実際に運用が始まったような流れがあります。そういう時代に作られた通信の形ということもあり、今の時代に合わせたアップデートを行うのかMIDI 2.0というわけですね。
まず、最もきになる互換性についてですが・・・・・・
- これまでのMIDI(MIDI 1.0)の機能は全て使うことができる。
- MIDI 1.0の機能については完全互換
という内容となっています。
そして、新たに大きく2つの柱が追加されます。それが「MPE」と「MIDI-CI」というものです。
・MPE
MPE(MIDI Polyphonic Expression)は、MIDIの演奏能力をさらに向上させるための機能です。
現在、MIDIは1つのチャンネルに対し、1つのメッセージを送信しています。
例えば、MIDIチャンネル1で和音が演奏されていて、「ピッチベンドする」というメッセージを送ると、和音全体がピッチベンドされます。
MPEは、これをポリフォニック、つまり和音の1つ1つの音に個別のコントロールを実装するもの。
ノート、つまり音を演奏すると、それに一時的な独自のMIDIチャンネルを割り当てます。
そして、その割り当てたMIDIチャンネルに対し、ピッチベンドなど様々なコントロールシグナルを送ることで、和音を構成する音の1つ1つを個別にコントロールできるようになります。ここではピッチベンド、アフタータッチ、CCメッセージをノートごとに処理できるようになる感じです。
例えば、ギターでよくある、2弦を同時に鳴らして片方だけをピッチベンドするような奏法をキーボードで行えるようになったり、ノートごとにサステインペダルを割り当ててソステヌートペダルみたいに使ったり、ということができるようになります。
これまでもDAWだと打ち込みテクニックで回避していたような技を当たり前にリアルタイム演奏として使えたりするようになるということですね。
・MIDI-CI(MIDI Capability Inquiry)
こちらはMIDIの通信に関するアップデート。MIDI 1.0の機器(つまり現状あるMIDI機器全て)はそのまま同じように使うことができます。
そして、MIDI-CIにより、MIDI 2.0対応機器にはさらなる拡張性を実現するものです。
MIDI 1.0はシリアルプロトコル、片方向通信です。同時に複数のMIDIシグナルの送受信を行っているなら分かると思いますが、MIDIは1つ1つの信号を順番に処理していきます。その結果、多くのMIDIシグナルをまとめて送ると、多少ラグが出ることがあります。また、MIDI INやMIDI OUTという端子があることからも分かる通り、片方向通信です。
MIDI-CIでは双方向通信を前提としています。MIDI-CI接続に対応した機器同士であれば、MIDIケーブルは1本でお互いにシグナルの送受信が可能となるということですね。
さて、MIDI-CIは3つの大きな特徴があります。
・Profile Configuration(プロファイルの設定)
・Property Exchange (プロパティのやり取り)
・Protocol Negotiation(プロトコルのネゴシエーション)
- Profile Configuration
まずプロファイルの設定ですが、これはMIDIコントローラーごとの設定を自動で合わせますよ、というもの。
例えばドラム音源を複数使っていると、スネアの音に割り当てられている音が違っていたりします。ストリングス音源でサステインとピチカートを切り替えるキースイッチは音源ごとに違います。
これらの機能について、MIDIキーボードでの操作設定を自動で行いましょうということのようです。例えば音源を切り替えてもキースイッチは同じ場所にあるように自動で設定される、ということですね。これば音楽制作の上でかなり便利そうです。
- Property Exchange
続いてプロパティのやり取り。各種設定を様々な環境下で呼び出せるようにする、というようなもの。「MIDI-CI ユニバーサルシステムエクスクルーシブメッセージ」を使用します。名前的にMIDI 1.0のSys-EX(システムエクスクルーシブメッセージ)の発展形みたいな感じですね。
例えばOSやDAW、コントローラーが変わっても設定が簡単に行えるようにするためのもの、という感じです。
- Protocol Negotiation
これはシンプルに、MIDI 2.0を使えない機器は自動的にMIDI 1.0で通信しますよ、というものです。
ここまでの書き方を見ても分かる通り、私もまだ完全に理解していません。なので間違っているところがあったらごめんなさい。
基本的に、これまで通りMIDIでスイッチャーやエフェクターを制御するくらいのものであれば特に変わらず使えると思います。
今後MIDI 2.0が一般化していけば、双方向通信なのでMIDI端子が1つになる可能性がある、くらいのものではないかと思います。あーあとMIDI2.0対応機器どうしであれば、より高速な信号のやりとりができるかもしれませんね。
一方で、音楽制作はより便利になっていくのではないかと思います。
システム間やプラグイン、音源間での設定がよりシンプルに自動化されていけば、それは新しい機器やプラグインの導入がより簡単になるということでもあります。
今って、「追加のプラグインや音源をインストールしたら、だいたい1つは問題が出て、解決まで時間がかかる」みたいなことが当たり前にあったりします。
それはもちろん、ユーザー側の不注意だったり、よく説明書を読んでいなかったりということが原因かもしれませんが、そもそもプラグインはメーカーごとにインストールやアクティベートに始まり、操作性、マッピングなどが違いすぎるので、そのへんが統一というか、自動で設定されるようになれば、多くの機能、機器を使いやすくなるはずなんですよね。
これまでの機能、機器については一切変更することなく、今後の機器についてはさらなる拡張性を実現する。
アップデートとしての理想的な形となるのではないかと思います。
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