バッファ。ギターなどの楽器のインピーダンスを変換し、”基本的に“音色を変えずにシグナル自体を”強く”するための増幅器です。
インピーダンス、というのはちょっと分かりにくいところがあるんですが、音のシグナルが「どれだけ周りに影響されるか」という数値と考えると分かりやすいと思います。
音のシグナルは、ケーブルの中を通ったり、端子などを通るうちに、環境からの磁気だったり電波だったり、そもそも端子自体などにより影響され、シグナルが消耗することがあります。(分かりやすさを重視して消耗と言っています)。
その「消耗しやすい状態」をインピーダンスが高いと言います。そのインピーダンスを下げて消耗しにくい状態にするのがバッファーアンプです。
バッファーアンプはアンプという名前があるとおり、シグナルを増幅します。ギターアンプなどは音量なども増幅しますが、音量などを増幅するのではなく、インピーダンスを下げてシグナルの強さを強くするのがバッファーアンプということですね。
本来「音を変えない」のがバッファーですが、それ自体の特性があるのもまた事実です。例えばPete Cornish系やProvidenceなどのバッファは高域の煌びやかさを重視した特性で、ケンタウロスなどに搭載されるKlonバッファは音の太さがあり、BJF Bufferは柔らかなサウンドが特徴だったりします。
近年だと、デジタルなアンプモデルにBeyondなどの真空管のバッファを使用してよりチューブアンプっぽい特性を加えたり、Conisisのようにデジタル機器用に開発されたバッファなどもあったりします。
そんないろんな種類があるバッファですが、面白そうなバッファがあったので、Kemperと合わせてどんな感じか見てみようと思います。
ペダルボードのインプットやアウトプットに使ったりもできるジャンクションボックスで、バッファーを通す端子を1つ搭載したモデル。バッファーを通る端子が1組、通らない端子が2組、MIDIスルー端子が1組あるジャンクションボックスです。
それ自体は特に珍しくありませんが、高電圧で駆動させているのがこのバッファの特徴。音色がどんな感じに変わるのかなどもレビューしてみたいと思います。
では、いってみましょう。
DYNAX JUNCTION BUFFER
こちらがそのJUNCTION BUFFERです。
一番右側の端子がバッファを通る端子です。
駆動は9VDC。100mAあれば動きます。そして、9VDCの電源を±15Vで駆動。プラスとマイナス15Vの高電圧駆動のバッファとなっています。
筐体はアルミ削り出し。内部にゲインバッファがあります。バッファは本来ゲインアップをしないものですが、必要であればゲインを微調整することができます。
では、レビューいってみましょう。
- 操作性
今回ゲインコントロールはしていません(バッファとしてのみ使用)。その場合、電源とケーブルを接続するだけなのでとくに操作性で問題はないと思います。
- サウンドレポート
では、音について。まずはいくつか音を録ってみました。
マーシャルアンプ/ロック系サウンド
サウンド:前半はバッファを通した音、後半は直結
ギター:Paul Reed Smith Custom24
ピックアップ:リア
アンプ:Kemper Profiler
リグ:Marshall DSL100
フェンダーアンプ/クリーントーン
サウンド:前半はバッファを通した音、後半は直結
ギター:Paul Reed Smith Custom24
ピックアップ:ミックス(ハム+ハム)
アンプ:Kemper Profiler
リグ:Fender Vibro King
ハイゲインアンプ
サウンド:前半はバッファを通した音、後半は直結
ギター:Paul Reed Smith Custom24
ピックアップ:リア
アンプ:Kemper Profiler
リグ:Peavey 6505+
サンプルサウンドは3つ全て、前半がバッファを通した音、後半がギターからKemper直結です。
ちなみにケーブルはバッファが6m(3m+3m)、直結は3mです。ギターは普通のCustom24です。
toy-love.hatenablog.com
まず、音色についてですが、基本的に「ほぼ変わらない」音ですね。音色自体の特性は透明かつバランスがよく、優秀なバッファであることが分かります。基本的にバッファは「特性が変わらないほど理想的」と言えます。
一方で、「同じ音」かというと違いますね。特にクリーントーンとハイゲインの音が分かりやすいかなとおもいますが、音自体に太さというか、強さ、暖かさが加わっています。
これは音色の音響特性というより、シグナル自体の影響という感じ。感覚的に音が太くて前に出る感じの音色となっているのが分かると思います。
あとダイナミクスが広いのがすごく分かります。高電圧駆動ならではのバッファトーンという感じ。この感じは確かに、一般的なエフェクターの9Vのバッファではなかなか感じない特性だと思います。
絶妙に、なんというか、音色の表面が綺麗に整えられた感じ、というか、丁寧に磨かれた音色になる、という感じで、これはたしかに面白いです。
ちなみにこのバッファ、1つだけ注意ですが、回路特性上、特に出力というか、電流の大きいスイッチングタイプのアダプター(1Aとかのアダプター)を使うと、超高域でピーという音が加わることがあります。300mA以下くらいの、できればトランス型のアダプターを使うとノイズも出なくなります。これ自体は一般的なエフェクターでも良くあるもので、特に消費電流が少ないアナログ回路とかで起こるものですね。トランス型アダプターでなくても、アイソレートタイプのパワーサプライの200mA以下くらいの出力とか使っても問題ないです。
ということで、おもしろいバッファ・ジャンクションボックスのレビューでした。バッファのためだけに15Vまで昇圧したものはギター用としてはかなり珍しいと思いますが、それだけの価値はたしかにありますね。ほんと面白いです。
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