Kemperから、新たにコンパクトなモデル「PROFILER Player」が発表されました。
PROFILER Playerは、3フットスイッチのちょっと大きめなコンパクトペダルサイズで作られた、新しいPROFILERシリーズです。
これまでの大きなPROFILERシリーズ全てを収録したわけではなく、FXスロットが4つの制限されています。アンプモデルはそのまま使えますが、エフェクトの数が少なくなります。
通常のプリアンプやマルチエフェクターとしての使い方はもちろん、Kemper Power Kabinetにも対応しています。
ギターだけでなくアコギやベースにも使うことができます。
4つのエフェクトブロックは2つずつに分かれていて、アンプモデルの前に2つまで、後に2つまでのエフェクトを使うことができます。
3つのフットスイッチは、左右が前、次のリグ(=プリセット)やバンクへの切り替え、そして中央がエフェクトボタンで、リグの中で設定したエフェクトのON/OFFを切り替えます。長押しするとモメンタリになります。
なお、フットスイッチの役割はRig Manager(エディタ)から設定を変えることもできます。
本体にはFX1とFX2ボタンおよび2つのノブ、MASTER VOL、KONEボタン、Bluetoothボタン、そしてGAIN、BASS、MIDDLE、TREBLE、RIG VOLとBANKボタン、TAPボタン、1~5のボタンが配置されています。そして3つのフットスイッチがあります。
本体には10のバンクがあり、バンクには5つのリグを保存できます。BANKボタンとRIGボタンまたはフットスイッチから切り替えることができます。BANKボタンで切り替えるバンクの最大数を制限して操作性を高めることもできます。
TAPボタンはタップテンポやチューナーのON/OFFが可能。3つのLEDを使った簡易的なチューナーは常時ONで、TAPボタン長押しにするとフロントパネルのLEDを使ってより詳細なチューニングを行うチューナーがONになります。詳細なチューナー起動中にミュートするかをRig Managerから設定することもできます。このボタンをフットスイッチや外部スイッチに割り当てたり、MIDIから操作することもできます。
GAINノブはクリーンからフルゲインまで広くゲインをコントロールします。なお、最新のLiquid Profileを用いてプロファイリングされたアンプモデルは、オリジナルアンプと同等のゲインレンジとなります。
EQセクションは物理ノブのBASS、MIDDLE、TREBLEに加え、Presenceをエディタ等からコントロールできます。
RIG VOLはリグごとの音量を調整するノブです。リグごとに値が保存されます。プロファイリングされたアンプモデルやエフェクトを加えたサウンドの音量を他のリグと合わせたり、使用するパートに合わせて調整できます。
MASTER VOLは全体の音量で、リグには保存されません。デフォルトではMASTER VOLはヘッドフォンアウトなどを含む全てのアナログアウトプットに影響しますが、Rig Managerから設定を変更することができます。
2つのFXモジュールは本体のボタンからON/OFFでき、そのモジュールのよく使うパラメータ2つをノブでコントロールできます。本体には4つのエフェクトモジュールがあるので、そのうちどれをFX1・FX2に割り当てるかをRig Managerから設定します。
BluetoothボタンはBluetoothのON/OFFと、長押しでWi-FiのON/OFFを切り替えます。
KONEボタンはKemper Power Kabinetを使用する際のKoneモードの設定と、キャビネットシミュレーターのON/OFFを設定します。つまり、リアルキャビネットを使うときにキャビネットシミュレーターをOFFにすることもできます。
入出力端子はインプット、ステレオアウト、ヘッドフォンアウト、エクスプレッションペダルとXLRアウト、USBメモリ端子とUSB端子、電源端子となっています。電源はセンターマイナスDC9~12V、24Wです。なので、一般的なDC9Vアダプターだと2.6A必要になります。
エフェクトループはありません。
USB端子はUSBオーディオインターフェースとして使ったり、PC/Macと接続してRig Managerを操作したりすることができます。
PROFILER PlayerはRig Managerを使用することが前提となった作りとなっています。Rig ManagerはOC/Mac用(USB接続)およびiOS、Android/Fire OS用(Bluetooth接続)があります。それぞれApple App、Google Play、Amazonアプリストアからダウンロードできます。
また、本体にはBluetoothオーディオの機能もあり、スマホやタブレットのオーディオに合わせて演奏することもできます(だからPlayerなのかな)。
エクスプレッション端子にはエクスプレッション・ペダル(TRS接続)、またはProfiler Switchや外部フットスイッチを接続することができます。
続いて、1つの「リグ」の構造についてです。リグにはアンプモデルと前後に2つずつのエフェクトモジュールがあります。インプットセクションにはクリーントーンのシグナルレベルを歪んだ音と同程度に調整するためのClean Sensパラメータがあり、またインプット部にノイズゲートが組み込まれています。
また、リグにはステレオ使用時にステレオ内の位置を設定するPanoramaパラメータや、デジタルカポタストのようにピッチを変更するTransposeパラメータがあります。
リグごとにテンポを設定し、エフェクトを同期することができます。TAPボタンはフットスイッチに割り当てることもできます。MIDIクロックに同期も可能です。
3つのフットスイッチをリグ内の3つのエフェクトON/OFFに割り当てることもできます。
またエクスプレッションペダルを接続してボリュームペダルとして使うことができます。ボリュームペダルはエフェクトモジュールではなくボリュームペダルペダル用パラメータを割り当てて使用します。
ボリュームペダルは、インプット、プリスタック、ポストスタック、アウトプットの4つの位置に設定することができます。
そしてPROFILER Playerのアウトプットセクションにもいろいろな設定があります。アウトプットセクションの設定はすべてグローバルで、リグごとには保存されません。
まず、アウトプットの接続先を設定することができます。アウトプット端子ごとにOFF(ミュート)、DI Low(ドライシグナル)、DI High(スタジオレベルのDIのドライシグナル)、Stack(アンプモデルまでのシグナルで、後段のエフェクトをスルー)、Master Stereo(全てのエフェクトを備えたステレオアウト)、Master Mono(全てのエフェクトを備えたモノラルアウト)、Master Left(ステレオの片側のみ)、DLY/REV Wet(ディレイ・リバーブが使われている場合にそのウェットのみを出力)となっています。USBオーディオインターフェースとして使用する場合のUSBアウトからはさらにL/Rの組み合わせを設定することができます。DI/Stack、DI/Master Left、DI/Master Monoを設定でき、片方はドライシグナル、片方はエフェクトをかけた音を出力してリアンプ用にクリーンを同時に出力することができます。
アウトプットにはローカットとハイカットフィルタがあり、Spaceパラメータで空間的なシミュレーションを行うこともできます。
Constant Latencyは、レイテンシを固定することができます。基本的にレイテンシは最小になるよう調整されますが、複数のデジタルエフェクトを同時にミックスする際などにレイテンシの違いで位相の問題が出ることがないよう、レイテンシを固定することができるようになっています。
アンプモデルは、Rig Managerからダウンロードしたり、デフォルトで収録されているものを使用できます。
他のPROFILERで作成された全てのリグをロードすることができますが、PROFILER Playerに収録されていないエフェクトが使用されたリグをロードすると、そのエフェクトがEmptyになります(Natural ReverbはEasy Reverbに置き換えられます。)
他、PROFILER Playerで使えない機能は無視されます。例えばパラレルシグナルパスやDLY+REVルーティングといった機能は直列配置に代わります。
最後に収録エフェクトです。エフェクトはワウ、ディストーション/ブースター、EQ、コンプ/ノイズゲート、コーラス、フェイザー/フランジャー、ピッチシフト、ディレイ/リバーブの8つのタイプに分かれています。エフェクトの割り当てはRig Managerで行います。
ワウは1種類で、パラメータを使ってペダルワウやタッチワウを使うことができます。l
ディストーション/ブースターはGrean Scream(TS系)、Plus DS(Distorion+)、OneDS(DS-1)、Muffin(Big Muff)、およびPure Boosterから選択できます。
EQはグラフィックイコライザー(80~10kHz、8バンド±12dB)、アコースティックシミュレーター、Double Tracker(ダブラー)のエフェクトを使うことができます。
コンプ/ノイズゲートはヴィンテージタイプのコンプレッサーペダルを再現したコンプと、2:1・4:1の2つのノイズゲートがあります。
コーラスはVintage Chorus(CE-1系)、Air Chorus(デチューン)、Vibrato、Rotary Speaker(Leslie系)、Tremolo/Auto Pannerがあります。
フェイザー/フランジャーには最大12段のステレオフェイザーとフランジャーがあります。
ピッチシフトはスタンダードなピッチシフターとアナログオクターバーを再現したエフェクトがあります。チューニングを切り替えるように使うTransposeはエフェクトセクションではなくRigごとに設定できます。
ディレイ/リバーブはSingle Delay(スタンダードなディレイ)、2Tap Delay(ステレオで、2つのタップを設定できるディレイ)、Legacy Delay(PROFILER発売時に入っていたデジタルディレイ)、Spring Reverb、Easy Reverb(他のPROFILERのNatural Reverbをもとにパラメータを減らしたもの)、Echo Reverb、Legacy Reverb(PROFILER発売時に入っていたリバーブ)があります。
これで、PROFILER Playerのだいたいの機能を載せれたと思います。
最後にPROFILER Playerの立ち位置を考察します。
以前からKemperに言われていたことがありました。特にStage発売時に言われていたことです。それは「アンプのプロファイリングはいらないからリグだけロードできるようにして安くして欲しい」です。
その答えの1つが、PROFILER Playerであることは間違いないと思います。機能を見てみると、「エフェクトの数」やエフェクトループ、内部のパラレルルーティングなどがカットされています。また、電流はかなり多めですが、9-12Vアダプターで駆動するようになっています。
このことから推察されることとしては、おそらくDSPがローパワーになっています。今のこうしたマルチエフェクトやデジタルペダルはDSPで価格帯がだいたい決まります。(あとはバッファサイズ=メモリやディスプレイなど、PCで言えばCPU、メモリ、グラフィックなので同じですね)。つまり、PROFILER Playerが他のPROFILERシリーズより手頃なのはDSPの違いがあると考えられます。
これは確かに理にかなっています。実際Kemperの機能を見ていれば分かってきますが、「アンプをプロファイルする機能」はハードウェア的なものではなくソフトウェア的なものなので、それを無くしても価格はたいして変わらないんですよね。そこでDSPを安くして、その代わりエフェクトは削って、アンプサウンドはそのまま使えますよ、というのがPLOFILER Playerと考えるのが良いのかなと思います。
あ、ちなみに実際にDSPがどうかってのは確認できていないので、間違っているかもしれませんが、現時点での考察としてはそういう感じなのでは、というところです。
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