極太リニア・ブースター!!Z-VEX Super Hard On |
それではいきましょう。
極太リニア・ブースター!!Z-VEX Super Hard On |
さて、「ブースター」というのは、どちらかというと地味な存在で、専用のものを使わなくても、オーバードライブの歪みを下げてやることで代用できる、というのもあって、なかなか出回ることの少ないエフェクターです。
しかし、このSuper Hard Onは、そういった地味なエフェクターであるにもかかわらず、発売された当初はその能力に圧倒され、絶賛されました。コントロールはツマミひとつ、というシンプルさと、なぜかアウトプットがパラレルで2系統に分かれている、という特徴はあるものの、いたって普通のブースターに思えます。
ところで、このSuper Hard On、だいたい4万円近い値段がするんですが、買って中身を開けてみると、むなしくなるかもしれません。それほど、あまりにも単純な回路なのです。ツマミの大きさと基盤の大きさがおなじくらい、といえばどのくらいのシンプルな回路か想像できると思います。回路としては60年代のミキサーの、フェーダーに使われたアンチフィードバック回路を元に作られていて、パーツの数も10を超えないほどのものです。それで既に電源回路も入っていますので、実際に音が通るのはトランジスタと2つのコンデンサ、あといくつかの抵抗といった程度でしょうか。
Super Hard Onの特徴として、「インプット時はハイ・インピーダンス」というのがあります。基本的にたいていのエフェクターは、回路を通す前にローインピに変換してしまうのですが、Z.VEXはそこでロスが生じると考えたのでしょうね。
そしてその結果、この本でも「アンプをブーストする、というよりもピックアップをブーストしているような」といったことを書かれるほど素直でギターそのものの音を増幅するようなサウンドが作れる、というわけです。
ちなみに、この回路、ノブの挿入位置が珍しく、ノブを回すとガサガサというガリノイズとカン違いしそうなノイズが発生します。多数の苦情があったためか、公式で「これはガリノイズではありません」と書くほどです。
また、ツマミの効果範囲も非常に広く設定されていて、フルまでまわしてしまうとアンプが飛ぶんじゃないかと思うほどです。
Super Hard Onの回路は、今でもZ.VEXの基本となっているようで、同社のZVEX The Box of Rockでもブースター部にはSuper Hard Onを基本とした回路が入っています。
こちらはZVEX The Box of Rockの中身ですが、右端に見える二つのコンデンサの部分、これがそのブースト回路ですね。非常にコンパクトです。
最近では、このSuper Hard Onを2つ連結した、SUPER DUPER 2 IN 1というエフェクターも発売されています。
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このSuper Duperの公式ページの解説が面白いので、少し引用してみます。
このペダルは大変危険です。このペダルを使う時は充分注意して下さい! まずアンプの音量を小さくして、アンプへのダメージを与えない様慎重に音量を上げていって下さい。楽しみ過ぎて決してアンプを飛ばさない様に! SUPER DUPER 2-IN-1は、2つのSuper Hard Onを1つのボックスに入れたものです。2つのスイッチとLEDを取り付けました。また、Master Volumeコントロールで、Overdrive/Distortionのアウトプット調整ができます。大変危険なペダルです。くれぐれも最初はスピーカーキャビネットの前で出てくる音を確認しながら使って下さい。
普通ここまで書かないですよ・・・。Super Hard Onがいかに幅広いブースト量を誇っているかを示しています。2つ繋げるとアンプが飛ぶ可能性がある、というほどですから・・・。
このSUPER HARD ONを(自作を除いて)最も安く手に入れる方法は、面白いことに「ZVEX The Box of Rockを買う」ことなんですね。(BOX OF ROCKのブーストは、SUPER HARD ONとは定数が違っていますが、やはりこれも恐ろしく素直なブーストをしてくれます)
是非一度、試してもらいたいエフェクターだと思います。