定番エフェクターを今改めて振り返る特集、前回のファズに続き、今回はブースタ−を取り上げたいと思います。
音量や出力を増幅する、ただそれだけなのにやたらと深いブースターの世界。そんな中、定番としてよく見かけるモデルを見ていきましょう。また、ブースターが引き起こした論争的なものも、少しだけ取り上げたいと思います。
※「定番」に定義はありません。あくまで個人的な印象も含んでいますので、これが入っていない、これは定番じゃない、といったご意見もあるかもしれませんがご了承ください。メーカーのアルファベット順にご紹介します。
BOSS FB-2 Feedbacker/Booster
まずはこちら。BOSSのブースター、FB-2です。デジタルならではの素直さと柔軟性を最大限に活かして作られたブーストペダルですね。
Boost、Feedback、Tone、Characterコントロールを搭載。オマケ機構的に、フットスイッチ長押しでフィードバックポイントを検出、ブーストしてフィードバックを起こす機能を搭載しています。
ToneとCharacterノブを組み合わせればたいていのブーストサウンドを作ることができる、まさに万能ブースターです。ブースターそのものに強いこだわりがなければ、これ1台あれば十分と言えるほど優秀なモデルです。
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Durham Electronics Sex Drive
DURHAM ELECTRONICS SEX DRIVE |
ハイエンドブースターとして非常に評価が高く、原音そのものを活かしつつ必要なところだけを絶妙に加工するブーストサウンドが特徴です。
レビュー
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Ex-Pro 32Volt Clean Booster
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内部で32Vまで駆動電圧を昇圧してやることで高いヘッドルームを実現し、それによってナチュラルなブースト効果を得られるペダルです。Out Level、Bass、Trebleコントロールで、2バンドEQによる音の調整も可能。基本的に味付けのないブーストで、オーディオのヴォリュームを調整するようなブースト効果が得られます。
試奏レポート
Landgraff Clean Boost
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コントロールは1ノブのみのシンプルなペダル。一時期ハンドメイド系モデルとして多く広まったMOSFET系ブースターです。音色はローミッドが軽く強くなる感じのブーストサウンド。後で出てくるSHOと非常に近いペダルなんですが、Landgraffならではのまとまり感が特徴的な味付けとなるペダルです。ただ基本的にクリーンブースターなので、原音そのままブーストするサウンドが得られます。
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Keeley Katana Boost
クリーン・ブースターKeeley Electronics Katana Boost【エフェクターセット付き】【送料無料】 |
FETを用いたブースターで、コントロールは1ノブのみ。このノブはPush/Pull式のスイッチになっていて、引き出すことでゲインアップを可能とします。歪みやチューブアンプとの相性が特に良く、それらの前段に置いてブーストするととても気持ちの良いサウンドが得られます。
試奏レポート
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MXR Micro Amp
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Gainノブのみのシンプルなコントロールで、ほんの少しだけハイミッドが強めなブーストサウンドが得られます。特にブリティッシュチューブアンプとの相性が良く、ブーストすることでとても気持ちの良い歪みが得られます。
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MXR/CAE Boost/Line Driver
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ギターサウンドらしい味付けがほんの少しあるMicro Ampに比べ、よりナチュラルでフラット、同時にハイファイなサウンドが得られるのがこちらのモデル。コントロールはBoostのみで、+20dBまでのブーストに対応。名前にある通り、ライン出力としても使うことができるペダルです。(スピーカーシミュレーターは付いていません。)
試奏レポート
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Providence FINAL BOOSTER FBT-1
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1ノブのシンプルなFETブースターで、OFF時にはProvidenceの人気バッファ、Vitalizer回路がONとなります。キラキラしたサウンドが特徴のペダルです。
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Xotic EP Booster
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このペダルはヴィンテージテープエコー、Maestro Echo Plex EP-3のバッファ回路を元にしたブーストペダルで、少し変わった独特のブーストサウンドが得られるとして人気です。1ノブのシンプルなペダルですが内部のスイッチでハイとローの強さを切り替えることができます。
ミニサイズですがオリジナル筐体を用いることで電池駆動にも対応しています。
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Xotic RC Booster
人気のエキゾチック!【レビューを書いて送料無料】■新品 Xotic RC Booster エキゾチック RC ... |
Volume、Gain、Treble、Bassコントロールを搭載。特に強力なアクティブ2バンドEQにより、積極的に音を加工していくことができるブーストペダルで、単体でかなり歪ませて使うことも可能なペダルとなっています。
試奏レポート
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Z.Vex Super Hard On
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コントロールはシンプルな1ノブ。Crackle OKと書かれているのは、ONにしたままノブを回せばザラザラという音が出る仕様となっているためです。SHO系のブースターに共通する特徴ですね。
サウンドは少しだけローミッドが強くなるブーストサウンドで、ギターサウンドそのものが鋭く突き刺さるような音色はこのペダルならでは。最近はより廉価版となるSuper Hard-on Vexter Seriesも発売されています。
エフェクター/ブースター > ジー・ヴェックスZ-VEX Vexter Series Super Hard On 《エフェクタ... |
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サンプルムービー(Vexter)
さて、ここまでいろいろな定番ブースターを見てきました。そして、最後にご紹介したSHOことSuper Hard Onは、エフェクター界に非常に大きな論争を作り出したモデルでもあります。
ハンドメイドエフェクターがまだ珍しかった時代、Z.Vexから登場したこのブースターは、それまでのスタンダードだった、いわゆる大量生産系のペダルとは全く違うサウンドでプレイヤーを驚かせます。最初にそれに気付いたのは、高い感性を持つプロのアーティストでした。
そして、プロの足下に並んでいるペダルを見たプレイヤーはそれを求めます。そして、その価格に驚愕することになります。SHOのサウンドと、それを入手するための価格。そして、手に入れたプレイヤーからのレポートに、さらに困惑することになります。
なぜハンドメイドエフェクターは高価なのか?特にSHOは、ミキサーのフェーダー部の回路を基本としているとはいえ、これまでエフェクターとしては無かったものを作り出したパイオニアです。今では大きなメーカーですが、まだ小さかった当時のZ.Vexにとって、手作業でペダルを組み、ハンドペイントを入れて世界で発売する。開発から組込、全ての労力を、それもまだハンドメイドエフェクターというものが一般的でない時代にやっていたということを考えると、今の視点から見ればある意味仕方のない価格設定と言えます。
しかし、当時、ハンドメイドエフェクターが高価なのは「量産品とは全く違うハイクオリティなパーツ」によるものだ、という見方が一般的でした。もちろん、今でもその側面はあります。ところが、SHOの内部には、ノブと同じくらいのサイズに収まる基板に、ほんの少しのパーツが載っているだけのものでした。
もちろん悪いパーツではありませんが、普通のパーツがほんの少しだけ載っている。パーツの価格を合計しても販売価格には遠く及ばない。結果的にSHOは、高価すぎるエフェクターの代名詞的なモデルとなりました。
そうして、日本だけでなく世界的に火が付いたのが、エフェクターの適正価格とは何ぞや、という論争。また、このシンプルな回路は製作も簡単だったこともあり、エフェクターの自作を趣味とするプレイヤーも多く現れます。たしかに数万円のエフェクターの音が、数千円で得られるのならそれはとても良いことだと思うのは当然ですね。
そして、本物志向というか、高価なペダルを買うことの出来るプレイヤーとそうでないプレイヤー、自作のできるプレイヤーとそうでないプレイヤー、そういった間で激論が繰り広げられます。そういう論議って広がってしまうと極端になってくることもあって、ハンドメイドエフェクターは全てが高価すぎる、という意見があったり、逆にハンドメイドエフェクターでなければ良い音は出ないという意見があったり、まぁいろいろと熱い話し合いが続きました。
また、この程度の回路で、このくらいのパーツがこれだけの値段で売れるのなら・・・そう考えて実際にエフェクターを作って販売する、いわゆるプロのビルダーになろうとした人もいます。「自分ならもっと低価格でもっと良いものを提供できる。」この考えでビルダーを始めた人は非常に多く、今でも様々なハンドメイドエフェクターブランドの「About」のところに、ブランドのポリシーとして掲げられています。
ハンドメイドエフェクターが当たり前になった今、あの当時の議論が生んだものを考えてみると、あれはとても有意義なものだったんだと思うことがあります。
まず何より、ハンドメイドエフェクターブランドが非常に多くなったこと。これはまさに、あの議論が生んだ最大の成果といえます。そして競争が激しくなったこともあり、エフェクター全体の価格が下がってきました。これはプレイヤーにとって良いことですよね。また、同時に個性やコンセプトを大事にするブランドが増えてきています。NOSパーツてんこ盛りで、価格は気にせず最後までこだわるブランド、スタンダードなパーツを手組みして、リーズナブルさを大事にするブランド、他にも分かりやすい音、多彩なコントロール、秀逸なデザイン等、それぞれいろいろな個性を持つブランドが出てきて、エフェクターの選択肢が格段に増えました。
Super Hard Onというペダルが巻き起こした議論は、間違いなくエフェクターを育て、エフェクターというものへの見方を変えたものだったと思います。そして、多彩なエフェクターが発売されたことから、今この、改めて定番を振り返る、なんて記事も書けるようになっていると思うと、何かちょっと、面白いなと思います。
ブースター・・・ただ出力を上げるだけのシンプルなペダルですが、その中にも様々な音の違い、使い方に合わせたモデルなどがあり、そしてこうした歴史もある、奥の深いエフェクトです。
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