アンプレビューするよ〜!
というわけで、先月?先々月?くらいに勢いで買ってしまったアンプのレビューをしていきます。ハンドメイドエフェクター1台分くらいの価格だったので・・・部屋に置けるか?とか、音量は?とか細かいことを考えずに「買い物かご」に入れてしまったんですよね・・・w
では、いってみましょう!
Vox Classic Plus AC50CP2
というわけで、2007年にNAMM SHOWでお目見えしたものの、2009年〜2010年頃にひっそりとディスコンになってしまった、VoxのClassic Plusシリーズ、AC50CP2です。Classic Plusシリーズはこの50Wコンボタイプの他に、50Wヘッド、100Wヘッドを備えたシリーズで、従来のAC30以上に幅広いゲインと音作りを目指して作られたモデルですね。AC30の音色を踏襲しながら、現代的な音楽シーンに対応すべく出力を上げ、ノブの数を増やしたモデルです。
Ch.1、AC30の音色を踏襲したトップブーストチャンネルです。クランチ程度まで歪ませることができます。コントロールはGain、3バンドEQ、Tone Cut、Reverb、Volumeとなっています。
こちらはCh.2、モダンハイゲインチャンネルです。コントロールはGain、FATスイッチ、BRIGHTスイッチ、3バンドEQ、Presence、Reverb、Volumeとなっています。右端に見えるのがMaster Volumeコントロールです。各チャンネルにGainとVolumeが備わっていて、最後にMaster Volumeがあるので、実質的に3ヴォリュームアンプとして使うことができます。
また、スピーカーは12インチのVOX Custom GSH12-30というスピーカーを2発搭載していて、サイズは702(W)× 265(D)× 540(H)mm・・・AC30C2とほぼ同じ大きさとなっています。(実際はAC30の方が1cmほど高さがあります)
AC30って、ステージではそんなに大きくないアンプに見えるんですが、部屋に置いてみると巨大ですね・・・どのくらいの大きさかというと
このくらいのサイズです。床を這う配線が見えないように大きさ比較用にエフェクターを並べてみました。BIG MUFFが小さい・・・w
ちなみに、このアンプは40kgくらいあるので、部屋に入れるのが大変でしたw
パネル裏側を見てみましょう。
8Ωと16Ωのスピーカーアウトが搭載されています。
エフェクトループも搭載しています。
Classic Plusシリーズの売りの一つでもあった、ラインアウト端子です。グラウンドリフト付のXLR端子と、普通のPhone端子が付いています。レベルの調整やローパスフィルタも備えています。
裏蓋をはずすとこんな感じです。12インチスピーカーは迫力がありますね。写真上中央に突き出ているのはパワー管です。EL34が2本ですね。
奥にちょこんと突き出た12AX7プリ管。写真では2本しか写っていませんが、計4本使われています。
付属のフットスイッチです。サイズはMXRサイズ×2くらいですね。Aボタンがジャンプ・・・じゃなくてチャンネル切り替え、BボタンがリバーブのON/OFFです。
若干離れたところからの写真。やはり部屋にあるとでかいですw
カーペットが乱れてるのはさっきまでここにアンプが寝てたせいです・・・仕方ないね!
というわけで、写真はこんなもんでしょうか。では、レビューしてみましょう。
- 操作性
現代的なアンプということもあり・・・まぁTriampなどのハイゲインアンプやG-Decなどのモデリングアンプとは比べられませんが、そこそこ機能性の高いアンプです。ノブがいっぱいあります。
といっても、やはり基本的な構造のアンプですので、操作で迷うことはあまりないと思います。珍しいノブはVoxならではのTone Cutコントロールくらいでしょうか。ただ、フットスイッチでエフェクトループのON/OFF切り替えができればもっと良かったかな〜、とは思います。
- サウンドレポート
では、音を。まずはCh.1、Top Boostチャンネルから見ていきましょう。このチャンネルはAC30等のサウンドを踏襲していますが、AC30のTop Boostチャンネルと比べるとゲインは低めに作られています。クリーン〜クランチチャンネルといった感じですね。3バンドEQは、両チャンネルに言えることですが、そんなに効きは強くありません。リバーブはデジタルでなく本物のスプリングリバーブを搭載しています。こっちは効きが良いです。若干薄めに設定されているためか、「ピチャピチャ」となるようなリバーブサウンドではなく、もっと一般的な、とても使いやすいリバーブサウンドです。
で、アンプの音ですが・・・いわゆる「VOX」サウンドですね。ヴィンテージVOXアンプとは違うと思います。KORGがブランド権を取得して以降の「今のVOXサウンド」です。ダークで少し粗い感じです。ブリティッシュサウンドですね! クリーンに設定してリバーブをかけるとかなり立体的な音色となります。アンプとしては非常に味付けが濃く出るタイプで、癖のある音だと思います。VOXアンプの場合は、「それが良い」としか言えませんw
GainとVolumeを上げていくと、(Master VolumeじゃなくCh.1のVolumeです)若干ざらつきのあるクランチサウンドを作ることができます。アンプをクリーンにしてクリーンブースターをかけても同様の効果が得られますが、Gainノブを下げておけばブーストしてもあまり歪みません。
また、癖の強いアンプのためか、歪みエフェクターは合うものと合わないものが顕著です。相性のよいドライブペダルを使うと本当に心地よいブリティッシュドライブサウンドが得られますが、相性の悪いドライブペダルだと、音が塊になってスピーカーの前に転がるような、抜けない音になってしまいます。基本的に、ブリティッシュサウンド系のドライブペダルと相性がとても良いですね。Himmelstrutz Elektro Art FettoやSky Blue Overdriveとの相性は最高でした。
続いて、Ch.2、モダンハイゲインチャンネルを見てみましょう。リバーブはCh.1と別の設定が可能ですが、リバーブユニット自体は共通しているのか、全く同じリバーブサウンドです。
まず、モダンハイゲインと謳っていますが、こちらのチャンネルで作る歪みはやっぱりVOXアンプの歪みです。ゲインを上げることはできますが、メタルやヘヴィネス系のサウンドにはなりません。もともとのアンプ特性ゆえか、Gainを上げすぎるとシャリシャリになってしまいがちなのでその点は注意が必要です。ただ、細かくノブを設定して行くと、非常に安定して弾きやすいドライブサウンドが得られますね。ゲイン的にはハードロックに届くか届かないか程度・・・ブライアン・メイが作るあたりのゲインのサウンドが一番使いやすいように感じました。メタル系のサウンドを作るなら、Ch.1をクリーンに設定してエフェクターでハイゲインディストーションを作る方が早いと思いますw
Ch.2は、Ch.1以上に歪みエフェクターを選びます。相性が悪いと、音がゴリゴリになってしまいますが、相性のよいペダルだと、伸びやかで粘り気のある、「正統派」なブリティッシュリードトーンになりますね。Marshallよりもダークな響きで、非常に良い感じです。
このアンプ、届いた当初はそれまでずっとクラスAの小出力アンプと反応性の高いオーバードライブを組み合わせた歪みばかりを弾いていたせいか、何か平面的な歪み方に思ってしまったんですが、しばらく使って音を作っていくと、どっしりとした安定感のあるドライブサウンドであることが分かりました。
Classic Plusシリーズ、非常に良いアンプだと思います。VOXらしいアンプの癖も、ずっと弾いていたくなるような心地よいサウンドになってきますね。「モダンハイゲイン」という謳い文句はちょっと違うように思いますが・・・ブルース〜ロックまでをカバーするには十分なゲイン量ですし、12インチ2発と50W出力のパワーは迫力があります。ちなみに部屋で一瞬だけMasterをフルにしてみたところ、壁全体が振動してえらいことになりかけましたw
部屋ではMasterを9時くらいにして使っています。このへんまでならたぶん大丈夫ですw
というわけで、Vox AC50CP2のレビューでした。アンプのレビューってあんまりやったことがないので若干ぎこちない感じになってしまいましたが・・・このアンプの良さが少しでも伝わればと思います。ただ何度も書いているとおり、かなり癖の強いアンプですので、VOXサウンド自体が好みでないという方にはおすすめできません。ディスコンになった影響もあってか、AC30と比べると価格も非常に下がっているので、実はけっこう狙い目のアンプなんじゃないかと思ったり・・・。もしお店で見かけたら、音を出してみてくださいね!