たった一人の技術者が、大メーカーを変える・・・産業革命直後や戦後復興の時代ならばともかく、現在、そんなことはほとんど起こり得ないことだと思います。
しかし、こと音楽機材、特にエフェクターにおいては、現在でも技術者の意見が大きく反映され、またその技術者の元に集まるファンが多くいる状況となっています。
例えばPete Cornish、Roger Mayer、Denis Cornell、David Andrew Main(D*A*M・JMI)、Bjorn Juhl(BJFE・Mad Professor・One Control)、John Landgraff、Robert Keeley、Analog Mike(Analog.Man)、Mike Fuller(Fulltone)、Sean Michael(Lovepedal)、Zachary Vex(Z.Vex)、Devi Ever・・・日本でも林氏(Free the Tone)、鈴木氏(Shin's Music)、村田氏(Crews Maniac Sound)、鳥居氏(Guyatone)、Ooba氏(RE-J Project・Analog.Man Asia)、Shun Nokina氏(Leqtique・SND)といった、それぞれ好みはあれどみなさん大変なこだわりと影響力を持つビルダーの方がたくさんおられます。(紹介しきれなかった方、ごめんなさい)
さて、あえて1人、上で名前を省いたのですが、もうタイトルから分かるかと思います。そう、Jim Dunlop、そしてWay HugeのGeorge Tripps氏です。
エフェクター全体への影響力、という意味で世界有数の有名ビルダーであることは間違いないのですが、それ以上に、明らかに彼が入ってからのMXRの変わりようという意味で、そしてそういう機会に恵まれた、という点についても、現代になって、すでに伝統のある大メーカー、定番ブランドを変えた1人の技術者として個人的にすごい人物だと思っています。
日本において、Way Hugeの名前はあまり知られていませんでした。若干発音しにくいブランド名ということもあるんでしょうけど、そもそも「早すぎた」ブランドだったのです。有名な東京の楽器店で、A.Y.A Tokyo Japanのブランドも持つF-Sugarさんで紹介され、今は無くなってしまったタハラ楽器で正規輸入されたこともあったようなのですが、(ちなみにタハラ楽器は過去、BJFEのペダルも輸入していた時期がありました)それほど広まることが無かったのは事実です。世界的にも早すぎたブランドのようで、最初のWay Hugeは数年の活動でブランドをたたんでしまいます。
Way HugeはGeorge Tripps氏のオリジナルブランドとして発足し、彼の独特の設計思想を反映し、さらに安価なパーツを使用することで手頃な価格で高品質なペダルを販売していたブランドです。そのサウンドは当時のペダルとしては次元が違うもので、生産数の少なさから当時のペダルが現在では高値で取引されています。
そんなGeorge Tripps氏ですが、後にLine6に入社、あの有名なLine6 DL4の開発に関わります。
現在では、ビルダーとして活動する前に何度もエンジニアに問い合わせをした、というJim Dunlopに入社、自身のWay HugeをDunlop傘下で復活させると共に、同じくDunlop傘下ブランドのMXRペダルの監修や、MXR Custom ShopにてBadass開発チームの1人として活躍しています。
さて、日本において、最も有名なWay Hugeペダルといえば、(復活前は)とある1台のオーバードライブペダルでした。
その名は「Red Llama」。世界的にも人気の高いオーバードライブペダルで、CMOSを用いた特有の回路で、非常にレスポンスが高く、若干ファズっぽさの混ざった独特の歪みは個性的かつ革新的なもととして有名なモデルです。
fsp OD69をはじめ、数々のブランドがそのサウンドのフォロワーとしてエフェクターを製作していました。
【エフェクター】fsp OD69 |
そんなRed Llamaが、ついに復活するようです!
個人的にあまりにも嬉しかったのでこんな長文を書いてしまいました。すいませんw
間もなく開催されるNAMM SHOWに出展される予定とのことです。コントロールもVolumeとDriveのみのオリジナルを踏襲したものとなります。名前は「Way Huge Red Llama MkII」となるようですね。
なお、Way Hugeからはもう1台、「Supa-Puss」というAqua Pussにタップテンポとコントロールを追加したアナログディレイも出展予定となっているようです。
アナログディレイ Way Huge Aqua-Puss MkII |
これは発売が楽しみですね!