個人向けDTMからプロフェッショナルレコーディングまでに対応する定番、本格DAWソフト、Steinberg Cubaseが新しくなりました。
この「Cubase 7」は、これまでのCubaseシリーズからかなり大きくバージョンアップされ、機能が追加されたモデルとなるようです。
「DAW」とは、Digital Audio Workstationの略で、音の録音や編集、ミックス、マスタリングを行えるソフトウェアです。加えて、最近ではプラグインソフトウェアを使って数々のエフェクトを導入したり、アナログシンセのシミュレーターやボーカロイド、ドラムやベース、ピアノ等のソフトシンセを鳴らしたりといった音源や楽器としての役割も担っています。
いろいろなDAWが発売されていますが、有名どころでは今回の「Cubase」の他、Roland/CakewalkのSONAR、AbletonのLive、そしてAVIDのPro Toolsといったモデル、また最近ではiPad上で動作するAuriaというアプリなども出てきています。DAWはその自由度の高さから、システムさえ揃えばどんな楽曲でも作ることができる、今の音楽製作において欠かせないものとなっています。
では、今回アップデートされたCubase 7について見てみましょう。といっても、非常に多機能で自由度の高いDAWソフトの全てをご紹介するのは無理なので、大きなアップデートを中心に書いていきます。
まずは「コードトラック」。これは今回のアップデート最大の目玉というべき機能です。
DAWは、いろいろな「トラック」を組み合わせて楽曲を作っていきます。例えばCubaseでは、楽器やヴォーカルなどを録音した音は「オーディオトラック」、Cubase内で動作するソフトシンセの音は「インストゥルメントトラック」、楽曲の場所、タイミング等でミキサーの動きを制御する「マーカートラック」・・・というように、いろいろトラック名が付いています。そして、今回追加された「コードトラック」は、楽曲のコード進行を制御するトラック、というわけです。
MIDIトラックはもちろん、オーディオトラックの解析(フル機能のCubase 7のみ)によってコードを判別したり、もちろん手動で切り替えたりすることで、楽曲にかかるハーモニーやアレンジの支援ができるようになっています。リアルタイムなコード組み替えや、さらにコード進行を案内するアシスタント機能もあるので、より楽曲作りが手軽となっています。
続いて、「Variaudio 2.0」という機能。VariaudioはCubase 5から実装された機能で、音のピッチ補正やハーモニーの付加などを行います。今回はコードトラックの装備にともない、コードトラックと連携した機能を使うことができるようになりました。ただ、Variaudio 2.0はフル機能のCubase 7のみとなっているようです。
コードトラックと並ぶ、今回のアップデートでの大きな目玉となるのがこちら。「ミキサーの一新」です。
MixConsoleという名前となり、より高い音質で、操作性もアップしているということです。フルスクリーン機能やズーム、12dBブースト、表示設定切替やチャンネルセレクターなどを搭載。フル機能のCubase 7ではラウドネスメーターやVoxengo CurveEQ付属、ダウンミックス機能の向上なども行われています。
そして、これは特に離れた場所で作業を分担するプロの方に特に需要があると思いますが、「VST Connect SE 」という機能(フル機能のCubase 7のみ)で、Cubaseそのものにトークバックやチャット機能やビデオ、オーディオストリームの機能を搭載。どこにいても直接やりとりをしながら楽曲製作が行えるようになっています。Skypeを起動しながらCubase編集をしなくても、Cubase 7どうしなら簡単につながることができる、というわけですね。
今回のアップグレードバージョンにおけるラインナップを見ておきます。
フル機能版のCubase 7は「通常版」「アカデミック版」「アップグレード版」、そして、記事中でフル機能のCubase 7のみと書いた機能は使えませんが、パーソナルな環境なら必要十分といえるのが「Cubase Artist 7 通常版」「Cubase Artist 7 アカデミック版」「Cubase Artist 7 アップグレード版」です。
個人的にコードトラックは使ってみたいです。あといつもに増して、通常版、つまりフル機能版のみの機能に魅力があるような気がします。DAWソフトは本当に多機能な分どうしても高価になりがちで、本当に必要な機能を見極めて選ぶのが一番大切です。
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