【パーツ/トレモロシステム】Floyd Rose Ultimate Titanium Tremolo 【受注生産品】 |
原理は非常にシンプルで、ギターのテイルピースを動かすことで弦の張力を可変し、それにより音程をシームレスに揺らして様々な効果を得るというものですね。古くはヴァイブローラ(SG等に搭載されたGibson Vibrolaとは別)等と呼ばれ、1940年代ごろからギターに搭載され始めます。あの発明家としても知られるアーティスト、レス・ポールもハンガーの部品を使って自作のトレモロユニットをギターに搭載していたりします。楽器ではよくある話ですが、出始めた頃は邪道だと呼ばれたりもしたそうですね。
今では、特にエレキギターにおいて、トレモロユニットは一般的なものとなっています。いくつか有名なものを簡単に見てみると・・・
特に有名なトレモロユニットとして挙げられるのがこのビグズビートレモロです。Bigsby社から発売されており、40年代から作られているスタイルですね。早くからソリッドボディのエレキギターを開発し、一説にはテレキャスターの原型とも言われるモデルを作ったポール・ビグズビーによるトレモロユニットですね。いくつかのスタイルがありますが、古くからギターに搭載され、その効果を発揮してきました。写真を見て分かると思いますが、テイルピースがバーになっており、そこに弦が巻き付いています。このバーが回ることで弦のテンションを可変して音程を変えるというものですね。
ビグズビーと並んで、いや、今ではビグズビー以上に有名なトレモロユニットです。レオ・フェンダーによって1953年末に完成し、翌年のストラトキャスターに搭載されたトレモロユニットですね。ユニットがギターのボディを貫通しており、ボディの裏側にあるスプリングと弦の張力を釣り合わせ、それを前後させることで音程を可変するシステムです。本家ストラトキャスターはもとより、数多くのギターに搭載される定番のスタイルです。
そして、今回の主役、フロイドローズトレモロです。Floydrose社から発売されます。Q5のギタリストでもあるフロイド・ローズが開発し、1977年に発売。エディ・ヴァン・ヘイレンをはじめさまざまなギタリストも使用しています。
スタイルとしては前述のシンクロナイズドトレモロをより発展させた形です。50年代に設計されたシンクロナイズドトレモロは非常に素晴らしい機構を備えていますが、特にジミ・ヘンドリクスの登場以降、過激にトレモロユニットを動作させるアーミング奏法が一般化し、さらにハードロック、ヘヴィメタルの台頭にともなってより激しいアーミングが一般的となってきます。
アーミングは弦のテンションを変えるため、チューニングの狂いが生じやすく、また50年代の機構ではその音程の可変幅も限界があります。
そこで、さらなる可変幅の増大とチューニングの安定性を求めて開発されたのがこのフロイドローズで、ナットとテイルピースで弦を完全に固定し、1度や2度のアーミングではチューニングが大きくずれることのないように作られたシステムですね。これにより、さらなる過激なアーミングが行われるようになり、特にHR/HM系のギターではスクリューで固定されたナットと、この機械的でごついトレモロユニットを搭載したギターは一般的となっています。
また、どんなトレモロユニットもそうですが、それぞれのシステムを基本とし、各メーカーごとの個性を出して発展したモデルも多数あります。
「メーカーオリジナル」という言い方が正しいかどうか微妙なんですが、つまり上記のような有名トレモロとは違ったモデルという意味でとらえてください。この写真はIbanezの「Edge Zero」というフロイドローズをベースにしたトレモロの1つです。(アームはもっと奥まで入りますw)
というわけで、簡単にトレモロユニットの説明をしたところで本題です。
フロイドローズから、チタニウム合金を扱うTiSonixとの共同で開発されたモデル「Floyd Rose Ultimate Titanium Tremolo」が登場です。
トレモロユニットは、金属の塊です。しかも設置位置は当然ギターのボディエンド部となります。これは意外と、基本的に木でできたギターにとって、またモーメントの大きくなるボディエンドに取り付けられることによって、けっこう体感的な重さも変わります。(ボディが軽すぎてヘッドが落ちるギターにはトレモロを付ければヘッドが落ちなくなるとも言われます)
そこで、より軽量な合金であるチタンを使ったフロイドローズが登場、というわけですね。
機能的には、現在の一般的な6弦用フロイドローズです。ダブルロッキング方式で、ロックした状態でもチューニングの微調整ができるファインチューンを搭載しています。チタンは軽いだけでなく耐久性も高く、また音響的にも優れるというか、エレキギターに合っているということで、より軽量に、耐久性が高く、また音的にも良い方向に行く(好みがあるので確実じゃないですが)トレモロユニット、というわけですね。
フロイドローズはボディのザグリも大きいので、そうでないギターに搭載するといろいろ加工も必要かと思いますが、すでにフロイドローズが載っているギターに、このモデルを載せ替えてもまた効果がありそうな感じですね。このモデルは受注生産による少量生産ということもあり、ほぼカスタムメイド的なモデルとなるようですね。
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