国産ハンドメイドエフェクターブランドを取り上げていく特集第3弾。後編では前回に引き続き、「Inner Bamboo Electron(公式サイト)」のエフェクターをご紹介していきます。
今回は、ブースターペダル「EDGE / GAIN BOOSTER」のレビューをしてみようと思います。では、いってみましょう!
Inner Bamboo Electron EDGE / GAIN BOOSTER
こちらが、その「EDGE / GAIN BOOSTER」です。現代的というか、スタンダードなコンパクトペダルらしいデザインのモデルですね。2ノブに2フットスイッチのシンプルなスタイルです。
コントロールとフットスイッチは、右側がEdge、左側がGainのコントロール。形としては、2つの独立したブースターを1つにまとめたモデルです。ツインブースターというといろいろなモデルがありますが、Super Duperのように2つのブーストをまとめてコントロールしたり、Draconisのようにエフェクトループがあったり、Twin BoostのようにEQがあったりするわけではありません。しかし、2つの違った特性を持つブースターを組み合わせ、片方ずつでも、両方をONにしても効果的なブーストが得られる、という特徴を持ったペダルとなっています。
内部も見てみましょう。このペダルは、現代的なペダルによく使われるパーツで構成されています。
大きなEROコンデンサや・・・
三洋のSEP、ニチコンのBPなどですね。
シリコントランジスタを用いた回路で、抵抗は金属皮膜。コンデンサはこだわりを感じる部分ですね。全体的にハイクオリティで音響用のものを使っていることが分かります。原音を大事にするブースターだからこそ、こういうパーツ選択になったという感じでしょうか。
では、レビューの方いってみます。
- 操作性
まずは操作性。見ての通り、シンプルなコントロールなので迷うこともなければ、説明書を見なくてもだいたいのところは分かる感じですね。EdgeとGainという名前も、それぞれエッジを際立たせる、ゲインを上げる、という役割なんだろうな、と何も知らなくてもだいたい分かるかと思います。
- サウンドレポート
では、音の方を。例によって、簡単にサンプルを録ってみたので、まずはそれを載せたいと思います。
サンプルサウンド1 クリーンサウンド
- 録音環境
ギター:Fender USA American Vintage 57 Stratocaster リアPU
アンプ:Koch Classic SE C-SE6C クリーンセッティング
Edge:1:00
Gain:10:00
順に、クリーンサウンド→Edge→Gain→Edge+Gain
まずはクリーンサウンドをそのままブーストしてみると、こんな感じです。
EdgeとGain、それぞれのブーストの特徴が分かりやすいかと思います。Edgeチャンネルは艶やかさを作るためのブーストで、高域〜中域あたりを大きく持ち上げるブースト、Gainは音の厚みを増すためのチューニングがなされたブースト、という感じですが、実際聞いてみるとその通りだと感じます。
Edegeは、トレブルブースターっぽくハイが上がるんですが、ローも同時にけっこう上がっていて、太いローエンドから鋭いハイまで出せる、その代わりブースト量自体は全体的に抑えめとなっていて、Gainはローミッドを中心に強くブーストがかかる、という感じですね。通常の「ブースターペダル」として考えると、Gainブーストの方がいわゆるクリーンブースター的な感じで、Edgeの方は音を補佐するようなエフェクトとして使えそうだと思います。
では、これで歪みをブーストするとどうなるでしょうか。
【正規輸入品】【Hand Wiredシリーズ】Mad Professor / Sweet Honey Overdrive スウィートハニ... |
サンプルサウンド2 オーバードライブ
- 録音環境
ギター:Fender USA American Vintage 57 Stratocaster リアPU
オーバードライブ:Mad Professor Sweet Honey Overdrive Level:1:00 Tone:11:00 Drive:10:00
アンプ:Koch Classic SE C-SE6C クリーンセッティング
Edge:3:00
Gain:3:30
順に、クリーンサウンド→Edge→Gain→Edge+Gain
すると、こんな感じになります。こちらでは、あえて分かりやすいように両方のブーストをかなり高く設定してみました。音作りよりもペダルの特性を強く出すようなセッティングです。基本的なブーストの特性はクリーンのところで述べた通りですね。
クリーンと歪み、両方の場合で試してみましたが、このペダル、かなり使いやすいブースターだと思います。
例えば、楽曲によって音をキラキラさせたい楽曲と、落ち着いた音が欲しい楽曲があるとします。ギターやアンプを2台使えればそんな使い分けは余裕ですが、なかなかそうは行かない場合も多いですよね。そんな時に、基本的に落ち着いた音で作って於いて、キラキラした音が欲しい楽曲ではEdge側を常時ONにしてしまう、ということができます。Gain側は通常のブースターと同様の使い方をすることで、音全体のバランス調整とブースト、両方を行えるというのがこのペダルの特徴ですね。
2in1ブーストやオーバードライブなどでは、内部の2つのエフェクトを自由な順で接続できるスイッチがあったりしますが、このブーストの特性を考えると、そういった機能をあえて付けていないというのも理解できます。もし、今のEdge→Gainの順が逆になった場合、両方をONにするとたぶんEdge側の特性が出すぎてしまい、キンキンした感じになってしまうのではないかと思います。なので、今の接続順で正しいと思います。(このへんの実験は制作時にいろいろやっているでしょうから、口出すことじゃないんでしょうけどw)
また、クリーンサウンドを作るためのペダルとしても非常に有効ですね。
このペダルのEdgeのみをONにしたサウンドって、実際ハイミッドあたりが強調されるんですが、たんにハイ上がりになるだけじゃなくてローエンドが太くなって、コンプレッサーを掛けたような綺麗な低音が得られます。このEdge ON時の6弦の音がとても良くて、ルート音を組み合わせたアルペジオなんかをやる際に、このEdgeブーストを使うと煌びやかな1〜3弦と、前に綺麗に飛び出す5〜6弦の音が得られるので、そういった際にもとても良いペダルではないかと思います。けっこうブーストを高めにしてハイを強めにしても全体の音量は大きく上がりすぎないので、EQ的な使い方としても素晴らしいです。
Gain側は、音がかなり太くなるブーストですね。音そのものの塊感が強くなり、リードでもバッキングでも、音を前に出したい時には最適なブーストだと思います。あまり強い味付けはないので、原音をそのまま活かしながら音の重心だけを少し変えるような使い方ができます。
Edge+Gainの両方をONにした時は、ブーストの割合で音の調整ができます。ハイを強めに出したいならEdgeを高めに、そうでないなら低めにすることで、全体的なバランス調整が簡単に行えます。両方ONにするとの触れるだけで音が出るような高いレスポンスも出てきますので、より細かな表現をしたいという時にも有効な手段ですね。
というわけで、Inner Bamboo Electron EDGE / GAIN BOOSTERのレビューでした。
このペダル、本当によく考えて作られていると思います。単にクリーンブースターを作るだけなら、Gain側だけでも十分に素晴らしいブーストなんですよ。しかし、このEdgeブーストの存在が、このペダルの汎用性を大きく高めています。
EdgeとGain、2つのブーストがセットだからこそこれだけ使いやすいペダルとなっていると思います。変に音が堅くなってしまったり、出力が上がり過ぎて使いにくくなってしまったりということもないので、ギターを弾く上で必要な、それでいて使いこなす面白さもあるとても良いブースターだと思います。
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