斬新な超小型筐体のエフェクトを数多くラインナップする中国のエフェクターブランド、Hotone(ホットトーン)。精力的なモデル展開を行っており、様々なペダルが出てきています。
そんなHotoneの中でも最初に入って来たモデルの1つ、ディレイペダルの「Hotone EKO」をレビューしてみたいと思います。実際にどのくらい小さいのか、そしてその実力とは!?
HOTONE EKO |
Hotone EKO
というわけで、こちらがそのEKOです。EKOでエコーと読むモデルで、ディレイペダルですね。
コントロールは、本体奥に大きなTIMEノブがあり、上部にはECHOとREPEATSノブ、そしてMODスイッチがついています。最大500msまでのディレイタイムに対応。MODスイッチでモジュレーションをかけることもできます。
このシリーズに共通するこの外観。本体奥のノブは中央にくる数字を見て、そして上部のノブは黒で描かれたポイントを見ることで今のセッティングが分かります。個人的に、このデザインがどうしてもドッスンに見えてしかたないですw
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で、このドッスンですが、ノブの位置を変えるといろいろと、まさに表情が変わって見えます。例えば・・・
笑顔になったり
しょんぼりしたり
左を向いてみたり
こんな感じで、なんだかかわいらしいペダルですね。
実際このペダルのサイズは、というと
スタンダードなBOSSペダル、OD-3や、ミニサイズのペダル、SL Driveと比べてみてもこのとおり。恐ろしく小型なのがよく分かります。
こうしてアダプタを接続すると、アダプタ端子が巨大に見えるほどのサイズですね。そしてペダルをONにすると、奥のノブが光ります。
こんな感じに。
前から見るとこんな感じ。
ノブを外してみると、このように2つのLEDでノブを点灯させていることが分かります。
さらに裏蓋を開けてみるとこんな作り。小さいですが、中はそうとう詰まっています。
筐体を外してみました。
こっちが本体ですね。基板を5枚重ね、チップ抵抗などを駆使してこのサイズを実現しています。これはすごい。
裏側はこんな感じ。ジャックのサイズがそのままギリギリ筐体サイズになっています。
ノブを照らすLEDと、アルファポットです。
こちらはPush/Push式のMODスイッチ。小さいです。
ディレイチップはPT2399を使っていました。デジタル回路とアナログ回路のハイブリッド、的な言われ方もしますが、ヴィンテージ系ディレイサウンドを作る上で、今ではBBDと並んでよく使われるディレイチップの1つです。
ちなみに、白いノブやスイッチは蓄光で、OFF時にも場所が分かりやすくなっています。ただし、この写真はPCの電源の緑LEDによるものなので、「こんな感じですよ」というイメージでとらえてください。
本体上部にある銀色のバー。これがあるとないとでこのペダルの操作性が大きく変わります。
では、操作性の話が出たところで、レビューいってみましょう。
- 操作性
最初は不安になりました。こんな小さくて大丈夫なのかと。パッチケーブルのプラグがあんな大きく感じたのは初めてです。
ところが、基本的に大きな問題はありませんでした。ON/OFFも簡単ですし、前述のバーのおかげでノブを踏んでしまったりすることもありません。コントロールもスタンダードなので、迷うことはないでしょう。
ただ、本体奥にある、大きなノブ。あのセッティングは若干見づらいです。しゃがまないと、今どこの位置を指しているのか分かりにくいと思います。ただノブ自体は大きいし、高さがあるのであらかじめ設定する場所にシール等で印を付けておけば、セッティングで時間がかかることもないと思います。
他は全く問題ありません。むしろこれだけ小さいと本当に場所を取らないので、ボードに入れる上では間違いなくメリットとなります。また、このサイズなので仕方がありませんが、電池は使えません。
- サウンドレポート
では音について。まずはいくつか音を録ってみました。
サンプルサウンド1(ミドルディレイ)
- 録音環境
ギター:Fender USA American Vintage 57 Stratocaster リアPU
アンプ:Koch Classic SE C-SE6C クリーンセッティング
セッティング:TIME=4 ECHO=12:00 REPEATS=12:00 MOD=OFF
サンプルサウンド2(ミドルディレイ+モジュレーション)
- 録音環境
ギター:Fender USA American Vintage 57 Stratocaster リアPU
アンプ:Koch Classic SE C-SE6C クリーンセッティング
セッティング:TIME=4 ECHO=12:00 REPEATS=12:00 MOD=ON
サンプルサウンド3(ロングディレイ)
- 録音環境
ギター:Fender USA American Vintage 57 Stratocaster リアPU
アンプ:Koch Classic SE C-SE6C クリーンセッティング
セッティング:TIME=10 ECHO=3:00 REPEATS=12:00 MOD=OFF
サンプルサウンド4(発振)
- 録音環境
ギター:Fender USA American Vintage 57 Stratocaster リアPU
アンプ:Koch Classic SE C-SE6C クリーンセッティング
セッティング:RANDOM PLAY
というわけで音はこんな感じ。基本的に、とてもスタンダードで使いやすいディレイサウンドとなっています。残響が繰り返されるごとに良い具合に減衰する感じは、かなりアナログ感のあるサウンドですね。PT2399はデジタルディレイチップなので、発振もするんですが発振したときの音だけはなかなか本物のBBDのアナログディレイに近づけるのは難しいです。しかし、普段のディレイサウンドに関して言えば、BBD由来のノイズが出ないため、こちらの方が有用と考える人も多いと聞きますね。あえてBBDにこだわるか、PT2399の方がより良いと考えるか、そのあたりはそれぞれだと思いますが、実際こうして弾いてみるとPT2399のディレイサウンドも、しっかりと周りの回路を作ればとても良いものだと言うことがよく分かります。
モジュレーションも、細かい調整は出来ませんが薄すぎず濃すぎず、丁度良い設定となっているように思います。このサイズのペダルで、オマケ機能としては必要十分以上の音が出せました。
ロングディレイは最大500msサンプルでは付点8分的に弾いてみました。こういうプレイは通常デジタルディレイで厳密にディレイタイムを設定し、Repeatは1回に限定して行うのがスタンダードと言われていますが、こういったアナログ系のディレイサウンドならば2回目以降の残響を残して置いても次の音の邪魔をすることがありません。最近はアナログディレイでもタップテンポを搭載していたりするので、こういったプレイも簡単に行えますね。このペダルにはタップテンポはありませんが、ディレイタイムを上手く調整すれば楽曲に取り入れることもできるかと思います。
そして発振。前述のとおり、BBDの発振とはここだけ少し違っていて、やや硬めで、音のローファイ化がより激しくなるような発振サウンドとなっています。これはこれで全然悪くないというか、面白い効果となっていると思います。途中でMODスイッチを入れているんですが、それはあまり分かりませんでした。以前レビューした、Ibanez ES2の場合、発振にモジュレーションがかなり効いていたので、サイズは全然違いますがそういうことをしたい場合はそちらの方が良いのかもしれませんね。
とはいえ、実際にこうして使ってみて、「小さいからこの機能は我慢するしかない」とか「筐体がかわいいから許す」的な使いにくさだったり、足りないところというのは特にありませんでした。電池は使えないので電池駆動のペダルが必要なプレイヤーにとって、そこだけはどうしようもありませんが、ペダルとしての機能や音色に一切の妥協はない、ということはとてもよく分かります。
実際全体の作りも良く、質感も高いです。これだけの機能と音、そして小ささを実現して、手頃な価格で作ることができる、今のエフェクターってまさにこういうことなんだな、と思いました。
このシリーズ、正直言って全体的にクオリティが高く、音もレベル高いです。あまりにも小さいので、ついイロモノ的な目で見てしまうかもしれませんが、これは本当によく考えて、よく作られていると思います。
ディレイはもちろん、他のペダルなんかもよかったらいろいろ試して見てください。間違いなく、すごいペダルです。
サンプルサウンド
最長500msec、ウォーム&ナチュラルサウンドのデジタル・ディレイHOTONE EKO(エコー/ディレイ) |
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