少し間が空いてしまいましたが、数あるエフェクトが出ている今だからこそ、定番モデルを振り返ってみるシリーズやりたいと思います。前回は多機能ディレイをやりましたが、今回はリバーブペダルをいろいろ見てみたいと思います。
リバーブとは、正確にはリバーブレーターと言うエフェクトで、元々reverberation、つまり残響という言葉から来ています。ディレイがやまびこ効果だったとしたら、リバーブは部屋の中で音が反響するようす、という感じですね。一般にはエコーと呼ばれることも多く、カラオケなんかで「エコーをかける」場合、たいていリバーブだったりすることは多いです。浴室での反響や洞窟、教会などでの反響など、さまざまな反響をシミュレートしたのがリバーブエフェクトです。
もともとエフェクトとしてリバーブを得ようと思えば、かつてはリバーブルームという部屋を使っていました。まさに、本物の残響をそのまま録音していたわけですね。エコーチェンバーとも呼ばれます。その後薄くて大きな鉄板を使ったプレートリバーブが登場。プレートに音を流し、それを拾うことで残響を得ていました。これも何畳という大きさのものが使われました。さらに小型化するために、バネを使ったスプリングリバーブが出てきます。構造自体はプレートリバーブと近いですが、プレートの代わりにスプリングを使うことでギターアンプに搭載することもできるようになりました。
さて、ディレイエフェクトが進歩してデジタルディレイが出てくるようになると、複数のディレイを使うことによるデジタルリバーブも一般的になってきます。コンパクトエフェクターとして最も一般的なものがこのデジタルリバーブですね。本当に一部、本物のスプリングリバーブを使った「アナログ」のリバーブペダルもありますが、ほぼ100%のリバーブペダルはデジタルリバーブと言って良いかもしれません。
そんな感じで進化してきたリバーブペダルも、様々なモデルが出ています。デジタル技術の発達により、様々なリバーブサウンドも得られるようになってきました。では、定番リバーブを見てみましょう。
※「定番」に定義はありません。あくまで個人的な印象も含んでいますので、これが入っていない、これは定番じゃない、といったご意見もあるかもしれませんがご了承ください。メーカーのアルファベット順にご紹介します。
BOSS RV-5 Digital Reverb
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Demeter RVB-1 Reverbuater
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このペダルは、非常に数の少ない、本物のスプリングリバーブを使ったリバーブペダルですね。Gain、Blend、Volumeコントロールと、位相切替スイッチ、およびスプリングをLong、Short、Bothから選択できるスイッチを搭載。内部には長いスプリングと短いスプリングが入っていて、それぞれをどう使うのかを選択できるというものですね。
ギターだけでなくラインレベルにも対応し、いろいろな楽器で使えるコンパクトなスプリングリバーブとなっています。
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Digitech Hardwire RV-7 Stereo Reverb
Digitech Hardwire Stereo Reverb RV-7 【ご予約受付中】 |
コントロールはLevel、Liveliness、Decay。そしてRoom、Plate、Reverse、Modulated、Gate、Spreing、Hallのリバーブサウンドを切り替えられます。リバーブそのものの質の良さにも定評があり、さらにスタンダードなリバーブサウンドだけでなくリバースリバーブのような変わったリバーブが得られることも人気の理由となっています。
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Electro-Harmonix Holy Grail
electro-harmonix Holy Grail デジタルリバーブ |
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Eventide Space
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多彩な12種類のリバーブサウンドを収録し、Mix、Decay、Size、Delay、Low、High、Xknob、Yknob、FxMix、Contourのコントロールで細かく音をつくることができます。さらに100種類のプリセットを保存することができ、ステレオイン/アウト対応(IN/OUTともライン向けとアンプ向けの切替可)、MIDIによる制御も可能です。USB経由でのファームウェアアップデートにも対応しています。
収録されているリバーブと、そのときのXknob/Yknobのコントロールは以下の通りです。
- Hall
大きな会場をシミュレートするホールリバーブです。High、Contour、Lowが3バンドのEQとなり、Decayノブの他にXknobで高域、Yknobで低域のディケイを設定出来ます。ホールを構成する材がローを吸収しやすい材なのかハイを吸収しやすい材なのかなどのシミュレートが可能です。Delayノブでプリディレイを設定できます。FxMixでランダムモジュレーションの強さを変えることが出来ます。
- Room
ヴォーカル用のブースから小さめのホールまでをシミュレートします。LowとHighはそれぞれ低域、高域のカットオフ周波数でのブースト/カットを行います。低域のカットオフ周波数は350Hz。高域のカットオフ周波数はContourノブで調整できます。Xknobでリバーブの拡散を、Yknobでアーリーリフレクション(最初に帰ってくる音)とその後のリバーブのミキシングを調整できます。
- Plate
プレートを使って擬似的にリバーブを作り出していた頃のエフェクトを再現します。LowとHighノブは低域、高域のダンピング周波数の設定。これでいろいろなプレートリバーブをシミュレートできるとのことです。Contourはトーンコントロール、Xknobで拡散を、Yknobでリバーブプレートまでの距離をコントロールします。
- Spring
スプリングリバーブのシミュレートです。Sizeノブでスプリングのテンションを、Delayノブでスプリングの本数を(1〜3)、Contourでハイダンピング周波数の金属的なレゾナンス(響き)を、FxMixdeモジュレーションを加え、Xknobでリバーブの前段にかけることのできるトレモロのDepth、YknobでトレモロのSpeedを調整します。つまり、このモードでは古いアンプのように、スプリングリバーブだけでなくトレモロをかけることもできるわけですね。
- Dualvurb
2つの独立したリバーブをかけることができます。このモードでは、2つのリバーブはAとBで表されます。Decay、Delay、LowはそれぞれリバーブAのディケイ、プリディレイ、トーン。Xknob、Yknob、HighがリバーブBのディケイ、ディレイ、トーンとなり、SizeはAとBのシミュレートするリバーブのサイズ比です。FxMixでAとBのミックスを、ContourでAとBのレゾナンスのミックスを調整します。
- Reverse
リバースリバーブという変わったエフェクトです。Delayノブは、フィードバック、FxMixはマイクロピッチモジュレーション、Xknobでリバースリバーブが立ち上がってから原音になるまでの時間の微調整、Yknobでリバーブの拡散を調整します。
- ModEchoVerb
Eventide H8000シリーズというラック式スタジオリバーブにも収録されるエフェクトで、無限大のリバーブに無限大にフィードバックするディレイをかけ、モジュレーションさせるというものです。Delayノブが「ポスト」ディレイ、Contourでディレイのフィードバックループのトーン、FxMixは3種類のモジュレーションの選択とその深さを、Xknobでポストディレイのフィードバック、Yknobでモジュレーションのスピードを調整します。
- Blackhole
Eventide H8000に収録されたもので、ホールやルームより大きく、というか世界の外側につながるようなサイズのリバーブということです。
Decayノブは半重力モードと重力モードの選択と、そのときのディケイの調整、Contourはレゾナンス、Xknobでモジュレーションの深さ、Yknobでモジュレーションの速度を調整します。
- MangledVerb
リバーブに歪みとディチューンを加えた、Eventideオリジナルリバーブです。
FxMixでDetuneの設定、Xknobで2種類の歪みの設定と調整を、Yknobで歪みのレベルを調整します。
- TremoloVerb
地球サイズの巨大なリバーブにトレモロを加えたというリバーブです。FxMixでトレモロの深さ、Xknobで10種類のトレモロの波形の選択、Yknobでトレモロのスピードを調整します。
- DynaVerb
入力信号の大きさにかかわらず、一定の音量になるようリバーブをかけることのできるモードです。小さな音では深いリバーブが、大きな音では浅いリバーブがかかる・・・んだと思います。(よく分かりませんでしたw)EventideのOmnipressorとEclipseリバーブを合わせたものだそうです。
Contourでリバーブアウトをインプットに戻す(?)割合を、XknobでOmnipressorの調整を、Yknobでゲートのリリース速度、FxMixでゲートのスレッショルドを調整します。
- Shimmer
ロングトーンでバックにストリングの伴奏が流れるようなリバーブです。2種類のピッチシフトをリバーブにかけることで、単音に対して和音のリバーブがかかります。
Lowで低域のディケイ、Highで高域、Contourで中域のディケイを調整。FxMixでピッチのディケイを、XknobでAピッチ、YknobでBピッチを調整します。
Fender USA '63 Reverb
Fender USA《フェンダーUSA》63 Fender Tube Reverb ギターアンプ |
コントロールはDwell、Mixer、Tone。本格的なスプリングリバーブユニットを内蔵し、それをドライブするのは6V6×1、12AX7×1、12AT7×1のチューブサーキット。スプリングリバーブを使ったコンパクトペダルとはまた違った、本格的で本物のスプリングリバーブサウンドがえられます。サイズは大きく重たいですが、それだけの価値があるエフェクトです。
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Neunaber Technology Stereo Wet Reverb
エフェクター/リバーブ>ヌーネイバーテクノロジーNeunaber Technology / Wet Stereo Reverb 《... |
単純に最初から入っているリバーブエフェクトの質にも定評がありますが、このペダル最大の特徴は、USBによるファームウェアアップデートで、「他のエフェクター」にすることもできる、という点ですね。現在Neunaberから発売されているChroma Chorus、Echelon Echoというコーラスとディレイペダルがあるんですが、その音を作ることもできますし、Pedal Customizer Softwareを使うことだけで得られる、たとえばShimmer Reverbのようなエフェクトもあります。今後発売されるようなエフェクトも対応予定となっていて、1つあれば様々なエフェクトサウンドが得られるという、現在のデジタルペダルならではの機能が付いています。
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Strymon Bluesky
Strymon blueSky Reverb |
コントロールはDecay、Mix、Pre-DelayとLow Damp、High Dampの5ノブとnormal、mod、shimmerのMode切替スイッチ、およびplate、room、springのタイプ切替スイッチです。スタンダードなリバーブから立体的なモジュレーションが加わるリバーブ、そして圧巻の残響を作るShimmerを、それぞれ3タイプのサウンドで作ることができるペダルです。フットスイッチはON/OFFと1つプリセットを作ることの出来るFavoriteスイッチ。また、両方のフットスイッチを押しながらMixノブを動かすことで±3dBのブースト/カットに対応。バイパスはトゥルーバイパスと、残響を残すバッファードバイパスで切り替えることができます。ステレオ入出力に対応しています。
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t.c.electronic Hall of Fame Reverb
t.c. electronic Hall of Fame |
かつてラックエフェクター全盛時代から、リバーブといえばTCと言われてきたほど、LexiconやEventideと並んでリバーブサウンドには定評のあるメーカーだけあって、そのサウンドクオリティにも人気があるペダルですね。
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というわけで、いろいろなリバーブペダルを見てきました。ちょっとここで、最近注目のリバーブについて少しだけ補足します。
- Shimmerとは
今注目のリバーブ効果として、「Shimmer」というものがあります。これは、リバーブサウンドにオクターブ上の音が加わり、それを長いDecayでならすことで、まるでシンセサイザーのような音が出せるという効果です。特にシューゲイザー系のジャンルでよく使われます。今ご紹介したEventide、NeunaberやStrymonのペダルをはじめ、定番、といえるほどではないので載せませんが、Electro-Harmonix Cathedralや、Shimmer専用に作られたペダル、Mr.Black Eternaといったモデルでも作ることができます。
Shimmer Reverbのサンプルムービー
Shimmer Reverbのサンプルムービー2
リバーブは、PAにかけてもらえば良い。それも1つの手段だと思います。一方で、ギターサウンドにも軽くリバーブをかければまた違った厚みや立体感が出せることもありますし、Shimmerのように積極的に使うことで新たな効果が得られることもあります。
「PAがかけてくれる」ほど一般化して、それだけ効果のあるエフェクトです。だからこそ、自分で操作することにも意味があるのではないでしょうか。いろいろと試してみて、様々な効果を使ってみて欲しいと思います。
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