先日スタジオに行って、年末に発売された「One Control Persian Green Screamer」とオリジナル1980年製のTS808を比べてみました。
さっそくレポートしたいと思います!
One Control Persian Green Screamer
ワンコントロール 100年後のスタンダードを目指したペダルOne Control Persian Green Screamer ... |
Tube Screamerをベースとしたオーバードライブペダルで、LEVEL、TONE、DRIVEとVintage/Modern切替スイッチを搭載。スイッチでヴィンテージTSサウンドとモダンなトランスペアレントドライブサウンドを切り替えることができる、というモデルですね。
対するはオリジナルTS808。写真左側のモデルです。右側は比較用の現行TS808。現行のリイシューモデルとオリジナルモデルの見た目の違いなどが分かると思います。(リイシューモデルはオリジナルの最後期のモデルを元にしています。今回比較するオリジナルは中期のモデルです。)
OpampはRC4558マレーシアンチップ。電池スナップを交換し、筐体の一部を補修してはいるものの、本物のオリジナルTS808です。
スタジオではJC-120を使い、ストラトキャスターで2台を比較しました。
- 操作性
Persian Green Screamer(以下PGS)、オリジナルTS808(以下オリジナル)、共に操作性は特に迷う用はことはありません。オリジナルの方は電源がミニプラグだったり、トゥルーバイパスではなかったりするんですが、そこは古いペダルですし仕方ありません。PGSの方は、ミニサイズながら電池駆動も可能で、コントロールも分かりやすいんですが、側面にあるVintage/Modernの切替スイッチが奥まっていて、切り替えが少し面倒というのはありました。別の見方をすれば、かなり音が変わるスイッチなので踏み間違いやパッチケーブルが触れる等でモードが変わるような事故を防いでいる、とも言えますが、試奏で試す際にはすこしだけ面倒だと思います。セッティングが決まればなんてことないでしょうけど・・・。
- サウンドレポート
では、音の方みていきましょう。
まずはオリジナルの特性について、軽く書いて行きます。基本的な音色自体はTSなので、現行リイシューのTS808に近い音です。
ミッドが出て、レンジは広くはありません。クリーミーな音色です。しかし、リイシューモデルにある「鼻づまり感」、音色のバランスの悪さが無く、全体的にバランスが取れていて、特性は似ているのにもっとすっきりとして抜ける音色となります。
良くも悪くも、古いパーツの特性が偶然このような音を作っていると言えるのかも知れません。今のパーツで同じ回路を組むと、どうしてもリイシューモデルのようになってしまうのだと思います。PGSの場合、TS系回路ながら同じではない回路とすることでヴィンテージの音を再現したそうです。PGSの価格を考えても、厳選したNOSパーツとかレアで高価なパーツは使っていないでしょうから、今のパーツを使うなら回路もそれに合わせて変える、というのが正しいヴィンテージTS再現法の1つなのかも知れませんね。
実際にPGSとオリジナルを並べて音を出してみます。全ノブを12時で音を出すと、かなり似ているんですが少し違う、という音になります。ノブを回すと分かるんですが、特にToneノブのポットのカーブが違っているようで、音の変化が違います。Toneを少し下げる方向にすると、オリジナルのTone12時の音に非常に近くなるのが分かりました。
どのくらい音が近いか、というと、ちゃんと設定しておけば音を出している間に2つのスイッチを同時に押してペダルを切り替えても全く音が変わらずに伸びていく、というくらいの再現度です。オリジナル同様、軽く帯域は狭まるんですが、現行リイシューほど極端に狭まったり、バランスが悪くなることもなく、ミッドがしっかり出るのに何故かすっきりするあの絶妙の音を丁寧に再現していると思います。ちなみにDRIVEノブを最小にすれば、オリジナルよりもさらにクリーンな音を出すことができます。
もう1つ、PGSにはModernモードがあります。こちらはオリジナルは関係ないので単体での音について書きたいと思います。
VintageモードからModernモードに切り替えると、音は大きく変わります。一気にゲインが下がり、レンジが広がって音量が上がります。クリッピングをバイパス、またはクリップを弱めたような効果です。
レスポンスは格段に向上し、どんなセッティングでもギターのヴォリュームでクリーンまで持って行けます。少なくともシングルコイルなら常にクリーンに戻すことができます。フルゲインではそこそこに歪みます。
ModernモードのPGSでオリジナルをブーストすると、レスポンスを少し高めたオリジナルTSサウンドとなります。太さと厚みを持ちながら、繊細さも持ち合わせるという贅沢な音を、JC-120で作ることができます。
試していませんが、同様のことはおそらくPGSを2台使って、それぞれのモードを変えてもできるのではないかと思います。
というわけで、One Control Persian Green Screamerの簡単なレポートでした。
これはレベル高いです。けっこう大阪のお店にも並んでいましたので、楽器店などで見かけたら試してみてください。TS好きな方はもちろん、TSの音は微妙と思っていた方も、もしかしたらTSそのものへの価値観が変わるかもしれません。特に、オリジナルTSの音を知らない方もヴィンテージの音を手軽に体感できる、良いペダルだと思います。
サンプルムービー
【渋谷店】One Control Persian Green Screamer【オーバードライブ】 |
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