昨年、2014年のNAMM SHOWで発表され、こんな動画と共に話題となったペダル。日本では同年8月にようやく入って来るようになり、その後も世界的に品薄が続いているこの「JHS Pedals Colour Box」、ようやく試すことができましたので、レポートしたいと思います。
これは実際すごい個性派ペダルでした。では、いってみましょう!
JHS Pedals Colour Box
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このペダルは、全世界の有名スタジオに置かれていた、Neveのミキシングコンソールのサウンドをシミュレートしたペダルです。
レコーディングプロセスに於いてはアンプを使わず、ギターをコンソールに直接挿す、"ダイレクトイン"レコーディングという手法があり、The BeatlesからLed Zeppelin、Cream、Pink Floyd、Neil Young、Nirvana、Joe SatrianiやRadioheadなど、多くのアーティストが実際に用いたとのことです。
Colour Boxは、ヴィンテージNeveコンソールの回路を元に100%アナログ回路でそのサウンドを再現。ゲインステージを増やすことで操作性も向上させています。
コントロールは変わっていて、まず左上の赤いセクションがゲインなどを調整する部分です。Master、Pre-Vol、Stepコントロールを搭載。Masterは音量で、Pre-Volが歪み系ペダルのDriveコントロールのような役割を、そしてStepはさらに基本となるゲインを+18〜+39dBまで、5段階で切り替えられます。次にその下の青いセクションがEQ。Treble、Middle、Bassの3バンドEQです。右側の黄色いセクションはハイパスフィルタとなっていて、60Hzから800Hzの範囲をカットできます。ノブがハイパスフィルタの効きを、トグルスイッチがハイパスフィルタのON/OFFを切り替える形となっています。
入出力端子も通常のエフェクターとは違っています。インプットは一般的なエフェクターの1/4"フォンプラグとマイクなどのXLR端子(キャノン端子)の両方を挿すことができるコンボ端子を採用。オーディオインターフェイスなどでは一般的な端子ですが、エフェクターでは珍しいです。アウトプット側は1/4"フォン端子とXLR端子の2つのアウトプットを搭載。ここからはパラレルで信号が出力されるということです。
インプット側は楽器とマイクの切替スイッチ、および-20dBにシグナルレベルを落とすスイッチを搭載しているので、楽器直挿し、マイク、ラインレベルと様々な場所で使うことができます。
と、いうスタイルのモデルですね。今回はギターとギターアンプを使ってのレポートとなります。マイクやラインアウトでは試していません。しかし、それでもこのペダルの独創性はしっかりと感じる事ができました。
では、まずはセッティングから。
- セッティング
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セッティングはいつものスタイル。実家のような安心感で弾くことの出来る形ですね。
- 操作性
では操作性について。今回は前述のとおり、ギターでしか使っていません。なので、Inst/XLRや-20dBスイッチは使用していません。使ったコントロールは本体トップにあるコントロールのみです。実際使ってみるとかなり癖のあるコントロールであることが分かると思います。所謂エフェクターの感覚だとあれ?となることもあったりはしました。
とはいえ、それは音作りの過程に於いてのものであり、各ノブやスイッチの役割は明確です。Pre-VOLやSTEP、HIPASSというコントロール名が何を示しているのかさえ分かっていれば、あとは特に考えることもなく使うことができると思います
- サウンドレポート
では、音について。
まず、このペダルが一体「何」なのかを考えておく必要があります。使ってみると、コンプレッサーやEQ的な要素もあり、歪みペダルとして使うこともでき、さらにはプリアンプとしても使えます。ミキシングコンソールをシミュレートしたペダルをどう使うのか。多くは前述のレコーディングされた古いサウンドを再現するために使われるのではないかと思いますが、個性的な歪みを作るペダルとしても使うことができます。
重要なのが「STEP」と「PRE-VOL」の関係。基本的にPRE-VOLが出力ゲインとなります。歪みやコンプレッションを操作するもので、STEPはPRE-VOLの可変範囲を切り替える、というようなスタイル。5モードスイッチのSTEPは、上げればあげれるほど、コンプレッションや歪みが強くなっていきます。
とりあえず3バンドEQを全部12時にし、HIPASSをOFFにした状態でこの部分だけを動かしてみると、STEPが1〜2番目あたりではほとんど歪みません。無理に歪ませようとすると、バリバリとした歪みというよりも音が割れるような感じになります。ものすごく「コンソール」感が強い音ですね。
クリーンな設定では、とても上質でナチュラルなコンプレッサーをかけたような音です。ただし、コンプレッサーはものによるすごく立体的な音になりますが、このペダルの場合はむしろ奥行きはすこし狭まるような印象もあります。綺麗な音なんですが、ギターアンプの音というよりもプレイヤーで聞くギターのクリーンのような感じですね。ただし、平面的な音ではありません。適度な奥行きを感じる音です。周波数レンジは広く、それでいて音は前に出てきます。そして、若干ダークに染まったような音が特徴的ですね。
STEPを3、4、5とあげていくと、最初はトップだけが割れるような音の歪みが全体に波及し、STEPが5、PRE-VOL最大ではとんでもないゴリゴリのファズサウンドになります。ただし、その状態でもギターのVolumeを下げれば綺麗な音に変わっていくのが分かり、このペダルのレスポンスの良さとダイナミクスレンジの広さを実感することができます。
さて、続いてEQセクション。ここがまた奥が深いです。例えばさきほどの「とんでもないゴリゴリのファズサウンド」ですが、ハイを下げながらミッドとローを少し上げると、今度は古い音源にあるような、少し片めのドライブサウンドに変わります。なお、これはシングルコイルでの感覚なので、ハムバッカーやその他のギターではまたEQ設定はそれに合わせて設定できると思います。
ゲインを下げる、つまりSTEPとPRE-VOLを落とした状態でも、EQはよく効きます。原音とほとんど変わらないような音にもなりますが、それでも常にキラッとしたようなサウンドとなります。高域が上がっているという意味ではなく、音に艶が加わるような感覚ですね。
そしてハイパス。これはシングルコイルで使うとかなり面白い効果になります。要するにローがカットされるわけで、その状態でファズなサウンドにしておくと、シャリッシャリな音を作ることもできます。あえて音をチープにするような使い方が出来るかと思いますし、これを上手くクリーンや歪みにプラスするような使い方をすれば、音を少し前に出すような効果が得られるかもしれません。
とにかくすごいペダルです。常にこのペダル独自のカラーがあり、それはコンプレッサーに通じるような艶のある音色と言えるかと思います。しかし、そのカラーを維持しながら、作れる音があまりにも膨大です。クリーン、上質なコンプレッサー、安っぽいチープな音色、少し硬めのドライブトーン、そしてバリバリのファズまで。これがあれば、確かにたいていの「ちょっと古い音」は網羅できると思います。
そして弾いていて分かるのが、恐ろしく広いダイナミクスレンジがあるということ。まぁマイクインプットにも対応するほどですから当然なんですが、そのせいもあり、EQ設定が上手くて来ていない状態ではとんでもなく弾きづらいセッティングとなってしまうこともあるのはちょっとした注意点です。しかし、EQをしっかりと設定して使えば、これほど頼りになるペダルは無いと言う感じになると思います。特に古い音を再現したいときや、自分の「シグネチャーサウンド」を作りたいという時など、個性的な音からトラディショナルでクラシックな音まで自由に作ることができるので、とても便利だと思います。
すごいたくさんのサンプルムービーが出ているんですが、それも納得です。いろいろ貼っておきますね。
サンプルムービー
サンプルムービー2
サンプルムービー3
サンプルムービー4
サンプルムービー5(Bass)
サンプルムービー6(Bass)
サンプルムービー7(Vocal)
サンプルムービー8(VS Klon Centaur)
ヴィンテージコンソールにダイレクトインしたサウンドをギターアンプで作るための唯一のペダル... |
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