現代的なスタイルのハイクオリティなサウンドを持つ「デジタルアンプ」と呼ばれるマルチエフェクト。上位モデルになるとハイクオリティDSPを複数使ったり、その多彩な機能をまかなうために筐体も大きなものとなります。
しかし、その上位モデルのサウンドを持ちながら、より小さなシステムに合わせて持ち運びもしやすくした小型モデルも最近は出てきています。そんな小型デジタルアンプをまとめてみようと思います。
実は先週のデジタルアンプの歴史の記事を書いたとき、小型モデルにフィーチャーしようと思ってたんですよね。
toy-love.hatenablog.com
それで書き始めたら歴史だけでえらい長くなったので、それはそれでまとめることにした、という感じです。
では、今ある「小型デジタルアンプ」各モデルを見てみたいと思います。
※ブランド名順に掲載しています。それぞれのサイズと重さを載せています。サイズは幅×奥行き×高さで記載しています。
Atomic Amplifire 6
219×168×76mm /1.36kg
コンパクトペダルを横に3.5個くらい並べた感じのサイズ。6つのフットスイッチを搭載したAtomicのデジタルアンプです。元々3フットスイッチだったモデルがアップデートされ、サイズをほぼ変えずに6ボタンとなりました。Gain、Master、Pres、Bass、Mids、Treble、Levelコントロールを搭載し、128プリセットを保存可能。6つのフットスイッチは自由にアサインすることができます。サイズもほぼ変わらず、フットスイッチだけが増えて操作性が向上しています。インプット、アウトプット、エフェクトループ、XLRアウト、ヘッドフォンアウト、MIDI IN/OUT、USBなど多彩な接続もカバーしています。20種類程度のアンプサウンドや16種類のエフェクトを組み合わせ、ハイクオリティなトーンを作ることができます。
Atomic Amplifire Six - NAMM 2018
Atomic Ampli-Firebox
93×119×60mm /450g
サイズはほぼ一般的なコンパクトペダルと同様。小さな筐体の中にアンプモデリングと外部IR読み込み可能なキャビネットシミュレーターをまとめたペダルです。Bass、Mids、Treb、Presの4バンドEQとGain、Master、Reverb、Levelコントロールを搭載。アンプスタイル、アンプチャンネル、およびアウトプットにキャビネットシミュレーターをかけるかどうか選択するスイッチがあり、本体のON/OFFとブーストフットスイッチを搭載。一般的なエフェクターと同様のスタイルでコントロールできます。スタンダードなフォンジャックのアウトプットと、XLR端子のアウトプットも搭載。様々なシステムに組み込むことができます。
アンプスタイルとアンプチャンネルのトグルスイッチはそれぞれ3モードとなっていて、これらの設定を組み合わせることで9種類のプリセットを選択することができるようになっています。スタイルスイッチは上からクリーン、クランチ、リード。クリーンモード時、アンプチャンネルスイッチはデラックス、トップブースト、59ベースマンとなります。クランチモード時はコーンフィールド(コーンフォード)、ランブルブライト(ダンブル)、ホットブリティッシュ、そしてリードモードでは5051、HBE(フリードマン)、レクトのアンプモデリングを選択することができます。キャビネットモデリングはUSBからIRを読み込んで様々なキャビネットのタイプを設定することができます。
PCで設定できるエディタも付属。エディタでは各アンプスタイル/チャンネルごとにプリセットを設定可能。本体だけでは設定出来ないゲートやブースト(オーバードライブやファズなども設定可能)、15タイプのアンプモデリング、コンプレッサー、EQ、リバーブ、キャビネットを細かなパラメータで設定することが可能となっています。さらにこれらのエフェクトのフットスイッチ割り当てやグローバルレベル等もコントロールできます。
ATOMIC AMPLI-FIREBOX Amp Modeler/Cab IR Loader, demo by Pete Thorn
BOSS GT-1
305×152×56mm /1.3kg
BOSSフラッグシップマルチエフェクターに共通するGTの名を持ちながら、コンパクトサイズかつ低価格で作られるモデル。中身としては1世代前のGT-100をベースとしたサウンドとなります。
エフェクトは108種類、メモリーは99ユーザープリセットと99ファクトリープリセットを内蔵し、32秒までのフレーズループも搭載します。フットスイッチはコンパクトなプラスチックタイプで、LEDも搭載。駆動はアルカリ単3電池4本、またはDC9Vアダプターで駆動。消費電流は200mAです。
入出力端子はインプット、AUX IN、ヘッドフォンアウト、ステレオアウト、およびリモートスイッチ端子。外部スイッチはFS-7などのラッチ/アンラッチスイッチを2つまで接続できるTRS(ステレオ)端子となっていて、ここには本体のエクスプレッションペダルに加え、2つ目のエクスプレッションペダルを接続することもできます。この外部コントロールにはさまざまなパラメータを割り当てることができます。さらにUSB端子も搭載。BOSS TONE STUDIOによるPCからの操作や、USBオーディオインターフェイスとして使用してのラインレコーディングにも対応しています。
Fractal Audio Systems AX8
410×101×262mm /5.4 kg
サイズ的にはフルサイズのマルチエフェクターという感じなので、今回の中では最も大きなモデルとなります。小型と言われると微妙ですが、もともとラックサイズのモデルのFractal Audio Systemsの中では小さなサイズとなります。
ベースとなっているのは前作の「Axe-Fx II」。「23種、31個のエフェクトブロック」と「Axe-Fx IIと同等のアンプ及びキャビネットモデル」を搭載。222を超える「Quantum Amp Modeling」、そして「Ultra-Res」キャビネットシミュレーターを収録しています。
エフェクトも強力で、29以上のドライブペダル、19のリバーブアルゴリズム、ワーミー、コーラス、EQ、ディレイなど多彩なエフェクトを使うことができます。
1つのブロックにXYスイッチング機構を備え、2種類の全く違うセッティングを設定可能。プリセットは512と膨大で、それらは4x12の「シーン」という形で呼び出すことができます。そして多彩なパラメータを外部エクスプレッションペダルからリアルタイムにコントロールすることもできます。
入出力端子はインプット、ステレオエフェクトループ(パラレルステレオアウトとしても使用可能)、ステレオアンバランスドアウト、XLRのステレオバランスドアウト(グラウンドリフト可能)、S/P DIFデジタルアウト、USB、MIDIとなっています。
多彩なセッティングはMac/Windows対応のフリーウェア、「AX8-Edit」ソフトウェアから設定でき、プリセットをPCで管理したりすることもできます。
Fractal Audio AX8 | Sound Test
Headrush Gigboard
329.2×225.6×67.1mm /3.24kg
中型マルチエフェクター程度のサイズです。今回の中では大きめのモデルですが、それだけの機能を搭載したモデルですね。Headrushのコンパクトバージョン。Eleven Rackを開発したチームが独立して立ち上げたブランド。上位モデル同様、34種類のアンプ、15種類のキャビネット、10種類のマイクモデリング、そしてエフェクトは6種類の歪み、8種類のロータリー、7種類のダイナミクス/EQ、13種類のモジュレーション、7種類のディレイ/リバーブ、そしてボリュームやワウなどエクスプレッションペダルを使うエフェクト7種類収録。カスタムIRの読み込みももちろん可能。また、20分までのレコーディングが可能なルーパーも内蔵しています。そして上位モデルと同じ7インチタッチパネルカラーディスプレイを搭載し、直感的なセッティングが行えます。フットスイッチは4つ。内部はクアッドコアDSPシステムでハイクオリティなサウンドを作ります。
入出力端子はインプット、AUX IN、エクスプレッションペダル、TOE(外部スイッチ?)、ステレオアウト、アンプアウト、ヘッドフォンアウト、エフェクトループ。さらにMIDI IN、OUT/THRU、USB端子となっています。USBはオーディオインターフェースとしても使用可能です。
Line6 HX Stomp
170×122×64mm /820g
コンパクトデジタルアンプの最新モデル。かなり小さなサイズにLine6の最上位マルチエフェクターシリーズ、HELIXゆずりの300種類以上のアンプ/キャビネット/エフェクト、ルーパーとLine6レガシーエフェクトを収録したモデルです。
3つのフットスイッチを搭載し、カラーディスプレイと6つのノブで操作を行います。
収録されたエフェクトやアンプモデルはHELIXと同じ。ですが、同時に使用できるのが6種類までと限定されています。ステレオイン、アウト、追加エクスプレッションペダル/スイッチ端子、USB、モノセンド/ステレオリターンのエフェクトループ、ヘッドフォン、MIDI IN、OUT/THRU端子を備えます。
Mooer GE200
297×145.5×45.5mm /1.4kg
多くの小型デジタルアンプペダルが上位モデルの廉価版的な意味合いもあるのに対し、こちらはこのモデルが最上位となるペダル。(ただし、より上位モデルがMusic China 2018で出展されています。)
中国のエフェクターブランド、Mooerのマルチエフェクターですね。
53種類のアンプモデリング、8種類のワウ/コンプレッサー、20種類の歪み、26種類のキャビネット、3種類のノイズサプレッサー、4種類のイコライザー、19種類のモジュレーション、9種類のディレイ、7種類のリバーブエフェクトを収録し、ハーフスピードとリバースエフェクトを設定できる52秒までのフレーズルーパー、40種類のドラムパターンと10種類のメトロノーム、そしてチューナーも搭載。200種類までのプリセットを作ることが可能。
入出力端子はインプット、ステレオアウト、ヘッドフォンアウト、EXP2端子、AUX IN、USBとなっています。EXP2には本体のエクスプレッションペダルに加え、2つ目のエクスプレッションペダルを接続可能。それぞれエクスプレッションペダルには自由に複数のパラメータを割り当てることができます。エディタソフトからプリセットの編集やIRの読み込みも可能となっています。
Mooer Preamp Live
230×130×56mm /1.18kg
同じくMooerの小型デジタルアンプ。アンプモデルに特化したスタイルのモデルです。3つのバンク、各4プリセットを組み合わせた12チャンネルのプリアンプペダルで、12種類のプリアンプを切り替えて使うことができます。
プリアンプは主にMicro Preampシリーズのサウンドを中心に、新しいモデルも入っています。
初期状態ではディーゼルのクリーンと歪み、JCM900のクリーンと歪み、「ハイエンドなハンドメイドチューブアンプのクリーン」、フェンダーBlues Deluxeの歪み、フリードマンの歪み、EVH5150の歪み、メサMarkIIIのクリーンと歪み、Two Rockのクリーンと歪みが入っています。iOS/AndroidのアプリやPC/Macのソフトウェアを使えば50種類のプリアンプから音を選んで割り当てることも可能となっています。
コントロールはVOL、BASS、MIDDLE、TREBLE、GAIN、BOOSTと、マスターセクションのMASTER、PRESENCE、FX LEVEL、CAB SIMスイッチ。マスターセクションはプリセットされず、常時有効となるコントロールです。
BOOSTはPRE/POSTを切り替えることができ、長押しでノイズゲートのコントロールも可能。ノイズゲートもプリとポストに1つずつあり、同時にかけることも可能です。
また、新たにTONE CAPTUREという機能を搭載し、実際のアンプのサウンドに音を近づけることが可能。アンプサウンドを分析し、スペシャルEQセッティングを作ることで音を近づけるというものとなっています。
入出力端子はインプット、アウトプット、エフェクトループ、XLRアウト、ヘッドフォンアウト、MIDI IN/OUTとなっていて、CAB SIMスイッチでアウトプットとXLRアウトそれぞれ個別にキャビネットシミュレーターをON/OFF可能。例えばアウトプットCAB SIM OFFでギターアンプに接続して中音を、XLRからCAB SIM ONでPAに接続して外音を作ることも可能です。
エフェクトループは通常のシリーズループとA/Bモードのループがあり、A/BモードではギターアンプのプリアンプとPreamp Liveのプリアンプを切り替えるような使い方が可能となります。
GE200が9V駆動だったのに対し、Preamp Liveは9-12V駆動。またアンプモデルに特化したスタイルのため、サウンドクオリティなどに違いがあったりします。
MOOER PREAMP LIVE - TONE CAPTURING PEDAL?
Positive Grid Bias Mini
266×46×248mm /2.5kg
Positive GridのBiasシリーズ最小モデル。今回の中では唯一のハーフラックスタイルとなります。300Wパワーアンプも搭載し、そのままキャビネットに接続してアンプヘッドとして使うことができます。
ギター用とベース用がありますが、今回はギター用について載せています。Preset、Gain、Bass、Middle、Treble、MasterコントロールとOutputコントロールを搭載。16種類のプリセットを内蔵し、様々なアンプサウンドを作ることができます。300W(4Ω)クラスD(デジタル)パワーアンプも内蔵しています。プラグインエフェクト、Bias Amp 2.0 Professionalのライセンスも付いていて、このプラグインを使ってより細かく、真空管やトランス、整流等を変更して数多くのアンプサウンドを作ることもできます。もちろんアンプマッチやIRロードなども可能。
さらに接続をUSBだけでなくBluetoothにも対応し、ワイヤレスで音を作っていくことも出来ます。その場でモバイル機器からワイヤレスコントロールができるのは便利ですね。ラインアウトはもちろん、エフェクトループやスピーカーアウトも搭載しています。Masterコントロールと別にOutputコントロールも付いているので、Masterまでをアンプサウンドとして作り、Outputで音量だけを変えることも可能ですね。また、このOutputを押すことで、アンプ、ヘッドフォン、ライン出力を切り替えられます。もちろんMIDIにも対応(付属の専用ケーブルを使ってミニプラグのMIDI端子で接続します)。フロントパネルにヘッドフォンアウトもあります。
BIAS MINI Sound Samples | Positive Grid
こんな感じです。こうして見るとけっこういろいろなモデルが出ているのが分かります。最小モデルはAtomic Ampli-Firebox、次がLine6 HX Stomp、Atomic Amplifire 6、Mooer Preamp Liveと続く感じです。BIAS MINIはちょっと違うスタイルですね。
これらをメインとして使うことももちろん出来ますし、持ち運びやサブシステム用として使ったりするのも良い感じですね。
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