1962年、後に”オーバードライブ”と呼ばれるアンプを歪ませたトーンを一般的に広めることになるアンプが作られました。Marshall 1962 Bluesbreaker。
John Mayall & the Bluesbreakers with Eric Claptonのエリック・クラプトンのために作られたとも言えるそのアンプ(車のトランクに入るアンプをクラプトンがリクエストしたと言われます)は、後のマーシャルサウンドの基礎であり、ブリティッシュ系ロックギタートーンへと繋がるアンプでした。
1991-92年、Marshallは3つのエフェクターを発売します。その3つのペダルはどれも歴代のマーシャルアンプサウンドを再現する、というスタイルのペダルでした。当時・・・リアルタイムでの事情は分かりませんが、1989年にSansamp(後のClassic)が発売され、「エフェクターでアンプサウンドを作る」、今で言うアンプライクだったりAIABだったりと言われるスタイルの始まりの時期で、そういうスタイルが流行ったのもあったのかもしれません。
いずれにしても、当時発売された3つのペダルが、Blues Breaker、Drive Master、Shred Masterの3機種です。
それぞれ1961Blues Breakerアンプ、JCM800、JCM900のサウンドを再現したスタイル、とされています。(ちなみにDrive Masterは80年代に発売されたGuv'norと同じ回路です)
まぁ実際に似ているかどうかはともかく、どれもマーシャルオリジナルエフェクターとして後の時代に影響を与えています。
そんなペダルの1つ、Blues Breakerは、ローゲインオーバードリブの名機として評価されていました。特に2006-2010年頃にはジョン・メイヤーのペダルボードに設置されていたこともあり、人気のペダルの1つでした。
さらに同時期、Blues Breakerをベースとして作られたオーバードライブ、Analog.man King Of ToneもBlues Breaker系ペダルの伝説となったペダルですね。同時期に開発されたPaul Cochrane Timmyと並び、”トランスペアレントオーバードライブ”という言葉が生まれたのもこの時期です。その後も各ブランドからBlues Breaker系のオーバードライブが各種発売されてきました。
今回はそんなBB系オーバードライブをまとめてみたいと思います。
では、いってみましょう。
※BB系=Blues Breaker。KoTはKing Of Tone、PoTはPrince Of Toneを意味します。
6 Degrees FX Rodeo Drive
ヘヴィにモディファイしたBluesbreakerに強力なEQを搭載。コントロールはLevel、Tone、Gain。EQセクションでは1ノブながらトレブルとベースにシグナルを分けることでハイもローも犠牲にせずに音の調整が可能です。
内部の作りも圧巻です。
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Animals Pedal Vintage Van Driving Is Very Fun
動物をデザインしたかわいらしいペダルで人気のAnimals PedalのBB系ペダル。BB系というか、Analog.man Prince Of Tone系ペダルです。VOL、TONEとDRIVEコントロールと、OD/Boost切り替えスイッチを搭載。ブーストモードではクラシックなブーストから歪みエフェクトやデジタルアンプのブーストとしても使えるペダルとなっています。
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Bondi Effects Breakers Overdrive
コンパクトサイズのトランスペアレントオーバードライブです。
コントロールはLevel、Gain、Treble、Bass。Gainはクリーンブレンド付。Sick As同様ですね。2バンドEQはアクティブEQとなっています。Gain最小で完全クリーンとなり、プリアンプとしても使用可能です。
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Coppersound Pedals Foxcatcher
Volume、Tone、Nature、DriveとBoostコントロールを搭載。ブースターとODの接続順を切り替えることもできます。Burr Brownオペアンプや高域コントロールのNatureノブ、アウトプットバッファーを搭載し、アップデートを施したペダルです。
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Effects Bakery あんバターコッペドライブ (福田パン謹製)
BB系/PoT系ペダルです。Volume、Treble、Driveコントロールを搭載。バランスが良く、ワイルドさもある音色が特徴
ブーストからミディアムオーバードライブまでをカバーするペダルです。
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Fredric Effects Blue Monarch
コントロールはGain、Volume、Tone、Treble Boost、そしてモードスイッチとなっています。
単体だけだと歪みが弱く感じたのでTreble Boostを付けてより高めのゲインまでカバーできるようになったということです。
モードスイッチは上側でクリッピングなし、下側でクリッピングありとなっています。内部にはDIPスイッチがあり、ブーストのON/OFFを切り替えることができます。
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JHS Pedals Morning Glory
広く音を作ることの出来るオーバードライブです。
コントロールはVolume、Tone、Drive、そしてGainスイッチ。基本的な機能は変わっていないように見えますが、これまでに比べてヘッドルームを約2倍にまで拡大。またGainスイッチでは新しくなったブーストモードを設定可能。ローエンドが強調されるゲインブーストが可能となっています。
このスイッチは外部ラッチスイッチからコントロールできる形となっていて、FS-5Lなどのラッチ式スイッチを接続して、Gainスイッチをフットスイッチで切り替えることができます。
ノーマルでは青LED、ゲインブースト時は赤LEDとなります。
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J Rockett Audio Designs Blue Note
Vol、Gain、Tone、Fatコントロールを搭載し、暖かなサウンドが特徴。シンプルで使いやすいスタイルのペダルです。
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KING TONE GUITAR HEAVYHAND
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Mooer Blues Crab
コントロールはオリジナルモデル同様、Level、Tone、Gainの3つ。甘い歪みが特徴のモデルです。
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Mojo Hand FX Magpie
トランスペアレント、つまりギターやアンプの基本的な音色特性を変えずに、音色に歪みやちょっとしたキャラクターを加えるペダルです。
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MXR Duke Of Tone
Analog.ManがBlues Breakerをベースに開発したオリジナルオーバードライブ、King of Tone(KoT)を1フットスイッチとしたPrince Of Tone(PoT)をベースとしたミニサイズペダルです。
Volume、Drive、Toneコントロールと、OD/BOOST/DISTモードを搭載。モードスイッチはクリッピングの切り替えとなります。
トランスペアレント系とも言われるペダルで、クリーンなブースターから暖かく太めのサウンドを作るドライブサウンドまでカバーします。
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nature sound VS-BB ver.2
ヴィンテージサウンドを意識したハイクオリティなペダルを制作するnature soundのBB系ペダル。Blues Breakerの回路はそのままに、nature soundならではのパーツ選択で制作。コントロールはGain、Tone、Volume。入力段のキャパシタにVitamin-Qを搭載しています。
側面のスイッチでオリジナルBBトーンと、さらにトランスペアレントにしたモードを切り替えられます。
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Revol Effects BREAKER
ミニサイズの低価格なエフェクターを多く制作するRevol EffectsのBB系ペダル。
Level、Tone、Gainのシンプルなコントロールを搭載したオーバードライブです。
ワイドレンジでローゲインなオーバードライブです。
SolidGold Fx COMMODORE
Vol、Tone、Contour、Driveコントロールをスライダーで搭載。非対称クリッピングで広く歪みを作るペダルです。18V駆動にも対応しています。
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VS Audio Straight Flush
Vol、Tone、Gainコントロールとローゲインチャンネルとハイゲインチャンネルを切り替えるスイッチを搭載。トランスペアレントトーンからリード向けのトーンまでカバーします。
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Wampler Pedals PANTHEON
「他のペダルのクローンではない」ペダルです。コントロールはVolume、Gain、Treble、Bass、PresenceノブとGain Level、Overdrive Voiceスイッチを搭載。
Gain Levelスイッチは3モードで、歪みの強さを3段階で切り替え可能。そしてOverdrive Voiceスイッチはクリッピングをハード、ソフト、両方を切り替える3モードスイッチとなっています。
2バンドEQとPresenceコントロールというのも面白い感じです。コントロールも多彩で音作りの幅も広いペダルです。
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Wampler Pedals PANTHEON Deluxe
各チャンネルにはVolume、Gain、Bass、Trebleコントロールを搭載。そして全体に効くPresenceコントロールがあります。
チャンネル1はクラシックなBlues Breakerスタイルのサウンドとなり、チャンネル2はそこから現代的にした通常版Pantheon Overdriveのサウンドになります。
さらに、ペダルの側面にはいろいろなスイッチがあります。各チャンネルのゲインレベルを3段階で切り替えるスイッチと、各チャンネルのボイシング切り替えスイッチがあります。ボイシングスイッチはハードクリップのクランチ、ソフトクリップのスムースなトーン、そしてその中間のブレンドクリップとなっています。
2つのチャンネルは接続順を切り替えることができます。各チャンネルを個別に使うこともできるよう、それぞれに入出力端子があります。
さらに、側面に3.5mmミニTRSジャックを使ったMIDI端子もあります。
MIDI端子を使うことで、128種類のプリセットを保存、ロードが可能。さらにMIDI CCで各パラメータをコントロール可能となっています。
- 他の歪みと組み合わせたペダル
Blues Breaker系のオーバードライブの特徴として、ブースターとしても使えるローゲインオーバードライブとして使えるというのがあります。複数の歪みを組み合わせたドライブペダルはいろいろありますが、その中でも特に”Blues Breaker系と組み合わせた”ペダルは特に多いと感じますので、そういうペダルもまとめてみます。
Ceriatone Horse Breaker
右側がブルースブレイカー、左側がケンタウロスとなっています。
ブルースブレイカーはVolume、Gain、Toneコントロール、ケンタウロスにはOutput、Gain、Trebleコントロールを搭載し、ケンタウロス側にはバッファのON/OFFスイッチ、右側にはオーダー、つまり接続順の切り替えスイッチがあります。
バッファはバイパス時のもので、ケンタウロス側のみにあるものです。通常はバッファードバイパスですが、トゥルーバイパスにすることができます。
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JHS Pedals Double Barrel V4
右側がTS系、808で、さらにCleanコントロールを搭載。Volume、Drive、Tone、Clean、クリッピング切り替えスイッチというスタイル。
左側がMorning Glory。Volume、Drive、ToineとGainスイッチ。このスイッチも以前はBright Cutでしたがゲイン切り替えになっています。そしてこのスイッチはRemote Gain端子を使って外部スイッチからコントロール可能。
左右のオーバードライブは個別にON/OFFでき、さらに中央のスイッチで接続順を反転させることもできます。
多彩な操作、コントロールに対応するオーバードライブです。
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JHS PEDALS The Calhoun V2
BB系オーバードライブとファズを1つにまとめたペダルですね。
右側がファズセクションで、Volume、Fuzz、BIAS、EQコントロールを搭載。左側はオーバードライブで、Volume、Drive、Treble、Bassコントロールで2バンドEQを搭載しています。どちらもVolumeコントロールは各セクションのマスターヴォリュームとなっています。
また、それぞれのセクションは独立していて、個別にON/OFFしたり両方をONにすることもできます。中央のスイッチで接続順を入替えられるので、様々な組み合わせを選択可能。
「ロックに必要なトーン」を詰め込んだペダルということで、かなり幅広く使えるペダルとなっています。
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Keeley Tone Workstation
コンプレッサー、OD/Booster、Overdriveの3チャンネル仕様。
コンプレッサーは定番のCompressorを基本にBlendを追加したスタイルで、Level、Sustain、BlendコントロールとTreble/Stockスイッチを搭載。JHS Pedalsとのコラボレーションで話題となったJHS/Keeley Steak & Eggsに搭載されたコンプレッサーセクションと共通するスタイル。
続いてドライブ/ブースターセクション。ここはBB系のサウンドを基本とする1962 Overdriveと、長年制作されるブーストペダル、Katana Boostを切り替えられるセクションです。コントロールはLevel、Tone、Driveコントロールと1962/Katana切替スイッチとなっています。
最後にオーバードライブセクション、ここはKeeleyの定番TSモディファイペダルを基本として作られるRed Dirt Overdriveを搭載。Level、Tone、DriveコントロールとBaked/Mod+スイッチを搭載。KeeleyのTSモディファイを2種類、切り替えて使うことができます。
ギターの基本的なトーンを作る。それがこのペダルの目的となっています。駆動はアダプタのみとなっています。
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KING TONE GUITAR THE DUELLIST
DriveAはTS、BはBB系です。それぞれDrive、Volume、ToneとFat/Stock/Glassスイッチを搭載。
側面のスイッチで接続順を切り替えたり、BB系のクリッピング、DS/OD、クラシック/アンプライク、TS系のクリッピング、クラシック/アンプライク、Vintage TS/SRV Modの切り替えスイッチを搭載しています。
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NORDVANG CUSTOM '83 DRIVE
ペダルの右側がケンタウロス、左側がBlues Breakerとなっています。ケンタウロスはGain、Treble、Outputコントロールとクリッピングスイッチを搭載。ゲルマニウムダイオードとショットキーダイオードを切り替えることができます。
ケンタウロス側はバッファードバイパスとなっています。
左側はBlues BreakerでGain、Tone、VolumeコントロールとLowsスイッチを搭載。
こちらはトゥルーバイパスで、Lowsでローエンドの出方を切り替えます。
また、中央のスイッチで左右のオーバードライブの接続順を切り替え可能。それぞれ2つのフットスイッチで各オーバードライブのON/OFFができます。
そして内部には4つのDIPスイッチがあり、ゲイン、ソフトクリッピング、対称/非対称クリッピング、ハードクリッピングのモードを設定することができます。
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NORDVANG CUSTOM TRIPLE GAIN
ローゲインオーバードライブ、Blues Breaker、伝説のKlone Centaur、そしてIbanez TS10。これらを独自に調整したものを3つ合わせたペダルです。
インプットから、まず通るのがBlues Breaker。これを内部で昇圧し、18V動作としたもので、ローゲインを補強し、STDとHIGHのゲイン切り替えスイッチを搭載。コンロロールはGain、Tone、Volumeです。
次にケンタウロス。Gain、Treble、Outputコントロールを搭載。基本的に回路はオリジナルと同様です。
続いてTS10。LEVEL、TONE、DRIVEコントロールを搭載。バッファはなく、内部にクリッピング切り替えスイッチがあります。
また、ケンタウロスとTS10の接続順は切り替えも可能となっています。
インプット、アウトプットとSPLIT Bアウトを搭載。3つの端子はTRSステレオ端子で、TRS端子を使用すれば3つのオーバードライブをそれぞれ個別に好きな位置で接続することができるようになっています。
NUX Ace Of Tone
TS系とBB系を組み合わせたオーバードライブです。
右側がBB、左側がTSです。それぞれにLevel、Tone、Driveコントロールを搭載。中央のスイッチで接続順切り替えが可能。
さらに9/18V駆動電圧と、トゥルーバイパス/バッファードバイパスを切り替え可能。外部フットスイッチからリモートコントロールもできるペダルとなっています。
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ということで、Blues Breaker系のオーバードライブをまとめてみました。
だいたいBB、Centaur、TSが組み合わされていることからも、John Mayer系で人気だったりすることが分かったりします。ですがJohn Mayerはもちろん、単純にトランスペアレントオーバードライブとしても高い人気がありますね。
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