今回はバスカーズという島村楽器さんのブランドによる激安オーバードライブ、BOD-2を見ていきたいと思います。私の物は、タイトルと写真を見ていただくと分かるようにROOT20さんによってモディファイされたものなのですが、そのモディファイメニューなんかも見ていけたら、と思います。
それでは行きましょう。
ROOT20さんに写真使用の件で確認を取らせていただいたついでに、いろいろとご指摘をいただきましたので各所に追記しておきます。
Busker's BOD-2
こちらがオリジナルのBOD-2です。なんと¥2980!!
でも、これは値段で買ったわけではないのです。というのも、あるインディーズバンドさんのライブを見たとき、ギタリストの人が、Telecaster Customでめちゃめちゃいい音を出してたんですね。それで思わず、そのギタリストに「どんな歪み使ってるんですか?」と聞いたら、「島村の3000円くらいの緑のオーバードライブ」というお返事が返ってきまして、それですぐに島村に直行ですよ。
そして、試奏しましたよ。いつも通りLes Paul Standardと、Roland JC-120を繋いでの試奏でした。
いや、これはおかしい!
なにがおかしいって・・・だって・・・
音が良すぎる!んですよ。
これは¥2980の音じゃない、と直感が言っています。このエフェクターは1万円で売っていても不思議じゃない、と。傾向としてはマイルドなブースター系ODなんですが、ゲインを上げるとけっこう荒い歪みまで出せます。そして即買いしました。
さて、家に帰っていろいろ弄くって使っていたのですが、最初は音の良さに感動していたものの、しばらくすると、¥2980らしい部分が見えてきました。
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- TONEコントロール
TONE自体の効きはまぁ普通といったところです。問題は、このTONEを上げるとブーストされる点ですwとくにDRIVEを0の位置にして、TONEをMAXにすると・・・すでにTS9のゲインを超えていますwこれはなんとかしたい。
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- OFF時の音痩せ
これは見た目機械式ですが、電子スイッチです。なのでOFF時にバッファを通るわけでして、そのバッファ自体もそうそういいものではなさそうで、音痩せがどうしてもします。ま、激安エフェクターですから、仕方がないんですけどね。
結論として、このエフェクターは「安い」というか、「安すぎ」です。はっきり言ってメインで使える歪みだと思います。見かけたら即買いですよ!
さて、それでは上記の使いにくい点を直す、というのと、そのころモディファイ屋さんというのにすごく興味があったのもありまして、じゃあモディファイしてもらおう!ということになりました。そこでお願いしたのが、確かな技術と丁寧な対応で定評のある、ROOT20さんだったわけです。それではまずはこちらがお願いしたモディファイメニューを見ていきます。
- トゥルー・バイパス化
- TONEコントロールの使いやすさを向上
- コンプカットサウンドに (追記:コンプカット、というほどカットはしていない、とのことです。コンプ感を下げる、ということでした。)
最後の項目は、ROOT20さんとメールでお話しながら、それなら!ということでお願いしました。では、詳しい中身について見てみましょう。
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- トゥルー・バイパス化
これはBOD-2の中をあけた状態です。機械式ではない、電子スイッチであることが分かりますでしょうか?
こちらはそのスイッチを取り外したものです。もう明らかに機械式でないことがお分かりいただけると思います。
さて、じゃあこれを3PDT方式のトゥルー・バイパスにしてほしいとお願いしたのですが、この基盤の高さが絶妙に最悪でして、3PDTの機械式スイッチが入らない、ということでした。どうしてもそのやり方にしたいならケース入れ替えするしかない、とのことでしたので、その方式によるトゥルー・バイパスはあきらめて、ROOT20さんお得意のラッチングリレー方式のバイパス回路を作ってもらいました。
モディファイ後の中身です。中央に新たな基盤が設置されていますが、これがそのラッチングリレー用の回路です。ROOT20さんはBOSS TU-2にもこのリレーを組み込んでバイパス化することで有名ですね。全然音が違うそうですよ。
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- 歪み質UP & TONEコントロール改善
こちらはROOT20さんの撮影によるBOD-2のオリジナル基盤画像です。(掲載に関して問題があればご連絡ください)
追記:掲載OKとのことです。ROOT20さんありがとうございます。
そしてこちらがモディファイ後の基盤。変更点がお分かりいただけるでしょうか?
- 歪み質のUP
こちらはオペアンプの交換によって対処していただけたようです。←私の間違いです。交換していません。
こちらはもとのopampの画像です、さて、交換後は・・・
JRC4558Dです!TS-808等に使われている有名なオペアンプですね。入手困難らしいです。(このオペアンプ自体はリイシュー物のようです。いわゆる「艶消し」というタイプです)
オペアンプ周辺も変更されています。
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- 追記:私のカン違いでした。元の基盤ですでにこのJRC4558Dを使用してあったそうです。艶あり、というのは珍重されて高いですが、こちらのタイプは高いものではないらしいです。なお、このオペアンプの上にかぶさるような形になっているコンデンサがミソで、このコンデンサによって中低域を厚くしてあるそうです。元のコンデンサと並列にしていただいてる、とのことです。そんな方法があるんですね。ちなみにROOT20さんがオペアンプ交換でJRC4558Dを使われる場合、特別な場合を除いて、艶ありのJRC4558Dを使用されるようです。参考URL
クリッピングダイオード・・・かな?このあたりにも手が入っています。
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- 追記:このクリッピングダイオードの変更によってコンプ感の低減に役立っているようです。あくまでも「カットではない」とのことでした。このあたりも私のカン違いです。すみません。
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- TONE改善
こちらは抵抗値を変えるなどの作業で対処いただけたようです。
ええ、音の傾向としては、JRC4558Dの使用により、よりマイルドな、中域に密集した音となり、ありえなかったTONEコントロールも一般的なものと同等になりました。ギターのヴォリューム、ピッキングへの反応も格段にあがりましたね。個人的には非常によかったと思います。
ということで、今回はモディファイ屋さんによるワンオフ物のモディファイを見てみました。メールのやり取りによる相談に約1週間も使う等、非常に丁寧な対応で、これだけやって¥10500!
エフェクターのモディファイとしては安い方だと思いますが、元が¥2980でありながら一万円以上をかけて改造してみたくなる、そんな魅力がこのBOD-2にはあります。
ROOT20さんによるBOD-2のレビューですが、BOSS SD-1を基調として定数等を変更したカスタムドライブで、これで¥2980なら超お買い得。中身は¥8000〜¥10000級のもの、だということです。
残念なことに、このBOD-2は既に生産が完了しています。(基礎編等、他の記事で取り上げなかったのはこのためです。)ただ、島村楽器の間で在庫を回したりしているようなので、気になった方はまず島村楽器に行かれてはいかがでしょうか?
楽器屋さんとしての評判等はいろいろあるようですが、このペダルに関しては、すばらしい品質とコストパフォーマンスだと思いますよ。オススメです。
最後に、こちらの記事を読んでいただいたROOT20さんから、特に書いておいてほしいという点があるとのことです。
それは、今回ご紹介したモディファイは、このBOD-2がレアな機種ということもありまして、ワンオフらしい、普段のSD-1/TS系等とは違うモディファイをしていただいた、ということです。ありがたいことです。
ですので、こちらに書きましたモディファイ内容は、一般的な機種のモディファイ内容とは違う特別なものなので、ROOT20さんとしては他機種においてもこの方法を取るわけではない、ということだそうです。
一般的な機種等のモディファイについては、ROOT20さんのサイト(こちら)で書かれていますので、そちらをごらんになってください。