The Effector Book Vol.1関連企画、第二弾は「Phantom FX Sabbath Fuzz」です!
メジャーバンド「ART-SCHOOL」のギタリストにして、自身のバンドもかけもちで活動される戸高賢史(まさふみ)さん(ご自身のブログはこちら)が今年立ち上げられたブランドが、この「Phantom FX」です。
設計から組み込み、そして取扱店への発送までをアーティストとしての活動の合間に全て手がけるというこだわりは、なかなかできるものではないと思います。今回は、そんなPhantom FXの初号機、「Sabbath」を見ていきましょう。
Phantom FX Sabbath Fuzz
こちらが、そのSabbathです。シンプルな外観で、表に搭載されるコントロールは「Volume」のみというストイックな仕様となっています。内部トリマでゲインを変えることもできますが、基本的に戸高さんがチューニングされた音色をそのまま使える、というのが強みでしょうか。分類上はファズペダルとなります。LEDの位置やデザインは、いろいろ変わるみたいです。
こちらが、内部です。丁寧にハンドメイドで作られていることがよく分かりますね。
Sabbathの代名詞、トロピカルコンデンサとGain調整用トリマです。コンデンサやトランジスタ、ノブ、どれを変えても音が激変するという、非常に繊細な回路となっているようですね。見たところ、トランジスタはシリコンのものが3つ使われていました。
The Effector Book Vol.1のインタビューによると、Sabbathはマフを基本として完全に再構築したペダルということのようですね。
では、レビューいってみましょう!
- 操作性
ペダル操作という意味では、1ノブ、しかもVolumeのみなので、非常にシンプルです。迷うことは全くないですね。サイズも普通のMXRサイズですし、ボード内での取り回しも簡単なのがありがたいです。
- サウンドレポート
はい、サウンドです。まずはいつもの通り、動画でのサンプルをご覧ください。
サンプルムービー
ギターは全てテレキャスターで、バッキングとSolo1、3はリアPUフルテン、Solo2はフロントPUでトーンを限界まで絞っています。ミキシングですが、ドラムトラック、バッキング、ソロ全てをセンターから出していまして、ギタートラックは全てフェーダーの位置が同じ、さらにSabbathのセッティングも、ノブの位置が12時で固定しています。
また、Solo1と2ではMALEKKO Echo600 Darkを、Solo3ではSoul Power Instrumensts Velvet Wah 109を使っています。
さて、音についてですが・・・このペダルは非常に反応性がいいんです。そして、和音と単音での音がしっかり分かれるんですね。ファズペダルですのでそれはある意味当然なんですが、それをこのマフサウンドでやってしまったというのが特徴的でしょうか。さらに音抜けがものすごいという・・・。
マフって、轟音にはすごい定評がありますが、音抜けだったり反応性だったりはどうしてもあまりよくないペダルだと思います。それもマフの味の一つではあるんですが、このSabbathはその部分を完全に覆してしまっています。個人的に好きなのは動画のSolo2の音で、フロントPUにしてトーンを絞った、いわゆる「ウーマントーン」的な使い方なんですが、なんていうんだろ、繊細で遠くの方から響いてくるような音色にやられましたw
しかもその状態で、リアPUフルテンのバッキングと同じ場所で音を鳴らしてちゃんと抜けるってのがすばらしいです。
ただ、このペダルは高い反応性と早い音ゆえ、音のコントロールが難しい部類のペダルです。その代わり、一度コントロールしてしまうと、ものすごい武器となるのではないでしょうか。
というわけで、Phantom FX Sabbath Fuzzでした。なお、このペダルですが、現在バージョンアップ版の製作中ということで、いったん製造中止となっています。ですが、ちゃんと後継機が出る予定だそうですので、機を逃してしまった方も落胆はされないでくださいね。
ビルダーの戸高さんよりコメントをいただいていますのでこちらに掲載させていただきます。
sabbathはある意味『マイノリティで良いだろう』と。誰もやらないならばと、こだわって作り続けてたんですよ。しかしずっと、ある構想があって。より高い次元のペダルを作れる確信が生まれたので、製造を一旦止めるという形を取りました。
僕がこだわり続けるのはラムズヘッド期の『鋭い』マフ。そしてそれ直系のあるノブを増設した後継機、『sabbath fog』を開発しています。
回路がシンプルなだけに、パーツメーカーの違いさえ如実に反映されます。例えばAVXのコンデンサを使ったら音が激変したりしました。
Potは従来24ミリのものを使っていましたが、レイアウトの都合上16ミリに変えたらまた音が激変。
少しくらいパーツを変えてコストダウンを計っても…などと考えましたが無理なようです。…センシティブなペダルなんだなぁと笑なんとか納得いくものが出来るまで、トライしてはエラーのテストを繰返しています。ビジョンは明確なので、きっと素晴らしいファズペダルを発表できると思います。僕自身、発表できるのを楽しみにしていみす。
phantom fx 代表.戸高
とのことです。また、YOUTUBEにUPしたサンプル動画内に使わせていただきました戸高さんの写真ですが、ご本人より使用許可をいただいています。肖像権は戸高さんにありますので、例えば別の場所にUPされる等はなさらないようにお願いします。(YOUTUBE動画として貼り付けるのは大丈夫だと思います)
写真使用を快諾してくださり、そしてわざわざコメントを送ってくださった戸高さん、そして在庫希少の中、Sabbathを確保してくださったLEP INTERNATIONARLさん、本当にありがとうございました。
世界的にも類を見ない、メジャーアーティストによる手製のハンドメイドエフェクトブランド「Phantom FX」、これからも注目していきたいと思います。