Eventide PITCH FACTOR |
Eventideといえば、多くの・・・本当に多くのプロが使っている高級ラック機材を製作していることでも有名です。特にインテリジェントピッチシフタ/ハーモナイザは人気が高く、ラックだと50万円前後と大変高価ですが、使用されてる方も多いようですね。ちなみに、もともと「ハーモナイザ」という名称はEventideの商品名だったりします。ですが普通にエフェクターの分類としても一般的に使われていることからも、Eventideのハーモナイザの存在感が伺えます。
さて、そんなEventideから発売されるコンパクトタイプのピッチシフタということで・・・NAMM SHOWに出展されてから非常に大きな話題になっています。The EFFECTOR BOOK Vol.3でNAMM SHOWレポートの機材解説を書かせていただきましたが、そのときにもシンコー・ミュージックの担当者の方とPitchfactorについてはお話しして、これは注目だ、とけっこう盛り上がったりしてましたw
それはともかく・・・さっそくどのようなペダルなのか見ていきましょう。
Eventide PITCH FACTOR |
こちらがそのPitchfactorです。まず、おおまかな特徴を・・・公式サイト(英語)の「Features」にも掲載されていますが、その中からいくつか見てみます。
- 10種類のピッチシフトを搭載。
- 最大4ヴォイスまでのダイアトニック(全音階)ピッチシフトと最大1500msのデジタルディレイを搭載。
- ギターやベースなど、幅広く使用可能。
- ビルトインチューナー。(チューナーとしても使えると言うことでしょうか。)
- USB2.0で内部ソフトのアップグレードが可能。(Factorシリーズに共通する機能ですね。)
- MIDI IN、MIDI OUT/Thuru端子、もしくはUSB端子を使ってMIDIコントロールが可能。(PCから操作可能?)
- エクスプレッションペダル、外部フットスイッチにも対応。
- 100種類のファクトリープリセットを搭載。
- アナログバイパス。
- ステレオ/モノラル両方に対応。
- 入出力インピーダンスがギターレベル、ラインレベル共に対応。
といった感じです。搭載されているコントロールは、ノブが10個とフットスイッチが3つで、ノブがドライ/ウェットのミックス、タップテンポのON/OFFやプリセットの保存、およびエフェクトの選択を行うコントロール、Pitch AとBのバランス調整、Pitch Aコントロール、Pitch Bコントロール、Delay Aコントロール、Delay Bコントロール、Depth/Keyコントロール、Speed/Scaleコントロール、Xnobコントロール、Ynobコントロールとなっています。フットスイッチは左から、Active(ペダルのON/OFF)、Flex/Learn、Tapとなっていて、Tapスイッチを長押しでフットスイッチをプリセットのバンク切替モードにすることができます。
搭載されるピッチシフトは10種類で、以下の通りです。(順序はペダルに書かれている順で、まず左側1列、続いて右側1列となっています。各列5種類ずつ書かれていて、私の持っているTimefactorの操作をもとに考えると、おそらくエフェクトの選択スイッチはこの順で動くと思われます。)
- Diatonic
- Quadravox™
- HarModulator™
- MicroPitch
- H910 / H949
- PitchFlex™
- Octaver™
- Crystals™
- HarPeggiator™
- Synthonizer™
これらのモードですが、あまり細かいことはまだ分かりません・・・Eventide製品に精通した方なら分かるかも知れませんが、現状ではあまり情報が少ないです。分かっていることを書きますと、「Diatonic」モードが最も普通のモードとなっていて、いわゆるインテリジェントピッチシフタです。Pitch AとBがあるため、2ヴォイスが可能となっているようです。普通のディレイはもちろん、モジュレーションディレイを加えることも可能なようですね。
「Quadravox™」モードは、4ヴォイスのピッチシフトで、追加する4つの和音をそれぞれ設定することができます。もちろんこちらもディレイを加えることができます。Diatonicモード等、他のモードでもそうですが、各ヴォイスが出力されるタイミングもそれぞれ設定でき、タップテンポで合わせることが出来るため、ただ1音を弾くだけでアルペジオを作り出したりもできます。
「HarModulator™」は、ハーモニーにモジュレーションを加えることができるモードで、サイン、トライアングル、スクウェア、ランプの4種類の波形を選択することができます。
「MicroPitch」はEventideのシグネチャーサウンドの一つだそうで、±50セントのピッチシフトと軽いディレイをかけた音色で、ギターやベース、ヴォーカルの音色を太くすることができる、とのことです。
「H910 / H949」は、Eventideが「ハーモナイザ」という名前で製作した最初の製品、H910とH949のサウンドを再現したもので、少し古くさいピッチシフトのサウンドが特徴です。
「PitchFlex™」は、いわゆるワーミー風のサウンドで、エクスプレッションペダルであのワーミーの音色を作ることができます。設定次第で、ギターでベースサウンドも作り出せます。
「Octaver™」は2オクターヴをプラスするファズサウンドで、フィルタとレゾナンスコントロールによって、アナログシンセのような独特な音色を作ることができます。
「Crystals™」はリバースピッチシフタです。BOSSのハーフラックシリーズ、「RPS10」などでも有名なエフェクトですね。Pitchfactorでは、これがAとBの2つかけることができるため非常に幅広い音作りができるそうです。
「HarPeggiator」は・・・詳細が分かりませんでしたが、名前から考えるとアルペジエータでしょうか。
「Synthonizer™」は、ギターの音色を笛やテルミンのような音色に変えることが出来るおもしろいエフェクトです。普通のグリッサンドをまるでスライドギターのようにスムーズな変化に変えてしまいます。
これらは、公式サイトの「Virtual PitchFactor Demo」というところから実際に音、それもドライ音とウェット音両方を聞くことが出来ます。かなりおもしろいので是非一度聞いてみてください。
というわけで、Eventide Pitch Factorのご紹介でした。まぁさすがに、数十万もするようなラックタイプの・・・例えばEventide Orvilleのような機材と比べるとまた違ってくるとは思いますが、それでもコンパクトペダルとしてはもちろん、ラック機材と比較してもひけをとらない機能性を持っているのではないかと思います。音質についても、実際に使っていませんからなんとも言えませんが・・・正直なところ、質が悪いとは到底思えません。コンパクトピッチシフタ/ハーモナイザの決定版となるのか、これは非常に注目です。価格はたしかに安くはありませんが・・・機能等を考えれば高くもないのではないかと思います。発売が楽しみですね。Timefactorの時のように、延期されないかどうか心配ですが・・・w