数々のエフェクターが溢れる中だからこそ、今、改めて定番を振り返るシリーズ。フェイザー編に続く今回はトレモロペダルを見てみたいと思います。
トレモロというエフェクト、効果としては音量を上下させて音の揺れや途切れる感じを作り出すというシンプルなものですね。これは歴史のあるエフェクトです。もともとはオルガン用として開発されたもので、レスリースピーカーのシミュレータとして作られたものが始まりという説が一般的です。レスリースピーカーはフェイザー編でも触れましたが、スピーカーコーン自体を回転させることで独特な音の揺れが得られるスピーカーですね。
今でこそ、オルガンというとノスタルジックな楽器というイメージがあるかもしれませんが、元々オルガンは最先端の楽器として、音色のシミュレーションと新しい音作りに力を入れてきた楽器です。例えば、パイプオルガンはオーケストラのシミュレータで、手鍵盤の左右にあるストップレバー、または手鍵盤の手前と足鍵盤の上にあるコンビネーションボタンという部分を使ってパイプを組み合わせていろいろなパートの音を出せるものでした。そのパイプオルガンも、初期は貴族お抱えの労働者や奴隷がふいごを回してようやく演奏ができるようになっていましたが、後にはポンプ式だったり電気式のものが出て発展し、今では本物のパイプを使いながら各部の動作はモーターを用いるタイプのものが主流です。一方、パイプオルガンの演奏部だけを残し、音は電気回路で作る電気オルガンという楽器もあります。
一方、本格的に作ると楽器というよりも建造物になってしまうパイプオルガンをもっと小型化し、ピアノのようにどこにでも置けるサイズにしたのがリードオルガンです。足でふいごを操作しながら演奏できるので1人でも演奏できるもので、後にふいごはモーター等へ進化し、その後電気回路を使って音を出すものへと進化します。初期の電子オルガンの登場です。
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とはいえトレモロの説明としてオルガンの歴史を持ち出すのはちょっと話の方向性が変わってきそうなのでこのへんにしておいて、定番トレモロを見ていきたい、と思うのですが・・・実は「定番のトレモロ」はそれほど数が多くありません。一方で、ここ2〜3年ほど、トレモロペダルの復興というか・・・世界的にトレモロペダルがいろいろ出てきている流れが少しありますので、そんな流れから出てきた「ちょっと変わったトレモロ」や「多機能なトレモロ」をいくつかご紹介したいと思います。では、いってみましょう。
- 定番トレモロペダル
※「定番」に定義はありません。あくまで個人的な印象も含んでいますので、これが入っていない、これは定番じゃない、といったご意見もあるかもしれませんがご了承ください。メーカーのアルファベット順にご紹介します。
BOSS TR-2
BOSS Tremolo TR-2 |
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Demeter TRM-1 Trenulator
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Fulltone Supa-Trem
【トレモロ】Fulltone SUPA-TREM |
コントロールはRateとMix。フットスイッチはSpeed、Bypass、Hard/Softとなっています。Speedフットスイッチはレスリースピーカーのスピード切替スイッチのような機能で、Hard/Softは波形の切替スイッチです。Mixノブにより、ドライとウェットの割合を自在に調整可能なモデルです。
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- 最近のトレモロペダル
トレモロペダルの定番モデルは先に挙げた3モデルあたりだと思います。その一方、ここ数年様々なトレモロが出ているので、そういったモデルをいくつかご紹介します。(メーカー名順)
Amptweaker SwirPool
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他にも電池使用時、ボードに組み込んだままでも電池の消耗が抑えられる電源スイッチや交換時にネジ不要の電池ボックス、アダプタ駆動時にはノブを照らすLEDやエフェクトの前、後ろどちらでも切り替えられるON/OFFスイッチに連動したエフェクトループを搭載。
非常に多機能で音の幅も広いトレモロペダルです。
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Dawner Prince Effects Starla Tap Tempo Tremolo
【エフェクター/タップテンポトレモロ】《ドウナープリンスエフェクト》Dawner Prince Effects ... |
コントロールはSpeed、Waveform、Speed、Depthノブと3モードの切替スイッチ、ON/OFFスイッチとタップテンポスイッチを搭載。Waveformは8種類の波形を切り替えることができ、3モードのスイッチでタップテンポ入力に対する実際のテンポの割合を切り替え可能。また、本体奥にあるトリムポットで、選択した波形をさらに細かく調整可能です。
またSync端子はRCAタイプのケーブルを使って、外部スイッチによるタップテンポ設定、また内部のジャンパを切り替えることで、テンポを出力し、他のペダルとテンポを同期させることも可能となっています。コンパクトサイズながら非常に多彩な機能を持ったモデルです。
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Empress Effects Tap Tremolo
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コントロールはDepth、Rate/Ratio、Rythm、Gainコントロール。そしてタップテンポとバイパススイッチです。また、本体奥にTap tempo/Normal/Two Speedの切替スイッチとTriangle/Tube/Squareの切替スイッチを搭載しています。タップテンポモード時にはRateノブがタップテンポ入力に対する実際の店舗の割合を調整可能。Two Speedモードではタップテンポスイッチで2種類のテンポ切替が可能となります。Triangle/Tube/Square切替は波形の切替スイッチですね。機能的で使いやすそうなトレモロペダルです。
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Suhr Jack Rabbit
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このJack Rabbitは、Level、Rate、Depthノブと、5つの波形切替ができるノブを搭載。および3モードのスイッチがあります。フットスイッチの長押しでタップテンポモードに切り替えることができ、3モードスイッチで入力テンポ(4分音符)に対する出力を4分音符、8分音符、3連符から選択可能。また、タップテンポモード時にフットスイッチを押しながらRateをまわすことで、Strum Tempoモードという、フットスイッチを踏んでカッティングを刻むことでテンポを設定出来るモードも搭載。外部スイッチによるリモートやバッテリー残量を警告する機能など、Suhrペダルならではの機能も搭載したモデルです。
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Z.VEX Sonar Vexter Series
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Volume、Speed、Duty、DeltaノブとClean/Machineの切替と1/2/4の切替、←/ /→の切替スイッチを搭載し、ON/OFFとタップテンポのフットスイッチを持つトレモロペダルです。トレモロの1サイクルの中で音が出る時間と出ない時間の割合を調整するDutyノブや、←/ /→スイッチとDeltaノブを合わせてトレモロのテンポの加速、減速が行えたり、Clean/Machineスイッチで歪みを追加することができたりと、非常に様々なトレモロサウンドが得られるペダルです。1/2/4の切替スイッチはタップテンポに対する実際のテンポの割合を切り替えるスイッチです。
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と、いうわけで、今回はいろいろなトレモロペダルを見てみました。
基本的にスタンダードな定番モデルがある一方、最近のトレモロペダルはより進化した多機能モデルが多いですね。こういったモデルは特に最近増えていて、様々なトレモロが出てきています。ちょっと変わったところでは、また別の機会にご紹介しようと思いますが、トレモロとリバーブを組み合わせたStrymon Flintも有名ですね。
ただこうして見てみると、多彩な波形切替とタップテンポの搭載が今後のトレモロペダルでは標準的なものとなっていくのではないかと思います。古くからさまざまな楽曲で使われてきたトレモロペダル。ヴィンテージトレモロなサウンドから、より新しいパルスやランダム波形など、音量を上下させるだけ、というシンプルな仕組みながら多彩な音を作ることが出来るエフェクトです。
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