昨日、改めて定番を振り返る・ピッチシフター編をやりました。
普通に定番モデルをまとめてご紹介したんですが、実はもうちょっと書きたいことがあったんです。ただ、今回の台風18号(各地の方は大丈夫でしょうか。)の気圧の変化の影響か何か知らないですが、昨日は謎の頭痛があって、あれ以上書くことができませんでした。
そこで今回は、「今、改めて定番を振り返る! Vol.18.5」ということで、定番とはまた違ったピッチシフターや、ギターエフェクターとして以外のピッチシフターをいくつかご紹介したいと思います。
では、いってみましょう。
- ちょっと変わったピッチシフター
BOSS MO-2 Multi Overtone
【送料無料】BOSS MO-2 Multi Overtone ギターエフェクター 新たな倍音を生み出し音に厚みを加... |
MDPとは、Multi-Dimensional Processingの略で、入力信号を様々な角度から分析して、そこにエフェクトをかけるというもの。エフェクトをかけると単純に言っても、入力信号の動きやピッチなどに応じてパラメータを変えるようなエフェクトのかけかたをするという技術です。
そして、この「MO-2」は、「原音に新たな倍音をミックスして音に厚みと広がりを加える」というエフェクトです。あまり他では無いようなエフェクトですが、ジャンルとして考えると、ピッチシフター、それもハーモニーを加えるインテリジェントピッチシフターの亜種、と言えなくもないかと思います。
MO-2には、Balance、Tone、Detuneと3つのモード切替スイッチを搭載。モードは、1〜3で数字が大きいほど深い効果が得られるというものですね。Detuneで、加わる倍音の厚みを調整するコントロールで、Toneで全体の音の明るさを、Balanceで原音とエフェクトのバランスを調整します。
本格的なピッチシフターのBOSS PS-6にもDetuneという効果がありますが、それをもっと広げたようなエフェクトと言えますね。まったく新しいギターサウンド、というかシンセみたいな音が出せます。
オーバービュー
サンプルムービー
EarthQuaker Devices Rainbow Machine
【メーカー取り寄せ品】【送料無料】 Earth Quaker Devices Rainbow Machine 【ピッチシフター/... |
このペダルは、アメリカのハンドメイドエフェクターブランド、EarthQuaker Devicesのピッチシフターです。大手メーカーの定番モデルのような、本格的なピッチシフターではありません。むしろハンドメイドエフェクターブランドならではの自由度と発想を生かして作られた、変わったペダルです。
DSPを用いたエフェクトで、ピッチシフターとモジュレーションディレイを組み合わせて独特の効果を得ることができます。コントロールはPrimary、Secondary、Pitch、Tracking、Tone、Magicで、ここにも独特の世界観が表れています。右のフットスイッチでエフェクトのON/OFF、左側でMagicモードのON/OFFを行います。Pitchコントロールでピッチの調整を、Primary、Secondaryはギターの追加する2種類のハーモニー音のバランスを-4〜+3オクターブの中から調整。Toneは全体的な音のトーンで、MagicノブはMagicフットスイッチを踏んだ時に起こる、モジュレーションとフィードバックを組み合わせたような独特の効果を、Trackingはその時のモジュレーションのスピードをコントロールするものとなっています。また、Pitchコントロールはエクスプレッションペダルで操作出来、リアルタイムでピッチを動かすことも可能です。
サンプルムービー1
サンプルムービー2
サンプルムービー3
非常にアーティスティックな効果が得られる、変わったピッチシフターです。
Mooer Pitch Box
ムーア MOOER PITCH BOX |
このペダルは、現状では他に類を見ない、ミニサイズのピッチシフターですね。和音にも完全対応のポリフォニックピッチシフターで、Harmony、Pitch Shift、Detuneの切替スイッチとPitchノブのみを搭載するシンプルな仕様です。HarmonyとPitchは、それぞれ±2オクターブの音域で、原音にハーモニーを加えたり、原音そのものを動かしたりします。Detuneモードでは-40cent〜+40centの範囲でピッチを動かし、コーラス的な効果が得られるようになっています。
ここまでのBOSSとEQDに比べれば最も正統派に近いスタイルのモデルですが、ミニサイズで1ノブ1トグルスイッチのみという仕様は珍しい、変わったピッチシフターですね。
サンプルムービー
- ヴォーカルエフェクターにおけるピッチシフター
ピッチシフターは、ギターにおいてはたしかにそれ自体が変わった効果です。しかし、ヴォーカルではピッチシフターはまさに「欠かせない」エフェクトと言えます。特に声にハモりを付加するハーモニー、つまりインテリジェントピッチシフターは、ライブやレコーディングにかぎらず、カラオケなどでも多く使われているエフェクトですね。
そんなにたくさんは載せませんが、ヴォーカル用のピッチシフトエフェクターをいくつかご紹介したいと思います。
BOSS VE-20
【送料無料】BOSS VE-20 ボーカルエフェクター ボス ボーカルプロセッサー ボーカルパフォーマー |
本体には最初から30種類のプリセットを搭載していて、それぞれジャンルなどに合わせて簡単に使うことができるようになっています。このうちDoubleとHarmonyがピッチシフトを用いたエフェクトですね。他にディレイやリバーブ、ダイナミクスエフェクトが搭載されていて、それらを合わせてヴォーカルサウンドを作っていくことができます。また、この30種類のプリセットに加えて、50種類のユーザープリセットを作成しておくこともできます。モノラル38秒のフレーズループ機能も付いているので、非常に多彩な使い方の出来る多機能なペダルですね。
サンプルムービー
Digitech Vocalist VL3D
【送料無料】DIGITECH Vocalist Live 3 Desktop VL3D ボーカル用ハーモニーエフェクター デジテ... |
このペダルは、そんなVocalistシリーズの中でハーモニーに特化したピッチシフトペダルです。本編でも出てきたmusIQテクノロジーでギターやMIDIから、伴奏の情報を取得して自動的に伴奏に合わせたコードでハーモニーを作成することができるペダルですね。原音、つまりマイクからの声に2つのパートを加えることが可能で、MIDIノートで出力する場合は5ノートを付加できるというペダルです。さらに、加えるハーモニーの音も、その声質やピッチ、タイミングの微細なずれをコントロールできるので、非常に臨場感のあるハーモニーが簡単に得られるようになっています。5パッチ×2パートの、10種類のハーモニーを保存しておくことができます。
サンプルムービー
Electro Harmonix Voice Box
Electro HarmonixVoice Box【エントリーで楽天ポイント最大10倍!】 |
サンプルムービー
TC Helicon Harmony Singer
【ボーカル用エフェクター】《TCヘリコン》TC-Helicon Harmony Singer《ボーカル用エフェクター... |
このペダルは、ハーモニーに特化し、リバーブを追加したコンパクトなヴォーカル用エフェクターです。以前はヴォーカル用エフェクターといえばマルチエフェクターばかりだったんですが、最近はこういったコンパクトペダルも増えつつあります。
ギター用のインプットがあり、ここでギターのサウンドからキーを割り出して、1声または2声のハーモニーを追加することができます。さらに3種類のリバーブを付加して、ヴォーカルに厚みをもたせることもできます。シンプルでアナログライクな操作感で使うことの出来るペダルですね。
イントロダクションムービー
TC Helicon Voice Tone Mic Mechanic
マイクを通した声の本質を徹底的に改善!TC-Helicon VoiceTone Mic Mechanic 《ボーカル用エフ... |
最近のデジタル技術の進歩は、かつてレコーディングスタジオ用のエフェクトだったそういうピッチシフト、いわゆる「ピッチ補正」も、コンパクトかつ手頃に作ることができるようになってきました。このペダルは、そういったピッチ補正を行うことができるエフェクターです。
ピッチ補正の他に8種類のディレイ/リバーブの組み合わせを収録し、アダプティブEQ、コンプレッサー、ディエッサー、ゲートを組み合わせて使えるToneボタンを搭載。ヴォーカルサウンドをできるかぎり安定させ、厚みを持たせることができるというペダルです。このペダルでは、シンプルにナチュラルなピッチ補正を行いますが、より強くピッチ補正をかけると、通称「ケロケロヴォイス」と呼ばれる、ヒップホップなんかでよく聞くことの出来る独特の効果を作ったりもできます。例えば同じTC HeliconのVoiceTone Correct XTのような本格的なヴォーカルエフェクターならだいたい作れます。
イントロダクションムービー
- ギターにもピッチ補正を
主にヴォーカル用のエフェクトとして作られた、ピッチ補正の技術。その技術をギターに応用したらどうなるか、そういうモデルも出ています。
Peavey AT-200
【送料・代引手数料無料!】PEAVEY オートチューン搭載エレキギター AT-200 AMP KIT LINK付きセ... |
このギターには、ヴォーカルエフェクトとして培われ、今ではレコーディングで当然のように使われるピッチ補正エフェクトが搭載されています。プラグインソフトのピッチ補正エフェクトを製作するANTARESと共同で開発されたピッチ補正技術、Solid-Tune intonation systemと、「今出ている音」を自動的にレギュラーチューニングにピッチシフトするString Tuneという2つの技術を搭載。まずピッチ補正の方ですが、これは、押さえたフレットの音を自動的に解析し、ピッチのずれを即座に補正して出力する機能で、ギターをはじめとする弦楽器の宿命でもある、「フレットの位置によってピッチがずれる」という点を完全に解消することを可能にしています。もちろん、ギターならではのヴィブラートやチョーキングといった奏法にも対応していて、ヴィブラートがケロケロヴォイスみたいになった、ということもありません。
そして、String Tuneの方ですが、こちらはボタンを押して6つの弦を弾けば、それが自動的にレギュラーチューニングにピッチを合わせて出力されるというもの。つまり、6つの弦を全て開放で弾けばレギュラーチューニングになりますし、6弦2Fだけを押さえればドロップDチューニングに、5Fセーハすれば5半音をドロップした音になります。また、12Fを仮想的に0Fと見立てることにより、カポチューニングも行えるようになっています。
実際の弦がどんな音を出しているのかは関係なく、常に完璧な音程を実現する、ピッチシフトエフェクトを最大限に活用したギターですね。
サンプル・デモムービー
イシバシ楽器による解説ムービー
というわけで、今回はちょっと変わったピッチシフターエフェクトや、ピッチシフトの違った使い道などを見てみました。音程そのものを動かすエフェクトだからこそ、こういった大胆な使い方で様々な音を出すことができる、というのは面白いと思います。
人気blogランキングへ