かつて、Elevenrack等からはじまった、ハイエンドなデジタルマルチエフェクター/アンプ機器。もっと古くはPODからの流れを引き継いだものと言えるかと思います。
Axe-Fxがその地位を固め、多くのアーティストがその高いサウンドクオリティを認めるようになりました。
そして2012年、Kemper Profilerが発売。モデリングではなくプロファイルという方法で、アンプやシステムの持つサウンドをそのまま保存する、という考え方は新しく、大いに話題となりました。
現在、Axe-Fx、Kemperに加え、Line6 Helix、Bias Ampといったモデルがトップクラスのデジタルアンプ/マルチエフェクターとして使われています。特にKemperは目立つこともあり、音楽番組などでもかつてのマーシャルヘッドに代わっておかれているのを見ることもできますね。
さらにはアンプをプロファイリングしたサウンドを基本としたアンプサウンドなどを収録した低価格なマルチエフェクター、Mooer GE200(試奏レポート)も出てきており、もはや新しい世代のデジタル機器を知っておかないと、と思いました。
そこでついに買いましたよ。Kemper Profiler。発売からまもなく6年となるこのモデル。今更使い方がどうとかいうことを書くのもあれなので、今回は「今からKemper買うってどうなの?」という人向けに、実際に買ってみてどうだったか、ということなんかを載せてみたいと思います。
では、いってみましょう。
- Kemperラインナップ
Kemperは、モデルとしては大きく4種類、および周辺機器というラインナップとなっています。
Kemper Profiling Power Head
Kemper Profiling Amp Power Rack
Kemper Remote
あとはケースだったり、コントローラー同梱モデルなどがありますね。
- なんでKemperを選んだ?
昨今のハイエンドデジタルモデル、先に載せたAxe-FxやLine6 Helix、Bias Ampではなく、Kemperを選んだ理由ですが、個人的な理由としては、一番はデザインですね。なんかかわいいし。
実際にKemperだけ触ったことがあるわけですが、それぞれの特徴として言われていることは、音をとにかく作り込めるのはAxe-Fx、持ち運びの利便性の高さはHelix、コストパフォーマンスが高く、サウンドクオリティも良いのがBias Ampという感じです。他はモデリング、Kemperはプロファイルということでも違いがありますね。
本物のアンプを解析するのはKemperのプロファイリングと、Bias Ampのトーンマッチという機能があり、それぞれどちらもサウンドを共有して使うことができるようになっています。Bias Ampに関してはプラグインエフェクトとしても公開されており、ハードウェアがなくても使うことはできます。
- アンプを持っていなくてもKemperを買う意味はある?
Kemper最大の特徴であるアンプのプロファイリング。最近のプロのレコーディング等ではまずアンプのプロファイリングから始まるとも言われています。また、レコーディングでは本物のヴィンテージアンプを使いながら、そのトーンをプロファイリングしたKemperをライブでは使用する、という使い方もあったりします。
ただ、それはプロの話。一般的なギタリストであれば、よほどの人でないかぎりアンプを持っていても1〜2台。大きなアンプは持っていないという人もいます。しかし、前述のとおりKemperはプロファイルしたサウンド(RIGと呼びます。エフェクトのプリセットなどもここに入ります。)を公開することができ、無料で多数のアンプサウンドを入手できたり、RIGそのものが販売されていたりします。
現時点で、無料で公式に公開されているファイルは1万を越えています。探せばサイトなどで公開されていたりすることもありますね。これらの多くは個人が制作したものですが、公式でも有名なプレイヤーの作ったファイルをパックとしてまとめて配布していたりもします。
中にはこんな感じで、Axe-FxやHelixのプロファイルもあったりします。Zoom G3とかもあります。あと歪みエフェクターと組み合わせたサウンドなんかもあったりしますね。
- 操作性は?
正直、最初は難しそうだと思っていました。実際に触るとわかりますが、これほど簡単だとは思いませんでした。
基本的に、この上段にある部分がシグナルチェインです。STOMPSセクションに4つ、STACKセクションでアンプ/EQ/キャビ、EFFECTSセクションに4つのエフェクトを割り当てることができます。それぞれがボタンスイッチで割り当てられており、直接ON/OFFしたり設定可能。またパラレルシグナルチェインを作ることもできます。
エフェクトの設定も簡単で、設定したい部分のボタンを長押ししてTYPEノブを回して選びます。エフェクトタイプにより、こんな感じでディスプレイのカラーが変わるので分かりやすいです。
下部は各種操作とアンプの設定。アンプにはGAINとBASS、MIDDLE、TREBLE、PRESENCEのEQ、そしてマスターボリュームがあります。EQは別途エフェクトの方にも用意されていて、より細かく音を調整することもできます。
また、公開されたRIGを使って、さらにキャビネットを自由に組み合わせることもできます。例えば・・・
これはAXE-FXのFriedmanモデリングをプロファイルしたファイルですが、キャビネットモデルが入っていないタイプです。
ここに、別のRIG・・・この場合はメサのキャビネットを割り当てていますが、こんな感じでキャビネットを組み合わせることができます。もちろんサードパーティのIRを使うことも出来ます。(専用ファイルに変換するソフトが公開されています。)
- 音はどうなの
ということで、無料で公開されているRIGを使って適当にサンプル録ってみました。ギターは全てStrandberg Boden J6です。
Marshall DSL100
まずは強めの歪みから。JCM2000の音ですね。
(聴けない場合はこちら)
Mad Professor Old School 21
21Wのマッドプロフェッサーアンプのサウンド。ローゲインクランチなトーンです。
(聴けない場合はこちら)
クリーントーン聞き比べ
3種類のアンプのトーンを並べました。順にマーシャルJMP、Matchless Lightning 15、Fender Twin Reverbのサウンドです。
(聴けない場合はこちら)
ハイゲイン聞き比べ
2種類のハイゲインサウンドです。Bogner Uberschall、Mesa Triple Rectifierのサウンドです。
(聴けない場合はこちら)
そして、個人的におもしろいのがKemperのエフェクトループにH9 Maxを入れる形。
こんな感じで、RIGを管理しつつH9のコントロールもPCからできます。
このように、他のエフェクト同様にLoop Monoを選べばモノラルエフェクトループを選択できます。
空間系にH9を使った音
Friedman Dirty Shirleyアンプを使ったプロファイルにH9をかけています。H9はアンプの後に設置しています。RIGごとに設定できるので、使うエフェクトによってアンプ前に入れることもできます。
(聴けない場合はこちら)
もともとのFriedmanアンプの音がやたら良いんですが、そこにEventide Spaceに入っているShimmerアルゴリズムを使った音を入れています。H9 Controlにあるファクトリープリセットの「DARK ANGELS」をそのまま使ってます。
実際に使って思いましたが、こんな楽にこれだけの音を作れる機材ってやばいですね。
音のクオリティも高いと思います。ちなみに無料で公開されているプロファイルそのままだと、若干ローエンド強くなっているのが多いように思いますが、それはEQ等で調整できます。
とにかく楽しくて、届いてから3日ほど、ずっと触ってギター弾いていました。本当に楽しいです。
ちなみに、私はライブ等で使うことはなさそうなので、パワーアンプなしのモデルにしましたが、ライブでの使用を考えているならパワーアンプ付の方が断然良いと思います。あとREMOTEも結局必要になるんじゃないかと思います。もちろんMIDIでのコントロールも可能なので、他のMIDIスイッチャーでも良いとは思いますが・・・。
ということで、Kemperでした。基本的にアンプの使い方やエフェクターの使い方などが分かっているなら、けっこう簡単に楽しめる機材だと思います。多少デジタルの知識もあると、より深く音を作っていけます。
DTMする人にも勧めたいですね。ラインでこんな音が録れるってのは素晴らしいです。ラインなのでノイズ等も少ないですし、ギターを弾く準備がすごく楽です。
買おうかどうか迷っているなら、買ってみてもそうそう後悔しないんじゃないかと。
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