なかなか外出もしづらい時期なので、自宅でバンドサウンドの曲をつくってしまおうという「自宅でバンドサウンドを作ってみよう!」シリーズ、今回はパート4です。
パート1はこちら
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前回のパート3では、ミックスに入る前に知っておくと良さそうなこととまとめてみました。
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今回は、また作ったトラックに戻って、ミックスをスタートしていきましょう。
まず、ミックスを始めるにあたって、最初にやること。それが今回の内容になります。
ここで想定している現在の状況は、曲を作ってアレンジ、録音や打ち込みなどが終わった状態。各パートの演奏や打ち込みが形になっている状況です。
これはパート2で載せた内容ですね。
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まずは注意。ここからミックスに入っていくわけですが、ミックスのやり方は千差万別。人それぞれいろいろありますし、曲によっても異なったりします。
ここではできるだけいろいろなパターンに合うよう書いていくつもりですが、それでも基本的に私のやり方がベースとなっていることは前提にしてもらえればと思います。
「こっちの方がやりやすい」とか「そこまでやらなくてもいい」だったり、「そこはもっとやりたい」という点がそれぞれあると思います。それはもう自由に、自分なりのやり方でやるのが良いです。
あくまで参考程度に見てもらえれば。
また、今回のシリーズではいろいろ「参考画像」を出しながら書いていくと思います。このシリーズはいろんな楽曲に応用できるように書いていくつもりですが、参考画像は実際にミックスを行った楽曲のものを使用します。
具体的にはこの曲です。
【初音ミク】トケテナクナレ【オリジナル/MV】
曲を聴かないと分からないようなことは書きません。ですが一応出典として、この曲を制作したCubaseのプロジェクトファイルからの画像を参考として使用していることを付記しておきます。
では、現状を振り返ってみましょう。
打ち込みや録音が終わった状態は、いろいろと作業がしやすいようにフェーダーが動かされていたり、音源を使って音を出している状態だと思います。
意図した曲として聞こえるように、制作段階ではやりやすいようにフェーダーを動かしていると思います。各音の定位(パン)の位置もだいたい調整されている状態になっているでしょうか。
ここからミックスに入っていくわけですが、ミックス、特に楽曲全部のパートを作り上げるパラミックスは、やることがとても多いです。難しくはないんですけど、細かな「作業」をしていくことになります。
そのため、ミックスをするために、快適な「環境」をまず作ります。
ミックスに入っていくにあたって、やっていくことを順に載せていきます。
- フェーダーを全て「0dB」に(パンニングは維持)
楽曲の制作中は、自分が聴きやすいよう、いろいろな楽器、録音のフェーダーをいじっています。それは何も問題ありません。ですが、そのままミックスをしてしまうと音がすぐにクリップしてしまったり、調整幅が少なくなってしまうことがあります。音量のバランスは全てミックスでいちからやり直すので、ここで動かしたフェーダーを全て0dBに戻します。
ただし、パンニングは維持で良いです。制作中に音を聴いているとき、だいたいこれはこっちから聞こえるのが良い、というのはある程度調整していると思います。
特にギタートラックのLRや、ヴォーカルのバックコーラスのLRはそのまま維持で大丈夫です。なにか制作の都合で無理に変なところに移動したものがあれば、それは戻しておきましょう。
逆に、「え、何も調整していないんだけど」という場合はそれもそのままで良いと思います。
何度かやって慣れてきたら、「このトラックは作るときにLRまで調整する」とか「このトラックは後でミックスでやるからセンターのままで」とかがイメージできるようになります。
もし、「今のパンニングは適当だからミックスでイチから再調整しなおす」なら、ここでパンも全てセンターに戻しておきます。
ここで注意。普通はフェーダーを0dBに戻せば大丈夫なんですが、もしそれでトラックがクリップしている(レベルが0dBを越えている)なら、そのトラックを見つけて、そのトラックのレベルを下げます。あとマスタ-がクリップしているなら同様に、原因のトラックのレベルかマスター自体を下げましょう。
それで今、そのトラックが聞こえにくくなってもかまいません。後でバランス取るので。この時点で、「絶対に全トラックとマスターが0dBを越えない」ようにしないと、この後で困ります。
DAW内の処理って64または32ビット浮動小数点数(フローティングポイント)というビット深度になっています。このフローティングポイント、浮動小数点数ってのは、簡単に言うと「許容量をオーバーしたとき、処理する数字の小数点の場所を動かしてなんとかしよう」ってことなんです。例えば処理できるのが「10」のところに「52」のものを入力したら溢れますよね。じゃあこの小数点を動かして、5.2×10として処理すれば、とりあえず「5.2」の入力で処理して、あとから10倍する、ということができます。それが浮動小数点数。ただその桁数には限りがあるので、例えばこの場合、処理できる一番下の桁数は無視されます(10.00000が限界としたら、52.00001を入力しても52.00000入力したことになる、みたいな。実際は2進数でやってるから厳密には違いますけど)。超ざっくりとした説明ですが、こんな感じで、DAW内では「クリップが起きない」んです。でも、それを書き出すとクリップが起こります。
書き出す?なんで?というのは、この次の工程で。
- トラックのバウンス (レンダリング)
バウンスとは。打ち込みの音をオーディオデータ、つまりwavファイルに出力することです。レンダリングと呼ばれることもあります。
これはやる人もいればやらない人もいます。曲の内容とか、あとPCスペックとかによってもやらないで十分なこともあります。ただ、基本的にミックスは全てオーディオデータで進めていく方が良いと思います。
だからパート2の最後で、基本的にアレンジ最終段階で固定されると書きました。
もちろん、バウンスしたらもう何も変えられないみたいなことはなく、元の打ち込みのプロジェクトに戻って修正、改めてバウンスをしてミックスのプロジェクトに持ってくる、ということも出来ます。
トラックが打ち込みになっている状態では、打ち込まれた情報を元に音源プラグインが音を出しています。この音なんですけど、音源によるところもありますが、実は再生するごとに微細な違いがあったりします。
また、ミックスを進めていくと、膨大なプラグインエフェクトを使用することになり、プロジェクトが重たくなってきます。PCスペックに余裕があれば問題ありませんが、スペックギリギリで作業をしていると、打ち込みの「音抜け」という現象が起こることがあります。
これはプロジェクトの重さにPCが耐えられず、打ち込んだはずの音が抜けてしまう現象。さらに場合によっては打ち込んでいないはずの音が鳴ったり、演奏情報を見落として止まるはずの音が鳴り続けたりする、ということがあります。そんなの困りますよね。せっかく作ったのに曲にならないです。
ですが、オーディオデータであればそういうことは起こりません。なので、ミックスを始める時にバウンスしておく方が良いと思います。
この「バウンス」を行う際なんですけど、今ドラムトラックがドラム音源のままになっていると思います。なので、ドラム「以外」をまずバウンスします。あ、あとボカロ使うならボカロも別で。
バウンスの方法はDAWによって異なることがありますが、基本的に「オーディオミックスダウン」のところで、複数のトラックを個別に出力することができるかと思います。
また、このオーディオミックスダウンの際の注意としては、音質の設定をすることですね。「初期設定」だと、だいたい16bit / 44.1kHzになっています。
それでミックスしてもいいんですけど、ミックス時は高めの音質でやって、最終的に下げる方が良いことがおおいので、24bit/48kHzくらいで書きだしておくと良いと思います。
もっと高い音質でやってもいいですけど。最終的に16bit書き出し(普通のCD音質とか動画音質とか)なら重くなるだけで仕上がりはほぼ変わらないです。DAW内のプレビュー音質は良くなりますけど。
設定によって変えることはできますが、基本的にこのまま書き出すと先ほどのパンニングの設定も含めて、モノラルトラックも全て「ステレオトラック」で書き出されます。
それからテンポ情報の書き出しも忘れずにしておきましょう。これもDAWによって選択する場所とかは違うと思いますが、テンポを設定するテンポトラックはあると思います。これも書きだしておきます。
○フリーズじゃだめなの?
DAWには、打ち込みの音源を一時的にWav化する「フリーズ」という機能があります。
バウンスでなくフリーズでやっても大丈夫です。その場合は、この時点で「ミックスをはじめましたよ」ということが分かるよう、新しい名前を付けてプロジェクトを保存しておくと良いと思います。
バウンスとフリーズの違いなんですけど、フリーズは、「音源が出した音だけ」をWav化して、そこにかかっているエフェクトはそのままプロジェクト内で処理されます。
オーディオ書き出しによるバウンスの場合、「トラックごと」に書き出すので、制作の段階で使ったエフェクトのサウンドまで含めてオーディオ化されます。
私も以前フリーズでやってたんですけど、各トラックに音源プラグイン自体が読み込まれていることや、制作段階でかけたエフェクト(主にアンプシミュレーター)が意外に重かったりするので、完全にバウンスするやり方に変えました。
ここはそれぞれの環境などによっても異なります。前述のとおり、バウンス自体もしないでミックスするやり方ももちろんありです。バウンスをして完全にオーディオ化するのは、「最も軽量化」できる形となりますので、うちみたいにラップトップPCで作ってるとかだとバウンスした方が後々楽に作業ができたりします。
- ドラム音源のパラアウト
先ほどドラム音源以外をバウンスしましたが、続いてドラム音源のバウンスを行います。ドラムはいろいろなパーツがまとまって1つの「ドラム」となりますが、それを1つ1つ、個別のトラックに分けることを「パラアウト」と言います。
有名なドラム音源なら、パラアウトする機能が組み込まれています。例えば上の画像はFXPANSION BFD3のパラアウト設定画面。ドラム音源内で必要なトラックを選択してパラアウトします。(BFDのパラアウトは「全部再生してレコーディング」なのがちょっと変わってますね。)
パラアウトの際の注意としては、音質の設定を先ほどのバウンスと合わせること。24bit/48kHzで他のトラックをバウンスしたなら、ここでも24bitに設定します。パラアウトすれば、ドラムの各パーツやマイクの音がWavファイルとして保存されます。
BFDの場合ですが、ステレオに設定されたマイク類以外は基本的にモノラルで出力されます。そのため、この時点で各ドラムパーツのパンの設定をメモしておきましょう。ミックスでパンを設定し始めてもいいんですが、ステレオのアンビエントマイクとかはここで設定されたパンに合わせて出力されるので、各パーツ類も合わせないと不自然に聞こえる場合があるためです。
「うちのドラム音源はパラアウト機能がない」という場合も、パラアウトできます。ちょっと面倒ですけど。
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以前こちらの記事でもやった内容なんですが(このときはバウンスでは無く各音源フリーズしてミックスしてましたね)、ドラム音源のトラック自体を、必要なトラック数分作り、各パーツごとに分けて打ち込む形です。すでに打ち込まれた情報があるので、それを元に、各パーツごとに音を選択してコピーしていけば、ドラム音源のパラアウトができます。
そしたら、先ほどのバウンスと同じように、パーツごとのトラックをバウンスすればドラムのパラアウトができます。
なんでそこまでしてパラアウトにこだわるのか、ってことなんですけど、ミックスする際に、各ドラムのパーツごとに個別にプラグインのエフェクトをかけたりします。それは、全部のパーツが1つのトラックになった「ドラム音源」では出来ないことだからです。もちろん「ドラムの音はこの音源のままで良い」ならそれもありですが、こと「バンドサウンド」の曲ではドラムの各パーツの音の調整が出来上がりに大きな違いとなりますので、ドラムはパラアウトした方が良いと思います。
- ボカロのバウンス
ボカロはボカロのエディタからバウンスすることができます。ボカロのエディタもたいがい重いので、よほどスペックが良くないとミックス時にはバウンスしないとDAWが固まったり落ちたりします。なのでこれは他の音源以上にバウンス推奨です。このときにも音質を合わせるようにしましょう。先ほど24bit/48kHzにしたので、こちらも同様に設定して出力します。
なので、ミックス前の段階でボカロ側での調声は終えておきます。ボカロVだとエフェクトをかけることもできますが、EQと、あと揺らし系などの音作りに関わる部分は残してリバーブやディレイ等とゲインブーストやコンプは切った状態で書き出す方が良いと思います。リバーブとコンプはミックス側で後からかけますし、ゲインブーストは制作時には声が埋もれないように使ったりしますが、ミックスでは音量はフェーダーで調整するので不要です。
これで、全てのトラックがWavファイルとして書き出されました。
バウンスからのミックスなら、ここで新規プロジェクトファイルを作ります。もしフリーズでやって、ドラムとボカロだけバウンスなら、既存のプロジェクト内にオーディオトラックを作ってバウンスした音だけを追加しても大丈夫です。
その時は元のボカロトラックとドラム音源のトラックを削除またはミュートしておきます。
- ミックス用プロジェクトの作成
各音源をフリーズで行う場合や、打ち込みだけバウンスして録った音はそのまま使う時は既存プロジェクトを名前を付けて保存してそのまま使っても大丈夫ですが、ここではバウンスした流れで、新規ミックス用プロジェクトを立ち上げます。ここは普通にDAWで新しいプロジェクトを作っていったん保存しましょう。
そして、プロジェクトの設定を開き、バウンスした音質に合わせます。今回は24ビットでバウンスしたので24bitオーディオに設定します。これはDAWによってはWavを読み込むだけで自動設定されることもあるので、それぞれの使い方に合わせて。必要なら設定します。
※打ち込みだけバウンスして既存の録音データをそのまま使う場合、つまり新規プロジェクトを作らない場合は、バウンスの際に「今使っているプロジェクト設定」に合わせた音質にします。例えば何も設定しないで作っていると16bitになっていたりします。そこに24bitオーディオを読むとおかしくなってしまうので、その際は16bitでバウンスする必要があります。
続いて、まずはさきほど書きだしたテンポを読み込みます。
で、オーディオの読み込み。今のDAWなら多分、新しくトラックを入れなくても単にオーディオファイル読み込みから、先ほど書きだしたファイルをまとめて指定するだけでトラックまで作られてロードできると思います。
トラックを別に分けるか、1つのトラックにまとめるか等聞かれるときは、もちろん個別のトラックに分けます。
すると読み込んだファイルごとにトラックが自動で作られ、読み込まれます。このとき、念のため「ステレオトラックとモノラルトラック」が正しく設定されているか確認しましょう。
BFDの場合だと、ドラムのパーツ類がモノラルで入っているかと思います。基本的に自動読み込み、自動設定されるとは思いますが、念のためです。
手動でトラックを作ってそこに各ファイルを入れていった際は、同様にステレオ、モノラルの設定が間違っていないか確認します。モノラルトラックにステレオの音を入れると良くないのは分かると思いますが、ステレオトラックにモノラルファイルを入れるのも良くありません。大は小を兼ねません。例えばスネアのモノラルファイルをステレオトラックで読むと、センターに設定しても定位が真ん中にこなかったりします。設定と聞こえる音がずれるので、ミックスでどうやってもうまくいかなくなってしまったりします。
また、このときにモノラルトラックは先ほどメモしたパンの位置に設定しておきます。オーディオミックスダウンで書きだした音については前述のとおり、モノラルでも定位を設定された状態でステレオ出力されていますのでセンターで大丈夫です。
- トラックの名前と色
次にトラックの名前と色を付けます。これは自分で分かるように自由に付けて良いですが、基本的に「後から見返したときに見やすいように」考えてつけておくと良いと思います。トラックの色は、分かるなら別に付けなくても大丈夫ですが、付けておくと後で探すのが早くなります。気付いていると思いますが、特にドラムを全部パラ出しして、全パートのトラックをロードすると、けっこうなトラック数になっています。例えばボカロのコーラスにもこだわったり、ギターも重ね録りしたりしていると、この時点で50トラック、みたいなことも珍しくありません。
で、この後出てきますが、ミックスをすると、このトラック数がまた増えます。巨大なディスプレイなら良いかもですが、普通の20インチ前後のディスプレイだと上下スクロールがけっこうあるので、色で見分けがすぐに付くようにしておくと便利です。パートごとに同じ色にしてもいいし、バラバラでもいいんですけど、自分が使いやすいように設定しておきましょう。
- EQを追加
ここで、先ほど作った全てのトラックにシンプルなEQをインサートします。DAW付属EQでも大丈夫ですが、私の場合はWaves Renaissance Equalizer(REQ)を使うことが多いですね。効きが良くて音が素直なので。Goldにも入っている定番EQです。
これで何をするかというと、「聞こえないところをカット」します。音自体はいじりません、というか変えないようにします。EQを入れたら、一番上と一番下の帯域をシェルビングにして、Qを一番大きな値にします。なぜかこれREQ6(6バンド)を使ってますが、REQ2で大丈夫です。EQはモノラル用とステレオ用があるので、トラックごとにモノラルとステレオだけ間違えないようにインサートします。
そしたら各トラックをSoloにして一つずつ再生しながら、EQのローカットとハイカット…特にローですね、を動かして、「音が変わらないところ」に設定します。ハイ側は、場合によってはカットしない方が良い(周波数を最高に設定してもカットすると音が変わる場合など)こともあるので、そこはトラックに合わせてそれぞれ設定します。
なぜこんなことをするのかというと、音の成分って「聞こえないところにも入っている」ことがあります。特に低域はパワーがあるので、聞こえてないのに無駄な音が入っていて、そのため他の「聞かせたいところ」が小さくなってしまうことがあるためです。
特にバンドサウンドでは、スーパーローと呼ばれる地を這うような低音ってそうそう無いので、聞こえないところは潔くカットしても大丈夫です。というかカットした方が良くなることが多いです。もちろん、あえてカットしないのもありですよ。ミックスに正解はありませんから。
先ほども書いたとおり、ドラムパーツとか分かれているとけっこうなトラック数になる上、「曲中1回しか叩かないもの」があったりするのでちょっと大変ですが、より良いものを作るためにがんばってやりましょう。
ちなみに、ここは通常EQだけでいいんですけど、この曲の場合、ドラム以外の楽器にはピッチシフトが入っています。これはこの曲の基準ピッチをA=443で作りたかったため。基準ピッチを440から443に変えるためのピッチシフトです。制作段階で入れてもよかったんですけど、この時はミックス時に入れました。このような、制作の段階では行わなかった各トラックの「元の音」として必要なものがあるなら、この段階で入れてしまって良いと思います。ミックスとしての音作りはまだやらなくていいです。というか普通は「音を変えないEQ」だけでいいです。
- バス(ステム)トラックを作る
続いて、バス(ステム)トラックを作ります。Cubaseの場合はグループチャンネルと言います。バス(ステム)の詳細はパート3参照。
バス(ステム)は後から追加することもできますが、この時点で必要と思われる分だけ、まず作ってしまいます。
バンドサウンドだと、私の場合基本的に作るのが下記のもの。もちろん後から追加することもありますので、これが私にとってバンドサウンドの基本セットです。
- メインヴォーカル
- コーラス
- ベース
- キック
- スネア
- タムまとめ
- 太鼓系まとめ
- ハイハット
- その他シンバル・金物
- シンバルまとめ
- リズムギター
- リードギター
- ヴォーカルまとめ
- ベースまとめ
- ドラムまとめ
- ギターまとめ
- その他楽器
その他楽器については編成次第ですが、基本のヴォーカル、ギター、ベース、ドラムはこんな感じで作ります。このとき、バス(ステム)トラックにも分かるように名前と色を付けておきます。
ドラムのパーツを細かくまとめていることが多いですね。キック、スネア、ハイハットは個別に調整することが多いので、それだけのバス(ステム)を作ります。
各パートごとの全体のまとめ(ヴォーカル、ベース、ドラム、ギター、その他楽器)を一番下に置いているのは、これらが隣り合って端っこにあると最終的な調整で便利だからです。まぁトラックの順序はドラッグ・ドロップで簡単に変えられますし、その辺は自由に。こんなに細かく分けないで良い、ならそれで全く問題ありません。
これも私の場合のやり方なんですが、例えばベーストラックってもともと1つです。なので、それをそのまま直接使っても良いんですけど「どこで何をしたのか」を分かりやすくするため、私はこれも1つのトラックだけのバス(ステム)を作ります。ベースの元トラックがあって、ベースのバス(ステム)トラックで音や音量の調整、最後にベースのまとめトラックでバランス最終調整、みたいな感じで使います。結果的に「なにもしていない通るだけのバス(ステム)」が出来ることもありますけど、それは全く問題がないので気にしなくで大丈夫です。
そして、実際にミックスの作業では基本的にここで作ったバス(ステム)トラックを触るようにします。元の音トラックについては、ここまでで行った音を変えないEQ設定、モノトラックならパンニングの復元と、あと「同じパート同士」の音量調整(例えばギター1とギター2、みたいな)のみにして、エフェクトを追加したり別パートとの音量を調整するのは全てバス(ステム)のみで行うようにしています。
この辺の考え方はそれぞれあると思うので、「これが正しい」と言っているわけではないですよ。私の場合はそうやってます、というだけです。
で、バス(ステム)を作ったら、先ほど入れた各オーディオトラックからバス(ステム)トラックに送ります。これは各トラックのアウトプットを設定して行います。複数の段階でまとめられるバス(ステム)も同様にアウトプットを設定します。
各トラックのアウトプットはそれぞれの設定画面にもありますし…
ミキサー画面でまとめて設定できることもあります。これはDAWの機能次第。
- エフェクトトラックを作る
続いて、エフェクトトラック(FXトラックとかAUXトラックとか)を作ります。これも詳細はパート3参照で。
これについても、必要になれば後から追加したりしますが、まず「絶対に」使うと言って良いのがリバーブ。バンドサウンドでは特に。
パート3でも書きましたけど、バンドは同じ空間で演奏をしているように作るのが一般的です。じゃないと曲のまとまりが無くなったりします。
なので最低1つはリバーブを作っておいて、そこに後ほどSENDして使うためにFXトラックを作ります。
私のやり方としては、ここのリバーブでパートごとの奥行きを出したいと思います。よくやるのが3つリバーブを作る事。奥、真ん中、手前の3つに分けたりします。エフェクトトラックに挿入するリバーブは全て同じで、基本的な設定も同じ。ただプリディレイのみを変えます。手前ほど短く、奥ほど長くします。
上に載せた画像では、リバーブトラックを7つ作っています。これは作っていた曲がバラードで、ライブハウスよりもホールで歌ってる感じにしたかったため、より細かくリバーブを分けました。
前、前左、前右、中、中左、中右、奥で7つです。並べるとこんな感じです。
こんな感じで、中央に前、中、奥と反響があって、左右には前よりと中よりに反響があります。なので、前中、前左右、中、中左右、奥の順にプリディレイがだんだん長くなるよう設定していて、他は全く同じ設定のリバーブを入れています。
ミックスで最も難しいのが「立体感」を付けることです。ヴォーカリストが前にいて、その後ろにギターやベースが鳴り、最奥にドラムが置かれている。そんなステージの状況をイメージして、どのパートからどのリバーブにSENDするのかを考えます。これが一番簡単に立体感を付けやすいと思います。
ただ、この時点ではまだこれを作るだけで、実際にSENDの設定をするのは各パートのミックス時になります。今は作るだけでOK。
これで、ミックスを行うための環境作りが終わりました。上の画像を見ても分かりますけど、トラックが91とかになってますね。まぁこの画像で使った曲の場合はギターをかなり重ねていたり、その他の楽器も複数あったり、リバーブを多めに作ったりしたのも原因ですけど…もっとシンプルな編成のバンドサウンドでも、ミックスをするとだいたい50トラックくらいにはなってしまうことが多いですね。その大半がドラムのパラアウトと、バス(ステム)です。なので、どれだけシンプルな構成にしてもそうなってしまうんですよね。
ということで、今回のミックスはじめにやること編はここまで。次回はドラム・ベースのミックスについて書いていきます。
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