最近はポータブル製品の小型化が以前にも増していっそう進んできましたが、そんな流れがMTR(マルチ・トラック・レコーダ)にもきているようです。
各社新製品を出してきていますので、それぞれについて紹介していきたいと思います。
BOSS Micro BR
Silicon Rubber Case for MICRO BRRoland / BA-MBR-S |
各所で売り切れ続出、BOSSが「極限まで追求した」と言い切るこちらは、本体130g、単三2本で動作し、手のひらサイズといった、まるでゲームボーイのようなサイズに高性能なMTRを入れてしまった、という製品です。もちろんUSB端子や、ACアダプタの端子も装備しています。
記録媒体にはSDカードを使用しているため、汎用性も高くていいですね。
BOSS BRシリーズ全般に搭載されているリズムマシンも、このサイズで入っています。USB端子を装備しているので、細かい作業はPCを介して行うことになりそうですね。
2トラック同時録音が行えるので、自宅でリズムを構成していき、それにギターとボーカルを同時録音する、といったことも可能です。仮想トラックを各トラックごとに8つまで装備しているので、テイクを重ねた中から最もいいものを選んでつないだり、また、4トラックまで録ったものをミックスダウンして仮想トラックに入れておき、さらにトラックを重ねていくことで、容量が持つ限り無限にトラックを増やしていく、といったこともできますね。
同時に2トラック録音で、ドラムはどうやって録ろう、というときも、たとえばスタジオに備え付けのミキサーに、ドラムの各タイコごとのマイクを入れてミックスし、ステレオで出したものをLとRにチャンネルを分けて録る、といったことをすれば可能ですし、もちろん天井とバスドラのみ、といった方法で手軽に録ることもできますね。
ただ、まぁBOSSだけあって、こちらはギタリスト/ベーシストをターゲットにしているとみていいかと思います。
特に、搭載されたプリアンプを見ると、JC-120をはじめとしたギターアンプが並んでいるので、ギタリストを主なターゲットにしているようですね。
これ1台とギターさえあれば、直接ギターからこいつにプラグインして、内蔵のプリアンプとエフェクトを使って録音、といったことができますね。
録音、というのはギター上達には欠かせないことだと思いますので、練習用ツールとしてひとつ持っていてもいいんじゃないか、と思いますし、また、リズムトラックとギター/ボーカルのみで録音し、作曲メモとして使うにもいいんじゃないか、と思います。
ZOOM H4
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もともとコンパクトなポータブルMTRといえばZOOMの独壇場だったんですよ。
しかし上で紹介したBOSSのmicroBRの発売に合わせたかのように、ZOOMも今まで以上にコンパクトなタイプのMTRを出してきましたね。
本体190g、単三2本での動作、SDカードと、基本的な性能はBOSSにひけをとりませんね。
しかし、BOSSがギタリストをターゲットにしてきたのに対し、こちらはより「レコーディング」に特化したモデルになっています。
BRにあるようなリズムマシンこそ搭載していませんが、クリック(メトロノーム)がついていて、何よりもすごいのが、「ステレオマイク」を備えている点ですね。
Micro BRの内蔵マイクは、どちらかというとチューナーについているような簡易的なものでしたが、こちらはかなり本格的なX/Y方式の高感度マイクを搭載しています。
おそらくBOSSより60g重い理由は、これでしょうね。
音楽関係に限らず、会議の録音や、インタビューにも優れているのではないか、と考えられます。
内蔵されたアンプモデルも、ギターアンプ/ベースアンプと、マイクプリアンプもモデリングしていますので、これ1台で1曲完成させる、といったこともできますね。
当然、USB端子も装備していますので、細かい設定作業もPCを使って楽にできるかと思います。
また、マイクの質がいいので、ストリートでの弾き語りにも、またそういったアコースティックな音楽にもこちらはオススメできますね。
今年発売されたこれらの製品、エレキギタリスト向けに特化したBOSS、コンパクトMTRメーカーとしての意地をみせたZOOMと、それぞれ毛色が違った商品ですので、目的に応じて選べるかと思います。
私は両方欲しいですね・・・ギターボーカルなので・・・w
ギタリストの使用に特化したBOSS microBR、簡易録音装置という方向性を最大限に発揮したZOOM H4、MTRという形にこだわったZOOM PS-04と、それぞれの狙った方向が違っていて、おもしろいですね。
さらに今、KORGもこの流れにのって、音質を最大限に重視したコンパクトMTRを開発しているので、そちらも発売され次第、紹介したいと思います。
また、MTRの老舗、FOSTEXやリーズナブルなTASCAM、そしてミキサーの大定番、大御所YAMAHAのような各メーカーの出方も気になるところですね。
ZOOMが下地を作り、BOSSが今年火をつけたコンパクトMTR市場は、今後も目がはなせません!