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きになるファズ from The fuzz book VOL.4 〜THE FUZZ FACE〜

「きになるファズ」のシリーズは、今回から3回にわたって、「定番」といわれるファズを3種類、見ていこうと思います。まずはこの「FUZZ FACE」を見てみましょう。
ファズといえば・・・いろいろと思い浮かべることができると思います。ロジャーメイヤーやマエストロ、ビッグマフといった往年の名機であったり、最近ならファズファクトリーをまず考える方もおられるかもしれません。
しかし、「FUZZ FACE」はそんな中でも最も有名なペダルといっても過言ではないように思います。特にFUZZ FACEとBIG MUFFは、まるでアンプのマーシャルとフェンダーのように、それぞれイギリスとアメリカを代表するファズペダルの双璧として聳え立っているのではないでしょうか?

  • FUZZ FACEの歴史

オリジナルのFUZZ FACEは1966年の後期に、英国Arbiter Electronics社で作られました。そして68年にDallas Music社と合併、Dallas-Arbiterとなります。このころのDallas-Arbiter社はまさに奇跡的なエンジニアの集まりで、後にHIWATTを創始するデイヴ・リーブス氏、アンプビルダーとして、また現在FUZZ FACEのリイシューの製作もしているデニス・コーネル氏、そして超高品質なエフェクターやシールドの作成で有名なピート・コーニッシュ氏が在籍する、という今考えるととんでもない会社だったといえますね。その後CBS社に買収され、最終的に1977年にその歴史に終止符を打つことになります。
その後、アメリカJim Dunlop社が筐体の形状をそのままに復刻し、「現行品」として流通しています。また、当時Dallas-Arbiter社に在籍していたデニス・コーネル氏もその名前を冠したブランド「Denis Cornell」でファズフェイスのリイシュー品を製作しています。また、ARBITERのブランドネームでもリイシュー品が作られています。現在、「ファズフェイス」の名前と丸い筐体を使うことができるのはこの3社だけのようですね。

  • 名前と形

FUZZ FACEはこの丸い独特な筐体のインパクトがとても強いと思います。もともとこれはマイクスタンドの台座からヒントを得たものだということですね。「FACE」という名称は、この筐体に配置されたノブ、スイッチ、ブランドロゴがまるで顔に見えるからです。(下の画像参照)

  • 当たりとハズレ

オリジナルFUZZ FACEは当たりはずれが激しい、とよく言われます。
その点についてなのですが、初期のFUZZ FACEにはゲルマニウムトランジスタにNKT275が使われていましたが、その後BC108Cといったシリコントランジスタが使われたりと、当時のペダルによくあるように、あまり「これ」と決まったものが使われていたわけではないようです。また、当時の部品としての精度自体もあまり高くなかった、というのも多大に影響していると思われます。
現行のリイシュー品や、オリジナルファズフェイスのクローンモデルなどは、特に「当たり」と呼ばれるファズフェイスの音を目指したものが普通ですね。もちろん精度も現在のものなので、ゲルマニウムトランジスタ自体が温度に過敏であるということを除けば、当時に比べて高い精度のものがそろっていると言っていいと思います。

  • 現行品

先ほども書いたように、現行品のファズフェイスはJim DunlopのものとDenis Cornellのものしかありません。紹介してみます。

最も入手しやすいファズフェイスです。サウンドの方もオリジナルの特徴をしっかりと残したもので、とても使いやすいと思います。基本に立ち返る意味でも、一度試してみてはいかがでしょうか。

CORNELL FUZZ FACE

初期オリジナルと同じNKT275を使った、「よりこだわった」ファズフェイスです。その分価格も高いですが、もともとパーツが非常に少ないペダルだけに、ひとつひとつのパーツにこだわるとそれだけで全く違った次元のものになるのかもしれません。あまり見かけませんが、試してみたいモデルです。

ARBITER FUZZ FACE

限定生産された、「ARBITER:ENGLAND」のブランドネームがついたファズフェイスのリイシューです。製作の監修をデニス・コーネルさんが行っていますが、トランジスタがAC128で、上記のCORNELL FUZZ FACEとは少し違った中身となっているようです。ただ、回路構成自体は同じだと思います。もうあまり手に入らないかも知れません。

  • FUZZ FACEのサウンド

FUZZ FACEは「ファズ」として見ると、とても「おとなしい」という印象を持つと思います。ファズといえば、その意味からしてもそうなのですが、非常にバリバリとして独特で使いにくい、という印象を持たれると思いますが、ファズフェイスはゲインもさほど高くなく、Big Muffのように低域がどかっと強調されるわけでもありません。しかし、クリッピングを行わない上、本当に単純な回路ということもあって、ギター側のヴォリューム操作やピッキングへの反応がすばらしく、フロントPUでヴォリュームを下げたときの「艶のあるクリーンサウンド」などは、これでしか出せないといえるほどです。また、その回路構成上、原音と歪みをブレンドしたかのような芯のある太い音は、思いっきり増幅してクリッピングを当てた、「暴力系ファズ」とは違った暖かみがあるといえます。
つまり、ファズフェイスはどちらかといえばLovepedalのような艶やかで反応のいいオーバードライブ等に近い特性を持っていると言えるかもしれません。
The fuzz bookの言葉を借りれば、ファズフェイスは、ギター側の、「手元の操作」を増幅する、「可変幅の大きいトーンコントローラー」だった、という認識が一番正しいように思います。



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