VOX50年を記念するモデルとして発売された「Heritage Collection」、以前は15Wのモデルだけでしたが、今回、VOXを代表するアンプとしても有名な「AC30」が新たに加わりました！
ラインナップは、コンボタイプのAC30H2、アンプヘッドタイプのAC30HH、AC30と同様の外観をもつキャビネットV212H、そして全世界500台限定、国内では80台というAC30H2Lです。
基本的に、それぞれの仕様は同じですので、まずはそこから見ていきましょう。
プリ部には5極管EF86が1本、ECC83（12AX7）を3本使用し、パワー部はEL84を4本、整流にはGZ34が1本使われています。
チャンネルは2つ用意され、まずCh.1では5極管EF86を使った1VOLのみのシンプルな形式を基本とし、そこに3段階の「BALLANCE」スイッチが搭載されています。このスイッチはOFF、1、2となっていて、OFFではそのまま、1と2では低域を削って高域を強調することができます。2の方がより低域を削ります。また、BASS SHIFTスイッチをONにすれば、低域をタイトにすることもできます。また、5極管EF86を、3極管として使うモードがあり、これによってよりゲインが低くヘッドルームの大きい、透き通ったサウンドを作り出すこともできるということですね。
チャンネル2はECC83、つまり12AX7を使ったプリアンプで、VOLUME、TREBLE、BASSの2バンドEQを搭載した1VOLアンプという形になります。さらに、どちらのチャンネルにも使える、VOX独自の「TOP BOOST」回路を搭載しており、「CUT」コントロールを上げると、高域を削って暖かみのある音色を作ることができます。また、出力の30Wを15Wに切り替えるスイッチも搭載されているというのも、使いやすい点ではないでしょうか。アンプはハンドワイアードで製作されています。
入出力端子は、各チャンネル2インプットとラウドスピーカアウトプット（つまり別のキャビネットに接続するための端子）が用意され、キャビネットは、セレッションの12インチBlueスピーカーを2発搭載しています。エフェクトループは、あえてつけていないみたいです。
限定生産のAC30H2Lは、通常バーチ・プライウッドとフェイクレザー仕上げのキャビネットを、オイルフィニッシュのマホガニーを使って仕上げたタイプで、やはりサウンドも違ってくると考えていいと思います。
今回、個人的に「これは」と思うのは、キャビネットV212Hですね。今までVOXのAC30CCシリーズにおいても、こういったAC30らしいルックスのものはなかったんですが、今回Heritage Collectionとして発売されたことでたとえば通常のAC30CCHと、このV212Hを組み合わせたりすることで、外見的にもより「VOXらしさ」を出すことができますね。サウンド面を考えても、スピーカーの上にスペースがすこしできるような形になるわけでして、これはまた違った音を作ることができるのではないかと思います。
また、AC30が好きで、ハンドワイアードのものを求めておられる方で、でもJMIhはちょっと高い、と思われていたような方にもちょうどいいアンプとなるのではないでしょうか。
それにしても、最近VOXは元気ですね。今年はTONELAB LEやClassic Plus、amPlug、そしてHeritage Collectionと、新作を精力的に投入してきています。これは今後も期待ですね！
