ヴォリュームペダル(ボリュームペダル)って、使っておられる方も多いと思うんですが、結局どれがどう違うのかよく分からない、という方もおられるのではないでしょうか。
今回は、そんなヴォリュームペダルについて書いてみたいと思います。
- ヴォリュームペダルとは
ヴォリュームペダルとは、その名のとおり、ギターのヴォリュームを足元でコントロールできるようにしたものです。では、「ギターのヴォリューム」とはどんなものでしょうか?
エレキギターにおける「ヴォリューム」は、大きく分けて5つあると考えられます。まず一つは、ギター本体についている「ヴォリューム」ですね。そして、次にエフェクターについている「ヴォリューム」とか「レベル」とかのコントロール、さらにアンプのGainを担当する「プリアンプのヴォリューム」(JCM800などはこれしかついていませんね)、それからパワーアンプ段をコントロールする「マスターヴォリューム」、最後に、録音やステージなどでPAやミキサーによって行う音量バランスのヴォリュームです。ヴォリュームペダルについて説明する前に、これらのいろいろある「ヴォリューム」について考えてみます。
1.ギター本体のヴォリューム
エレキギターには、PUからの出力をコントロールするための、「Volume」というツマミが搭載されています。TONEがないギターは見たことがありますが、このVolumeがないギターというのは見たことがありません。
では、これはどのようなものかというと、単純に言えばギターからの出力信号を弱める、というものです。基本的に「ブースト」つまり音量を「上げる」ことはできず、ただ下げるのみとなります。エレキギターで使う場合の効果としては、「アンプやペダルへの入力信号を弱めて歪みのゲインを下げる」という「音質的な」方法が多いのではないかと思います。
2.エフェクターのヴォリューム
エフェクターに搭載されている「LEVEL」だったり「VOLUME」だったりというコントロールは、基本的にエフェクト回路の最終段にあるアンプ回路のコントローラーであると考えられます。内部でエフェクト効果をかけたあと、その音を「増幅」または「減衰」するためのものですね。歪みなどのエフェクターで設定した音を、エフェクトのON時に目的の音量にするために設定するものです。
ギターのPUがアクティブの場合は、本体のボリュームもどちらかというとここに相当してきます。
3.プリアンプのヴォリューム
主にチューブアンプにおいては非常に大切なコントロールです。Marshall JCM800やFender Champなどのような「1ヴォリュームアンプ」といわれるアンプの場合、これで音量を調整することになるのですが、これを上げると歪みが増し、下げると歪みが減るという役割も持っています。
現代の多くのギターアンプでは、「Gain」として表示されていて、プリアンプ段での歪み量の調整を行うコtントロールとされていることが多いですね。
4.パワーアンプのヴォリューム
アンプのコントロールに「Gain」と「Volume」がある場合、そのVolumeに相当するのがこのコントロールです。練習用のアンプなどによくあるような、「プリアンプだけが真空管」となっているものの場合は、ほとんどの場合単純に「音量」と考えてもいいと思いますが、フルチューブアンプの場合、「音量調整」というだけではない役割もあります。というのも、パワーアンプの音量を下げると、どこかうすっぺらい音になってしまうんですね。ほとんどの「ヴォリューム」は、絞ると高音域が減衰するのですが、この場合は中低域が減衰しやすいという特徴がある、といえます。絞らざるを得ない場合も多くあるとは思いますが、やはり音作りにも関係してくる部分だ、といえますね。
5.PA/ミキサーでのヴォリューム
ここは、音作りというよりも曲全体の構成に影響する部分です。各パートごとの音量を調整して、聴き手に聞かせたい「音楽」を作り出すために必要な部分ですね。ギターの音作りという面ではあまり関係がないですが、バンドなどでの曲作りにおいては非常に重要なやくわりを持ちます。ここのバランスを変えるだけで、曲は全く違ったものになるからです。
ということで、ギターにおける「ヴォリューム」の役割みたいなものを簡単に見てみましたが、では、「ヴォリュームペダル」はこれらのどの部分に相当するのかというと、上の番号でいうと1番と2番ですね。ギターから直接、エフェクターなどの一番最初につないだ場合は1番、エフェクターの最終段や途中につないだ場合は2番ということになります。
ここで気をつけないといけないのが「インピーダンス」という問題です。ヴォリュームペダルには「ハイインピーダンス用」と「ローインピーダンス用」があるんですね。インピーダンスについての説明は、このあたりを読んでいただけばと思いますが、どう違うのかというと、上の番号でいうと1番の目的で使う場合はハイインピーダンス、2番の目的で使う場合はローインピーダンスと考えてください。アクティブPUの場合はどちらの場合にもローインピモデルということになります。なお、アンプのセンド/リターンに接続して、上記の4番(ちょっと違うんですが)のようにして使う場合もありますが、この場合もローインピーダンスモデルを使ってくださいね。
- ヴォリュームペダルの使い方
さて、今回は「ハイインピーダンスモデル」について見て行きたいと思いますので、ローインピモデルを使う場合の注意点などは次回にまわすことにします。
ハイインピーダンスモデルの場合、使い方は簡単で、まさにギター側のヴォリュームを操作するようにして使っていただければ、と思います。
ギターのヴォリュームと違った使い方といえば、「最低音量」という使い方です。つまり、奥まで踏み込めばVOL.10となるのですが、手前までもどしたときに、たとえばVOLが5のあたり、というように設定できる機種があります。これにより、バッキング時では手前にもどしておき、ソロのときに奥まで踏み込んで音量やゲインを操作する、といった使い方が可能となってくるわけですね。
では、「ハイインピーダンスモデル」のヴォリュームペダルをいくつか見ていくことにします。
BOSS FV-50H |
BOSS FV-500H Foot Volume |
KORGのボリューム・ペダル です!VP10KORG/ボリュームペダル/VP10 |
特徴的なのは、ペダル・スプリング機能といって、足を離したときに、設定した場所にペダルが自動的に戻る機能がついている点です。たとえば普段はVOLを7あたりに設定しておいてバッキングなどを行い、ソロ時には10にしたり、バイオリン奏法をおこなったりして、また足をはなせば7に戻る、というように、非常に実践的に使える機能ですね。これは便利そうです。
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その操作感から、プロの方などに使用者が多いとのことです。
ハイクォリティ・ヴォリューム・ペダル!shin’s music Perfect Volume【Normal】 |
というわけで、今回はハイインピーダンスのヴォリュームペダルをいくつかみてきました。ヴォリュームペダルといってもいろいろな機能がついていたり、音質にこだわっていたり、奥が深くておもしろいと思います。次はローインピーダンスに対応したモデルを見ていこうと思います。