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当サイトの内容を説明文等に使用している楽器店さんがあるようですが、一切関係がありません。

自宅でバンドサウンドを作ってみよう!Part.8 楽曲の完成へ!オートメーションからマスタリングまで編 +オマケ

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こんな時期だから自宅でできることを。人があつまってこそバンドという側面もありますが、バンドサウンドなら自宅で一人でも作る事ができます。
自宅でバンドサウンドを作ってみよう!シリーズ、全8回。ついに完結です。

パート1はこちら。
toy-love.hatenablog.com

前回はギターやバンドサウンドに添えられる楽器、そして全体のバランスの調整までを行いました。
toy-love.hatenablog.com

今、全てのトラックが全体的な調整を終えられた形になっています。ですが、この時点ではまだ完成とは言えません。
まずは楽曲にとって非常に重要なオートメーションからやっていきましょう。

  • オートメーションを書き込む

オートメーションとは、ここまで読んでもらってる人なら今更かもしれませんが、一応説明すると、各トラック内の様々なパラメータ設定を、楽曲の進行に合わせて操作し、その動きを記録、読み込むためのものです。
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例えばこういうオートメーション。これはヴォーカルのボリュームフェーダーの動きを書き込んだものですが、21小節目の頭で大きく音量を減らし、24小節目の4拍目辺りですこし音量を上げる…といった情報が書かれたものになります。
このボリュームフェーダーの動きを記録するのが最も有名なオートメーションですが、他にもエフェクトのON/OFFやエフェクトパラメータ設定、SENDレベル、トラックのミュート、パンニング、さらにルーティングの切り替えなど、様々な要素を動作させることができます。

もちろん、シンセとかでは普通に音を作る段階から使いますし、楽曲の中で一時的に使われるエフェクトなどもオートメーションを書き込んで使用するわけですが、ミックスという側面で、これまでパート4から行ってきた流れは、基本的に全て静的なものでした。(ヴォーカルのディエッサーの話くらい?)

対してオートメーションは楽曲の動作、展開に合わせて設定していくものなので、動的な操作を加えることができるものとなります。

www.youtube.com
例えばこのELTのJumpで、曲の冒頭に入っているギターはオートメーションでフェードインのような効果が付けられています(正確には逆再生+音量フェードインのオートメーションかな)。
オートメーションと言えば、こういう分かりやすいエフェクト的なオートメーションがまず思い浮かぶと思いますが、ミックスでのオートメーションは「楽曲を常に適正なバランスに保つためのオートメーション」になります。

この適正バランスを保ち続けるためのオートメーションはどんな曲でも行われていると思いますが…個人的にすさまじいと思った曲がこれ
www.youtube.com
椎名林檎宮本浩次のコラボで話題にもなった、獣ゆく細道。
まず曲のパートに使われている楽器類のダイナミクスが大きく、さらに主役となるヴォーカルパートが2つあるデュエット曲で、それぞれが声を張る場面とそうでない場面、一人で歌う場面と二人で歌う場面が次々に展開し、それを奏でる伴奏の楽器類も、その楽器隊の中での主役となるところ(前回書いた、第2レイヤー)もめまぐるしく変わる…
ヴォーカルパートはどちらも定位をセンターに置いて、もちろん二人でハモる部分はあるものの、それぞれの声に後から追加したハモリはおそらくなし。いやそれどころか、椎名林檎はともかく宮本浩次はヴォーカル録りでも声を重ねて録っていないように聞こえます。(椎名林檎も重ねてないように聞こえますが、1~2回くらい重ね録りしててもおかしくない感じの声質ではあります。ちょっとなんとも言えない感じ。)生の声。加工はおそらくほとんど許されない状況。それでこの明瞭さ。ヴォーカリストとしての力あってこそですけど、それだけのものではないですよこれ。
しかも楽器パートとヴォーカルの音量差が全然ない…ともすれば楽器隊の方が音量が大きい場面があるのに、ヴォーカルが常に前に立っている。
楽器やヴォーカル、さらに楽曲の展開自体がダイナミクス多めでありながら、常に全体の音量が一定。ヴォーカルや全体の音量を揃える(クラシック等の幅広い抑揚がある曲は別として)のは特にミックスでは基本中の基本ですが、その音量設定も絶妙。で、全体の音量が揃っていて、音圧も十分に高い。かといってそれぞれのダイナミクスがちゃんと残っている。このミックス、化け物ですよ。
2人のアーティストとしての力量のすごさは言うまでもないですし、編曲を担当した笹路正徳のヤバさも言うまでもないんですけど…クレジットに無さそうなので分かりませんでしたが、このミックスを担当したエンジニアもとてつもない人です。どんな感覚でバランスを取ってるんだっていう。
バンドサウンドのリファレンス(お手本)としては使いにくい曲ですけど…ミックスをやったことがあれば、この曲のヤバさ…楽曲の力や編曲のすごさだけでなく、ミックスのヤバさにも気づけると思います。仮に、何の責任も負わなくて良いから趣味で好きにミックスしていいよ、と、この曲のステムトラックを渡されても、とてもやりたいと思えないような超ハイレベルなミックスです。

このミックスのすごさは、ライブと比べるとすごくよく分かります。
www.youtube.com
公式ライブ映像なので多少ミックスや全体の音量調整入ってると思いますが…ヴォーカルとバックの音量差、楽曲全体の音量の動き、声の明瞭さ(もちろんホールの反響もありますが)の違い、後半間奏でウィンド系楽器の入るところの曲の迫力の違いを聴いてみると、音源のミックスのとんでもない絶妙なバランスが分かると思います。もちろんプロのミックスしたものってどれもすごいバランスなんですけど、この曲は特にヤバいと思いました。

こんな神域みたいなミックスはとても無理ですけど(というかできるならそのまま第一線のプロでやっていける)…それでもオートメーションで丁寧に音量を揃えていくのはとても大事です。

前回までの時点で、構成する全パートのバランスはほぼ取られています。なので、そこまで大きくダイナミックなオートメーションはあまりないと思います。
私がやる場合だと、とにかくヴォーカルをできる限り一定に。もちろんヴォーカルとしての音量差(ダイナミクス)を完全に無くすのではなく、あくまで聴覚上として、一定の音量で歌っているように「聞こえる」ことを目指します。
例えばボカロって、発音する音ごとに音量差がけっこう目立ちます。「と」は奥に引っ込む、「え」は前に出てくる、とかそういうのがあって、曲によってそれがヴォーカル音量を不安定に「聞こえる」ようになっている。なので、まずはその調整からやります。
ヴォーカルの音量のオートメーションは、とにかくアタック。声の伸びの部分はスーっと落としていっても自然に聞こえます。全部上げてしまうと伴奏パートが押さえつけられるので、出来るだけ自然に聞こえる範囲で「アタックを上げてそこから減衰させる」みたいなオートメーションをよく使います。もちろん下げるときもあります。ボカロだと謎のノイズっぽい感じとか、完全にノイズになっている音とかが出てくる場合があるので、そこは一気に大きく抑えます。
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こういう、直角三角形みたいにフェーダーを動かしているのがそれ。アタックで一気にあげて、そこからスッと下げ、ミックスで設定したバランスの値に戻す。これを引っ込む感じがするところにやると良いですね。こういうヴォーカルのオートメーションによる音量調整は、手コンプという呼び名が付くほど当然のように行われています。手コンプとは手動コンプレッサーみたいな感じの意味ですね。

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ギターなどの楽器は、曲の展開単位でちょっと調整したりします。間奏で音量を上げたりとか、場合によってはAメロは大きめ、Bメロではストリングスが入ってくるからその場所を空けるためにちょっと下げる、とか。といってもそんな大きな動きはしないですけどね。あえて音量を上下した感じを出すというなら良いですけど、あくまで「一定音量」にする部分では1dB前後が最大かな、という感じで。もちろん楽曲によりますけどね。上の画像では、0dBから間奏の部分で1.21dBまで上げてまた戻しています。

このオートメーションの上下のときなんですけど、若干前後…特に前にすこし予備動作を入れてやると自然になったりします。突然ギターが大きくなっても問題ないときはいいんですが、実際に聴いてみて「不自然」とちょっとでも感じたとしたら、その前の小節で少しだけギターを上げたり、上の画像のようにゆっくりと上げていったりすると、曲を聴いている中ではずっと一定で鳴っているように「聞こえる」かと思います。

これを全体でやります。だいたい問題なくなったかな、と思ったら、続いてマスタートラックに行きましょう。
音量の調整を行うオートメーションは、相当丁寧にやっていくとかなり全体のクオリティが上がります。もちろん、オートメーションを「書けば書くほど良い」と言っているわけではありません。
オートメーションも、細かく曲を聴きながら、おや?という違和感が出てきたところをやっていきます。なので、オートメーションを書いてミックスダウン、楽曲を確認しておかしいところをピックアップ、オートメーションを追加してミックスダウンして確認……を何度も何度もループして、「もう調整するところは無いな」と思えるまで行います。この「調整するところは無い」の判断がとても難しくて、どうしても「どこかに何かあるんじゃないか」と思ってしまったりするので、そうなってきたらいったん時間をおくと良いです。
例えば夜中にオートメーションを書いているなら、いったん寝て朝聴いておかしいところをピックアップ、また夜にオートメーションを追加してオートメーションがうまく機能しているかを確認し、また朝にもう一度聴いておかしいところを見つける、みたいな感じ。延々聞き続けてると何がなんだか分からなくなってくるので。

  • マスタリング

マスタリングとは、もともとはCDとかの原盤(マスター)を作る作業のことを言います。(なのでDVD-Rとかの書き込みにもマスタリングの工程があります。)
そこから転じて、音源として完成する最後のマスタートラックでの調整もマスタリングと呼ばれます。アルバム単位のマスタリングだと、曲ごとの音量差や音圧を統一したり、曲間の時間を付けたりするのもマスタリングですが、ここではあくまで、1つの楽曲のマスタートラックで行う全体の調整や音圧調整をマスタリングと呼びますね。
あ、ちなみに通常はマスタートラックのフェーダーは0dB固定です。万が一のノイズカットのため、楽曲の入っていない余剰部分(前後数秒)を0にするオートメーションを書くことはありますけど。

この場合、マスタリングは基本的に音圧調整が主になります。なので、リミッターを挿すだけというのもあり。
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そういえば前回からの流れで、マスタートラックに仮で挿したリミッターがまだあると思いますが、それはそのままでも大丈夫です。どうせ使うので。それだけで十分であればもうそれで立派なマスタリングです。

ただそれだけではなく、私の場合はもう少しだけマスターにエフェクトを入れます。エフェクトを入れる理由は、「今聴いている曲のバランスで、何かこうしたい、というものがあるから」です。例えば倍音成分がちょっと薄いかも?とか。明確に「倍音不足」になっているならそれはミックス時のEQがどっかおかしいので直すといいんですが、そうじゃなく「今の形でも悪くないけどもうちょっと欲しいな」と思うことがあれば、その辺はマスターでやってしまったりします。

ここでは、私がよくマスター段に使うプラグインを載せます。あくまで「よく使う」なので、毎回全部使うわけじゃ無いのは言うまでもないですし、たまに違うものを試したりとかもします。

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よく使うのがこのMaster EQ 432
これは“EQのロールスロイス”とか呼ばれたという、伝説的なマスターEQ(マスタートラックにかけるEQ)、Sontec MES 432cを再現したもの。オリジナルにはないMS処理のEQも行えます。これはすごく良いプラグインで、まぁ波形が表示されるグラフィックなGUIのEQに慣れてしまうとノブでのEQ設定のみというのがほんのちょっと敷居になるかもですが、これ音がすごく良いんです。バスEQ的にストリングスとかドラムのバス(ステム)に使ったりもありなんですけど、マスター段に挿して使うとたしかに相性が良いEQです。

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このZynaptiq INTENSITYもよく使います。どちらかといえばラウド系、音圧というか密度高い系の楽曲に使うことが多いかも。マスター用だけのプラグインではありませんが、マスターで使ってミッドを強めるというか、密度を調整したりできる変わったプラグインです。なんか顔認識アルゴリズムの技術を使って音の細部を分析して調整するという謎のプラグイン。確かに何か「全体的で包括的かつ細かな調整」ができますね。

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Waves Cobalt Saphiraもマスターで使ったりします。これはDiamondバンドルにも入っているエフェクトで、倍音成分を付加するプラグイン。コンプレッサーを使わずに楽曲全体の一体感を加えるというものです。

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マスタリング向けのチャンネルストリッププラグイン、iZotope Ozoneもそこそこ使います。あんまOzoneでのEQはしないですけど、ダイナミクスの調整とリミッターで使ったりしますね。

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個人的に好きで使うのがWaves L2。もちろんマキシマイザーとして使ってもいいんですけど、これを味付けに使うことがあります。
スレッショルドはほんの少しだけ下げるようにして、楽曲にサチュレーションを加えるような感じ。元気の良いロック系とかで重宝します。

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全体の音圧調整は、IK Stealth Limiterか、AOM Inbizible Limiter G2。基本的にどちらも最大3dBまでの音圧アップにして、足りない時は2重にかけたりします。1つで大きく上げるより、分けて上げた方が良い結果になることが多いです。1つで足りるなら1つしか使いませんけどね。
そうそう、ここでディザリングも加えます。
ディザリングとは、ビットレートが下がったときの違和感を緩和するためにノイズ成分を加えて自然に仕上げるという技術。24bitとか16bitとかに合わせて行われます。

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パート3でも紹介したWaves WLM Plus Loudness Meterは、トゥルーピークリミッターとして使います。音量確認にも使ったりしますけど。
私の場合、作品をアップする先が動画サイトなので、トゥルーピークリミッターは一応挿しておきたいんですよね。マキシマイザーにトゥルーピークリミッターが内蔵されているものもあります。

ということで、こんな感じかな。
ここで音圧を上げたりEQや倍音の付加などが行われました。これでオーディオミックスダウンをまた行って、楽曲の確認になります。
マスタートラックに入ったエフェクト類で少しだけバランスが変わっているので、また変なところはないかを確認します。変なところがあったり、ノイズがあったりするならそこをオートメーションで追加調整したりします。

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ノイズの確認ですが、これはMDR-CD900STを使うことが多いですね。ノイズと、あと特にヴォーカルが歪んでいたりしないかを確認します。
マスタリングを通したあとのオーディオミックスダウンで確認します。
例えばプラグインによっては、ただ起動しているだけでノイズを出すものもあります。そういうのの確認もできます。で、そういうプラグインは使わない時(トラックに音が入っていないとき)はバイパスにするオートメーションを書いたりします。
それ以外の音の確認は、基本的にスピーカーと、リスニング向けヘッドフォンを使って、両方で問題なくバランスが取れているかを確認します。ちなみにMDR-CD900STって不思議なヘッドフォンで、ミックスバランスがおかしいとすぐに分かったりします。このヘッドフォンを使ってのミックスは推奨できませんが、ミックスバランス、ノイズの確認としては本当に優秀ですね。
「できたものを確認するため」に作られたもの、という感じです。

これで、何度も再生、ミックスダウンを繰り返して問題がないところまで調整が終われば、楽曲の完成です。そう、完パケ。ゼロから作曲をはじめて、一人で最後まで曲を作り上げたことになります。

ちょっとここまでのパートを振り返ってみましょう。

曲を作る、ミックス、マスタリングまで全部完成させるために必要なもの、機材などをまとめたパート1。
toy-love.hatenablog.com

実際の作曲から打ち込みまでを1つの記事でまとめる暴挙にでたパート2
toy-love.hatenablog.com

ミックス作業に入る前に、知っておくと良いことやよく使うエフェクトの仕組みなどを載せたパート3
toy-love.hatenablog.com

各パートのバウンスからバス(ステム)まとめやAUXエフェクト制作の手順を載せたパート4
toy-love.hatenablog.com

ドラム、ベースのミックスをまとめたパート5
toy-love.hatenablog.com

ヴォーカルミックスをまとめたパート6
toy-love.hatenablog.com

ギター、その他楽器のミックスと、その後の全体の確認、調整をまとめたパート7
toy-love.hatenablog.com

そしてこの記事で、オートメーションからマスタリングまでを載せて完結となります。

  • オマケ

最後に、ちょっとオマケを。
まずは、ここまで全部読んでもらった方、ありがとうございます。8回にわたるシリーズでしたけど、毎回毎回が全部長い記事ばかりになりました。
DTM系のTipsサイトが、1つ1つの記事で1つのことしか書かない理由が分かったかも。まとめようとするとこうなるんですね。
ミックスやマスタリングについては、それぞれ自分のやり方を見つけてしまえば、複雑で大変ではありますが、そんなに「すごい難しいもの」というわけではないんですね。奥は深いし、プロみたいなのはなかなか自宅で作れないですけど。趣味の範疇で「だいたい良い感じにする」まではそんなに難しくない。
普遍的な「解答」を求めようとすると、どれだけ探してもそんなものは無いので「ミックスって超難度だな」って思うかもなんですけど、明確に曲のビジョンがあると、やること自体はそんなに難しくないです。
もちろんそれなりの熱意とかは要りますよ。何回も同じ曲を聴いて確認したりね。でもそれって自分の作品なわけですから、それを良くするためのことは全部やりたいですよね、と思います。
「ミックスに正解はない」。これを聴いて「うわーそんなのやってられない」と思う人もいれば、「自分なりの答えを作ればいいのか、楽しいじゃん」と思う人もいるでしょう。
正解がないから、自分の色をちゃんと出せるのもミックスです。特に自分の曲については、できれば自分でミックスまでやってみるのはとても楽しいと思います。地味な作業の繰り返しで、曲がどんどん良くなっていく過程は面白いと思います。RPGとかでのレベル上げに似てるかも知れないですね。

じゃあ、ちょっとしたオマケを。
○プラグインの買い方

このシリーズでも、この記事内ですらそうですけど、けっこう有料のプラグインを載せてきました。もちろん内容としては持ってない人でも分かるように書いていますが、まぁなんだかんだ言ってプラグインって欲しくなるんですよ。
プラグインって、時々安売りしたりしますよね。それを待つべきか否かという話です。
まず、前提として「予算」があるのは当然のこと。なので買うとしたら予算内で買えるものを探す必要はありますね。その上で、プラグインは「欲しい時が買い時」です。
もちろん作曲とかミックスって、DAW付属のものでも多少は出来ます。特にミックスはけっこうちゃんと出来たりします。DAWにもよりますけど。
ただどうにもならないのが「音源」。
こればっかりは、持ってない音は出せないというのがあります。シンセ系だとまたちょっと違ってくるんですが、特に生楽器系の音源については、無いと使えないということがあるので、最優先は「音源」、次に「プラグインエフェクト」という感じです。

ちなみに欲しい時が買い時と書きましたが……

現状で言えばWavesのプラグインバンドル。これに関しては、定価があって無いようなことがけっこうあります。
実際私も、ここに載せた“ひゃくまんえん”のプラグインバンドルを持っていますが、実際に買うのにかかったのは15万円ほどです。
私の場合は、最初は訳も分からず「歌ってみたやるからミックスで必要なWavesを買おう」ということで、予算内で多少安くなっていたDiamondを買いました。
その後、Wavesが行ったアップグレードキャンペーンで、10万円くらいでMercuryにできるのがあったのでそれに乗っかってアップグレードしました。そんな感じで、多少の買い方があるものもあります。
あと有名なのがKOMPLETEね。KOMPLETEはいろいろグレードがあるんですが、グレード間のアップデート(クロスグレード)がけっこう安くなっていたりするので、その辺うまく使ったりできます。こういう買い方を詳細に書いた記事もあったりします。

なので、まぁWavesとKOMPLETEに関しては多少あるものの、だいたいは「必要だと思ったら買う」というスタイルが良いと思います。
ブラックフライデーまで何ヶ月も待ってもいいですけど、曲の創作意欲はそんなに待ってくれないですからね。

○Web Tipsの見方
DTMが誰でも手に届くようになってきたこともあり、Web上にはTips記事が溢れています。この記事もそうだって?まぁそうですね。
Tips、つまりヒントとかハウツー的な記事のことですけど、それが「誰を対象に」「何について」述べているのかを考えるのは大事です。
大きく分けると、作曲者タイプとエンジニアタイプがあります。

例えば、YOASOBIのAyase氏のこのツイート。

2019年のツイートですけど、こういった例を元に、「Ayase氏も言っているように、作曲は機材じゃないんだ!高価な機材なんてなくてもYOASOBIの曲になるんだ!」みたいな。
まずAyase氏は何も悪くない。「作曲は機材じゃない」そのとおり。なんなら鼻歌も作曲だ。0円でできる。そこまではいいんですが、その先です。
ここでAyase氏が言っている「作曲」は、曲の骨組み、大元、あと打ち込みのアレンジあたりまでを指していると思われます。
www.youtube.com
実際にこの「夜に駆ける」も、上記の環境で作られたそうですが、「どこまでがその環境で作ったのか」考えてみましょう。MacにLogicとヘッドフォンだけだと、まずヴォーカル録りはできませんよね。この曲だとギターも生音で入ってますが、それも録れません。あとミックス。これはプロの手が入ってます。つまりMacとLogicとヘッドフォンでミックスもできません。

この違いです。ところがここがすっ飛ばされて、最低限の機材でプロがリリースできるレベルまで作れると「誤解させる」ようなことが書かれていたりします。
もちろんちゃんと注釈が入っている記事も多くありますし、だいたいはそうなんですけど…どこまでを自分でやるのか次第で、必要な機材は変わってきます。

トラック数とかもそう。例えば中田ヤスタカ氏は制作の段階で使うトラック数がとても少ないことで知られています。
じゃあそれで最終的なリリースまで持って行けるかというと違いますね。このシリーズを読んでくれた方なら分かると思いますけど、ミックスでバス(ステム)とか作ったりドラムのパラアウトしたらすぐに数十トラック消費します。

これは「曲を作る」という感覚の違いから来ています。どこから何処までが作曲で、どこが編曲で、どこがミックスか。その線引きはけっこう混沌としてます。

当然ですが、「無理をする」必要はありません。いやプロのエンジニアになりたいとかなら無理しても買わないといけないものがあると思いますけど、趣味でやる上では。
でも、ある程度のものは揃ってないとなかなか厳しいです。例えばモニタースピーカーを導入するのに躊躇してる人とかを見たことがありますけど(Web上で)、学生の人とかでどうしても買えないなら分かりますが、そうじゃないなら、そこで躊躇して「曲が良くならない」とか嘆くより、「出来る範囲で」投資もしないと…と思います。

ここまでは作曲者タイプのTipsでたまに見かける内容についてでした。
じゃあ逆にエンジニアタイプのTipsはどうでしょう。

エンジニアタイプのTipsは、ミックスに特化してることが多いです。しかもそのうちの作業の1つについてを丁寧に述べていたりします。すごくありがたい。
でも、その「細かな音の作りや制御の話」を制作段階からやってしまうとほぼ間違いなく行き詰まります。
このシリーズで作曲についてとミックスについて全部書きました。作曲もミックスも、それぞれやり方はいろいろありますし、中には同時進行みたいな感じで出来る人もいると思います。
けど、曲を作って打ち込んでる段階から音かぶりを避けるEQを入れたり、CENTERでヴォーカルの場所開けたり、なんならオートメーションで音量整えたりしてたら、いつまで経っても曲は完成しないし、曲が進むごとにまたバランスが変わってきて大変ですよね。

いやいやそんなの当たり前じゃん、と言えるのは作曲経験者です。
例えばイコライザーって音作りにも使います。例えばその時、実際に必要な答えの1つが「ミッドを削る」だったとして、EQの使い方を探してみると「音がかぶらないように被った場所をさがしてカットします。」とか「EQは基本的にカットで使い、ブーストはしません」だったりしたら、結局なにをしたら良いか分からなくなります。

一番危険なのがヘッドフォン。実際相当ミックス等に詳しい人とか、とても分かりやすいことを言っている人、プロの現場を経験している人が、なぜかヘッドフォンになるとMDR-CD900STでのミックスを勧めたりします。

ミックスって、基本的にスピーカーでやるんですよ。「いやヘッドフォンでもできる」というのも分かりますが、基本はというか、少なくともスタジオの現場ではスピーカーでやります。
だから、プロのエンジニアとして慣れている人って、ヘッドフォンに詳しくなかったりします。まぁもちろん、前提としてスピーカーでのミックスが推奨されているとは思いますが、「あえてヘッドフォンでやるなら」と考えて、「完全な親切心から」、定番とされている“モニターヘッドフォン”で、実際にスタジオでも見たことのあるものとしてMDR-CD900STを勧めてしまう、そんなことが起こっている気がします。

もちろん出来る人もいます。またここに書いたように、意図せぬ歪みやバランスの悪さ、ノイズの確認にMDR-CD900STは有効です。だから「持っていると良い」ヘッドフォンではあります。
ですが、それをミックス用のメインに使うのはかなりの悪手です。普段使ってるリスニング用の方が良いです。
じゃあもっとミックスに向いたヘッドフォンは無いのか…?それはスピーカーを小音量にする方がより良いですよ。
あぁ、Sennheiser HD800Sはかなりモニターよりな上、自然でスピーカーに近い音のバランスで再生できます。中堅のニアフィールドモニター買える値段ですけど…。

こんな感じで、Web上には、いろいろなTipsが載っています。
正しいこともあれば、自分のやり方やジャンルとは違うこともあります。それは私の記事もそうです。それぞれが自分なりのやり方を見つける、その手助けに少しでもなれるなら、これほど嬉しいことはありません。
なので、書き手がどれほどすごい実績を持った人だったとしても、それを全部信じるのではなく、あくまでも参考程度に、1回真似してやるか、程度で見ていくのが良いのかなと思います。

 
いやー、毎回長くなってしまいますが、このシリーズ書くの楽しいです。
シリーズ内で引用している動画は、全て各アーティストまたは所属レコード会社等のオフィシャル映像、または私が投稿した動画のみです。
実際の楽曲を例にして説明しているのって意外と少なかったりして、でもその方が分かりやすいよなと思っていたりしました。
DTM関連のTipsは様々見てきて、それを自分なりにまとめて、全部見せる記事を書きたいと思っていたので、遂にそれが出来た、という感じです。

何かの参考になったとしたら幸いです。


シリーズパート1はこちら。
toy-love.hatenablog.com
 
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