今回は、買って間もないこのHAO SOLE PRESSUREのレビューです。見てのとおり、ワウペダルのモディファイでお世話になったSoul Powerのさいとうさんによるモディファイがなされています。
それでは見てみましょう!
まずはオリジナルのSOLE Pressureについて説明します。
HAO Sole Pressure |
このSole Pressureは、フェンダーアンプの歪みをシミュレートしたもので、音割れに近い、低域豊かなフェンダーアンプならではのサウンドを目標に作られています。
評判のいい使い方としては、このSole Pressureを軽くかけ、基本の歪みは真空管アンプで作る、というのが一般的なようですね。以前こちらの記事でも紹介しましたが、非常に独特な、3モードのサウンドをもつオーバードライブです。
実はHaoは、2003年に大幅な革新をし、全てのモデルでアップグレードと統一化が図られました。それは、「全モデルでLED、AC/DCアダプター端子、トゥルーバイパススイッチを装備する」という点です。さて、今回レビューするSole Pressureですが、この2003年の革新の前に作られたもので、LEDとトゥルー・バイパスは装備されていましたが、AC/DCアダプタ端子は装備されておらず、また、現行の3モードと違い、「Warm」モードのない2モードのものでした。
それでは、今回のモディファイ内容についてみていきたいと思います。
- DCジャックの追加
- 昇圧化
- 帯域の切り替え
- クリップの切り替え
- パーツ全体の見直し
以上の5点がモディファイされています。
「DCジャックの追加」は、上で書いたとおり、もともとアダプタ端子がなかったので追加した、とのことです。
「昇圧化」というのは最近流行りのモディファイで、9V電源のエフェクターを電源部にチャージポンプという昇圧回路を通し、17Vで駆動させるのが一般的ですね。昇圧を売りにしているエフェクターとしては、32Vまで昇圧した、「Ex-pro 32Volt Booster」という製品も有名です。基本的に昇圧を行うと、ダイナミックレンジが広がるため、ヘッドルーム、つまり出力の限界レベルと実際に出力されるレベル(dB)の差、余裕のことですね。そのヘッドルームが大きくなり、コシのある音になる、と言われています。よくある、レベルの限界を超えることで発生するヒス音(「シャー」という音)の低減にも役立ちます。
この昇圧ですが、そんなに珍しいものではなく、真空管を使ったエフェクターは、逆に「昇圧していない」ことを強調するものもあります。他にもコンプレッサーのMAXON CP9Pro+や、売り文句に「大きなヘッドルーム」と書かれたZ.VEX BOX OF ROCKもおそらく昇圧されているものと思います。
「帯域の切り替え」については、オリジナルのSole Pressureは低域によった音が特徴ですが、それがあまりにもブーミーすぎる場合に、もうすこしミドルに寄せることができます。
「クリップの切り替え」は、もともとLED対称クリッピングのものに加え、クリップなし、ゲルマニウム非対称クリッピングと切り替えられ、サウンドの幅が増やされています。
「パーツの見直し」は、おそらく昇圧化によるものもあるのかと思いますが、細かい定数等が少しカスタムされています。
コントロール系統はこのようになっています。
この、「Brillianse」と書かれたスイッチがオリジナルに搭載されている2モードのサウンド切り替えスイッチです。そして追加された上部の2つのスイッチ、このスイッチの左側が帯域の切り替えで、スイッチを左に倒せばオリジナル、右でミドル寄りとなります。右側のスイッチがクリッピングの選択となっていて、左から順に、LED、クリップなし、非対称と選ぶことができます。
二つ並んだツマミは左がDrive、右がLevelとなっていて、なかなか広い範囲でよく効く設定だと思います。
中身を開けてみます。
こちらはフットスイッチ周り。スイッチの周りに付けられた回路が昇圧回路です。
こちらが基盤周辺です。オリジナルの基盤にはいくつか部品が付け替えられた形跡があります。また、写真左の回路がクリッピング選択、右の大きなコンデンサは帯域切り替えのものだと思います。
それでは、肝心のサウンドレポート、いってみましょう!まずはセッティングから。
Fender Japan Stratocaster MOD. / Gibson LTD Les Paul Studio Faded
↓
HAO SOLE PRESSURE modified by Soul Power Instruments
Marshall VS-15/YAMAHA GA-10
これらを組み合わせて試してみました。まずストラトとマーシャルのセッティングですが、これは素晴らしいです。ストラトからストラトとは思えない音が出ています。プリチューブアンプを少し歪ませて、それに歪みを足して使いましたが、今まであんなに使いにくかった「歪んだストラトサウンド」が、こんなに素直なものだったとは、と感心しました。調子に乗ってDriveをぐいっと上げてみると、今度は個性的な、非常にブーミーなサウンドで、これはこれで面白いと思います。
次にレスポールですが、このSole Pressureはシングルコイルに合う、ということですがハムバッカーにも非常に使えるサウンドだと思いました。私が使い慣れてるだけかもしれませんが、個人的にはハムバッカーの方が扱いやすいような気もします。ただ、個性が出るのは間違いなくシングルコイルです。
ここでふと、ソリッドステートのアンプにつなぐとどうなるかと思って、部屋の端っこに放置してあった、YAMAHAのGA-10を引っ張り出してきてつないでみました。そしてアンプをクリーンに設定し、さきほどDriveを上げたままの状態で音を鳴らすと・・・あれ?歪まない?
クリッピングなしの、コンプカットの設定になっていたので、LEDクリップにすると・・・あ、少し歪む。でも全然歪みが足りません。さっきまであれほど機嫌よく歪んでいたサウンドがうそのようです。
そこで、ゲインをブーストしてやろうと思い、BUSKER’S BOD-2 modified by ROOT20をSOLE Pressureの前に繋いで、ONにしてみました。目的はゲインのブーストなので、BOD-2も歪ませます。
すると・・・これがまたすごい!単体だとすこしこもった感じの、SD-1に近いドライブサウンドを得意とするBOD-2ですが、それとこのSOLE Pressureを組み合わせると、とんでもなく太い、それでいて扱いやすいマーシャルサウンドのような音になりました。フェンダーを意識したはずのエフェクターですが、中域をブーストするとマーシャルサウンドに近くなる、というのはおもしろい結果だと思います。
よく、Sole Pressureは「隠し味」といわれる意味がようやく分かった気がします。たしかにこれは「単体で歪ます」のではなく、アンプの歪み、もしくは他のエフェクターと組み合わせて、その力が存分に発揮される、ということですね。しかも。そうやって使ったときのサウンドは、小さな安物アンプとはとても思えないサウンドでした。
それにしても、素晴らしいペダルを入手することができまして、とても嬉しいです。今回のSole Pressureですが、今の仕様になる前の、プロトタイプ的なモディファイの記事が、こちらで公開されていますので、合わせてどうぞ。