KOCH Dummybox DB60-ST |
一般的なフルチューブアンプは、プリアンプ部とパワーアンプ部に分かれています。そのうち、プリアンプからの音だけを得るのは簡単です。エフェクトループを装備したアンプならば、SENDから、もしくはPreamp Outからプリアンプの出力を取り出すことができます。(このとき、パワーアンプからはちゃんとスピーカーに接続しておいてください)
しかし、アンプのサウンドはプリアンプだけでなく、やはりパワーアンプを通ってこそ、そのポテンシャルを最大限に発揮することができます。パワーアンプからの出力は、特別な機能を備えたものを除き、普通はそのままスピーカーに接続することを前提に作られています。この出力を、たとえば直接ミキサーやオーディオインターフェイスに接続することは出来ません。
アンプからのスピーカーアウトは、○○Ωと書かれているのはよく知られていますが、これはスピーカーに接続する際の、スピーカーの抵抗値を示しています。そして、パワーアンプはその抵抗があることを前提に設計されていますので、スピーカーアウトから直接ラインで接続したりするとアンプに負荷がかかりすぎ、壊れてしまいます。
じゃあ、ライン用の出力がないアンプ、もしくはライン用出力が単にプリアンプアウトでしかないアンプのパワーアンプを通った音はラインで録ることができないのでしょうか。
実はそんなことはなくて、疑似的にスピーカーが接続されているという体を表す抵抗をつなぐことで、可能となります。この抵抗はダミーロードと呼ばれます。
さて本題です。
オランダのアンプメーカー、Kochは数々の高品質なアンプを製作しているだけでなく、LoadboxシリーズのようなアッテネータやPedaltoneのような、パワーアンプ内蔵でラインレコーディングにも対応したフロアマウント型プリアンプといったモデルでも知られています。そして、KochはClassic SEシリーズのような小型アンプにも本格的なラインレコーディング機能を搭載するなど、ライン録りに積極的に取り組んでいるメーカーです。
「Koch Dummybox DB60-ST」は、そんなKochが製作するダミーロードとアッテネータ、さらにスピーカー、マイクシミュレータをまとめて、一般的な真空管アンプからのラインレコーディングを可能としたモデルです。
このモデルは、3つのセクションに分かれています。
まずはダミーロードセクション。ここにはINとTHURU端子があります。
IN端子には、パワーアンプからスピーカーケーブルを接続します。60WRMS、瞬間最大100Wまでの出力に耐えることができます。(つまり、一般的に60Wと呼ばれるアンプまでに対応します。)
THURU端子からは、キャビネットを接続します。ここから接続したスピーカーには、ダミーロードを通らない信号が出力されます。
続いて、Recording/PAセクション。ここにはXLR端子が1つあり、ここからラインレコーディングができるようになっています。LIN/GNDの切替でXLRのピン1をカット、また、スピーカーとマイクのシミュレータのON/OFFスイッチと、マイクの位置(スピーカーの真ん中か端か)、キャビネットの大きさ(1×12、4×12)のシミュレーションを選択するスイッチを搭載しています。
続いてOutputセクション。ここはアッテネータで、L、M、H(それぞれ0.1、0.25、1%)の3種類の出力が選択できます。
つまり、これ1つあればアンプヘッドとキャビネットの間につないでアッテネータとして、さらにライン出力として使用できるという、かなり便利な機材となっています。
しかもそのライン出力はプリアンプアウトではなくパワーアンプアウトのサウンドで、スピーカー/マイクシミュレータをかけることもできるという、優れものですね。Kochのシミュレータは優秀なことで有名なのも付け加えておきます。
これは・・・アンプヘッドがあれば持っておいても損はないかもしれません。
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