今年のNAMM SHOWにも出展された、Way Huge Red Llama MkII。
かつて、Way Hugeが製作していた「Red Llama」というモデルの復活モデルとして登場したペダルです。
国内においてはWay Hugeペダルの中で最も有名なモデルであり、また世界中でフォロワーとなるペダルが作られたペダルでもあります。
どんな感じなのか、さっそくレビューしてみましょう!
Way Huge Red Llama MkII
こちらが、その「Red Llama MkII」です。旧モデルのRed Llamaと、特に機能的な違いもありません。強いて言えば、筐体が現行のタイプになり、電池の交換も用意になったこと、フットスイッチがラッチングリレータイプのトゥルーバイパスになったことくらいでしょうか。
コントロールはVolumeとDriveのみのシンプルな2ノブ仕様。写真だとうまく写らなかったんですが、全体的にヘアライン加工も施されています。
内部はこんな感じ。
写真上部にある部分は、現在のWay Hugeペダル全てに共通するバイパスや電源の制御部です。Red Llama本体の回路は、中央にある大きめのパーツが載った部分です。こうしてみると、とてもシンプルな回路であることがよく分かります。
Red Llamaの心臓部、「MC14049UBCP」。これはCMOSというロジックICで、通常はデジタル回路に用いられるパーツです・・・が、Way HugeのビルダーであるGeorge Trippsはこれをアナログの歪みエフェクターに用いて、独特の音色を作り出しました。アナログエフェクターにCMOSを使用するアイディア自体は、それ以前からあったものではあるんですが、Red Llamaはその完成度の高さと人気から、CMOSオーバードライブの中でも特に定番として知られています。
また、内部を見ればコンデンサや抵抗等のパーツにもこだわって作られていることが分かります。シンプルな回路だけに、パーツの音への影響も大きそうですね。
今回、写真は以上です。エフェクターとしての完成度が高いので、逆にあまり写真に撮って説明する部分がありませんでしたw
そうそう、フットスイッチはWay Hugeペダル共通の、「ポコ」っとした感触で踏み込めるタイプとなっています。
では、レビューいってみましょう。
- 操作性
一切、不満がありません。2ノブのシンプルなペダルなので、操作にとまどうこともありませんし。電池交換もネジ等をはずす必要もなく、シンプルで簡単です。
筐体サイズは、MXRを横に2つ並べたくらいで、小さくはないですが特に大きいこともありません。筐体自体もものすごく頑丈です。
- サウンドレポート
では、音の方を。いくつかサンプルを録りましたので、まずはそちらのご紹介から。ギターはLes Paul Customと 57 Stratocasterを使いました。ピックアップは全てリアです。アンプはKoch Classic SE C-SE6C。6Wの小型チューブで、クリーンセッティングです。
いつも通り、動画にもまとめましたので良かったらそちらも見てください。
ニコニコ動画
Youtube
内容は同じです。
クリーンブースト
BOSS OD-3のサウンドを、Red Llamaでブーストしてみました。ストラトです。前半はOD-3のみ、後半はOD-3+Red Llamaです。
音は、まずこんな感じです。
古いFender Champのサウンドに近いと言われているRed Llamaですが、たしかにこの、若干ファズっぽさのあるオーバードライブサウンドは、小さなアンプをドライブさせた音を思わせますね。基本的にかなりダーティな音色なんですが、ペダル自体のゲインはそれほど高くありません。コンプレッションも少なめです。そのため、非常にレスポンスが高く、入力音に対して敏感に反応して音が変わります。
顕著に分かるのが、ストラトとレスポールの違いですね。ギターやピックアップが違うので音が違うというのはもちろんなんですが、ゲインをかなり高くしてもここまで顕著に音の違いが出るエフェクターはそれほど多くありません。フルゲインにしていてもストラトならクリーンに、レスポールもクランチ程度にゲインを下げることができます。ちなみにうちのレスポールは出力が高め、ストラトは出力が低めのピックアップが付いています。
また、このペダルはDriveを最小にしたときの音も注目です。特にストラトのサンプルで分かりますが、Drive最小でもピッキングに対する音の変化はしっかり現れます。そして、この時の音なんですが、真空管が歪むか歪まないかのギリギリのあたりの音を出しているのも特徴です。これで、歪みにチューブっぽさを足せるんじゃないかと考えたのが、BOSS OD-3のブーストです。
OD-3を使ったことには特に意味はありません。定番のオーバードライブならなんでも良かったんですが、近くにあったので使ってみました。OD-3自体は、だいぶ前にレビューしたこともありますが、とても使いやすいオーバードライブです。こうしてブーストするとよく分かりますが、OD-3にある「エフェクターっぽさ」が薄まり、音自体の素性がよりはっきりして、立体的な音になっています。
最後にDriveノブの動きも録ってみました。これは聞いての通りですが、ノブの動きにたいしてゲインが自然に高まっていく感じです。どこかで突然ゲインが上がったりすることもありません。
歪みの特性ですが、ダーティな歪みではあるものの、特性はナチュラルです。ちょっと聞くと、ローミッドが強いのかな、とも思ったんですが使っていくと実はハイもかなりしっかり出ているのが分かります。ブライトさと、ローミッドに重心のある腰の強さの両方の特性が見られます。これが特に、Red Llamaならではの音ではないかと思いますし、この特性が、ブースターとして使ったときに音にリアルさをプラスしてくれているのではないかと思います。
今改めてRed Llamaを弾いてみると、実は新しい音というほどでもないんですよね。Red Llama自体、生産完了期間が長く、その間にクローンやフォロワーのペダルがたくさん作られています。ギター側のヴォリュームやピッキングに対するレスポンスも、十分に高いですが、今では飛び抜けて高いということもありません。数少ないFender系の音を出すペダルではあるんですが、それも今ではいろいろなペダルが作られています。
でも、何故でしょうか。このペダル、弾いていてものすごく気持ち良いんです。うちの環境では上手く録ることができなかったんですが、アンプからすこし離れた状態の音がものすごく気持ち良い。音の特性はアンプにマイクを立てた音と変わらないんですが、アンプから離れるとより良い音になっているんです。なんだろ。アンプから出た直後は若干ばらけていた音が、少し先で収束して塊になるという感じです。これはおそらく、アンプの音量をもっと上げて、スタジオやステージクラスの音で弾けばさらに実感できると思います。
その音は、何というか、ただひたすらにロックです。こればっかりは、言葉で説明できません。でも、アンプにつないで、少し離れたところでコードを1つ鳴らせば分かると思います。大音量でなくとも、試奏レベルの音量でもこれは分かると思います。
私は、オリジナルというか・・・旧作のRed Llamaを弾いたことがありません。というか見たこともありませんw
なので、オリジナルと比較してどうこう言うことはできないんですが、この「感覚的に気持ちが良い音」は、おそらくきちんと継承しているのではないかと思います。この感覚的な音のチューニングこそ、Red Llamaがこれだけ有名になり、また人気となった理由ではないかと思います。
というわけで、Red Llama MkIIのレビューでした。
音自体も独特ですが、弾き手を気持ち良くさせる何かがあるペダルです。また、音にチューブっぽさを付加し、音抜けを良くするブースターとしての使い方もとても良いと思います。
これがとても手頃に買うことができるというのは素晴らしいことだと思います。是非一度、試してみてください。本当に良いペダルです。
【エフェクター】WAY HUGE Red Llama Overdrive |
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