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SONYハイエンドヘッドフォン、「MDR-Z1R」レビュー。ハイエンドヘッドフォンは音楽制作に使えるのか、という話。あとM1STとの違いとか。

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ヘッドフォンは、膨大な数のモデルが出ています。低価格なヘッドフォンもあれば、ハイエンドなモデルもあります。
そしてSONYのヘッドフォンは低価格モデルからハイエンドまで多数ラインナップがあります。
レコーディングや音楽制作でよく使用されるモニターヘッドフォンMDR-CD900STMDR-M1STといったモデルでも有名ですよね。これも言うまでも無く。

toy-love.hatenablog.com
toy-love.hatenablog.com

ということで、これらのモニターヘッドフォンと比べ、ハイエンドモデルというのは音楽制作に使えたりするのか、という話です。

まずはその前にSONYハイエンドヘッドフォンについて見ていきましょう。「MDR-Z1R」。
MDR-Z1R
このMDR-Z1Rは、2016年発売のSONYハイエンドヘッドフォンです。
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発売以来、密閉型ヘッドフォンの最高峰モデルの1つとして世界的にもよく知られています。2018年に発売された、こちらもハイエンド密閉型モデルSENNHEISER HD 820は、開発時の話として「MDR-Z1Rを越えた」と公式が匂わせた感じです。(もちろん実際の評価とかは別の話ですけど。)

実際にZ1RとHD820は私も購入時どちらにしようか検討しました。ヘッドフォンって難しいんですけど(基本相対評価しかないので)、それでZ1Rを選んだ感じですね。
理由を書くと、SENNHEISER HD 820は同ブランドの開放型モデルHD800Sの方向性を持つ密閉型モデルで、各種評価を見る限り、HD800Sの方が評価が高かったこと(開放型/密閉型の構造の違いがあるので)。
それだったらHD800S買えば良いかなと思ったところがあります。
そしてそれとは別に、個人的に欲しかった点として、音源内のパートの定位が細かく見たかったのがあって、そういう視点だといろいろ見た限りZ1Rの方が合いそうだったのでそうしました。

ということで、買ったのが「SONY MDR-Z1R」となります。

まずは細部について。せっかくなのでMDR-M1STと比べて見ましょう。ハイエンドモデルとちょっと良いクラスのモニターヘッドフォンの違いはどういう感じでしょうか。

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まず、Z1Rで最も印象的なのはこのイヤーカップです。この独特のボコッと膨らんだデザインは、内部のドライバから出た音のイヤーカップ内での反響を最小限にするための形状です。レゾナンスフリーハウジングというもので、空間の共鳴を無くすためのものとなります。そして、その形となっているのがマグネシウムドーム。つまりマグネシウムで作られてるんですが、これはとにかく軽量で強度が高く、損失が高い(振動が収まりやすいこと)特性があるからです。

例えばこの、うちで使ってるモニタースピーカーPioneer RM-05ですが、中央の銀色の部分がマグネシウムを使ったツイーター。スピーカーの振動板に使える、とくに高域に使えるというのは、それだけ振動がすぐに収まるので音がくっきり出せるということです。

このマグネシウム板ですが、0.03mmという強烈な薄さです。それがむき出しだととても扱うことができなくなってしまいますので、それを保護するためにステンレスメッシュを編み込んだものが外側に使われています。これも特徴的な見た目ですね。
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イヤーカップを固定する円弧状の部分と、そこからそのまま繋がるように出力ケーブル端子があります。この形は同じくSONY上位モデルのMDR-Z7M2や、オーディオ用モデルMDR-1AM2とも共通します。

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ケーブル部はねじ込みができる形です。

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M1STと比較。プラグを挿して、ネジで固定するスタイルは同じですが、プラグ部の形が全然違っています。どっちが良いとかじゃないですけど。

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あと見た目的な違いといえば、SONYロゴ位置も特徴的。SONYヘッドフォンは基本的にイヤーカップ部にロゴがありますが、Z1Rはちょっと控えめな付け方となっています。まぁステンレスメッシュで他にロゴの置き場所がなさそうってのもありますけど。

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Z1Rのドライバは、この幾何学的な模様のグリルで保護されます。フィナボッチパターンという黄金比などを求めたりするのに使ったりするフィナボッチ数やその曲線に基づいた形状となっていて、ドライバの音へのグリルの影響を最低限にしているということです。これはMDR-Z7M2にも使われていますね。

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イヤーパッドを外した状態。ドライバが斜めに取り付けられています。70mm口径の大型ドライバです。

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ちなみにスタジオモニターのM1STは40mm口径。サイズの違いが分かります。

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イヤーカップ内の空気はここに抜き穴があります。

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この構造はM1STと似ています。というかM1STの方が後発なので、開発時にZ1Rからのフィードバックがあったとも言えるかもです。

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イヤーパッド部も凝っていて。軽くひねると取り外しや取り付けができるようになっています。ここはカメラのレンズ取り付け/取り外しにちょっと似た構造です。

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表側(耳があたる側)は立体形状。ここの素材は羊革です。

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M1STとZ1Rのイヤーパッド違い。厚みの違いがよく分かります。素材もZ1Rは上記の通り羊革、M1STは合皮っぽい感じです。

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また、分かりやすい違いがこの辺にも。上がZ1R、下がM1STです。
これはヘッドバンドとイヤーカップ接続部付近ですね。Z1Rは全てのネジがツライチに表面が揃えられています。M1STはねじ穴部が奥まっていますね。

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ヘッドバンド部も違いがあります。一見似てる形状、スタイルとなっていますが、Z1R(左)は端の部分に布があてられていて縫い込まれています。M1STは接着。Z1Rの素材は牛革です。M1STはなんだろ?合皮なのかも。ちょっとだけ手触りが違うんですよね。

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また、これはLRからのケーブルをまとめて1本のケーブルになる部分。この台形の部分も金属製だったりします。あとLRで2本に分かれている部分と、1本になった部分のケーブル表面も違っています。で、この1本になった部分のケーブルは表面に細かい溝が入っていて、絡まりにくいようになっています。

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M1STのケーブルは片出しなのでずっと1本ですが、ここのケーブル表面にも溝が入っていて、これは(ケーブル内部はともかく)共通のスタイルとなっています。

ということで、写真はこんな感じです。

ちなみにスペックは
インピーダンス:64Ω(@1kHz)
再生周波数帯域:4~120,000Hz(ハイレゾ対応)
感度:100dB/mW
最大入力:2,500mW(IEC)
質量:約385g(ケーブル含まず)


では実際に使ってみての感想です。
まず、何も音を出さずに装着してみると、それだけでかなり違います。めっちゃ静か。その中に静寂な空間が広がっています。大げだだと感じるかもしれないんですけど、これはほんと驚きます。
もちろんアクティブなノイズキャンセル機構は無いので、そういう静寂とはまた違うんですが、なんだろ、あのホールに入った瞬間の静かですこし重さのある空気の感じがあります。その時点でそもそもの構造というか作りの良さが分かります。
重さはそこそこありますが、装着感が良いからかそこまで重くは感じません。ただイヤーカップが結構出っ張ってるので、イスのヘッドレストとかでちょっと当たったりはします。ヘッドフォンは何も悪くないですが、環境によっては気になるかもしれないところ。
あとインピーダンス高めなので、ヘッドフォンアンプあった方がいいです。このへんはハイエンド系のヘッドフォンあるあるです。ヘッドフォンだけ買って終わりじゃないところがちょっと大変なところですよね・・・。
周波数帯域がとんでもないことになってます。一般的なハイレゾは40kHz、「ハイレゾ対応モニター」のM1STは80kHz、そしてこれは120kHzです。じゃあ高域が強いのかというと全然そうではありません。そうではなく、Z1Rでだけしか聞こえない音がある、それが確かなんです。
120kHzは当然可聴域外です。そこの音が聞こえる、のではなく、そこまでの再生力があるから聞こえる音がある、という意味。例えばMDR-CD900STは、そのミッドの強さゆえに聞こえる音があります。これでだけ聞こえる音が実際にありました。そしてZ1Rにも、Z1Rにしか聞こえない音・・・うちのモニターや他のヘッドフォンでは聞こえない音が確かにありました。それだけでも、すでに個人的には意味がありました。

そして音質について、まぁ言うまでも無いですがすごく良いです。スピーカーに近いって書くとよくある感じなんですけど、実際にそうなんです。ヘッドフォンの目指すところってちゃんとしたスピーカーの音なんだろうなというのが分かります。だからハイエンドヘッドフォンがあるんだな、という。音楽機材とかオーディオ機材ってどれもそうなんですけど、価格帯が上がるほど、価格差がもたらす違いは小さくなります。だからスピーカーとの違いを近づけるにはそれだけコストがかかるものなんだなと実感しました。

音自体もリッチで素直。バランスも良いです。買った直後だとけっこうローが強めかなと思ったんですが、しばらく音を鳴らしてある程度安定したらバランスの良さが分かってきます。若干、ほんの少しハイミッド付近にハンプが少しあるんですけどナチュラルで良い音です。

そして最も重視していた音の定位(LRの位置)ですが、これは素晴らしいです。うちで使ってるモニタースピーカーはツイーターとウーファーが同軸で、音の定位についてはかなりシビアに見えるスピーカーなんですが、それ以上に細かく定位が分かります。

例として挙げると・・・
www.youtube.com
この曲。この冒頭、効果音でガスバーナーみたいな「ゴー」って音が鳴ってますよね。その後チェンバロの音が入るんですけど。
このゴーって音とチェンバロはどっちもセンターで鳴っています。それはM1STでも分かるし、もちろんモニタースピーカーでも分かります・・・が、この音の「幅」まではしっかり見えるのがZ1Rです。「ゴー」って音はセンターで、幅はけっこう狭め。そしてその後のチェンバロもセンターですが少し広めで重なっています。
楽曲としてはその後「あーああ~」っていうイントロ前の演出がより広がりを持って入っていくという、だんだんLRの幅が広がっていく演出なんですけど、それが細かく見えるのがすごいです。
なんで妖精帝國聴いてたかっていうと、こないだの隠密如陽炎作ってたときに女性Voメタルをいろいろ比較してたからなんですけど、その中で特にびっくりしたので例にしてみました。

ちなみにM1STで聴くと、ゴーって音とチェンバロは同じくらいの広がりに聞こえます。どっちもセンター位置なのは分かりますが、この小さな定位の広がりの違いはM1STでは分からなかったです。

  • 音楽制作にハイエンドヘッドフォン意味ある?


ここまで見て来たとおり、ハイエンドヘッドフォンは、かなり「所有欲」とか細部の見た目とかにも細かくこだわって作られているのが分かります。ネジの面を合わせるとか、べつにそうでなくても誰も文句言わないところですよね。特に楽曲制作とかのための「道具」として見ると。
そういう面もあり、ハイエンドヘッドフォンは基本的にリスニング、それもいわゆるオーディオ好きのために作られているのは間違いありません。
そして、なぜだか分かりませんが、オーディオ畑の機器って、楽曲制作の視点から見ると、とてもうさんくさいものに見られることがあります。逆にプロの人はその辺フラットというか、あんま壁はなくて、そういう部分にまでこだわったりするんですけどね。

ですが・・・実際使ってみると、これがすごく意味があると思います。もちろん「無いとダメ」みたいなものではありません。それは間違いない。無くても全然大丈夫です。
定位がしっかり見えるとかはもちろんですけど、出来る範囲で「良い環境」の音が知れることは、曲の見え方が広がります。
ミックスとかマスタリングで、「あえて悪い環境の音を聴く」ってあります。それはどんな環境で聴いてもバランスが悪くないように作るためってのがあるんですが、逆に良い環境で聴いて「良い音がちゃんと良い音になっている」という確認ができるのもとても重要です。
もちろん完全なバランスされたスタジオであれば、スピーカーを最上位として考えることはできますが、自宅とかで曲を作るDTMとかなら、完全なバランスされた音場ってのがヘッドフォンの中にしか無いことはよくあります。だからこそ良いヘッドフォンがあると、とても良いリファレンス環境の1つとなります。

  • ハイエンドヘッドフォンがあればミックスもマスタリングもOK?

それは違います。いや、実際に使ってみると、正直M1STよりミックスとかはいけます。スピーカーに近い音になるので。でもやっぱりスピーカーでの音出しゼロでやるのはとても大変です。無理とは言いませんし、使ってみるとたしかに、スタンダードな“モニターヘッドフォン”よりもだいぶ使いやすいと思います。ただ、ヘッドフォンはやはりヘッドフォンの範疇であり、スピーカーはスピーカーで必要だと私は思います。

  • 実際の制作現場で使ってる?

レコーディングとかの場面でよく見かけるヘッドフォンは一般的なモニターヘッドフォンです。ですが・・・

適当にTwitterからアーティストさんの発信を拾ってきました。もちろんアーティストさんが使ってるから良いとかそういう話じゃなく、プロが使っているという例として。そして使ってみて思うのは、このヘッドフォン、本当に良いです。
Z1RはSONYの中ではハイエンドですが、もちろんヘッドフォンとして、価格で言えばもっと上位モデルはたくさんあります。それらをちゃんとは知らないので、Z1Rが最高かどうかなんて分かりませんが、Z1Rはたしかに、制作向けに使えます。でも誰にでも勧められるかというとそうではありません。価格的なことはもちろんなんですけど、ヘッドフォンはどうしても相対評価なので、合うかどうかはそれぞれだからです。
けど、もし興味があるなら、Z1Rである必要はないので、こういうハイエンドなモデルというのがあると、また一つ新しい視点が生まれるかもしれません。
あと単純に、各メーカーがこだわり抜いて作られたものを体験する、というのはとても楽しいと思います。
是非持つべきとは言いませんが、興味があるなら是非体験してみるのも良いと思います。
 
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